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アブレド国と結婚式の準備
「うーん…これはどうなってるのでしょう」
家令のサイモンさんに教えて頂きながら、初めて届けられた報告書に目を通しております。
移行はまだしておりませんので、何故届けられたのか判らない所も御座います。
配分方法についての質疑応答なのかと思ったのですが報告書なのです。
「これはニレイナ夫人宛ではなくて?」
「そのニレイナ様が一旦目を通された後、エルシー様にと」
書いている意味は解るのですが、首を傾げておりますとクリス様がやって来たのです。
ご自分の執務をさっさと終わらせると、わたくしの執務室にやって来るのです。
「エル、疲れているんじゃないか?」
「いえ、まだ全然。開始1時間ですので疲労は感じておりません」
「いや、きっと疲れている。顔に【俺不足】のサインが出ている」
――俺不足って…不足どころか余ってますけども――
「ほら!ここにおいで。執務椅子は座り心地が良くない」
「この椅子が良いとクリス様がイチオシだった椅子で御座いますよ?」
「違う。それは2番目だ。一番は俺の膝の上だ」
――一番座り心地に問題があるの間違いでは?――
「困った顔も可愛いなぁ、でも笑って欲しいよなぁ」
「はいはい。(にこーっ)」
「にゃはっ!いいねぇ。いいねぇ。出来れば目も笑うともっと良いかな」
――バレてしまいましたか――
「で?俺のエルを困らせていたのはなんだ?」
「困っていたわけではないのですが、どうしたものかと」
「俺が見ても大丈夫そうか?」
「大丈夫です。何と言いますか‥‥」
「エルを困らせる者は俺が排除しなければならないからな。どれどれ~」
――真っ先にご自分と思わない所が不思議ですわ――
パラリと表紙を捲ると、指で字を追いながらゆっくりと読まれております。
わたくしはサイモンさんにお茶をお願いして、ソファの向かいに座ろうとしたのですが、何故かサイモンさんまでクリス様の隣にと誘うのです。
「ふーん…ん?♡んふっ…」
――頬をムニムニしないでくださいませ!――
隣に座ると片手を肩に回して来られますので、パン!と弾きますが、ガバっと今度は体を引き寄せられてしまいます。わたくしの髪をクンクン匂いを嗅がれたり、そんな事をされながらも目で文字を追われております。
「なるほど」
「わかりました?」
「エルが可愛いという事は判った」
「そんな事は、この数枚ある書類に1行たりとも書かれておりません」
「俺の脳内には刻まれている」
――誰が!いつ!刻んだのです!そんな文字は切り刻んでさしあげます――
書類には、アブレド国はアンファン国王陛下が退位され、第一王子だったレイファン殿下が即位。第二王子のウィファン殿下が王弟殿下となられ、ご高齢のタンバラー元伯爵をご意見番に置いて【貴族の洗濯】をされているとあります。
「クリス様、ここは貴族の洗濯ではなく選択かなと思うのです」
「いや、洗濯でいいんだ。汚れを落として絞り上げ干す。女の趣味は政略だから仕方ないがレイファンは割にしっかりしてるからな。ウィファンとやるならかなり汚れも落ちるんじゃないか?」
「ですが、あまり名は聞かなかったですけどね」
「アンファン前国王が狡猾だったからな。何処にでもいるだろう?えぇカッコしぃというやつだ。力のある貴族に忖度する代わりに政権を維持する。両方が旨い汁が吸えるから倒れそうで倒れない。しっかりしていればベルファンがやらかした時に手を打ってるはずだ。ま、ベルファンは末っ子でただ可愛がっていたからな」
「え?そんな事は初めて聞いたのですけど?」
「あ~…俺の可愛いエルに汚い大人の話は聞かせたくないな」
「前者はどうでもいいので。何かあったのですか?」
「瞳の色だよ。上の2人は王妃、ベルファンだけがアンファン前国王と同じ色。上の2人が生まれた時は瞳の色以外は自分にそっくりなのに王妃の不貞行為を疑っていたほどだ。自分が色んな女と遊んでるから、王妃の事も疑ったんだろ」
「知っている陛下とは全く違うのですね」
「そりゃ国民に女にだらしなくて、執務しながら酒飲んでますなんて言えないからな。その女と酒、時に賭博を与えてた貴族に優遇してたら国王なんてやめられない職業NO1だろう」
「ですが、あの王子妃様はどうされるんでしょう」
「離縁はしないだろう。遠くまで景色の見える見晴らしの良い部屋に引っ越しだろうけど。まぁ、2人とも子供はいるから問題ないんだろうな。ところでエルは子供は何人欲しい?」
「そうですねぇ…って何を言わせる気ですの!?」
「楽しい家族計画?俺は何人でも良いんだが、出産は女性の体には負担もあるからな」
「お母様は3人産んでますので、3人でもいいかなとは思いますよ?」
「3人か…1人3年として…7、8年か…長いな」
「何がです?トマフィー国の成人は17歳でしょう?」
「いや、子供にエルが取られるの嫌だなと思って。親離れするのに何年かかるかなと」
――我が子なので100年でも構わないです――
「エルに払うと言ってた金で基金を作ったとあるな」
そうなのです。レオパス基金と名を付けて本来支払うはずだった慰謝料を低所得者に貸し付けをして、利息の代りに職業訓練を行い、就業しやすい環境を作っているようです。
他にも一定所得に達しない家庭の子供には15歳になるまで何度でもお医者様に診察をしてもらえ、お薬も処方して頂けるのだとか。その為の医師や看護師さんをルレイザ国とトマフィー国に派遣を依頼し、依頼料として分水の12分の1ずつを2国への支払いに充てるとあります。
「兄上もルレイザ国王も了承してるんだからいいんじゃないのか。10年も経てばアブレド国に訪問してもいいんじゃないのか?きっと2人の王子…いやもう国王と王弟か。見て欲しいと思うんじゃないか?」
「これは、こんな風にしますよって受け取っていいんでしょうか」
「エルの思うままに。反対する奴がいれば俺が黙らせてやるよ。そんな事より結婚式のドレスを早く決めろ。全員のプランを着替える時間はないから、4日も5日も結婚式をする事になるぞ。まぁ俺はその分目の保養が出来るから問題はないが」
そうなのです。クリス様のお母様、王妃のクラーラ様、ニレイナ夫人、王太后様それぞれがわたくしのウェディングドレスをデザインされているのですが、古式に則ったドレスをっとジゼルさんからも1着押されているドレスがあるのです。
お兄様はレセラ様のご懐妊がございますし、シグマもアニーさんが実は再婚と言う事もあって式は行わず書類だけ提出したのです。お父様には簡易でも式を挙げて頂く予定なのですが、問題はわたくしです。
クリス様は王弟殿下と言う事もあって流石に書類だけというわけにも参りません。
わたくしも大教会からかなり盛大な式次第を手渡されております。
「みんな、分けてくれるといいのにな」
「分けるとは?」
「ん?ほら、母上が袖で、妃殿下が胴体で、ニレイナ夫人がドレスのバーっと広がったところで、婆様がヴェールとかさ。ジゼルも靴とかブーケとか小物ってそれぞれで分けてくれればさ」
「あ…、あ‥‥」
「どうした?エル?おい、どうした?!」
「あー!!!」
「どうした?!あ、俺の分担がないな。俺は愛を注ぐって事で」
――それはどうでもいいですわ!――
わたくし、思いついたかもしれません!
家令のサイモンさんに教えて頂きながら、初めて届けられた報告書に目を通しております。
移行はまだしておりませんので、何故届けられたのか判らない所も御座います。
配分方法についての質疑応答なのかと思ったのですが報告書なのです。
「これはニレイナ夫人宛ではなくて?」
「そのニレイナ様が一旦目を通された後、エルシー様にと」
書いている意味は解るのですが、首を傾げておりますとクリス様がやって来たのです。
ご自分の執務をさっさと終わらせると、わたくしの執務室にやって来るのです。
「エル、疲れているんじゃないか?」
「いえ、まだ全然。開始1時間ですので疲労は感じておりません」
「いや、きっと疲れている。顔に【俺不足】のサインが出ている」
――俺不足って…不足どころか余ってますけども――
「ほら!ここにおいで。執務椅子は座り心地が良くない」
「この椅子が良いとクリス様がイチオシだった椅子で御座いますよ?」
「違う。それは2番目だ。一番は俺の膝の上だ」
――一番座り心地に問題があるの間違いでは?――
「困った顔も可愛いなぁ、でも笑って欲しいよなぁ」
「はいはい。(にこーっ)」
「にゃはっ!いいねぇ。いいねぇ。出来れば目も笑うともっと良いかな」
――バレてしまいましたか――
「で?俺のエルを困らせていたのはなんだ?」
「困っていたわけではないのですが、どうしたものかと」
「俺が見ても大丈夫そうか?」
「大丈夫です。何と言いますか‥‥」
「エルを困らせる者は俺が排除しなければならないからな。どれどれ~」
――真っ先にご自分と思わない所が不思議ですわ――
パラリと表紙を捲ると、指で字を追いながらゆっくりと読まれております。
わたくしはサイモンさんにお茶をお願いして、ソファの向かいに座ろうとしたのですが、何故かサイモンさんまでクリス様の隣にと誘うのです。
「ふーん…ん?♡んふっ…」
――頬をムニムニしないでくださいませ!――
隣に座ると片手を肩に回して来られますので、パン!と弾きますが、ガバっと今度は体を引き寄せられてしまいます。わたくしの髪をクンクン匂いを嗅がれたり、そんな事をされながらも目で文字を追われております。
「なるほど」
「わかりました?」
「エルが可愛いという事は判った」
「そんな事は、この数枚ある書類に1行たりとも書かれておりません」
「俺の脳内には刻まれている」
――誰が!いつ!刻んだのです!そんな文字は切り刻んでさしあげます――
書類には、アブレド国はアンファン国王陛下が退位され、第一王子だったレイファン殿下が即位。第二王子のウィファン殿下が王弟殿下となられ、ご高齢のタンバラー元伯爵をご意見番に置いて【貴族の洗濯】をされているとあります。
「クリス様、ここは貴族の洗濯ではなく選択かなと思うのです」
「いや、洗濯でいいんだ。汚れを落として絞り上げ干す。女の趣味は政略だから仕方ないがレイファンは割にしっかりしてるからな。ウィファンとやるならかなり汚れも落ちるんじゃないか?」
「ですが、あまり名は聞かなかったですけどね」
「アンファン前国王が狡猾だったからな。何処にでもいるだろう?えぇカッコしぃというやつだ。力のある貴族に忖度する代わりに政権を維持する。両方が旨い汁が吸えるから倒れそうで倒れない。しっかりしていればベルファンがやらかした時に手を打ってるはずだ。ま、ベルファンは末っ子でただ可愛がっていたからな」
「え?そんな事は初めて聞いたのですけど?」
「あ~…俺の可愛いエルに汚い大人の話は聞かせたくないな」
「前者はどうでもいいので。何かあったのですか?」
「瞳の色だよ。上の2人は王妃、ベルファンだけがアンファン前国王と同じ色。上の2人が生まれた時は瞳の色以外は自分にそっくりなのに王妃の不貞行為を疑っていたほどだ。自分が色んな女と遊んでるから、王妃の事も疑ったんだろ」
「知っている陛下とは全く違うのですね」
「そりゃ国民に女にだらしなくて、執務しながら酒飲んでますなんて言えないからな。その女と酒、時に賭博を与えてた貴族に優遇してたら国王なんてやめられない職業NO1だろう」
「ですが、あの王子妃様はどうされるんでしょう」
「離縁はしないだろう。遠くまで景色の見える見晴らしの良い部屋に引っ越しだろうけど。まぁ、2人とも子供はいるから問題ないんだろうな。ところでエルは子供は何人欲しい?」
「そうですねぇ…って何を言わせる気ですの!?」
「楽しい家族計画?俺は何人でも良いんだが、出産は女性の体には負担もあるからな」
「お母様は3人産んでますので、3人でもいいかなとは思いますよ?」
「3人か…1人3年として…7、8年か…長いな」
「何がです?トマフィー国の成人は17歳でしょう?」
「いや、子供にエルが取られるの嫌だなと思って。親離れするのに何年かかるかなと」
――我が子なので100年でも構わないです――
「エルに払うと言ってた金で基金を作ったとあるな」
そうなのです。レオパス基金と名を付けて本来支払うはずだった慰謝料を低所得者に貸し付けをして、利息の代りに職業訓練を行い、就業しやすい環境を作っているようです。
他にも一定所得に達しない家庭の子供には15歳になるまで何度でもお医者様に診察をしてもらえ、お薬も処方して頂けるのだとか。その為の医師や看護師さんをルレイザ国とトマフィー国に派遣を依頼し、依頼料として分水の12分の1ずつを2国への支払いに充てるとあります。
「兄上もルレイザ国王も了承してるんだからいいんじゃないのか。10年も経てばアブレド国に訪問してもいいんじゃないのか?きっと2人の王子…いやもう国王と王弟か。見て欲しいと思うんじゃないか?」
「これは、こんな風にしますよって受け取っていいんでしょうか」
「エルの思うままに。反対する奴がいれば俺が黙らせてやるよ。そんな事より結婚式のドレスを早く決めろ。全員のプランを着替える時間はないから、4日も5日も結婚式をする事になるぞ。まぁ俺はその分目の保養が出来るから問題はないが」
そうなのです。クリス様のお母様、王妃のクラーラ様、ニレイナ夫人、王太后様それぞれがわたくしのウェディングドレスをデザインされているのですが、古式に則ったドレスをっとジゼルさんからも1着押されているドレスがあるのです。
お兄様はレセラ様のご懐妊がございますし、シグマもアニーさんが実は再婚と言う事もあって式は行わず書類だけ提出したのです。お父様には簡易でも式を挙げて頂く予定なのですが、問題はわたくしです。
クリス様は王弟殿下と言う事もあって流石に書類だけというわけにも参りません。
わたくしも大教会からかなり盛大な式次第を手渡されております。
「みんな、分けてくれるといいのにな」
「分けるとは?」
「ん?ほら、母上が袖で、妃殿下が胴体で、ニレイナ夫人がドレスのバーっと広がったところで、婆様がヴェールとかさ。ジゼルも靴とかブーケとか小物ってそれぞれで分けてくれればさ」
「あ…、あ‥‥」
「どうした?エル?おい、どうした?!」
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