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10年分の愛は語れるか?
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時刻はそろそろ16時半。騎士団の就業時間の定刻は18時です。
「リカチャ!あの時計はゼンマイの巻きが足らんのではないか?」
「え?正常だと思いますよ。ほら、私の時計も同じ時間です」
腕時計を見せながら首を傾げるリカチャですが、フェリックスのイライラは止まりません。
「団長、今日は女の子の日ですか?」
「は?いや…違うと思うが…経験がないな。お前はあるのか?」
「いえ、基本的に男はないと思うんですが、嗜みとして持ってますよ」
ポケットから何の違和感もなくとりだされる女の子用品。
可愛いリスがパッケージされていますが…リカチャ、危なくね?
「嗜み?そうなのか?」
「そりゃそうですよ。好きな子の周期を知っていれば危険日狙えるでしょう?」
「危険日?なんだそれは。女性が暴れるのか?」
そこに新しいキャラ登場!!フェリックスのもう一人の副官であるピョエ―ル。
こちらも大変見目麗しいなかなかの美丈夫。
足を向けた先には花道が出来、歩いた後にはご令嬢が腰を抜かしていると言われるほど。
どうして団長はイケてないなのに副官は…。
人選がどうなのか人事院に確認をせねばなりませんね。
「リカチャ、団長を揶揄うものではありませんよ」
「揶揄われていたのか…」
「違いますよ。レクチャーしていたんです。女性のね」
「ピョエ―ル、その手の書類はなんだ?」
「近衛から回ってきた案件です」
「近衛から?なぜ近衛が第二に案件を回すのだ?」
「王太子殿下の計らいですよ。遠くに遠征や討伐に行かせたら夜会にご夫人を連れて来られないからでしょう」
どうやら王太子殿下は外堀から埋める作戦にでたようですね。
確かに王都から離れた位置にいれば出席はできません。オパールだけ出席は可能ですが田舎の領から出てきて初めての夜会。しかも侯爵夫人となって初めての夜会に夫と来ないなどあり得ません。
しかし、この書類が曲者だったと知るのは1時間後です。
近衛からなら王宮関係なので処理も早く終わるだろうと思っていたら!!
「なんだこれは!どれもこれも明日の朝イチに文官に回さねばならんではないか!」
「いいじゃないですか。食堂に行って夜食頼んできましょうか?」
「いらん!夜食などいらん!」
おや?と首を傾げるピョエ―ル(@もともと第三騎士団所属で入隊時からフェリックスの同期)
第三騎士団にいた頃は、徹夜もなんのその書類をバリバリと片づけていたフェリックス。
食堂のオバちゃん達からは、気持ちの良すぎる食いっぷりで人気絶大。
騎士団の夜食と言えばオクトパスボール。それが大好きで進んで残業をしていた男が何故??
勿論ピョエ―ルだってフェリックスがご令嬢から避けられていた事は知っています。
女性に囲まれて動けなくなった時、フェリックスをチョイチョイと手招きするとモーゼの十戒のようにご令嬢がさーっと引いて行くのは日常茶飯事。
彼氏が欲しいというご令嬢に紹介するため高級レストランの個室をセッティングしたまでは良かったけれど、やって来たご令嬢はフェリックスを見るなり「ここはもしや猛獣の檻?」と逃げ出してしまった事も。
女嫌いになるのも無理はないと思いつつも、とても良いやつなのになぁと常日頃から思っているピョエ―ル。
しかし、結婚したという事は人づてに聞いてはいるし、フェリックスから【結婚したよ】という知らせも届いていますが屋敷においでとは言われないので、新婚早々から不遇なんだろうとなと勝手に思っております。
しかし目の前には必死で終業時間チンで帰ろうとしている男がいます。
「くそっ!ピョエ―ル!手伝ってくれあと15分しかない!」
「どうしたんだい?第三の時みたいに夜食を食べてゆっくりやろうよ」
「ダメだ!約束したんだ!」
「約束?誰と?」
「グッ…あと3案か!!あぁ、早く帰るとオパールと約束したんだ」
「オパール??」
ジャキン!!
「うわっ!危なっ!」
突然目の前に現れたよく研ぎ澄まされた剣先。キラッ☆
「ピョエ―ル。お前とは同期だが、妻の名を口にする事は許さんッ」
「待って、どうしてだい?」
「オパールの名を口にする男は生かしておけない」
「わ、わかった。口にしない。約束する。だから剣をしまってくれ」
しかし、剣を突き付けたままちっとも剣を仕舞う様子がないフェリックス。
「本当だな?」
「あ、あぁ本当だ。約束する」
「ならばその紙に、2度と口にしないと書いて血判を押せ」
「そ、そこまでするのか?」
「だ、団長ダメです!剣を仕舞ってください!!」
「お前もなのか?リカチャ‥‥残念だ」
「うわっ!何が残念なんですか!僕何も言ってませんよ」
仕方なく剣を仕舞うフェリックス。また残りの書類に向き合います。
本気のフェリックスの迫力に押されたピョエ―ルですが、長年の付き合いです。
「そんなに可愛い人なのかい」
「可愛い‥‥あぁ…(ぽっ)」
「それはよかった。で、オ‥‥‥くがたはどんな人?」
「それは‥‥一言でいえば女神だな‥‥いや一言で言えるほどではない。なんというか全てを包み込んでくれるんだ。聞いてくれ。俺は生まれて初めて膝枕をしてもらって耳掃除もしてもらったんだ。フゥと息を吹きかけてくるあの唇…どれほど貪りたかったか…それに軽食を食べている俺の頬についているといって細くしなやかな指でケチャップを取ってくれたんだ。俺は思わずその指を…」
「待て!待て!ストップ!」
「どうした?聞きたいんじゃなかったのか?オパールの事なら今から10年分は語って聞かせられるぞ?」
「判った。そのうち聞くよ。で?いいのかい?もう18時だけど」
壁掛け時計を確認すると、残りの書類へ大急ぎで目を通しバタバタと帰っていくフェリックス。
やっと友人にも本当の春が来たんだなぁと感慨深いピョエ―ル。
ですがふと思います。
「10年分は語れる??結婚してまだ1か月じゃないのか??」
ピョエ―ル!その通りです!
「リカチャ!あの時計はゼンマイの巻きが足らんのではないか?」
「え?正常だと思いますよ。ほら、私の時計も同じ時間です」
腕時計を見せながら首を傾げるリカチャですが、フェリックスのイライラは止まりません。
「団長、今日は女の子の日ですか?」
「は?いや…違うと思うが…経験がないな。お前はあるのか?」
「いえ、基本的に男はないと思うんですが、嗜みとして持ってますよ」
ポケットから何の違和感もなくとりだされる女の子用品。
可愛いリスがパッケージされていますが…リカチャ、危なくね?
「嗜み?そうなのか?」
「そりゃそうですよ。好きな子の周期を知っていれば危険日狙えるでしょう?」
「危険日?なんだそれは。女性が暴れるのか?」
そこに新しいキャラ登場!!フェリックスのもう一人の副官であるピョエ―ル。
こちらも大変見目麗しいなかなかの美丈夫。
足を向けた先には花道が出来、歩いた後にはご令嬢が腰を抜かしていると言われるほど。
どうして団長はイケてないなのに副官は…。
人選がどうなのか人事院に確認をせねばなりませんね。
「リカチャ、団長を揶揄うものではありませんよ」
「揶揄われていたのか…」
「違いますよ。レクチャーしていたんです。女性のね」
「ピョエ―ル、その手の書類はなんだ?」
「近衛から回ってきた案件です」
「近衛から?なぜ近衛が第二に案件を回すのだ?」
「王太子殿下の計らいですよ。遠くに遠征や討伐に行かせたら夜会にご夫人を連れて来られないからでしょう」
どうやら王太子殿下は外堀から埋める作戦にでたようですね。
確かに王都から離れた位置にいれば出席はできません。オパールだけ出席は可能ですが田舎の領から出てきて初めての夜会。しかも侯爵夫人となって初めての夜会に夫と来ないなどあり得ません。
しかし、この書類が曲者だったと知るのは1時間後です。
近衛からなら王宮関係なので処理も早く終わるだろうと思っていたら!!
「なんだこれは!どれもこれも明日の朝イチに文官に回さねばならんではないか!」
「いいじゃないですか。食堂に行って夜食頼んできましょうか?」
「いらん!夜食などいらん!」
おや?と首を傾げるピョエ―ル(@もともと第三騎士団所属で入隊時からフェリックスの同期)
第三騎士団にいた頃は、徹夜もなんのその書類をバリバリと片づけていたフェリックス。
食堂のオバちゃん達からは、気持ちの良すぎる食いっぷりで人気絶大。
騎士団の夜食と言えばオクトパスボール。それが大好きで進んで残業をしていた男が何故??
勿論ピョエ―ルだってフェリックスがご令嬢から避けられていた事は知っています。
女性に囲まれて動けなくなった時、フェリックスをチョイチョイと手招きするとモーゼの十戒のようにご令嬢がさーっと引いて行くのは日常茶飯事。
彼氏が欲しいというご令嬢に紹介するため高級レストランの個室をセッティングしたまでは良かったけれど、やって来たご令嬢はフェリックスを見るなり「ここはもしや猛獣の檻?」と逃げ出してしまった事も。
女嫌いになるのも無理はないと思いつつも、とても良いやつなのになぁと常日頃から思っているピョエ―ル。
しかし、結婚したという事は人づてに聞いてはいるし、フェリックスから【結婚したよ】という知らせも届いていますが屋敷においでとは言われないので、新婚早々から不遇なんだろうとなと勝手に思っております。
しかし目の前には必死で終業時間チンで帰ろうとしている男がいます。
「くそっ!ピョエ―ル!手伝ってくれあと15分しかない!」
「どうしたんだい?第三の時みたいに夜食を食べてゆっくりやろうよ」
「ダメだ!約束したんだ!」
「約束?誰と?」
「グッ…あと3案か!!あぁ、早く帰るとオパールと約束したんだ」
「オパール??」
ジャキン!!
「うわっ!危なっ!」
突然目の前に現れたよく研ぎ澄まされた剣先。キラッ☆
「ピョエ―ル。お前とは同期だが、妻の名を口にする事は許さんッ」
「待って、どうしてだい?」
「オパールの名を口にする男は生かしておけない」
「わ、わかった。口にしない。約束する。だから剣をしまってくれ」
しかし、剣を突き付けたままちっとも剣を仕舞う様子がないフェリックス。
「本当だな?」
「あ、あぁ本当だ。約束する」
「ならばその紙に、2度と口にしないと書いて血判を押せ」
「そ、そこまでするのか?」
「だ、団長ダメです!剣を仕舞ってください!!」
「お前もなのか?リカチャ‥‥残念だ」
「うわっ!何が残念なんですか!僕何も言ってませんよ」
仕方なく剣を仕舞うフェリックス。また残りの書類に向き合います。
本気のフェリックスの迫力に押されたピョエ―ルですが、長年の付き合いです。
「そんなに可愛い人なのかい」
「可愛い‥‥あぁ…(ぽっ)」
「それはよかった。で、オ‥‥‥くがたはどんな人?」
「それは‥‥一言でいえば女神だな‥‥いや一言で言えるほどではない。なんというか全てを包み込んでくれるんだ。聞いてくれ。俺は生まれて初めて膝枕をしてもらって耳掃除もしてもらったんだ。フゥと息を吹きかけてくるあの唇…どれほど貪りたかったか…それに軽食を食べている俺の頬についているといって細くしなやかな指でケチャップを取ってくれたんだ。俺は思わずその指を…」
「待て!待て!ストップ!」
「どうした?聞きたいんじゃなかったのか?オパールの事なら今から10年分は語って聞かせられるぞ?」
「判った。そのうち聞くよ。で?いいのかい?もう18時だけど」
壁掛け時計を確認すると、残りの書類へ大急ぎで目を通しバタバタと帰っていくフェリックス。
やっと友人にも本当の春が来たんだなぁと感慨深いピョエ―ル。
ですがふと思います。
「10年分は語れる??結婚してまだ1か月じゃないのか??」
ピョエ―ル!その通りです!
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