騎士団長!!参る!!

cyaru

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他の男に見せるくらいなら!!

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「本日より第二騎士団、団長となったフェリックス・ハイド・バルブンだ。諸君の働きは陛下も御認めくださっている。現在我が国を囲む近隣諸国にはきな臭い動きも…」

大きく太い声で堂々と挨拶をしているフェリックス。
その容貌で敵が逃げ出すんじゃないかと思うような新しい団長に騎士団員が緊張をしていますね。

挨拶が終わりそれぞれの持ち場に動き出す団員達のわきを、フェリックスはゆっくり歩きます。

「バルブン団長、副官を任命致しましたリカチャです。よろしくお願いいたします」
「リカチャ殿。よろしく頼む」

リカチャはイケメンな部類に入る爽やか系の男性。すらりとした肢体に軍服を着用。
伯爵家の三男ですが実力のある騎士です。
難点と言えば、可愛い女の子を口説くのが大好きな所謂…チャラ男と呼ばれております。
仕事はデキるんですけどね。やはり天は二物は与えないようです。

実はこの第二騎士団。元々はこの国の第三王子が所属をしておりました。
王子という肩書があるだけのボンクラ王子で遠征での討伐は適当。
王子を支えるはずの側近も、当時の騎士団長ですら配分される予算を私的流用。
整備されるはずの消耗品も本来使い捨てを二度、三度使わねばならない程の有り様。
剣や槍などの装備品の補修、手入れの予算も団員達には回らず、洪水がある少し前に隣国が越境してきたとの知らせに赴くも、錆びた剣、欠けた槍では太刀打ちできず侵攻を許してしまいました。
※その後第三騎士団により押し戻しておりますけども。

それまでの報告書などは王子の指示の元、改ざんされていた事を知った国王は王子を廃嫡。王族であれば幽閉をされますが、第二騎士団は半数が殉職、残った者も騎士としてはもう生計を立てる事すら出来ないケガをしたものが多かったため地下牢で処刑を致しました。

大幅な団員も含めて再編となった第二騎士団の団長となったのがフェリックス。
攻め入った隣国の兵団を陣頭に立って蹴散らし、領土を取り戻した功績から任命されたのです。

しかし、予算を使い切っただけではなく武具なども質入れをされていた事もありほぼ何もない状態からのスタート。
再編したとはいえ、そこそこ腕の立つ騎士は他に所属をしていて半数は学園の騎士科や騎士養成所からの新人の上、子爵、男爵の次男坊、三男坊が全体の7割を占めている第二騎士団。

「はぁ~」

倉庫の扉を開けたフェリックスとリカチャはため息を吐きます。

「これは…鎖帷子だったものだな」
「これは多分、鞍だったんでしょうか…」

棚には置かれていても、それは過去には【●●だったもの】な状態です。
予算はある程度再編に際して回されましたが、痩せ細った馬の入れ替えとケア、屋根が壊れたままの厩舎の建て直し、新人団員への団服の支給でほとんど残っていません。

「頭の痛い事ばかりだな」

いい加減自分の管轄する侯爵領へ予備の予算も入れての復興中であるフェリックスは厳つい顔を更にしかめます。
申請すれば借り入れを私財から行い、後で返済をしてもらう事も出来るので私財を投入する団長もいますが今のフェリックスにはない袖は振れません。
それがあるくらいなら、もっと豪華に!結婚式をやり直したいくらいですもんね。ね?フェリックス??

「ところで団長はご結婚をされたんですよね」
「あ、あぁ」
「どうです?奥様は?」
「どうとは?」
「いや、どうかなあと思って」
「まぁ‥‥可愛いというか綺麗というか・・・」
「へぇ‥‥惚気るんですね。こりゃ総督が総取りかな」
「どういう意味だ?」
「いえね…団長が結婚するっていう話に皆で賭けをしたんですよ。あ、俺はしてませんよ?話は来ましたけど王命ですし離縁しようにもどっちの家も難しいでしょう?賭けても配当が来るまで長そうでしたから。ほら、これがオッズ表です」

小さく折りたたまれた紙を広げると、そこに書かれていたのは事もあろうかフェリックスとオパールが【いつ離縁するか】の時間別に分けられたオッズ表。

結婚式前日から当日、式後、夜までに、朝、2日目、3日目と最後は半年後。
超大穴とあるのが白い結婚の申し出が出来る2年後です。
しかも「離縁はされない(しない)」ってのは二重線で消されてますよ!!なんてこった!
しかもカッコ書きがしない??もう離縁される事が前提じゃないですか!!

紙をリカチャにピラっと戻します。
激怒するかとおもったリカチャは思わずビクっとしてますね。

「小遣いを増やせ」
「小遣いですか?」
「半年経てば配当が出るんだろう?」
「え、えぇ…最長で、ですが。2年後ってのは誰も賭けてませんしね」
「ならばその二重線でけしたのに賭けろ。そうだな…全財産に屋敷も抵当に入れておけ」
「い、嫌ですよ!一文無しになるじゃないですか」

えーっと…リカチャ。かなり失礼な事を言ってますよ?斬られるよ??
ですがフェリックス、少し耳が赤くなってますね。

「あ~…なるほど!団長、惚れたんですね?」
「ま、まぁ‥‥その話はもうやめよう」
「はいはい。そうかぁ…俺も会ってみたいです」
「誰に?」
「決まってるじゃないですか。団長の奥様ですよ」
「会わせるわけがないだろう。他の男には絶対に見せない」
「それは無理ですよ」

リカチャは反対のポケットからまた折りたたまれた紙を出します。

「ほら、王太子殿下主催の夜会が来月ありますもん」

クワっとその用紙を齧りついて読むフェリックス。
伯爵家以上の当主は夫人同伴で参加の事と書かれた文字に思わず紙をクシャ!

「団長、妬きもちと嫉妬はだめですよ?」
「侯爵を辞するしかないな」
「え?何いってるんです?」
「ダメだ!彼女を他の男の前に出すなんて俺には出来ない!!それなら爵位を返上したほうがましだ!」

女の子をよく口説いていると噂のあるリカチャ。なんとなく気持ちはわかります。
だってリカチャ。口説いている女の子は1人だもんね~。
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