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血に染まる結婚式
慌ただしさの中、迎えた結婚式当日。
予想通り、親戚筋には招待状を送ったものの災害への復旧の派遣や、領が災害地となってるものが多く、父の弟である叔父夫妻と母の妹である叔母夫妻のみの招待客。
それも式が終わればすぐに戻らなねばならないと言い、侯爵家のメンツは丸つぶれの状態。
しかし、トルシア伯爵は何も言いません。
「婿殿。甘やかすばかりで躾もなっていない娘ですが末永くお願いいたします」
トルシア伯爵夫妻と、あととりだという令嬢の兄は深く頭を下げます。
夫妻が部屋を出ると兄とフェリックスだけが残ります。
「フェリックス殿。父の言葉は嘘ではありません。どうか、どうか妹を!!」
目の前で頭を下げる兄に、まさか白い結婚で離縁しますのでご安心をとは言えないフェリックス。
「出来るだけの事はします」
何と答えようかと考えあぐねてやっと言葉をつづりました。
☆~☆~☆~☆
招待客が両家で10人もいない結婚式。申し訳なさでいっぱいのフェリックスはヴァージンロードの中間に立ちます。
騎士服の中でも最上の正装でもらった数多くの勲章が肩から胸に揺れています。
真っ白なその装いは目の前の開いた扉から、父のトルシア伯爵に引かれゆっくり歩いてくるご令嬢も同じ。
握った手袋を持つ手に更に力が入ります。
目の前まで来たトルシア伯爵から託され、フェリックスは強く握れば折れるのではないかと思う真っ白なレースの手袋で覆われたご令嬢の手を、剣ダコの出来た手のひらに乗せます。
少し震えているご令嬢の手を包むように握ります。
神父の前まで来ると、少しうつむきがちなご令嬢をチラッと見て正面を向きます。
薄いヴェールに覆われたその表情は見えないけれど、先程の手の震えから緊張しているのだろうと慮ります。
この国の結婚式の形は2つあります。
1つはお互いが誓いの言葉を述べ、キスをします。
フェリックスは騎士であるため、騎士の誓いを花嫁に捧げ、キスをします。花嫁が言葉を発する事はありません。
ステンドグラスから柔らかな光が入ってきます。
神父がフェリックスに向き合います。
「騎士、フェリックス・ハイド・バルブン 誓いを」
カチャリと帯剣したサーベルが音をたて、フェリックスは花嫁の前に片膝をつきます。
「オパール・セナ・トルシア。貴女を私の妻とし、貴女の生涯をこの命と剣に代えても守ります」
騎士の誓いの言葉は、各々が考えるので多種多様ですが、きっとこのご令嬢も自分を好きになる事はない、それだけではなくきっと怖がらせて泣かせてしまうだろうと思うと【愛】という言葉が言えません。
神父もおや?とは思ったのでしょう。ですがフェリックスが立ち上がるとコホンと一つ咳ばらいをします。
「花婿殿、花嫁殿、その愛を紡ぎその愛を確かめ合う事をその唇で女神ソレイユの前に示しなさい」
神父の言葉にお互いが向かい合い、一歩前に出て距離を詰めます。
フェリックスはそっとヴェールを手に取ると、ゆっくりと上げていきます。
ヴェールの向こうに隠れていた令嬢は、白い肌に薄く引かれた赤い口紅がフルルと動きます。
フェリックスの赤い瞳に映る花嫁の薄い黄色の瞳。
その瞳の中に自分が見えます。
「はぐっ‥‥」
少し顔を傾けたオパールに瞬時に心臓を撃ち抜かれたフェリックス。
思わず押さえた鼻から鼻血が噴き出します。
目の前のオパールはフェリックスの好みの顔のど真ん中!
どんなに我儘だろうと!どんなに辛辣な悪女だろうと騎士であるフェリックスは全身で目の前のオパールの全てが欲しい!と震えます。
噴き出した鼻血に驚く神父を片手で制して、鼻血を垂らしながら招待客に向かって叫びます!!
「すまない!やり直す!聞いて欲しい!!」
何事?っと席を立ち、身を乗り出す少ない招待客。
バっとオパールの前に片膝をつくと、さっきの騎士の誓いをやり直し始めます。
その声は先ほどの何十倍とも思える大きく太い声です。
「私は!生涯をかけて!この命をかけて!オパール・セナ・トルシアッ!貴女だけを愛しぬく!この剣が折れようと私の貴女を愛する気持ちが折れる事は絶対にないっ!」
言い終わると、立ち上がり、驚くオパールを抱きしめてブチュ!っと食べちゃうんじゃないかと思うほどのキスをしてしまいます。
苦しくて腕の中で暴れるオパールを更に強く抱きしめ角度を変えて口の中に舌を入れて貪るフェリックス。
唖然とする少ない招待客。腰を抜かす神父。
「愛している!オパール!好きだ!大好きだ!」
やっと口を放したかと思ったら大声で告白を始めるフェリックス。
しかし、顔面血だらけ。オパールの顔もフェリックスの鼻血だらけ。
真っ白なお互いの衣装もさながらスプラッタ状態。
へにゃ・・っとなるオパールをギュゥゥゥっとまた抱きしめたかと思ったら・・。
「ウォォォォ!」
っと雄叫びをあげるフェリックス。
前代未聞の血に染まった結婚式は幕を閉じました。
予想通り、親戚筋には招待状を送ったものの災害への復旧の派遣や、領が災害地となってるものが多く、父の弟である叔父夫妻と母の妹である叔母夫妻のみの招待客。
それも式が終わればすぐに戻らなねばならないと言い、侯爵家のメンツは丸つぶれの状態。
しかし、トルシア伯爵は何も言いません。
「婿殿。甘やかすばかりで躾もなっていない娘ですが末永くお願いいたします」
トルシア伯爵夫妻と、あととりだという令嬢の兄は深く頭を下げます。
夫妻が部屋を出ると兄とフェリックスだけが残ります。
「フェリックス殿。父の言葉は嘘ではありません。どうか、どうか妹を!!」
目の前で頭を下げる兄に、まさか白い結婚で離縁しますのでご安心をとは言えないフェリックス。
「出来るだけの事はします」
何と答えようかと考えあぐねてやっと言葉をつづりました。
☆~☆~☆~☆
招待客が両家で10人もいない結婚式。申し訳なさでいっぱいのフェリックスはヴァージンロードの中間に立ちます。
騎士服の中でも最上の正装でもらった数多くの勲章が肩から胸に揺れています。
真っ白なその装いは目の前の開いた扉から、父のトルシア伯爵に引かれゆっくり歩いてくるご令嬢も同じ。
握った手袋を持つ手に更に力が入ります。
目の前まで来たトルシア伯爵から託され、フェリックスは強く握れば折れるのではないかと思う真っ白なレースの手袋で覆われたご令嬢の手を、剣ダコの出来た手のひらに乗せます。
少し震えているご令嬢の手を包むように握ります。
神父の前まで来ると、少しうつむきがちなご令嬢をチラッと見て正面を向きます。
薄いヴェールに覆われたその表情は見えないけれど、先程の手の震えから緊張しているのだろうと慮ります。
この国の結婚式の形は2つあります。
1つはお互いが誓いの言葉を述べ、キスをします。
フェリックスは騎士であるため、騎士の誓いを花嫁に捧げ、キスをします。花嫁が言葉を発する事はありません。
ステンドグラスから柔らかな光が入ってきます。
神父がフェリックスに向き合います。
「騎士、フェリックス・ハイド・バルブン 誓いを」
カチャリと帯剣したサーベルが音をたて、フェリックスは花嫁の前に片膝をつきます。
「オパール・セナ・トルシア。貴女を私の妻とし、貴女の生涯をこの命と剣に代えても守ります」
騎士の誓いの言葉は、各々が考えるので多種多様ですが、きっとこのご令嬢も自分を好きになる事はない、それだけではなくきっと怖がらせて泣かせてしまうだろうと思うと【愛】という言葉が言えません。
神父もおや?とは思ったのでしょう。ですがフェリックスが立ち上がるとコホンと一つ咳ばらいをします。
「花婿殿、花嫁殿、その愛を紡ぎその愛を確かめ合う事をその唇で女神ソレイユの前に示しなさい」
神父の言葉にお互いが向かい合い、一歩前に出て距離を詰めます。
フェリックスはそっとヴェールを手に取ると、ゆっくりと上げていきます。
ヴェールの向こうに隠れていた令嬢は、白い肌に薄く引かれた赤い口紅がフルルと動きます。
フェリックスの赤い瞳に映る花嫁の薄い黄色の瞳。
その瞳の中に自分が見えます。
「はぐっ‥‥」
少し顔を傾けたオパールに瞬時に心臓を撃ち抜かれたフェリックス。
思わず押さえた鼻から鼻血が噴き出します。
目の前のオパールはフェリックスの好みの顔のど真ん中!
どんなに我儘だろうと!どんなに辛辣な悪女だろうと騎士であるフェリックスは全身で目の前のオパールの全てが欲しい!と震えます。
噴き出した鼻血に驚く神父を片手で制して、鼻血を垂らしながら招待客に向かって叫びます!!
「すまない!やり直す!聞いて欲しい!!」
何事?っと席を立ち、身を乗り出す少ない招待客。
バっとオパールの前に片膝をつくと、さっきの騎士の誓いをやり直し始めます。
その声は先ほどの何十倍とも思える大きく太い声です。
「私は!生涯をかけて!この命をかけて!オパール・セナ・トルシアッ!貴女だけを愛しぬく!この剣が折れようと私の貴女を愛する気持ちが折れる事は絶対にないっ!」
言い終わると、立ち上がり、驚くオパールを抱きしめてブチュ!っと食べちゃうんじゃないかと思うほどのキスをしてしまいます。
苦しくて腕の中で暴れるオパールを更に強く抱きしめ角度を変えて口の中に舌を入れて貪るフェリックス。
唖然とする少ない招待客。腰を抜かす神父。
「愛している!オパール!好きだ!大好きだ!」
やっと口を放したかと思ったら大声で告白を始めるフェリックス。
しかし、顔面血だらけ。オパールの顔もフェリックスの鼻血だらけ。
真っ白なお互いの衣装もさながらスプラッタ状態。
へにゃ・・っとなるオパールをギュゥゥゥっとまた抱きしめたかと思ったら・・。
「ウォォォォ!」
っと雄叫びをあげるフェリックス。
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