25歳の伯爵令嬢、愛が重すぎる年下の婚約者に翻弄される

cyaru

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閑話休題:手の温もりと優しさに

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迎えた茶会。

バルタザール様のお婆様はもう神に召されておりますが、前を走る馬車にはお爺様とご両親。後ろの馬車にバルタザール様とわたくしが乗車しております。

前を走る馬車は6人乗りなので1台で事足りるのですが、「いい加減今日は暑いのに馬車の中まで汗を掻きたくない」とお母様の公爵夫人が仰ったのです。
馬車の小窓を両側開ければ風は通るのですが、更年期のホットフラッシュなのでしょうか。


いけない、いけない。
これからゆく道なのだし、観察できたのに!くらいに思わなきゃ!
ただ、今日は調整が出来ない事とは言えレディースデーの初日なので少し辛いのです。


「ロティ。元気がないな?どうした」
「そうですか?いつもと変わりませんが」
「いや、違うな。声のトーンが10段階のコンマ2低いし、顔色を化粧で誤魔化しているだろ」

――ドキッ!今日のファンデーション若干厚め。ひび割れしてる?!――


おかしいわ。メイク担当のメイドさんは「すっぴん風」と言う触れ込みのファンデーションを使ってチークも明るめにしてくださったのに。何故厚めだとバレるの?


「頼む。正直に言ってくれ。言わないならこのまま王宮に向かって公爵家の力をフル活用し侍医の診察を受けさせる」

――えぇっ?!そんな事で?!絶対にお止めください!――

「その…実は今朝から…お月様が…」
「・・・・・」

――やめて!無言は止めて!?ちょっと傷つくわ!――

数秒無言で見つめ合ってしまいましたが、バルタザール様は握っていた手を離してわたくしのお腹にそっと当ててくださいます。

――何を?ただのお月様で胎動は感じませんわよ?――


まさか触診でわたくしの空腹度合いを腸の動きで知ろうとしている?
わたくしの手のひらに嫌な汗がジワリと滲みます。


「温めたほうが良いんだろう?馬車には毛布も掛布もないからな」
「あ…ソレハドウモ‥」
「一応習ってる。痛みもあると言うし無理はするな」


顔は窓の外を見ておられますが、空いた手で鼻の頭をポリポリ。
バルタザール様はやはりお優しいのです。

――ん?これを見越して馬車を別にされていたのかしら?――


「窓を少し開けて風を入れるか?冷えるかな」
「そうですね…少しだけ開けて頂ければ…」

指1本分だけ小窓を開けると、わたくしの火照った頬に風が当たります。
腹に当てている手からは痛みを忘れるほのかな温かさが伝わって参ります。

未だに顔だけは窓の方を向いております。

――クゥゥ!!惚れてまうやろ~!――



ガラガラと走る馬車。目的地に向かって進んだのです。
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