アメイジングな恋をあなたと

cyaru

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前門のクズ 後門のゲス

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この回はレオン殿下の回です(´▽`*)オウジサマ

★~★

「随分と賑やかじゃないか。最近はこんな趣向が流行っているのか?」

関係としては従兄弟となるレオン殿下とアルフォンソ様。ブラウリオ様も全くの無関係ではありませんが曾祖父母の代よりも前の代で臣籍降下ですのでほぼ他人の遠すぎる親戚と言ったところでしょうか。

生理的に合わない美丈夫と言ってもブラウリオ様も整ったかんばせですので、王家の血というのは美丈夫や美女を量産するのかも知れません。

――売り出せば注文殺到かも??――

と思いますが、水分の蒸発した美丈夫って見れたものじゃないと思いますし、私が欲しくないので売らない事にしましょう。

しかし王族の威厳というのは効果抜群です。
アルフォンソ様はプイっとレオン殿下から顔を背けてまるで駄々っ子ですけれど、ブラウリオ様は借りてきた犬のように先程までの勢いはどこへやら。俯いて黙ってしまったのです。

「ブラウリオ。今日は恋人は一緒ではないのか?」

<< えっ? >>

全員が驚きます。それはそうでしょう。結婚前なのか結婚後なのかは存じませんがレオン殿下がソフィーリア様の事をご存じなのですから。

「散々に場の空気を壊す達人だから余興に連れてくるかと思ったが、今日は頭のネジでも締めてまともになったから連れて来られなかったのか?」

グイグイと痛い中心部を容赦なく攻撃するレオン殿下。
にこにこ笑っているその目も笑っているので本当に楽しいのでしょう。


――あざといだけでなく、なんて性格の悪い王子様なのかしら――


「き、今日は妻に会いに来たんだ」
「妻っ?!さっき妻と言ったか?」
「はい…間違いなく私の妻ですので」
「これは驚いた。とうに白い結婚で離縁ありきの結婚は契約が破綻していたかと思ったが…ブラウリオ、お前は屋敷からではなく過去から来たのか?」

かぁっとブラウリオ様の顔が赤くなりますが、白い結婚なので赤くならなくて構いませんのに。

ハッ!もしかするとレオン殿下の池の鯉をご存じなのかしら。そうよね。そうよね。何故かソフィーリア様の事もご存じのレオン殿下ですもの。レオン殿下が出向いた先に2人がいたというよりも2人がレオン殿下を訪れたと見る方が有力ですわ。

でもそうだとしたら、ブラウリオ様ってどんな恥知らず…いえ心臓なのかしら。

心は何処にあるか?と問われた時に胸を押さえ心臓を指す方もいますが、思いなどの思考をするのは頭。どっちも狂ってるからこそ出来る大胆な行動ですわね。

「何処の世界に王族に愛人を紹介する奴がいるのだ」と問われた日は、「ここにいます」と教えて差し上げなくてはなりません。生涯に一度お目にかかれるかどうかの珍獣ですものね。観覧料でも取ればぼろ儲けですわ。


ですけれども、そっぽを向いたアルフォンソ様も、そして私も看過できない言葉をレオン殿下は調子こいて…いえ、口を滑らせてしまったのです。

「あと2年半。せいぜい大人しく猿同士で子供でも作って静かに暮らせ」
「殿下、それはあまりな言いよう――」
「お前には回りくどく優しい言い方をすると何も通じていないからな」

――よくお判りですわね。そうなんですよ!――

いけいけ!とレオン殿下を後押しするのはここまでで御座いました。

「晴れて離縁の際はアドリアナを私が側妃として召し上げる。絶対に手を出すな。その心臓が動きを止めたくなければ大人しくしておけ」

「レオンッ!」

アルフォンソ様が怒りを込めた声で殿下を呼ぶのと、レオン殿下に飛び掛かり胸元を掴みあげるのは一瞬の出来事で御座いました。

「冗談だよ。冗談」
「随分と質の悪い冗談だな。性悪なのは昔からだが…何時から人の人生も弄ぶクズになったんだ?」
「止めてくれ。これでももうじき立太子するんだ。顔に痣を作っては式典で見栄えが悪いだろう」


やれやれと手をあげて悪びれた風もないレオン殿下でしたが、その言葉を冗談と文面通りに捉えてもいいのだろうかと、ただでさえブラウリオ様の来訪で場の空気が悪くなったのにさらに悪くなってしまったのです。

そんな空気をすこし変えてくださったのはお父様でした。
但し、悪い方向に。


「殿下。悪い冗談はお止めくださいませ。ただでさえ娘は婚約破棄と離縁。2つの枷を背負ったのです。パルカス侯爵家との縁が切れれば私どもはもう―」

「カレドス伯。重く考えるな。2年半もあれば状況も変わる。私も玉座を手にしない限り側妃は持てぬ。だが…人生で1つくらいは欲しいものを手にしたい。それだけの事だ」


レオン殿下が父に向けた言葉は冗談ではなく本当に側妃として迎える準備をもう始めている事を示唆するもので御座いました。
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