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ドランチも疲れるのです
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王太子殿下の前では気を張っていたのもあるけれど、ドランチに乗って走っているうちにどんどん気分が悪くなっていくローゼ。
ジャバ叔父さんの家まではまだ半刻は走らねばならないと敢えて痛む腕をふり、痛みで意識を覚醒させます。
しかし、ドレスの裾を切り裂いて止血をしたとは言え、既にポタポタと滴るほど巻き付けた布をローゼの血が湿らせていきます。
「あぁ…もうダメかも」
目の前の景色が歪みだします。ドランチの首に纏わりつくように意識を飛ばしてしまったローゼ。
ドランチは走り続けます。
もしもの為にと手綱を腰にも回したのが幸いして走るドランチからは振り落とされませんがよい状態でない事は確かですね。
ドランチは賢い馬ですが、それでも馬です。人間のようにどうにか出来るわけでもありません。
伝書鳩のように決められた場所を目標として行けるわけでもありません。
でも、疲れるのは馬も一緒です。ローゼを乗せたまま森を走り、道なき道に分け入って走り、ついに止まります。
そこは森の中でもかなり深い位置で人間がここに来ることはめったにありません。
滅茶滅茶強い魔獣が出る事は少ないですが、それでも魔獣がいないという事ではありません。
ましてケガをしているローゼからは肉食系の魔獣が好む血の香りがしているのです。
夜もすっかり更けて辺りは鬱蒼と茂る木々で暗いですが、月の出ている夜なので真っ暗ではありません。
草食のドランチは背にローゼを乗せたまま草をムシャムシャ食べ始めます。
☆~☆~☆~☆
「はぁ~今日は収穫がなかったなぁ」
そう言って落ちた枝を拾って火を起こし寝袋の準備をする男がいますね。
背負っていたリュックから食べ物を出して枝に突き刺し焚火にくべると沢に下り服のままザブンと水に入ると顔をバシャバシャ洗います。鉄製の水筒へ水を入れると川から出て、程よく燃え盛る焚火に放り込みます。
そろそろか・・と言いながら水筒を枝で引き寄せて来ていた服を脱ぐと絞って水筒を冷まします。
時折手で触って持てる熱さになると、キャップを開けてグビグビと湯を飲みます。
夜も更けて寝袋の中に入る前に焚火に枝を更に放り込みます。
細かい炎がブワっと空に巻きあがります。
その時、後ろで何か音がしました。
「チっ魔獣か…」
男はリュックの横につけているサバイバルナイフを取り出し音のする方向を黙って見据えます。
しかし、魔獣なら飛び掛かってくる間合いだと思ったのに動きがありません。
ですが、ガサガサという音はずっと聞こえています。
「変だな」
男はそう言って茂みの中を睨みつけるように凝視します。
【ブルルっ】
「馬?まさか…」
こんな所に馬がいるはずがないと思いながら、茂みにそっと近寄っていきます。
すると、木の間から差し込む月灯りに1頭の馬が目に入ります。
そしてその背に何かがある事も。
「どうどう‥‥よぉし、いい子だ」
男が近づくと馬の背にあったのが人間だと気が付きます。
そして、馬の腹が何か黒いベトベトしたもので汚れている事にも気が付きます。
それが血だと言う事にも。
「だ、大丈夫か!?」
慌てて馬の背から人間を下ろしました。
ジャバ叔父さんの家まではまだ半刻は走らねばならないと敢えて痛む腕をふり、痛みで意識を覚醒させます。
しかし、ドレスの裾を切り裂いて止血をしたとは言え、既にポタポタと滴るほど巻き付けた布をローゼの血が湿らせていきます。
「あぁ…もうダメかも」
目の前の景色が歪みだします。ドランチの首に纏わりつくように意識を飛ばしてしまったローゼ。
ドランチは走り続けます。
もしもの為にと手綱を腰にも回したのが幸いして走るドランチからは振り落とされませんがよい状態でない事は確かですね。
ドランチは賢い馬ですが、それでも馬です。人間のようにどうにか出来るわけでもありません。
伝書鳩のように決められた場所を目標として行けるわけでもありません。
でも、疲れるのは馬も一緒です。ローゼを乗せたまま森を走り、道なき道に分け入って走り、ついに止まります。
そこは森の中でもかなり深い位置で人間がここに来ることはめったにありません。
滅茶滅茶強い魔獣が出る事は少ないですが、それでも魔獣がいないという事ではありません。
ましてケガをしているローゼからは肉食系の魔獣が好む血の香りがしているのです。
夜もすっかり更けて辺りは鬱蒼と茂る木々で暗いですが、月の出ている夜なので真っ暗ではありません。
草食のドランチは背にローゼを乗せたまま草をムシャムシャ食べ始めます。
☆~☆~☆~☆
「はぁ~今日は収穫がなかったなぁ」
そう言って落ちた枝を拾って火を起こし寝袋の準備をする男がいますね。
背負っていたリュックから食べ物を出して枝に突き刺し焚火にくべると沢に下り服のままザブンと水に入ると顔をバシャバシャ洗います。鉄製の水筒へ水を入れると川から出て、程よく燃え盛る焚火に放り込みます。
そろそろか・・と言いながら水筒を枝で引き寄せて来ていた服を脱ぐと絞って水筒を冷まします。
時折手で触って持てる熱さになると、キャップを開けてグビグビと湯を飲みます。
夜も更けて寝袋の中に入る前に焚火に枝を更に放り込みます。
細かい炎がブワっと空に巻きあがります。
その時、後ろで何か音がしました。
「チっ魔獣か…」
男はリュックの横につけているサバイバルナイフを取り出し音のする方向を黙って見据えます。
しかし、魔獣なら飛び掛かってくる間合いだと思ったのに動きがありません。
ですが、ガサガサという音はずっと聞こえています。
「変だな」
男はそう言って茂みの中を睨みつけるように凝視します。
【ブルルっ】
「馬?まさか…」
こんな所に馬がいるはずがないと思いながら、茂みにそっと近寄っていきます。
すると、木の間から差し込む月灯りに1頭の馬が目に入ります。
そしてその背に何かがある事も。
「どうどう‥‥よぉし、いい子だ」
男が近づくと馬の背にあったのが人間だと気が付きます。
そして、馬の腹が何か黒いベトベトしたもので汚れている事にも気が付きます。
それが血だと言う事にも。
「だ、大丈夫か!?」
慌てて馬の背から人間を下ろしました。
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