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第25話 ちょっと待った!プレイバック
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同時期、帝国では1人の王女が予定していた成婚式を目前にして帰国する運びになった。
「シシリー王女。残念でならないよ」
「そんな心にもない送辞は不要ですわ。わざわざ出向いてきたと言うに1国の王女に帰れとはなんと無体な。帝国と言えどそれなりの誠意は見せて頂かないと」
「お互い様だ。それを言うのならこちらは先払いをしたに等しいのだから誠意と言うのなら、それらを持ち帰ることは当然ないと受け取るが?」
「女にくれてやった品を戻せ?帝国の男は矜持と言うものがないのかしら」
「何とでも言え。帝国の支配下を抜けるまではその減らず口も叩けるだろうが国境線を超えた後は与り知らぬ。せいぜい短い余生を謳歌するが良い」
「あら?怖い。帝国はたかが女1人に間者を向けると?後世まで語り継がれる武勇伝になりましょう。ふははっふふふっ」
帝国の皇子は確かにシシリー王女を見初めたのだが、帝国に到着早々から自分の見た目に絶対の自信を持っているシシリー王女は鼻の下を伸ばした皇子の名を借りやりたい放題。
皇子の妃となるのを良い事に皇子に断りもなく他国の商人を宮に呼んで買い物三昧を繰り返した。
それだけならまだ良かったのだが、自分の周りに仕える者にも見目麗しい者を望み、素行や頭の出来を無視して見た目重視の選定をした事で宮の秩序は崩壊してしまった。
流石に皇子も愛想を尽かし、成婚前で良かったと帝国議会も満場一致で破談とする事を可決した。
シシリーが散財した金額が慰謝料となってシシリーは追い返される事になったのだが、帝国側だけが責を被る筈がない。
帝国はこの破談で国防上の安全条約を破棄、関税についても優遇措置を撤廃すると通告をして来た。
シシリー王女が戻って来る。その話は国王の元には一番に知らされたのだが正直言って戻って来るとは思わず国王たちは頭を抱えた。
血を分けた娘とは言え、度を超えたルッキズムに誰も良い感情を抱かない。
不和の原因ともなるシシリーを皇子が見初めてくれて万々歳だったのだ。
「どうされるのです?陛下」
「何らかの罰を王女に与えるとしなければ交易が止まってしまいます。優遇措置があったから関税は14%だったんですよ?安全保障も無くなれば敵国扱いです。関税が170%を一気に超えて来るんです!」
「解っている。だが、罰と言ってもなぁ」
いい加減失業率も高くて、民衆が不満を抱えている時期に関税が跳ね上がれば物価の上昇を抑える事はほぼ不可能となる。毒杯となっても幽閉となっても王家の失態を問う責任は追及されてしまう。
国王は王家の求心力や信頼をこれ以上失う事はしたくなかった。
「陛下、御身が大事。それは解りますがここは‥‥王太子殿下に譲位も一考なされては如何でしょう」
「なんと?私に退位しろというのか!」
「ですが、帝国から王女が破談となって戻り、物価が上昇。帝国の報復を民衆をどう誤魔化すと言うのです?」
突き上げられた国王は「そうだ!」ポンと手を叩いた。
「カモクとの婚約を復活させよう。あの男ならシシリーも大人しくしているだろう」
「カモク家ですか…。お止めになった方が宜しいかと」
「何故だ?」
「暫くふさぎ込んでいたと聞きますが、最近先代が縁を取り持ち結婚しております」
「そんなもの。離縁させればよいだろう。シシリーを大人しくさせておくにはあの男しかおらんではないか」
――それじゃ何の罰にもならないじゃないか――
国王に詰め寄った貴族たちは呆れてしまった。
一番効果的なのはシシリー王女を民衆にも解る形で投獄し、国王が退位すること。
帝国も1国の国王が退位までするのだし、見える形で王女の立場にある人間が罰を受けるのだから、それで関税は即時撤廃ではなく交渉の猶予を与えてくれる可能性もあるのに、先ずは、と保身に走る国王を見て貴族たちは王政廃止も止む無しと水面下で動き始めたのだった。
「シシリー王女。残念でならないよ」
「そんな心にもない送辞は不要ですわ。わざわざ出向いてきたと言うに1国の王女に帰れとはなんと無体な。帝国と言えどそれなりの誠意は見せて頂かないと」
「お互い様だ。それを言うのならこちらは先払いをしたに等しいのだから誠意と言うのなら、それらを持ち帰ることは当然ないと受け取るが?」
「女にくれてやった品を戻せ?帝国の男は矜持と言うものがないのかしら」
「何とでも言え。帝国の支配下を抜けるまではその減らず口も叩けるだろうが国境線を超えた後は与り知らぬ。せいぜい短い余生を謳歌するが良い」
「あら?怖い。帝国はたかが女1人に間者を向けると?後世まで語り継がれる武勇伝になりましょう。ふははっふふふっ」
帝国の皇子は確かにシシリー王女を見初めたのだが、帝国に到着早々から自分の見た目に絶対の自信を持っているシシリー王女は鼻の下を伸ばした皇子の名を借りやりたい放題。
皇子の妃となるのを良い事に皇子に断りもなく他国の商人を宮に呼んで買い物三昧を繰り返した。
それだけならまだ良かったのだが、自分の周りに仕える者にも見目麗しい者を望み、素行や頭の出来を無視して見た目重視の選定をした事で宮の秩序は崩壊してしまった。
流石に皇子も愛想を尽かし、成婚前で良かったと帝国議会も満場一致で破談とする事を可決した。
シシリーが散財した金額が慰謝料となってシシリーは追い返される事になったのだが、帝国側だけが責を被る筈がない。
帝国はこの破談で国防上の安全条約を破棄、関税についても優遇措置を撤廃すると通告をして来た。
シシリー王女が戻って来る。その話は国王の元には一番に知らされたのだが正直言って戻って来るとは思わず国王たちは頭を抱えた。
血を分けた娘とは言え、度を超えたルッキズムに誰も良い感情を抱かない。
不和の原因ともなるシシリーを皇子が見初めてくれて万々歳だったのだ。
「どうされるのです?陛下」
「何らかの罰を王女に与えるとしなければ交易が止まってしまいます。優遇措置があったから関税は14%だったんですよ?安全保障も無くなれば敵国扱いです。関税が170%を一気に超えて来るんです!」
「解っている。だが、罰と言ってもなぁ」
いい加減失業率も高くて、民衆が不満を抱えている時期に関税が跳ね上がれば物価の上昇を抑える事はほぼ不可能となる。毒杯となっても幽閉となっても王家の失態を問う責任は追及されてしまう。
国王は王家の求心力や信頼をこれ以上失う事はしたくなかった。
「陛下、御身が大事。それは解りますがここは‥‥王太子殿下に譲位も一考なされては如何でしょう」
「なんと?私に退位しろというのか!」
「ですが、帝国から王女が破談となって戻り、物価が上昇。帝国の報復を民衆をどう誤魔化すと言うのです?」
突き上げられた国王は「そうだ!」ポンと手を叩いた。
「カモクとの婚約を復活させよう。あの男ならシシリーも大人しくしているだろう」
「カモク家ですか…。お止めになった方が宜しいかと」
「何故だ?」
「暫くふさぎ込んでいたと聞きますが、最近先代が縁を取り持ち結婚しております」
「そんなもの。離縁させればよいだろう。シシリーを大人しくさせておくにはあの男しかおらんではないか」
――それじゃ何の罰にもならないじゃないか――
国王に詰め寄った貴族たちは呆れてしまった。
一番効果的なのはシシリー王女を民衆にも解る形で投獄し、国王が退位すること。
帝国も1国の国王が退位までするのだし、見える形で王女の立場にある人間が罰を受けるのだから、それで関税は即時撤廃ではなく交渉の猶予を与えてくれる可能性もあるのに、先ずは、と保身に走る国王を見て貴族たちは王政廃止も止む無しと水面下で動き始めたのだった。
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