旦那様の純愛。全力で応援致します

cyaru

文字の大きさ
25 / 37

第24話  領地からの荷物

しおりを挟む
鉱山のある領地への視察を終え、2カ月目。
アイリーンの元に、坑夫の案内人が「直ぐに用意できる」と言った「クズ石」が1から6、AからJと書かれた16袋に分けられてラビットハウスに届いた。
同時に20人ほどの領民に描かせたデザイン画も届いた。

紙はとても高価で貴重。しかしアイリーンはオルコット侯爵の言葉通り「辞めたら失敗」だと紙を買って渡した。彼らも紙がどれほどに高級品かを知っている。最初から紙にいきなり書くことはせず、地面や木の皮を鞣したものに描いて考えが纏まれば紙に描く。

アイリーンはその中の1枚に目を奪われた。
15歳の姉、12歳の妹、そして姉の友人の15歳、3人の少女が連名で描いたデザイン。
アイリーンは「うん」と頷いてそのデザインを束になった真ん中より少し上に差し込んだ。

最初から目を引くようなものを見てしまうと4、5枚目のデザイン画まで見てあとは見るのを止めてしまう。かと言って最後のお楽しみになれば半分ほどまで見て残りも同じだろうと見るのを止めてしまう。

だから、真ん中より少し上に挟む。
そうすれば、似たようなデザイン画が続いて見るのを止めようとした時に、少女たちのデザイン画が出て来る。すると、その後にも「お宝」があるのでは?と最後まで見てくれる。

一通り目を通して貰えれば、運が良ければもう2、3枚。補欠として検討してくれる可能性がある。

デザイン画の裏に記載された名前の筆跡は同じ。領地も識字率が低く自分の名前すら書けない者が多い事を示唆している。

――本当にやる事がいっぱいだわ――


次にアイリーンは「クズ石」と呼ばれた石たちが入った袋を開けた。
荷を運ぶだけなら10日も掛からない日程だが、日数を要した理由は袋を開けてみると「かなり急いだ」と直ぐに判った。

ただ、荷物を送ったのではなく、元々袋にはごちゃ混ぜにしていたのだろう。

一度全てを袋から出し、1から6と書かれた袋はサファイアが入っており、1が透明度も高く傷も僅か。番号が大きくなるにしたがってランクが下がっていく分け方をされていた。

1袋の中にも、今度は色味の強さごとに包まれている。

アルファベットの袋はルビー。考え方は同じでAは現状の中で一番程度がよく、次になる従ってランクが落ちていく。

「たったあれだけの説明で理解してくれたのね」
「そんなに簡単な説明だったんですか?」

ジェシーは大きく分けた袋の中に細かく分けた小袋を1つ手に取って中の宝石を透かせる。

「えぇ。選別は慣れているだろうしクドクド説明をしなくてもいいだろうと。判ってるよ!って事を説明されることほど失礼で無駄だと感じる時間はないもの。それでもモノが小さいからかなり手間取るだろうとは思ったんだけど…これだけの量を1カ月半ほどで仕分けてくれたなんて。有難いわ」

それぞれの袋から小分けされた袋を取り出し、アイリーンはサンプルとして商会には領地に向かう前に話はしており、話は大筋で纏まっていて、見切り発車で注文も実際に受けている。

ただ、アイリーンは宝飾品に関しては素人。「細かく分けてくれているなぁ」と思っても今は手探り状況なので、領地の方でも「やっつけ仕事」には違いない。急がせてしまえばそれだけ仕事が雑になる。

これから見てもらう商会は「人々に売るプロ」であり領地にいるのは「採掘するプロ」でその価値観は似て非なるもの。間違いなく「ダメだし」は食らってしまうだろう。



話を詰めた時はサンプル数が少なく、受けた注文も「今回限りとなるかも知れない」とは言われていたが、アイリーンは「絶対に流行る」という根拠のない自信があった。

ただ、少ないサンプルを見てもらった時に、少ない中でも「色目が違う」と指摘を受けた。「赤」「青」という系統では同じ括りでも、空の青と海の青は違うし、季節によって濃紺から水色までかなりの段階で濃淡がつく。

サンプルの石も同じで1から10段階とすれば、並べてみると 1、3、4、7、9、10と言った感じ。隣り合う数字の色はかなり似ているが、3段階目と9段階目では「違う」とハッキリ判る。

クズ石なんだから。安かろう悪かろう。
それでは継続した事業は展開できない。

供給を上回る受注を受け「待たせるプレミア」を持たせてこそ商売。その為には些細な事でも気を抜く事は出来なかった。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します

冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」 結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。 私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。 そうして毎回同じように言われてきた。 逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。 だから今回は。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

覚悟はありますか?

翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。 「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」 ご都合主義な創作作品です。 異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。 恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...