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第12話 さらっと軟禁通告
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――な、なんの音?――
扉を開けた時、ものすごい音がしたのです。
しかし書庫から借りていた本は11冊。
一度に持って行きたいと積み上げて両手で支えております。
前と足元が良く見えません。
ゆっくり歩けば本の横からの視界だけで行けるかな。
そう思ってお行儀は悪いんですけども、レバーなドアノブを足を上げ「トゥ!」と開けたのです。その後ドーンと扉を大きく開けるために本を持ったまま突いたのですけど。
「なんだったのかな…」
そう思い1歩を踏み出すと。
「わっ!わっ!!わぁぁーっ!」
ゴトンゴトン!!ドサドサ!!
何かに躓いた私。
これまで散財を重ね、盗みまでしようとする父を介した家族に躓き、初夜スルーの夫に躓いて、離縁DE慰謝料ウハウハ計画がまたもや躓き頓挫したのに、現実でも躓くなんて。
積み重ねて持っていた本が前のめりになるように手から飛び出し、地面に落ちてしまったのですが何故か私の体は支えられて転ばず宙に浮いています。
「大丈夫か?!」
「は?…はい…」
「怪我はないか?痛いところは?」
「ありません。支えて頂きありがとうございます。ですが、下して頂けます?」
見下ろせばオランドの野郎の顔。
今の状態は例えるならアクロバットでしょうか。それとも器械体操?
私の胴体を寝転んだオランドの野郎が掴んで、私はお子様の「鳥さんだぁ!」状態です。
自分の状態もさることながら、気になるのは地面に落ちてしまった本。どうしましょう。本はとても高価なのに土がついてしまって、ページが折れてしまった本も見えます。
「咄嗟だったから…いや言い訳だ。許可なく触れてしまいすまない」
「謝るのは良いんですけど、先に下してください」
「解っているんだが、どうやって下ろせばいいんだろう。そろそろ私も腕が限界だ」
――それを私に相談されても――
「腕を垂直に下す。抱きかかえる格好になるが我慢してくれ」
――緊急ですもの。仕方ありませんね――
「解りました。お願いします」
オランドの野郎が腕を折り、ゆっくりと下してくれまして、私は足が無事床を捉えた瞬間に立ち上がる予定が無念の筋力不足。オランドの野郎を四つん這いでマウントを取る姿勢になってしまいました。
――なんで真っ赤になってるのかしら――
あ、髪の毛が鼻にコショコショなのね。
それは申し訳ない事をしたわ。
こんな至近距離で「はっくしょん」なんてされたら大変。
私は何とか横に体をずらして立ち上がったのです。
「助けて頂きありがとうございます」
「いや、ここで昼寝をしていた私が悪いんだ」
――何故玄関前で昼寝を?――
良く判りませんが、初夜スルーな夫の事よりも本を拾うのが先。
どうしましょう。弁償って言われてしまうとなかなかに支払える金額ではないのに。
そう思いつつ、本を拾い上げ土を叩いて状態を確かめます。
――あぁ、どうしよう。破れちゃってる――
もう泣きそうです。衝撃でページが破れてしまっているし叩いても取れない土の汚れもあります。
――本って文官の給料1か月分が1冊なのよね――
無傷なものは1冊もありません。こんな時に限って11冊も借りてた私。
時間よ止まれ…違うわ。時間よ戻れ!そんな魔法が使えるのなら1冊しか借りなかったのに。いえ、玄関を開ける時に注意したのに。
ここで昼寝をしている人がいるなんて想定外だわ。
――仕方ないわ。弁償するには働くしかないわね――
少し前から考えていたのです。
金持ちはケチとも言いますし、良く判らない初夜スルーですからこのまま数年身綺麗でいたとして、白い結婚となっても言うほど慰謝料は貰えないでしょうし、自給自足と言っても家賃を考えるとここは一等地。
慰謝料は家賃で相殺すると言われたら無一文で市井に放り出される事になるので、働きに行こうと考えてはいたのです。
――そうよね。慰謝料なんて他人をアテにしちゃいけないわ――
丁度ここにオランドの野郎もいる事ですし、働きに出ることを伝えておきましょう。
「あのオランドの野…オランド様」
「どうした。2度も呼んで」
――それ、不可抗力――
「来週から私、働きに出ようと思うのです」
「は?」
「ですから、読み書き算術は出来ますし、庭師さん情報では花卉市場で経理を募集しているそうですので働きに行こうと思うのです」
「待て。何故そんな話になる。金が必要なら渡す。幾らだ」
「いえ、今すぐ…と言えば本の代金もありますし、そうなんですがお金を頂く理由がないので頂けません。本は新しいものを買って弁償しますが、先ずは働きに出る事を言っておこうと思いまして」
「許可できない。金が必要ならさっきも言ったが渡す。どうしてもと言うのなら屋敷から一歩も出られないようにする」
――え?なんで私、さらっと軟禁通告されてるの?――
しかも、さっきまで仰向けだったのに、うつ伏せのダンゴムシのように丸くなった姿勢で言われてるの?
「あ、あの…その姿勢は何を意味するんです?」
「ごめん寝だ」
――ごめん。訳わからないから出直して来てもらっていいかな――
扉を開けた時、ものすごい音がしたのです。
しかし書庫から借りていた本は11冊。
一度に持って行きたいと積み上げて両手で支えております。
前と足元が良く見えません。
ゆっくり歩けば本の横からの視界だけで行けるかな。
そう思ってお行儀は悪いんですけども、レバーなドアノブを足を上げ「トゥ!」と開けたのです。その後ドーンと扉を大きく開けるために本を持ったまま突いたのですけど。
「なんだったのかな…」
そう思い1歩を踏み出すと。
「わっ!わっ!!わぁぁーっ!」
ゴトンゴトン!!ドサドサ!!
何かに躓いた私。
これまで散財を重ね、盗みまでしようとする父を介した家族に躓き、初夜スルーの夫に躓いて、離縁DE慰謝料ウハウハ計画がまたもや躓き頓挫したのに、現実でも躓くなんて。
積み重ねて持っていた本が前のめりになるように手から飛び出し、地面に落ちてしまったのですが何故か私の体は支えられて転ばず宙に浮いています。
「大丈夫か?!」
「は?…はい…」
「怪我はないか?痛いところは?」
「ありません。支えて頂きありがとうございます。ですが、下して頂けます?」
見下ろせばオランドの野郎の顔。
今の状態は例えるならアクロバットでしょうか。それとも器械体操?
私の胴体を寝転んだオランドの野郎が掴んで、私はお子様の「鳥さんだぁ!」状態です。
自分の状態もさることながら、気になるのは地面に落ちてしまった本。どうしましょう。本はとても高価なのに土がついてしまって、ページが折れてしまった本も見えます。
「咄嗟だったから…いや言い訳だ。許可なく触れてしまいすまない」
「謝るのは良いんですけど、先に下してください」
「解っているんだが、どうやって下ろせばいいんだろう。そろそろ私も腕が限界だ」
――それを私に相談されても――
「腕を垂直に下す。抱きかかえる格好になるが我慢してくれ」
――緊急ですもの。仕方ありませんね――
「解りました。お願いします」
オランドの野郎が腕を折り、ゆっくりと下してくれまして、私は足が無事床を捉えた瞬間に立ち上がる予定が無念の筋力不足。オランドの野郎を四つん這いでマウントを取る姿勢になってしまいました。
――なんで真っ赤になってるのかしら――
あ、髪の毛が鼻にコショコショなのね。
それは申し訳ない事をしたわ。
こんな至近距離で「はっくしょん」なんてされたら大変。
私は何とか横に体をずらして立ち上がったのです。
「助けて頂きありがとうございます」
「いや、ここで昼寝をしていた私が悪いんだ」
――何故玄関前で昼寝を?――
良く判りませんが、初夜スルーな夫の事よりも本を拾うのが先。
どうしましょう。弁償って言われてしまうとなかなかに支払える金額ではないのに。
そう思いつつ、本を拾い上げ土を叩いて状態を確かめます。
――あぁ、どうしよう。破れちゃってる――
もう泣きそうです。衝撃でページが破れてしまっているし叩いても取れない土の汚れもあります。
――本って文官の給料1か月分が1冊なのよね――
無傷なものは1冊もありません。こんな時に限って11冊も借りてた私。
時間よ止まれ…違うわ。時間よ戻れ!そんな魔法が使えるのなら1冊しか借りなかったのに。いえ、玄関を開ける時に注意したのに。
ここで昼寝をしている人がいるなんて想定外だわ。
――仕方ないわ。弁償するには働くしかないわね――
少し前から考えていたのです。
金持ちはケチとも言いますし、良く判らない初夜スルーですからこのまま数年身綺麗でいたとして、白い結婚となっても言うほど慰謝料は貰えないでしょうし、自給自足と言っても家賃を考えるとここは一等地。
慰謝料は家賃で相殺すると言われたら無一文で市井に放り出される事になるので、働きに行こうと考えてはいたのです。
――そうよね。慰謝料なんて他人をアテにしちゃいけないわ――
丁度ここにオランドの野郎もいる事ですし、働きに出ることを伝えておきましょう。
「あのオランドの野…オランド様」
「どうした。2度も呼んで」
――それ、不可抗力――
「来週から私、働きに出ようと思うのです」
「は?」
「ですから、読み書き算術は出来ますし、庭師さん情報では花卉市場で経理を募集しているそうですので働きに行こうと思うのです」
「待て。何故そんな話になる。金が必要なら渡す。幾らだ」
「いえ、今すぐ…と言えば本の代金もありますし、そうなんですがお金を頂く理由がないので頂けません。本は新しいものを買って弁償しますが、先ずは働きに出る事を言っておこうと思いまして」
「許可できない。金が必要ならさっきも言ったが渡す。どうしてもと言うのなら屋敷から一歩も出られないようにする」
――え?なんで私、さらっと軟禁通告されてるの?――
しかも、さっきまで仰向けだったのに、うつ伏せのダンゴムシのように丸くなった姿勢で言われてるの?
「あ、あの…その姿勢は何を意味するんです?」
「ごめん寝だ」
――ごめん。訳わからないから出直して来てもらっていいかな――
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