チョイス伯爵家のお嬢さま

cyaru

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再会まであと何秒

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「次の視察地はどこだ」
「はい、エール領にて10時より放牧域を視察、領主との昼食後チョイス領に移動を致します。チョイス領への到着は17時を見込んでおり、その晩は宿泊をした後、チョイス領を視察、午後に移動となっております」

「チョイス領か。確か納税額も多かったな」
「はい、羊からの羊毛の他に数年前より蚕を取り扱いましてシルク、絹も量産しております。寒暖の差を利用しての農作物の収穫もさることながら、天候や時期にとらわれないもやしやカイワレなどの栽培もおこなっております。鉱山も鉄鉱石、魔石の産出が多い領です」

「そうか‥‥ライド」
「はい、なんでございましょう」
「どうした?何も思うところはないのか?」
「と、申しますと?」
「チョイス領はお前の元婚約者がいるところだ」
「あ、あぁ‥‥そうでしたね。確か元夫人のご実家…でした」
「まぁいい。その固い頭を下げることも忘れないようにな」
「はい」

王太子殿下は遠回しに【本当の婚約解消の理由】を知っているのだと思ったライドはもう何年も会ってないローゼの顔を思い出そうとしますが、アマディラに傾倒していた事もあり髪の色すら思い出せません。
婚約者だった9年の期間、ライドはローゼを見たくもないと毛嫌いしていましたからね。
それに最後に会ったのは読者の皆様でいう小学校6年生の頃。
5年も経った18歳となった今、それがローゼだと解るかどうかライドは記憶の彼方にいるローゼを思います。

(今となれば、どんな酷い仕打ちをしたか嫌でも身に染みて感じるな)

そっと王太子殿下に礼をして、出立する馬車の点検に回るライドでした。

☆~☆~☆~☆

チョイス領では夕刻にも到着するという王太子殿下の視察団の出迎えに屋敷の使用心だけでなく領民も臨時に雇って大騒ぎです。予定時刻までもうすぐ。慌ただしさが増します。

「たった1日もいないのにそんなに大騒ぎして…あぁ勿体ない」
「ローゼ!何を言ってるのです。あなたも支度をなさい」
「支度?わたくしが支度をしてどうなると言うのです?」
「ちゃんとしていればお目に止まるかも知れないでしょう?腐っても伯爵家。王家に嫁ぐことも可能な位置にいるのですよ」

「無理無理。それは逆立ちをして両手でご飯食べるより無理ですわ」
「やってみなければわからないでしょう?それに殿下は無理だったとしても側近の方のお目でも留まればいいんだから!」

「嫌よ。王太子殿下も側近の方も」
「どうして?」
「だってここから離れないといけないもの、何よりわたくし王都に住みたいと思わないもの」
「でもテリーの所に行ったとき、楽しかったと言っていたでしょう?」

「そりゃね、1日2日観光するには良いと思うわ、珍しい物もあるし。だけど住むのは別。あんなところじゃ住めないわ。何よりニャバランボの実のスープが飲めないなんて絶対に嫌」

と、この忙しいのにどこかに出かけようとするローゼを母がガッチリホールドします。

「何処に行こうとしているのかしら?」
「忙しいみたいだし、ジャバ叔父様のところに泊まりに行こうかと思って」

ジャバ叔父様とは母の弟です。チョイス伯爵は母の兄。
のんびり者でお気楽トンボと呼ばれているジャバ叔父さんは突撃して宿泊しても怒りません。
最も、よく森に散策へと数日帰らない事もあるので在宅かどうかも不明です。
王太子殿下が来るのならば当然こちらに来ていてもおかしくありませんが堅苦しいのが何より嫌いなジャバ叔父さんは早々に逃げております。

「ダメです。今日は許しません」
「あ~もう。判りました!では着替えてきますわ」
「よろしい。ちゃんと可愛くしてもらうのよ」
「はーい」
「ローゼ!返事はどうだったかしら!!」
「はい、ごめんなさいお母様」

母の手から逃れたローゼは自分の部屋に行くと見せかけて‥‥
階段を上がろうとふりをすると90度反転!取り舵いっぱい!!
ドレスの裾を捲り上げてダッシュして厩舎に飛び込み、ドランチの柵を外して跨ります。
気が付いた母は鬼の形相!!

「ローゼ!待ちなさい!ローゼ!!」
「行ってきますわぁぁぁ!!ハイッ!!」
「誰か!止めなさい!ローゼを止めなさい!!」

声を聞いた使用人が数人集まってきますがドランチの手綱を巧みに操るローゼ。

「行くよ!ドランチっ!」(パシっ)

ドランチに鞭を入れて使用人のわきを走り去ります。
木の柵も【ホッ!】【ハッ!】っと上手く手綱を操りドランチジャンプ!
思わず金メダルをあげたいような気もするほど障害物を超えていきます。


☆~☆~☆~☆

ガラガラガラガラ‥‥ガッ!!ゴトン!

王太子殿下の乗った馬車が止まります。

「どうしたのだ」

同乗していたライドが御者に問いかけると、かたほうの車輪が石に乗り上げたと言います。

「急いで石をどかせろ。もう暗くなるぞ」
「はい、直ぐに」

御者を筆頭に何人もの従者が石に駆け寄りました。
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