33 / 41
前門のクズ 後門のゲス
しおりを挟む
この回はレオン殿下の回です(´▽`*)オウジサマ
★~★
「随分と賑やかじゃないか。最近はこんな趣向が流行っているのか?」
関係としては従兄弟となるレオン殿下とアルフォンソ様。ブラウリオ様も全くの無関係ではありませんが曾祖父母の代よりも前の代で臣籍降下ですのでほぼ他人の遠すぎる親戚と言ったところでしょうか。
生理的に合わない美丈夫と言ってもブラウリオ様も整ったかんばせですので、王家の血というのは美丈夫や美女を量産するのかも知れません。
――売り出せば注文殺到かも??――
と思いますが、水分の蒸発した美丈夫って見れたものじゃないと思いますし、私が欲しくないので売らない事にしましょう。
しかし王族の威厳というのは効果抜群です。
アルフォンソ様はプイっとレオン殿下から顔を背けてまるで駄々っ子ですけれど、ブラウリオ様は借りてきた犬のように先程までの勢いはどこへやら。俯いて黙ってしまったのです。
「ブラウリオ。今日は恋人は一緒ではないのか?」
<< えっ? >>
全員が驚きます。それはそうでしょう。結婚前なのか結婚後なのかは存じませんがレオン殿下がソフィーリア様の事をご存じなのですから。
「散々に場の空気を壊す達人だから余興に連れてくるかと思ったが、今日は頭のネジでも締めてまともになったから連れて来られなかったのか?」
グイグイと痛い中心部を容赦なく攻撃するレオン殿下。
にこにこ笑っているその目も笑っているので本当に楽しいのでしょう。
――あざといだけでなく、なんて性格の悪い王子様なのかしら――
「き、今日は妻に会いに来たんだ」
「妻っ?!さっき妻と言ったか?」
「はい…間違いなく私の妻ですので」
「これは驚いた。とうに白い結婚で離縁ありきの結婚は契約が破綻していたかと思ったが…ブラウリオ、お前は屋敷からではなく過去から来たのか?」
かぁっとブラウリオ様の顔が赤くなりますが、白い結婚なので赤くならなくて構いませんのに。
ハッ!もしかするとレオン殿下の池の鯉をご存じなのかしら。そうよね。そうよね。何故かソフィーリア様の事もご存じのレオン殿下ですもの。レオン殿下が出向いた先に2人がいたというよりも2人がレオン殿下を訪れたと見る方が有力ですわ。
でもそうだとしたら、ブラウリオ様ってどんな恥知らず…いえ狂心臓なのかしら。
心は何処にあるか?と問われた時に胸を押さえ心臓を指す方もいますが、思いなどの思考をするのは頭。どっちも狂ってるからこそ出来る大胆な行動ですわね。
「何処の世界に王族に愛人を紹介する奴がいるのだ」と問われた日は、「ここにいます」と教えて差し上げなくてはなりません。生涯に一度お目にかかれるかどうかの珍獣ですものね。観覧料でも取ればぼろ儲けですわ。
ですけれども、そっぽを向いたアルフォンソ様も、そして私も看過できない言葉をレオン殿下は調子こいて…いえ、口を滑らせてしまったのです。
「あと2年半。せいぜい大人しく猿同士で子供でも作って静かに暮らせ」
「殿下、それはあまりな言いよう――」
「お前には回りくどく優しい言い方をすると何も通じていないからな」
――よくお判りですわね。そうなんですよ!――
いけいけ!とレオン殿下を後押しするのはここまでで御座いました。
「晴れて離縁の際はアドリアナを私が側妃として召し上げる。絶対に手を出すな。その心臓が動きを止めたくなければ大人しくしておけ」
「レオンッ!」
アルフォンソ様が怒りを込めた声で殿下を呼ぶのと、レオン殿下に飛び掛かり胸元を掴みあげるのは一瞬の出来事で御座いました。
「冗談だよ。冗談」
「随分と質の悪い冗談だな。性悪なのは昔からだが…何時から人の人生も弄ぶクズになったんだ?」
「止めてくれ。これでももうじき立太子するんだ。顔に痣を作っては式典で見栄えが悪いだろう」
やれやれと手をあげて悪びれた風もないレオン殿下でしたが、その言葉を冗談と文面通りに捉えてもいいのだろうかと、ただでさえブラウリオ様の来訪で場の空気が悪くなったのにさらに悪くなってしまったのです。
そんな空気をすこし変えてくださったのはお父様でした。
但し、悪い方向に。
「殿下。悪い冗談はお止めくださいませ。ただでさえ娘は婚約破棄と離縁。2つの枷を背負ったのです。パルカス侯爵家との縁が切れれば私どもはもう―」
「カレドス伯。重く考えるな。2年半もあれば状況も変わる。私も玉座を手にしない限り側妃は持てぬ。だが…人生で1つくらいは欲しいものを手にしたい。それだけの事だ」
レオン殿下が父に向けた言葉は冗談ではなく本当に側妃として迎える準備をもう始めている事を示唆するもので御座いました。
★~★
「随分と賑やかじゃないか。最近はこんな趣向が流行っているのか?」
関係としては従兄弟となるレオン殿下とアルフォンソ様。ブラウリオ様も全くの無関係ではありませんが曾祖父母の代よりも前の代で臣籍降下ですのでほぼ他人の遠すぎる親戚と言ったところでしょうか。
生理的に合わない美丈夫と言ってもブラウリオ様も整ったかんばせですので、王家の血というのは美丈夫や美女を量産するのかも知れません。
――売り出せば注文殺到かも??――
と思いますが、水分の蒸発した美丈夫って見れたものじゃないと思いますし、私が欲しくないので売らない事にしましょう。
しかし王族の威厳というのは効果抜群です。
アルフォンソ様はプイっとレオン殿下から顔を背けてまるで駄々っ子ですけれど、ブラウリオ様は借りてきた犬のように先程までの勢いはどこへやら。俯いて黙ってしまったのです。
「ブラウリオ。今日は恋人は一緒ではないのか?」
<< えっ? >>
全員が驚きます。それはそうでしょう。結婚前なのか結婚後なのかは存じませんがレオン殿下がソフィーリア様の事をご存じなのですから。
「散々に場の空気を壊す達人だから余興に連れてくるかと思ったが、今日は頭のネジでも締めてまともになったから連れて来られなかったのか?」
グイグイと痛い中心部を容赦なく攻撃するレオン殿下。
にこにこ笑っているその目も笑っているので本当に楽しいのでしょう。
――あざといだけでなく、なんて性格の悪い王子様なのかしら――
「き、今日は妻に会いに来たんだ」
「妻っ?!さっき妻と言ったか?」
「はい…間違いなく私の妻ですので」
「これは驚いた。とうに白い結婚で離縁ありきの結婚は契約が破綻していたかと思ったが…ブラウリオ、お前は屋敷からではなく過去から来たのか?」
かぁっとブラウリオ様の顔が赤くなりますが、白い結婚なので赤くならなくて構いませんのに。
ハッ!もしかするとレオン殿下の池の鯉をご存じなのかしら。そうよね。そうよね。何故かソフィーリア様の事もご存じのレオン殿下ですもの。レオン殿下が出向いた先に2人がいたというよりも2人がレオン殿下を訪れたと見る方が有力ですわ。
でもそうだとしたら、ブラウリオ様ってどんな恥知らず…いえ狂心臓なのかしら。
心は何処にあるか?と問われた時に胸を押さえ心臓を指す方もいますが、思いなどの思考をするのは頭。どっちも狂ってるからこそ出来る大胆な行動ですわね。
「何処の世界に王族に愛人を紹介する奴がいるのだ」と問われた日は、「ここにいます」と教えて差し上げなくてはなりません。生涯に一度お目にかかれるかどうかの珍獣ですものね。観覧料でも取ればぼろ儲けですわ。
ですけれども、そっぽを向いたアルフォンソ様も、そして私も看過できない言葉をレオン殿下は調子こいて…いえ、口を滑らせてしまったのです。
「あと2年半。せいぜい大人しく猿同士で子供でも作って静かに暮らせ」
「殿下、それはあまりな言いよう――」
「お前には回りくどく優しい言い方をすると何も通じていないからな」
――よくお判りですわね。そうなんですよ!――
いけいけ!とレオン殿下を後押しするのはここまでで御座いました。
「晴れて離縁の際はアドリアナを私が側妃として召し上げる。絶対に手を出すな。その心臓が動きを止めたくなければ大人しくしておけ」
「レオンッ!」
アルフォンソ様が怒りを込めた声で殿下を呼ぶのと、レオン殿下に飛び掛かり胸元を掴みあげるのは一瞬の出来事で御座いました。
「冗談だよ。冗談」
「随分と質の悪い冗談だな。性悪なのは昔からだが…何時から人の人生も弄ぶクズになったんだ?」
「止めてくれ。これでももうじき立太子するんだ。顔に痣を作っては式典で見栄えが悪いだろう」
やれやれと手をあげて悪びれた風もないレオン殿下でしたが、その言葉を冗談と文面通りに捉えてもいいのだろうかと、ただでさえブラウリオ様の来訪で場の空気が悪くなったのにさらに悪くなってしまったのです。
そんな空気をすこし変えてくださったのはお父様でした。
但し、悪い方向に。
「殿下。悪い冗談はお止めくださいませ。ただでさえ娘は婚約破棄と離縁。2つの枷を背負ったのです。パルカス侯爵家との縁が切れれば私どもはもう―」
「カレドス伯。重く考えるな。2年半もあれば状況も変わる。私も玉座を手にしない限り側妃は持てぬ。だが…人生で1つくらいは欲しいものを手にしたい。それだけの事だ」
レオン殿下が父に向けた言葉は冗談ではなく本当に側妃として迎える準備をもう始めている事を示唆するもので御座いました。
930
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?
婚約破棄した令嬢の帰還を望む
基本二度寝
恋愛
王太子が発案したとされる事業は、始まる前から暗礁に乗り上げている。
実際の発案者は、王太子の元婚約者。
見た目の美しい令嬢と婚約したいがために、婚約を破棄したが、彼女がいなくなり有能と言われた王太子は、無能に転落した。
彼女のサポートなしではなにもできない男だった。
どうにか彼女を再び取り戻すため、王太子は妙案を思いつく。
第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい
麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。
しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。
しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。
第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。
その言葉はそのまま返されたもの
基本二度寝
恋愛
己の人生は既に決まっている。
親の望む令嬢を伴侶に迎え、子を成し、後継者を育てる。
ただそれだけのつまらぬ人生。
ならば、結婚までは好きに過ごしていいだろう?と、思った。
侯爵子息アリストには幼馴染がいる。
幼馴染が、出産に耐えられるほど身体が丈夫であったならアリストは彼女を伴侶にしたかった。
可愛らしく、淑やかな幼馴染が愛おしい。
それが叶うなら子がなくても、と思うのだが、父はそれを認めない。
父の選んだ伯爵令嬢が婚約者になった。
幼馴染のような愛らしさも、優しさもない。
平凡な容姿。口うるさい貴族令嬢。
うんざりだ。
幼馴染はずっと屋敷の中で育てられた為、外の事を知らない。
彼女のために、華やかな舞踏会を見せたかった。
比較的若い者があつまるような、気楽なものならば、多少の粗相も多目に見てもらえるだろう。
アリストは幼馴染のテイラーに己の色のドレスを贈り夜会に出席した。
まさか、自分のエスコートもなしにアリストの婚約者が参加しているとは露ほどにも思わず…。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
この祈りは朽ち果てて
豆狸
恋愛
「届かなかった祈りは朽ち果ててしまいました。私も悪かったのでしょう。だれかになにかを求めるばかりだったのですから。だから朽ち果てた祈りは捨てて、新しい人生を歩むことにしたのです」
「魅了されていた私を哀れに思ってはくれないのか?」
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる