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歪んだ王太子
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王太子セレスタンは歪んでいた。
自分の意思も関係なく初めての婚約者はバイエ侯爵家の令嬢アデライドが選出された。年齢の同じ2人は意図的に同じように育てられた。
バイエ侯爵は男児が続き、50歳を超えて第三夫人との間に生まれた初めての女児であるアデライドを殊の外可愛がっていて、何をしても許されると思っているのがアデライドだった。
セレスタンはよく言えば平和主義、悪く言えば我関せずな子供だった。第一王子だったセレスタンは2週間違いで生まれた側妃の子ディランと比べられても【自分は自分、彼は彼】と競争心も敵対心も見せなかった。
幼少の頃はそれが普通だと思っていたがある日何かがセレスタンの中で弾けた。
「こいつ、嫌い」
8歳になったある日。語学を学んでいた時だった。
アデライドは兎に角学ぶ事が好きではなかった。頭痛、腹痛、嘔吐、親類の見舞い。兎に角何か理由をつけて講義を休みたがっていた。実際週に4日、1日あたり3時間の講義でまともに受ける講義は1つもなかった。
当然2人の習熟度には差が出てくる。流石に母国語ですら少し言い回しが丁寧な言葉になれば何の事だか分からずに首を傾げるアデライドに合わせてしまえば講義が進まない。
「わかんないものは、わかんない!」
面倒な事には投げやりで不真面目なアデライドにセレスタンが初めて【嫌悪】を向けたのだ。言葉だけでなく8歳と言えば理性で行動はある程度抑制出来ても【衝動】は抑制できなかった。
隣に座ってはいるものの、教科書を広げようともせず買ってもらったばかりだという指輪を指に嵌めたり外したりを繰り返すアデライドから指輪を取り上げて放り投げ、突き飛ばしたのだ。
当然バイエ侯爵家からは抗議が王家に届いた。
もう一つ問題も噴きだした。
年齢的に8歳ともなれば、異性に対して女児のほうが先に関心を持ち始める。
庇護欲そそる見た目のアデライドは幼いながらも成長後を思わず想像させる少女だった。
対してセレスタンは残念な事に、世間で言う醜男だった。
子供は成長の過程で顔つきは変わっていくものだが、基本となる物は変わらない。
国王によく似た顔立ちはよく言えば屈強だが、単純に例えれば岩石。
誰もがはっきりとは言わないが、国王とて「王子」「王太子」「国王」という肩書が無く貴族でも次男以降、平民であれば結婚をしたいと【見た目】で選ぶ女性がいるかどうかのお世辞にも美丈夫とは言えない顔立ちだった。
王妃の他に5人いる側妃にも子がいる事から王子、王女は総勢8人となっているが、正妻とも言える王妃との子はセレスタンただ一人。そのセレスタンも成婚後4年目でやっと懐妊したくらいである。
3年経っても子宝に恵まれなかった国王は慣例に則り側妃を召し上げたのだ。
貴族の間では実しやかに側妃が王子でも産めば王妃は用なしとなるからあわてて子を作るために夜伽を共にしたと言われている。
そんな見た目のセレスタンにアデライドが拒否をし始めたのだ。
子供には大人の事情など知った事ではないし、見た目ではなく中身というのもさらに成長してからの話である。ややこしいのは大人事情と言っても【目の中に入れても痛くない】ほどバイエ侯爵は娘のアデライドを溺愛していた事である。
国王と王妃は必死でバイエ侯爵を説得した。
この際【王妃は飾りでもいい】とまで言い出したのだ。
これでアデライドは面倒な教育は一切せずに王妃として煌びやかな世界で生きていける。バイエ侯爵はほくそ笑んだ。国王から言質を取ったにも等しい。
国王と王妃の子だったセレスタンだったが後ろ盾がなかった。
王妃の実家は伯爵家と言えど鳴かず飛ばず。可もなく不可もない上に王妃として嫁いでも中立の立場を変えず、改革派でもなければ穏健派でもない。
王妃の子だと言っても王妃が嫁いだ事で王妃への支援金を捻出するだけで精一杯。
後ろ盾とは到底成り得なかった。
国王も側妃との間に他に子がいると言っても、正妃である王妃との間に出来た第一子でもあるセレスタンはバイエ侯爵のアデライド程でなくとも可愛い。
国内でも3本の指に入る資産を有し、国への貢献度を示す納税額は全体の1割を納めるバイエ侯爵家を切る事が出来なかったのだ。
「父上、母上。もっと勉強も剣術も施政への姿勢も頑張ります。だからアデライドとの婚約は解消してください」
国王と王妃はそれまで我儘1つ言わなかったセレスタンに言った。
「では剣術の大会で優勝すれば願いを叶えよう」
「本当ですね。頑張ります」
有言実行で翌年セレスタンは9歳で18歳までの貴族の子息だけでなく、平民で既に騎士団でも剣を振るっている者がいる中で優勝をした。しかし、約束が守られる事はなかった。
「婚約は解消してくれると言ったではありませんか!」
「セレスタン、剣が強いだけではダメなんだ。剣を振るう前の話し合いで隣国を論破するくらいの知識や力量を付けねば。戦になれば剣を振るうのはお前ではない。お前が剣を握る時は後がなくなった時なのだ。そうならないような施政をせねばならない」
「では…お爺様からの代での隣国との小競り合いが続く地域。見事納めたら婚約は解消くださいますか」
「先王からの‥‥あれを纏める事が出来たのなら当然だ。願いを叶えよう」
セレスタンは2年かかったが11歳の時に本当に隣国と長く続いた国境間の小競り合いを終わらせた。
隣国の王は若干11歳の第一王子が交渉の場に来た時は一笑に伏したが、「外に出て欲しい」と言われ会合の部屋から外に出た。
「我が国と貴国の間には国境線がありますよね」
「そうだな」
「でも地図上の国境線は実際には見えません。例えるなら胸と腹だと思うんです」
「胸と腹?どういう意味だ」
「例えば、臍。これは腹ですよね」
セレスタンは自身の手を臍に置く。そして今度は胸あたりを手で触る。
「ここは胸です」
「そうだな」
「では、その境界はどこですか」
隣国の王は自分の胸、臍に手を置き考え始めた。
明らかに双璧の先端の部分と臍であれば胸と腹と言いきれるが境界となれば…。
「医術の世界ではもしかすると明確な位置があるかも知れませんが、陛下も悩まれましたよね?私はそれが国境線だと思うんです。所有権の問題はあるかも知れませんが、地図上で引いた線にはどんなに細い線でも右側と左側があります。地面に引いたこの線、溝があるという事は掘れ込んでます。だから縁があるんです。縁からは明確にどちらの国と言えますがこの溝。これが今までの争いの原因だと思うんです」
地面に木の棒で1本の線を引いたセレスタンは溝のようになった部分が地図上の境界線だと言った。
話し合いの席で山の稜線から双方に10ケルト(1ケルト=1km)はどちらの国も不可侵かつ国土とする事で、お互いの国民がその場で自由交易をする事が出来るようになり経済活動が活発になった。
隣国の王はセレスタンを褒めたたえた。セレスタンは結果を出した。
しかし国王も王妃も婚約を解消してくれなかった。
「何故ですか!約束を守ってください!父上っ母上っ!」
どんなに結果を出しても懇願しても婚約は破棄されない。
その話になると「政務がある」と国王と王妃は逃げ出して話すら出来なくなった。
だが、12歳になったばかりの頃、あっさりと婚約が解消になった。
セレスタンは【婚約解消】の報には飛び上がらんばかりに喜んだ。両親が逃げていたのではなく水面下で話し合いをしてくれていたのだと思ったからだ。
しかし違っていた。
婚約解消の理由は簡単だった。
「私、ディラン殿下と結婚したい」
アデライドがバイエ侯爵に【お願い】をしたのだ。
茶会の帰り、偶然第二王子ディランを見かけたアデライドは恋に落ちた。
ディランにとっては願ったり叶ったりの話である。国内屈指の富豪であるバイエ侯爵家が後ろ盾になるのだ。側妃の母親の実家もバイエ侯爵家ほどではないが富豪である。
これで金銭的には強固な後ろ盾が出来た事になり、王太子への道が見えた。
国王と王妃も王家としては何の弊害もないと受け入れた。
セレスタンであろうがディランであろうがバイエ侯爵家は王家に着いたという事だからだ。
本当の理由を知ってセレスタンは歪んでしまった。
結局のところ、どんなに努力をしようと結果を残そうと意味がなかった。
金があれば何でも許されるのか。それで国を統べる事が出来るのか。
宮に引きこもったセレスタンは全ての肖像画を暖炉にくべてしまった。
燃え上がる肖像画。その炎はセレスタンの瞳にも揺らぎが映っていた。
自分の意思も関係なく初めての婚約者はバイエ侯爵家の令嬢アデライドが選出された。年齢の同じ2人は意図的に同じように育てられた。
バイエ侯爵は男児が続き、50歳を超えて第三夫人との間に生まれた初めての女児であるアデライドを殊の外可愛がっていて、何をしても許されると思っているのがアデライドだった。
セレスタンはよく言えば平和主義、悪く言えば我関せずな子供だった。第一王子だったセレスタンは2週間違いで生まれた側妃の子ディランと比べられても【自分は自分、彼は彼】と競争心も敵対心も見せなかった。
幼少の頃はそれが普通だと思っていたがある日何かがセレスタンの中で弾けた。
「こいつ、嫌い」
8歳になったある日。語学を学んでいた時だった。
アデライドは兎に角学ぶ事が好きではなかった。頭痛、腹痛、嘔吐、親類の見舞い。兎に角何か理由をつけて講義を休みたがっていた。実際週に4日、1日あたり3時間の講義でまともに受ける講義は1つもなかった。
当然2人の習熟度には差が出てくる。流石に母国語ですら少し言い回しが丁寧な言葉になれば何の事だか分からずに首を傾げるアデライドに合わせてしまえば講義が進まない。
「わかんないものは、わかんない!」
面倒な事には投げやりで不真面目なアデライドにセレスタンが初めて【嫌悪】を向けたのだ。言葉だけでなく8歳と言えば理性で行動はある程度抑制出来ても【衝動】は抑制できなかった。
隣に座ってはいるものの、教科書を広げようともせず買ってもらったばかりだという指輪を指に嵌めたり外したりを繰り返すアデライドから指輪を取り上げて放り投げ、突き飛ばしたのだ。
当然バイエ侯爵家からは抗議が王家に届いた。
もう一つ問題も噴きだした。
年齢的に8歳ともなれば、異性に対して女児のほうが先に関心を持ち始める。
庇護欲そそる見た目のアデライドは幼いながらも成長後を思わず想像させる少女だった。
対してセレスタンは残念な事に、世間で言う醜男だった。
子供は成長の過程で顔つきは変わっていくものだが、基本となる物は変わらない。
国王によく似た顔立ちはよく言えば屈強だが、単純に例えれば岩石。
誰もがはっきりとは言わないが、国王とて「王子」「王太子」「国王」という肩書が無く貴族でも次男以降、平民であれば結婚をしたいと【見た目】で選ぶ女性がいるかどうかのお世辞にも美丈夫とは言えない顔立ちだった。
王妃の他に5人いる側妃にも子がいる事から王子、王女は総勢8人となっているが、正妻とも言える王妃との子はセレスタンただ一人。そのセレスタンも成婚後4年目でやっと懐妊したくらいである。
3年経っても子宝に恵まれなかった国王は慣例に則り側妃を召し上げたのだ。
貴族の間では実しやかに側妃が王子でも産めば王妃は用なしとなるからあわてて子を作るために夜伽を共にしたと言われている。
そんな見た目のセレスタンにアデライドが拒否をし始めたのだ。
子供には大人の事情など知った事ではないし、見た目ではなく中身というのもさらに成長してからの話である。ややこしいのは大人事情と言っても【目の中に入れても痛くない】ほどバイエ侯爵は娘のアデライドを溺愛していた事である。
国王と王妃は必死でバイエ侯爵を説得した。
この際【王妃は飾りでもいい】とまで言い出したのだ。
これでアデライドは面倒な教育は一切せずに王妃として煌びやかな世界で生きていける。バイエ侯爵はほくそ笑んだ。国王から言質を取ったにも等しい。
国王と王妃の子だったセレスタンだったが後ろ盾がなかった。
王妃の実家は伯爵家と言えど鳴かず飛ばず。可もなく不可もない上に王妃として嫁いでも中立の立場を変えず、改革派でもなければ穏健派でもない。
王妃の子だと言っても王妃が嫁いだ事で王妃への支援金を捻出するだけで精一杯。
後ろ盾とは到底成り得なかった。
国王も側妃との間に他に子がいると言っても、正妃である王妃との間に出来た第一子でもあるセレスタンはバイエ侯爵のアデライド程でなくとも可愛い。
国内でも3本の指に入る資産を有し、国への貢献度を示す納税額は全体の1割を納めるバイエ侯爵家を切る事が出来なかったのだ。
「父上、母上。もっと勉強も剣術も施政への姿勢も頑張ります。だからアデライドとの婚約は解消してください」
国王と王妃はそれまで我儘1つ言わなかったセレスタンに言った。
「では剣術の大会で優勝すれば願いを叶えよう」
「本当ですね。頑張ります」
有言実行で翌年セレスタンは9歳で18歳までの貴族の子息だけでなく、平民で既に騎士団でも剣を振るっている者がいる中で優勝をした。しかし、約束が守られる事はなかった。
「婚約は解消してくれると言ったではありませんか!」
「セレスタン、剣が強いだけではダメなんだ。剣を振るう前の話し合いで隣国を論破するくらいの知識や力量を付けねば。戦になれば剣を振るうのはお前ではない。お前が剣を握る時は後がなくなった時なのだ。そうならないような施政をせねばならない」
「では…お爺様からの代での隣国との小競り合いが続く地域。見事納めたら婚約は解消くださいますか」
「先王からの‥‥あれを纏める事が出来たのなら当然だ。願いを叶えよう」
セレスタンは2年かかったが11歳の時に本当に隣国と長く続いた国境間の小競り合いを終わらせた。
隣国の王は若干11歳の第一王子が交渉の場に来た時は一笑に伏したが、「外に出て欲しい」と言われ会合の部屋から外に出た。
「我が国と貴国の間には国境線がありますよね」
「そうだな」
「でも地図上の国境線は実際には見えません。例えるなら胸と腹だと思うんです」
「胸と腹?どういう意味だ」
「例えば、臍。これは腹ですよね」
セレスタンは自身の手を臍に置く。そして今度は胸あたりを手で触る。
「ここは胸です」
「そうだな」
「では、その境界はどこですか」
隣国の王は自分の胸、臍に手を置き考え始めた。
明らかに双璧の先端の部分と臍であれば胸と腹と言いきれるが境界となれば…。
「医術の世界ではもしかすると明確な位置があるかも知れませんが、陛下も悩まれましたよね?私はそれが国境線だと思うんです。所有権の問題はあるかも知れませんが、地図上で引いた線にはどんなに細い線でも右側と左側があります。地面に引いたこの線、溝があるという事は掘れ込んでます。だから縁があるんです。縁からは明確にどちらの国と言えますがこの溝。これが今までの争いの原因だと思うんです」
地面に木の棒で1本の線を引いたセレスタンは溝のようになった部分が地図上の境界線だと言った。
話し合いの席で山の稜線から双方に10ケルト(1ケルト=1km)はどちらの国も不可侵かつ国土とする事で、お互いの国民がその場で自由交易をする事が出来るようになり経済活動が活発になった。
隣国の王はセレスタンを褒めたたえた。セレスタンは結果を出した。
しかし国王も王妃も婚約を解消してくれなかった。
「何故ですか!約束を守ってください!父上っ母上っ!」
どんなに結果を出しても懇願しても婚約は破棄されない。
その話になると「政務がある」と国王と王妃は逃げ出して話すら出来なくなった。
だが、12歳になったばかりの頃、あっさりと婚約が解消になった。
セレスタンは【婚約解消】の報には飛び上がらんばかりに喜んだ。両親が逃げていたのではなく水面下で話し合いをしてくれていたのだと思ったからだ。
しかし違っていた。
婚約解消の理由は簡単だった。
「私、ディラン殿下と結婚したい」
アデライドがバイエ侯爵に【お願い】をしたのだ。
茶会の帰り、偶然第二王子ディランを見かけたアデライドは恋に落ちた。
ディランにとっては願ったり叶ったりの話である。国内屈指の富豪であるバイエ侯爵家が後ろ盾になるのだ。側妃の母親の実家もバイエ侯爵家ほどではないが富豪である。
これで金銭的には強固な後ろ盾が出来た事になり、王太子への道が見えた。
国王と王妃も王家としては何の弊害もないと受け入れた。
セレスタンであろうがディランであろうがバイエ侯爵家は王家に着いたという事だからだ。
本当の理由を知ってセレスタンは歪んでしまった。
結局のところ、どんなに努力をしようと結果を残そうと意味がなかった。
金があれば何でも許されるのか。それで国を統べる事が出来るのか。
宮に引きこもったセレスタンは全ての肖像画を暖炉にくべてしまった。
燃え上がる肖像画。その炎はセレスタンの瞳にも揺らぎが映っていた。
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