夫が離縁に応じてくれません

cyaru

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第05話  不思議、発見?

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オランド様がダメでも当主であるブンディル侯爵に許可を得ればいいのです。

ウキウキな気分で足取りも軽くブンディル侯爵の部屋を訪ねれば解ってはいるけど姑となるブンディル侯爵夫人にも怪訝そうな顔をされてしまいました。

――私は何もしてないのになぁ――

とは言っても、父が呼んでもいないノエルとミーシャを勝手に連れてきて品物を勝手に持ち出そうとしていたことは事実。

こんな事もあるだろうなとノエルとは養子縁組をしなかったけれど、他家から見れば家族としか見て貰えないのだからここで行うのは謝罪一辺倒!!


「昨夜は申し訳ございませんでした」
「あぁ」

――あんたもかぁい!!――

どうやらオランド様の会話言語が固定されているのは遺伝だったようです。


「今後は申し訳ないのだけれど、ご家族をお招きするのは控えて頂ける?」

「勿論でございます」

「それで?何の用だね」

「はい。今のお部屋も素敵ですしありがたく感じているのですが、私には分不相応に感じます。出来れば今後は庭にあります別邸で過ごさせて頂ければと」

「別邸?確かにあるが掃除も年に数回だし、今は不要になった品を置いておく倉庫代わりの建物だ。今から調度品などを運び入れるとなると…」

「結構です。掃除は自分でしますし、不用品の中から使えそうなものを選び、使用許可を頂いてから使うようにします」

「自分で掃除?そんな事が出来るのか?」

「はい?できますが‥‥。実家ではそうしておりましたし別邸に簡単なキッチンがあれば自炊も致しますので本宅の料理人さんの手を煩わせることもないかと」

――あれ?なんで首を傾げてるのかな?――

どれほどに掃除をしていないのかは実際に見てみないと解らないけど、壁に囲まれてて屋根があれば十分よ!!

それからもう1つ。許可を得ておかないといけない事があるのよね。


「あと1つなのですが、王宮のココホレ教授の元に月に4、5回でしょうか。時に週に2,3回になる事もあるかも知れませんが行きたいので外出の許可を頂きたいのです。この日と決まっていないので出かける際はどなたかに声掛けを致しますし、徒歩で参りますので特に何かをご用意頂くこともありません」

「は?今、何と言った?」

――え?驚くような事を言ったかな??――

「王宮のココホレ――」

「そうではなく!外出は自由にすればいいが歩いて行くと?」

「はい?そうですけど…」

――だって、私、御者は無理だもの。手綱さばき1つで馬を止めたり歩かせるの無理!――

どうしたんでしょうか。
ブンディル侯爵夫妻は目を丸くしてお互いを見つめあっておられますけど。

――ハッ!もしやお互いの知らない所を今、見つけて不思議、発見?――

うんうん。解るわぁ。
私もココホレ教授の研究室にあるアンモナイトの化石を見てて、よぉく見たら「まさか骨?!」って新種の小型翼竜の爪の先だった時は驚いたもの。

「もう一度聞くぞ?」

「はい」

「歩いて行くと言うのか?1人で?」

「はい。貴族の令嬢が1人で歩いて。危険だというご指摘でしたら安心してください!走れますよ?それにですね、馬車ですと近道が出来ませんので時間がかかるんです。教授の研究室は正門からですと遠回りなので歩いた方が便利がいいのです。今までも歩いてましたし慣れた道ですから」

「慣れた道…」

「はい。もうかれこれ…7年、いえ8年になるでしょうか。今まで危険は一度もありませんでした。むしろ通り縋りの方からパンを頂くこともあったりで昼食が助かった事もあります」


そうなのよね~。私は屋敷で食事が出ると言っても使用人の賄いの残りがあればだったから、賄いがない日、残らない日は食べるものがなくて、知らない人から物をもらっちゃいけないのは解ってるけど涙ぐんで「これを食べなさい」ってパンを握らせてくれて…美味しかったのよね。固さなんか感じた事もないわ。

ホームレスの方から「食ってく?」と怪しげな野草煮込みをご馳走になったこともあります。あの野草煮込み。同じ味が2度と出せなかったのよね。忘れた頃に食べるとこれがまた美味しいのよね。

教授の所にあるパンは教授が没頭しちゃうと何日もそのままだから何時の物か解らなくてアオカビに美味しいところを食べられカッチカチの石みたいになってるのとかあって化石?って暫く顕微鏡で覗いちゃった事もあるわ。

フンフフン♪少し得意げになってしまいましたが、「大丈夫です!」議会議員の選抜の時みたいにとにかく連呼すればブンディル侯爵夫妻もOKを出してくださいました。

「ありがとうございます!!」

「だが…出かける時は声を掛けて行くんだよ」

「はい!あと書庫から本を貸していただくときも、借りた時、返した時が判るように台帳を置いておきます。本当にありがとうございます!早速部屋を移ります」

「それは良いんだが…食事がだな」

「食事ですか?ご心配なく!サロンと部屋から見た限りですが食べられる野草が見えましたので、草むしりがてらに収穫してそちらを頂きますので、本日の昼食から私の分は不要です」

「いや、それは流石に不味いだろう」

「いいえ?美味しいですよ?玄関横のシロツメクサは花は4月くらいですけど、新芽や茎葉は結構長い期間美味しく食べられるんです。毒があるので生食は無理なんですけど、軽く煮て塩味のショッパそうと一緒に食べると美味しいんです。部屋の窓からはギシギシも見つけました」

「不味いの意味が‥‥まぁいいが、ギシギシ?なんだそれは」

「繁殖力が強くて1つあればあっという間に倍々になるので面倒な雑草と呼ばれているんですけど陸蓴菜おかじゅんさいとも言われてて、ちょっとヌルっとするんですが美味しいんです。繁殖力が強いって最高ですよね。採っても採っても採りきれないので食べるのに困らないですし、葉っぱが枯れた後に根っこを掘り出して洗って乾燥させれば便秘薬にもなるんです。可愛い草ですよね」

「可愛いかどうかは良く判らないが庭の草を食べなくても――」

「いいえ。ブンディル侯爵家のお庭はまるで食糧庫ですわ!許可ありがとうございます!」


持ってきた荷物も多くありません。
クローゼットに吊るすほどでもないのでまだトランクの中ですし、私は早速トランク片手に庭にある別邸に引っ越しを敢行したのです。
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