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婚約解消③ー⓪
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「なかなかいいんじゃないか?これなら医療学院も検討しようじゃないか」
セレスタンが半年の成果を認めた。
炊き出しだけでは何の解決にもならないと、王妃の力添えもあり立ち上げた雇用側と労働者側のニーズに応えた求人制度は反響を呼んだ。
半年ではまだ結果と言うほどの物ではないけれど、短時間でも雇ってもらえたり、労働をする前から賃金が明確になっているのも良い方向に転がった。不当に安い賃金で人を雇っていた所は退職希望者が出て、引き留めをするため賃金の他に待遇改善も始まったのだ。
そのうち雇用側は他よりも目立つ位置に求人を貼り出して欲しいと料金を支払うようになった。有料で掲載する場合は目立つ位置になり、音読してくれる者がサービスでつくが、無料の場合は束になった物から探さねばならない。
文字が読めない労働者も多く、束になった無料掲載を手に取る者は少ない。
呼んでもらうのに料金を支払わねばならないからだ。
そうなれば医療学院を新設するのに合わせて識字率を向上させるために、セレスタンとシルヴェーヌは空き家や人の集まる教会などに講師を送り平民に文字を教えた。
文字に対する貪欲さは老若男女問わず。読み書きが出来るとなれば給料の良いところに就業できるとあって教室を開けば満員御礼。中に入れないものは窓の外から受講するに至った。
「なるほどね。良い連鎖を生んでいると言えるよ」
セレスタンとシルヴェーヌの仲にも進展があったように見えた。
以前よりもセレスタンがシルヴェーヌに問い掛ける事が増えたのだ。
「クロヴィス様、お願いしますわ」
「承知致しました」
クロヴィスを含めた騎士たちの周りに人が集まり、剣の持ち方や振り方を学んでいく。
剣を持つにはいきなりは持たせてもらえず、体力つくりから始まるのだが生活に直結するものは真剣そのものだった。
半年間でクロヴィスの声掛けもあり、防犯も含めた講習会も開催し同時に子供たちに剣術を教える騎士も増えた。近衛隊、第一、第二騎士団は花形でなりても多かったが、市井や王都周辺、郊外地域を警護する第四、第五騎士団、警備隊は募集しても人が集まらなかった。
興味はあっても拳で戦うか、木切れを振り回すしか手段がなかったのだ。
戦うだけでなく、受け身で流すという体術を教える講座も大盛況で、初級をマスターすれば見習いで警備隊に入隊出来るのも成果を見せた。
一期生は全員が貴族の子女。学園には授業料が払えない事から通えなかった次男以降の子息や低位貴族の令嬢だった。二期生になると1年の間に平民で文字が読めなかったけれど教会で講義を聞いて文字を覚え、特待生で入学した者もいた。三期生の募集はもう定員に達していて増員を求める声もあがった。
炊き出しは週に1回が2週間に1回、月に1、2回となり、2年経てば何かの催しの時に行われるだけとなったが、それまで炊き出しに組んでいた予算は本当に貧しい者に支給されるチケットに代わった。
チケットは申請に応じて王宮の役人が実際に家を見て、生活困窮者にのみ与えられた。
利用店舗も限定し、チケットを発給してもらった者と使用した者が同一でなければ次回からの発給がないとあって不正も激減した。一番の効果はそれまで賭博や飲酒で怠けたいだけというものに対しての目が厳しくなり自制するようにもなった事かも知れない。
セレスタンとシルヴェーヌの賛辞は民衆の中でも高まっていく。
「あ、殿下だぁ!」「殿下ぁ!」
教会に行けば子供たちがセレスタンに集まって来る。
「僕ね、名前が書けるようになったんだよ」
「それ、わたしが先!わたしが先に書けるようになったの!」
「良かったじゃないか。じゃぁそろそろ本でもこの戸棚一杯に贈る事にしよう」
微笑んで子供たちに笑いかけるセレスタンを見てシルヴェーヌも微笑んだ。
数日後、王宮の書庫で廃棄処分を待つだけだった大量の蔵書が教会の棚に並んだ。
司書たちが捨てるには惜しいと補修をした本を人々は列を成して借りていった。
セレスタンはその様子を見て、小さく笑った。
☆彡☆彡
9:10 婚約解消③ー①
10:10 婚約解消③ー②
11:10 婚約解消③ー③
予約投稿済みです。クールダウン宜しくお願いします<(_ _)>
セレスタンが半年の成果を認めた。
炊き出しだけでは何の解決にもならないと、王妃の力添えもあり立ち上げた雇用側と労働者側のニーズに応えた求人制度は反響を呼んだ。
半年ではまだ結果と言うほどの物ではないけれど、短時間でも雇ってもらえたり、労働をする前から賃金が明確になっているのも良い方向に転がった。不当に安い賃金で人を雇っていた所は退職希望者が出て、引き留めをするため賃金の他に待遇改善も始まったのだ。
そのうち雇用側は他よりも目立つ位置に求人を貼り出して欲しいと料金を支払うようになった。有料で掲載する場合は目立つ位置になり、音読してくれる者がサービスでつくが、無料の場合は束になった物から探さねばならない。
文字が読めない労働者も多く、束になった無料掲載を手に取る者は少ない。
呼んでもらうのに料金を支払わねばならないからだ。
そうなれば医療学院を新設するのに合わせて識字率を向上させるために、セレスタンとシルヴェーヌは空き家や人の集まる教会などに講師を送り平民に文字を教えた。
文字に対する貪欲さは老若男女問わず。読み書きが出来るとなれば給料の良いところに就業できるとあって教室を開けば満員御礼。中に入れないものは窓の外から受講するに至った。
「なるほどね。良い連鎖を生んでいると言えるよ」
セレスタンとシルヴェーヌの仲にも進展があったように見えた。
以前よりもセレスタンがシルヴェーヌに問い掛ける事が増えたのだ。
「クロヴィス様、お願いしますわ」
「承知致しました」
クロヴィスを含めた騎士たちの周りに人が集まり、剣の持ち方や振り方を学んでいく。
剣を持つにはいきなりは持たせてもらえず、体力つくりから始まるのだが生活に直結するものは真剣そのものだった。
半年間でクロヴィスの声掛けもあり、防犯も含めた講習会も開催し同時に子供たちに剣術を教える騎士も増えた。近衛隊、第一、第二騎士団は花形でなりても多かったが、市井や王都周辺、郊外地域を警護する第四、第五騎士団、警備隊は募集しても人が集まらなかった。
興味はあっても拳で戦うか、木切れを振り回すしか手段がなかったのだ。
戦うだけでなく、受け身で流すという体術を教える講座も大盛況で、初級をマスターすれば見習いで警備隊に入隊出来るのも成果を見せた。
一期生は全員が貴族の子女。学園には授業料が払えない事から通えなかった次男以降の子息や低位貴族の令嬢だった。二期生になると1年の間に平民で文字が読めなかったけれど教会で講義を聞いて文字を覚え、特待生で入学した者もいた。三期生の募集はもう定員に達していて増員を求める声もあがった。
炊き出しは週に1回が2週間に1回、月に1、2回となり、2年経てば何かの催しの時に行われるだけとなったが、それまで炊き出しに組んでいた予算は本当に貧しい者に支給されるチケットに代わった。
チケットは申請に応じて王宮の役人が実際に家を見て、生活困窮者にのみ与えられた。
利用店舗も限定し、チケットを発給してもらった者と使用した者が同一でなければ次回からの発給がないとあって不正も激減した。一番の効果はそれまで賭博や飲酒で怠けたいだけというものに対しての目が厳しくなり自制するようにもなった事かも知れない。
セレスタンとシルヴェーヌの賛辞は民衆の中でも高まっていく。
「あ、殿下だぁ!」「殿下ぁ!」
教会に行けば子供たちがセレスタンに集まって来る。
「僕ね、名前が書けるようになったんだよ」
「それ、わたしが先!わたしが先に書けるようになったの!」
「良かったじゃないか。じゃぁそろそろ本でもこの戸棚一杯に贈る事にしよう」
微笑んで子供たちに笑いかけるセレスタンを見てシルヴェーヌも微笑んだ。
数日後、王宮の書庫で廃棄処分を待つだけだった大量の蔵書が教会の棚に並んだ。
司書たちが捨てるには惜しいと補修をした本を人々は列を成して借りていった。
セレスタンはその様子を見て、小さく笑った。
☆彡☆彡
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11:10 婚約解消③ー③
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