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第23話 親にも殴られた事はないのに!?
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「おい、イリーナ。行くぞ」
「嫌よ。アタシ、行かない。1人で行けば?」
「冗談止めろって。洒落になんねぇからさ」
ショーにとってもここでこれ以上揉め事を起こすのは得策でないのは考えずとも解る事だった。
侯爵家と伯爵家は爵位としては1つしか違わなくてもその差は大きい。
伯爵家までは爵位を金で買おうと思えば買えない事も無いが、侯爵家は買えない。王族が臣籍降下してくる事もあって、王族が血縁関係にあるので扱いが全く違うのだ。
4つあるどこの侯爵家でも怒らせてしまえばモナ伯爵家など一溜りもない。
形すら残らずに吹き飛んで、その影響は親戚にも広く及んでしまう。「すみませんでした」の一言で済む今のうちに手を引いた方が良い。
イリーナを放って先に去る方法もあるが、騎士に顔を見られている。イリーナが捕縛でもされたら一緒にいた、止めなかったとショーまで罪に問われてしまうのでイリーナにごねられては困る。
「いい加減にしとけ!」
バチン!!
ショーはイリーナの頬を思い切り打った。
イリーナが梃子でも動かなかった時「自分はここまでしたんです」そんなパフォーマンスも必要だった。そこに手加減があれば騎士が見抜いてしまう。ショーの張り手は本気の張り手だった。
ショーどころか親に叩かれた事も無いイリーナはびっくりして放心し、ショーを見た。
「もう一回殴られたいか?帰るぞ」
手を振り上げたショーを見てイリーナは立ち上がってショーと共に去って行った。
★~★
「ちょっと、殴るなんて酷すぎるっ!」
「あぁでもしなきゃ動かないだろう?喧嘩売るには相手が悪すぎだろ?そんな事も判らないのか?頭悪いな」
「殴っておいてそんな事言うの?信じらんないッ」
「馬鹿を馬鹿と言って何が悪いんだ。はぁーあ。なんかさ、母上も言ってたけどお前、ホント雑だよな」
「雑?誰がよ!」
ショーは「母上が言ってたけどな」ともう一度前置きして、イリーナの掃除が下手で家が埃っぽい事や、洗濯物はごわごわだし、洗いが足りてない。
食事の用意をさせても極端に薄いか濃いかの味付けに、野菜はまともに煮込めていなくて固いし、肉も内部まで火が通ってない。
先代の部屋も老人特有の体臭が部屋の中に充満して臭いし、食事の量が足りてないのか夜中に腹を空かして明け方まで吠え捲る。
まだまだ言い足りないが、と兎に角イリーナの仕事に文句をつけてきた。
さらに…。
「リサはさ、何か作って持ってきたり、リサの親父さんとか月に1回は肉とか手配してくれてたけど、お前が何か作って持ってくる事はないし、お前の親も気が利かないよな。娘そっくり。あ?親が何もできないから娘がそっくりなのか?アッハッハ」
リサと比べられた上に、親の行いにまで文句を言われてしまった。
イリーナはショーからダメ出しされるとは思わなかった。
ショーがまだ何か1つでも役割を担ってくれているのならまだしも、事あるごとに伯爵夫人に金をくれとせがみ、金を握ったと思ったら遊びに行くショーにだけは言われたくない。
「最っ低!アンタとの婚約なんて破棄よ!破棄!」
「へぇ?言っとくけどこっちは支度金も渡してるんだぜ?お前の親、金使いこんでんじゃねぇの?破棄でもいいけど理由は何にするんだ?先代の介護?そんなの国で在宅介護を推奨してんだし、年寄りのいる家に嫁ぐんだから大変なのは解りきったことだ。こっちもお前が来ない日は人、雇ってんだけど?理由になんなくね?」
イリーナを軸にしてショーはくるっと1周しイリーナの肩をポンと叩いた。
「2度も婚約パーに出来ねぇんだよ。死ぬまでこき使ってやるから安心しろ」
ギリっと奥歯を噛み締めたイリーナは「リサに突き返してやる」と心で叫び、ショーを睨みつけた。
「嫌よ。アタシ、行かない。1人で行けば?」
「冗談止めろって。洒落になんねぇからさ」
ショーにとってもここでこれ以上揉め事を起こすのは得策でないのは考えずとも解る事だった。
侯爵家と伯爵家は爵位としては1つしか違わなくてもその差は大きい。
伯爵家までは爵位を金で買おうと思えば買えない事も無いが、侯爵家は買えない。王族が臣籍降下してくる事もあって、王族が血縁関係にあるので扱いが全く違うのだ。
4つあるどこの侯爵家でも怒らせてしまえばモナ伯爵家など一溜りもない。
形すら残らずに吹き飛んで、その影響は親戚にも広く及んでしまう。「すみませんでした」の一言で済む今のうちに手を引いた方が良い。
イリーナを放って先に去る方法もあるが、騎士に顔を見られている。イリーナが捕縛でもされたら一緒にいた、止めなかったとショーまで罪に問われてしまうのでイリーナにごねられては困る。
「いい加減にしとけ!」
バチン!!
ショーはイリーナの頬を思い切り打った。
イリーナが梃子でも動かなかった時「自分はここまでしたんです」そんなパフォーマンスも必要だった。そこに手加減があれば騎士が見抜いてしまう。ショーの張り手は本気の張り手だった。
ショーどころか親に叩かれた事も無いイリーナはびっくりして放心し、ショーを見た。
「もう一回殴られたいか?帰るぞ」
手を振り上げたショーを見てイリーナは立ち上がってショーと共に去って行った。
★~★
「ちょっと、殴るなんて酷すぎるっ!」
「あぁでもしなきゃ動かないだろう?喧嘩売るには相手が悪すぎだろ?そんな事も判らないのか?頭悪いな」
「殴っておいてそんな事言うの?信じらんないッ」
「馬鹿を馬鹿と言って何が悪いんだ。はぁーあ。なんかさ、母上も言ってたけどお前、ホント雑だよな」
「雑?誰がよ!」
ショーは「母上が言ってたけどな」ともう一度前置きして、イリーナの掃除が下手で家が埃っぽい事や、洗濯物はごわごわだし、洗いが足りてない。
食事の用意をさせても極端に薄いか濃いかの味付けに、野菜はまともに煮込めていなくて固いし、肉も内部まで火が通ってない。
先代の部屋も老人特有の体臭が部屋の中に充満して臭いし、食事の量が足りてないのか夜中に腹を空かして明け方まで吠え捲る。
まだまだ言い足りないが、と兎に角イリーナの仕事に文句をつけてきた。
さらに…。
「リサはさ、何か作って持ってきたり、リサの親父さんとか月に1回は肉とか手配してくれてたけど、お前が何か作って持ってくる事はないし、お前の親も気が利かないよな。娘そっくり。あ?親が何もできないから娘がそっくりなのか?アッハッハ」
リサと比べられた上に、親の行いにまで文句を言われてしまった。
イリーナはショーからダメ出しされるとは思わなかった。
ショーがまだ何か1つでも役割を担ってくれているのならまだしも、事あるごとに伯爵夫人に金をくれとせがみ、金を握ったと思ったら遊びに行くショーにだけは言われたくない。
「最っ低!アンタとの婚約なんて破棄よ!破棄!」
「へぇ?言っとくけどこっちは支度金も渡してるんだぜ?お前の親、金使いこんでんじゃねぇの?破棄でもいいけど理由は何にするんだ?先代の介護?そんなの国で在宅介護を推奨してんだし、年寄りのいる家に嫁ぐんだから大変なのは解りきったことだ。こっちもお前が来ない日は人、雇ってんだけど?理由になんなくね?」
イリーナを軸にしてショーはくるっと1周しイリーナの肩をポンと叩いた。
「2度も婚約パーに出来ねぇんだよ。死ぬまでこき使ってやるから安心しろ」
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