夫が離縁に応じてくれません

cyaru

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第06話  お掃除、開始!

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部屋の窓から庭を見た時に屋根しか見えていなかったけれど、「家がある!?」と思ったらやっぱり別邸。お金持ちは違うわぁ。

イルサム家も一応庭はあったけど庭の草は、ほぼ私が食べつくしてしまったしミーシャが「池が欲しい」なんて言ったものだから父が池を作ったのです。

作るのは良いのですが、水が流れ込むわけでもなく流れ出る訳でもなく。
使用人が井戸から桶で水を運び、その後は雨が降るのを待つだけ。何が起こったかと言えば手入れもしないのでボウフラが沸いて蚊の温床になってしまったのです。

ホント、夏場は大変でした。

ココホレ教授の所に行った時に除草菊という花を取ってきて乾燥させて燃して何とか私は蚊に刺されるのを最小限にしましたが手入れをしない水たまりになった池。埋めた方が良いと何度思った事か。


「わぁ。大きな家!」

トランク片手に走ってみれば見えて来たのは赤い屋根の家。

鍵は施錠されていなくてドアノブを回せば扉が開く。

「ファッ!黴臭い…掃除も年に数回って言ってたわね」

考えていても仕方がありません。私はトランクを置くと先ずは家の中を捜索がてら窓を開けて換気。2階建ててキッチン、不浄、湯殿が1つづつ。キッチンから勝手口を開けると井戸があるけど洗濯場はなし。

部屋の数は1階がリビングと兼用した食事室、使用人の部屋と思われる部屋が2つ。これは男女で分けたかな。2階は5部屋だけど、2階まで使う必要はないので掃除は1階だけ。

「おぉ~寝台がある!ちゃんと寝台だわ」

イルサム家では寝台はあったけれど母が亡くなる前に買ってもらったものなので5,6歳児用。身長も高くなったけど父には新しい寝台は買ってもらえなかったので市場で木箱をもらって1つづつ運び入れて足元に継ぎ足し。

マットは長さが合わないし、マットにも寿命があるのでお役御免にしたのは11歳の時。
それ以降はシーツだけを敷いて、掛布もお母様が使っていた予備を使いまわし。

なので、寝た時に柔らかさを感じたのは昨日の寝台が久しぶりだったけど、固すぎる寝台に慣れていると沈み込む感じが船酔いみたいにもなったので、やっぱり私にはコレが合ってるんだと思うのね。

掃除具を纏めている部屋から桶と毛先がかなり寂しくなったモップを取り出すと井戸で水を汲む!!掃除だぁと思ったんだけど問題が起きてしまいました。

「水はあるみたいね」

小石を放り込むとポチャンと音がして、もう少し大きめの石を放り込むとドボン!と聞こえるので水は深さもそこそこにあるようだけど、上を見上げると滑車が壊れていてロープも朽ちてしまってる。

「これじゃ水が汲めないわね…代わりになるものはないかしら」

家の中に戻って掃除具置き場などを探してみるものの、ロープの代わりになるようなものはなかったのです。

「仕方ないわ。世の中には緊急避難ってあるじゃない!」

私は仕舞ってある予備のシーツも見つけていたのでその中から洗濯では落としきれなかったシミのあるシーツを引っ張り出して、木の枝を使って穴をあけるとそこからシーツをビリリー!!引き裂いたのです。

引き裂いたシーツの端を固く結んでロープ替わり。

桶の取っ手に結ぶと井戸にIN。滑車ではないので途中で桶が井戸の壁に当たって斜めになり引っ張り終えた時には桶の3分の1くらいの水しか入っていないけれど、ポジティブ!ポジティブ!

「3分の1なら3回汲み上げればいいだけよ!」

そう、桶の底が抜けている訳じゃないんだし、回数を熟せばいいだけ。
せっせと水を汲んで毛先の寂しいモップで床掃除。

「雑巾があればなぁ…窓も拭けるのに」

流石に窓を床掃除した後のモップで拭いても綺麗になるとは思えず、どうしようかと考えて取り敢えずは先送り。解決できない事を今考えるよりも、今出来る事をした方が効率がいいもの。


★~★

「で?どうだ。掃除をせねばならないとなればお手上げだっただろう?」

「いえ。何やら工夫をして掃除をされておられました」

<< は?掃除を? >>

言ってはみた物の現状を見れば世の令嬢が自ら掃除をすることなど先ずない。
肩を落とし引き返してくるだろうと考えたブンディル侯爵は様子を見に行かせた執事の言葉に驚いた。

「そうか」

「どうなさいますか?」

「掃除道具と…食事を持って行ってやれ」

「畏まりました」

しかし、言われた品を届け帰ってきた執事の報告にブンディル侯爵は更に驚くことになるとはこの時、考えても見なかった。
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