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第37話 良い夢みろよ!
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翌朝、ライラと共にグレイスとサンダーに朝の水浴びをさせているとジューソルク伯爵が眠い目を擦りながら起きて来た。
「寝過ごしてしまいました。申し訳ない」
「もう少し寝てても良かったんですよ。この子たちは朝が早いだけなので」
「ぐわっぐわっ」
小さいけれど池もある庭は街はずれだからか、川から水も引き込んでいるので水生生物も多くグレイスとサンダーはご満悦。アルベルティナは何よりだとライラと一緒に姫アップルも与えていた。
「本当に買ってくれるんですか?」
「えぇ。勿論」
「夢みたいな話だ。ガラス工房に卸す価格の倍だなんて」
「ガラス工房に卸す値段が安すぎただけです。適正価格ですよ?」
昨夜も遅くまで話をしたが、まだ18歳にあと少しのアルベルティナの話にはジューソルク伯爵も半信半疑。しかしライラを代役で送り込み、リュシアンが来なかったとは言え1回目の顔合わせは終わっている。
アルベルティナもジューソルク伯爵も後ろはもう切り立った崖の心境である。特にジューソルク伯爵は実弟のしたこととは言え、今更代役などさせるのではなかったと後悔しても遅い。せめてライラだけは罰を受ける事が無いようにと祈るしかなかった。
「どうにでもなれ…って気持ちもありますが、よろしくお願いします」
☆~★
ジューソルク伯爵とライラを見送ってアルベルティナとタイタンは先代夫人の住まう屋敷に向かった。
「今日は多分…旦那様もおられるかと」
「ゲ…先代の辺境伯様ってこと?剣の達人なの?居合の真空斬りッ!って斬られたりしないわよね?」
「斬られる気もなさそうに見えるがな?」
「バレた?だって切り傷って地味に痛いじゃない?カヤで手を切ると痛いのよ。紙も痛いし」
玄関に到着をして先代夫人の待つ部屋には執事に先導されて中に歩いた。
その様子を何日連続の二日酔いなのか今日もそれぞれの屋敷でリュシアンを待つ令嬢の元に向かわず、遅い朝食を取っていたリュシアンは開いたままの扉から見える廊下を歩くタイタンを視界にとらえた。
すぐ隣をタイタンと一緒に見かけた女性が歩いてるのを見て「父上たちに結婚の報告にでも来たのかな」と思いつつもタイタンは責任ある役目を与えているとはいえ、出自は孤児で使い捨ての兵士に過ぎない。
タイタンよりも役職が上の兵士もいるが結婚の報告など口頭で済むのにわざわざ相手を先代辺境伯夫妻に紹介する必要もない。
結婚の報告かと思ったが、どうもおかしい。
リュシアンは急ぎ朝食を口の中に捻じ込み、酔い覚ましに効果のあるスープで流し込むと後を追った。
両親とタイタン、そして女性がどの部屋で話をしているのかは直ぐに判ったけれど、不思議な事に扉に耳をあてても物音1つ聞こえてこない。
「くそっ。何を話してるんだ?マトモに聞こえないじゃないか」
リュシアンも魔力を持っている。
なので、音を遮断し、秘密裏な会話をする者達の話も間近で話をするかのように解呪する事も出来たが部屋全体を覆っている魔法はリュシアンの解呪魔法では全く効果が無い。
最初はかなり雑音が混じっているけれど「音がする」とは感じられたので解呪魔法が効いたと思ったが、そうでもなかった。
どんなに神経を集中させても何重にも重なった色んな音はノイズとして聞こえて来るだけ。
こんな経験は初めてだった。
聞えているのに聞き取れない会話。それに集中すればするほど眠気が襲ってくる。
「なんだ‥これは」
卒倒するように爆睡に入る訳ではなく、心地よい眠りに誘われて段々と眠くなる。
遅い朝食で、2時間ほど前まで二日酔いではあるけれどかなりぐっすりと寝たはずなのに瞼が重くなって、10分もすると部屋の入口扉の前で廊下に横たわりスース―と寝息を立て、ガチで寝入りこんでしまった。
「寝過ごしてしまいました。申し訳ない」
「もう少し寝てても良かったんですよ。この子たちは朝が早いだけなので」
「ぐわっぐわっ」
小さいけれど池もある庭は街はずれだからか、川から水も引き込んでいるので水生生物も多くグレイスとサンダーはご満悦。アルベルティナは何よりだとライラと一緒に姫アップルも与えていた。
「本当に買ってくれるんですか?」
「えぇ。勿論」
「夢みたいな話だ。ガラス工房に卸す価格の倍だなんて」
「ガラス工房に卸す値段が安すぎただけです。適正価格ですよ?」
昨夜も遅くまで話をしたが、まだ18歳にあと少しのアルベルティナの話にはジューソルク伯爵も半信半疑。しかしライラを代役で送り込み、リュシアンが来なかったとは言え1回目の顔合わせは終わっている。
アルベルティナもジューソルク伯爵も後ろはもう切り立った崖の心境である。特にジューソルク伯爵は実弟のしたこととは言え、今更代役などさせるのではなかったと後悔しても遅い。せめてライラだけは罰を受ける事が無いようにと祈るしかなかった。
「どうにでもなれ…って気持ちもありますが、よろしくお願いします」
☆~★
ジューソルク伯爵とライラを見送ってアルベルティナとタイタンは先代夫人の住まう屋敷に向かった。
「今日は多分…旦那様もおられるかと」
「ゲ…先代の辺境伯様ってこと?剣の達人なの?居合の真空斬りッ!って斬られたりしないわよね?」
「斬られる気もなさそうに見えるがな?」
「バレた?だって切り傷って地味に痛いじゃない?カヤで手を切ると痛いのよ。紙も痛いし」
玄関に到着をして先代夫人の待つ部屋には執事に先導されて中に歩いた。
その様子を何日連続の二日酔いなのか今日もそれぞれの屋敷でリュシアンを待つ令嬢の元に向かわず、遅い朝食を取っていたリュシアンは開いたままの扉から見える廊下を歩くタイタンを視界にとらえた。
すぐ隣をタイタンと一緒に見かけた女性が歩いてるのを見て「父上たちに結婚の報告にでも来たのかな」と思いつつもタイタンは責任ある役目を与えているとはいえ、出自は孤児で使い捨ての兵士に過ぎない。
タイタンよりも役職が上の兵士もいるが結婚の報告など口頭で済むのにわざわざ相手を先代辺境伯夫妻に紹介する必要もない。
結婚の報告かと思ったが、どうもおかしい。
リュシアンは急ぎ朝食を口の中に捻じ込み、酔い覚ましに効果のあるスープで流し込むと後を追った。
両親とタイタン、そして女性がどの部屋で話をしているのかは直ぐに判ったけれど、不思議な事に扉に耳をあてても物音1つ聞こえてこない。
「くそっ。何を話してるんだ?マトモに聞こえないじゃないか」
リュシアンも魔力を持っている。
なので、音を遮断し、秘密裏な会話をする者達の話も間近で話をするかのように解呪する事も出来たが部屋全体を覆っている魔法はリュシアンの解呪魔法では全く効果が無い。
最初はかなり雑音が混じっているけれど「音がする」とは感じられたので解呪魔法が効いたと思ったが、そうでもなかった。
どんなに神経を集中させても何重にも重なった色んな音はノイズとして聞こえて来るだけ。
こんな経験は初めてだった。
聞えているのに聞き取れない会話。それに集中すればするほど眠気が襲ってくる。
「なんだ‥これは」
卒倒するように爆睡に入る訳ではなく、心地よい眠りに誘われて段々と眠くなる。
遅い朝食で、2時間ほど前まで二日酔いではあるけれどかなりぐっすりと寝たはずなのに瞼が重くなって、10分もすると部屋の入口扉の前で廊下に横たわりスース―と寝息を立て、ガチで寝入りこんでしまった。
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