この結婚、満足すればゴールインです。

cyaru

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第17話  用を済ませて帰宅してみれば

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教会に出向くと懐かしい顔があった。

「シルフィさん!シルフィさんじゃないですか」

「バナードさん!お元気そうでよかったわ。コーリさんも元気?」

「元気、元気。今は礼拝堂の掃除をしてるはずだよ。今日はどうしたんだい?礼拝の日?」

「ううん。皆をスカウトしに来たの。衣食住付きで月額15万が今は限界なんだけど来てくれるかしら」

「上等だよ。行く。行く。何すればいいんだ?」

「ちゃんと皆に聞かないと!勝手に決めちゃだめでしょう」

「行くって言うと思うよ。神父様にもそろそろここを出てくれって言われてるんだけど皆、仕事がなくてさ。日雇いの仕事も早い者勝ちだからさっぱりだよ。ここに世話になって半年だが一番稼いだブドルックで5万だよ。半年で5万。うっかり病気にもなれねぇよ」


一旦職を失ってしまうと紹介状があっても職人となるとなかなか雇っては貰えない。
同業者の工房になるので、本当に前の工房をやめたのかなど警戒をされてしまうのだ。

その上、新しい工房のやり方について行けず、熟練であればあるほどプライドをへし折られる事もある。

シルフィが来ていると誰かが触れ回ったのかあっという間にシルフィの回りに工房を辞めて行った者たちとその家族が集まってきた。

彼らはシルフィの母が亡くなった後、アシェル男爵のやり方に反発をして辞めた者たち。
アッタケーナは冬場には携帯も出来るし重宝されるのだが、低温火傷の危険もあるし発火する魔石をきちんと配合しなければ熱湯並みの熱さになる。

布で包んではいるけれどしっかりと縫製しなければ過熱状態の魔石が零れて大やけどをするのにアシェル男爵は利益重視でそれまで3重に縫製していたのを1度にし、布も安くて薄い布に買えた。

魔石もきちんと選別されたものではなく、安価な混合品にしたので彼らは怒ったのだ。

シルフィは彼らにラーリ伯爵家の場所を教え、その足で買い取り店に向かった。
残っている家具などはあまり価値がないモノなのか、それとも壁いっぱいの大きな絵画などなので持って行くのに輸送費がかかるから先代が置いて行ったのか。

鑑定もしてもらう必要があったのである。
勿論、全てを売るつもりで買い取り店に行くとシルフィがロイスと結婚したことを知っている店主もいて「結婚祝い価格にしてあげるよ」と言ってくれた。

「壁紙も売りたいんだけど、タバコのヤニが凄いの」

「へぇ。タバコの‥ん?ちょっと待ちなよ?それはどのくらい汚れてるんだい?」

「もうベットベト。ヌルってするのよ」

「それ、もしかすると金になるかもよ?」

「まっさかぁ。あんなのが売れるだなんて世も末よ」

「それが欲しいって商会があるんだよ」

そんなものを?驚いたが欲しがっているのは商会。アシェル男爵家のように錬金術を使った製品を扱っている商会だが、掃除や食器洗いなどの洗剤を扱っているのだと言う。

「タバコのヤニがすっきりと落ちる洗剤を作っているそうなんだが、ヤニが酷ければ酷いほど欲しいって言っててさ。連絡してみるから、そうだな。明後日あたりにまた来られるかい?」

「来るわ!結構広いんだけど家具を置いてた部分は壁紙も白いから…そうね。直接屋敷に見に来てもらった方がいいかも。そのまま持って帰ってくれるならべりべり壁紙を剝がしちゃっても構わないわ」

「それは相手も助かるな。二度手間にならなくて済む。じゃぁ直接屋敷に行くように伝えておくよ。うちも今は荷馬車の予定が詰まってるから…明後日になるけど買い取りに行くよ」

「ありがとう。助かるわ。良い値で買い取ってくれるのを期待してるわ」


やはり朝から笑顔でスタートをすると良い事が続くなぁ。
シルフィは軽い足取りでラーリ伯爵家に戻ってきたのだが玄関を入っても使用人がいる訳でもない。屋敷にはロイスだけかと思っていたのだが…。

サロンからは聞き覚えのある声がシルフィの耳に聞こえて来た。

「また来てるの?まぁ‥好きにすればいいけど。シフト表さえ作ってくれていれば問題ないわ」

そう思いながらラーリ伯爵家の間取りを思い浮かべた。

「玄関挟んで東側に移って貰おうかな」

ロイスの部屋を移って貰い、西側は工房にするのならグレイスが来ていても気にならないし、なんならどこかに外食に行ってもらえれば食事も1人分少なくて済むのでは?と考えた。
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