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第03話 小切手を拾ったら求婚された
アリアの頬を伝う涙も乾いたころ到着した貴族院の前ではちょっとした騒ぎが起きていた。
なんでも今日、婚姻の届けを出すはずなのに相手が来ない、いや正確には来ているのだが来たのは僅かばかりの迷惑料の小切手を持った従者で「話が違う」と言い合いになっていた。
「で、ですから私は主から伝言を頼まれただけなんです。文句は主に言っていただかないと」
「勿論だ。正式に抗議させてもらう。だが婚姻は貴族同士家と家の取り決めだろう!それをこんな紙切れで済まそうだなどと失礼にもほどと言うものがあるだろうが!」
「ですから!それをただの使いである私に言われても困ります」
不毛な言い合いを続けていれば、足を止める野次馬が集まり始める。
貴族院の表玄関なので公園の噴水広場ほどではないにしても、道行く人の興味を掻き立てていた。
「とにかく!これは主から貴方に必ず渡せと言われたものです!」
従者は男性の胸ポケットに小切手を捻じ込むと「ほんと!勘弁してくれよ」と言いながら男性を突き飛ばし距離を取った。
突き飛ばされた男性は転びこそしなかったが、後ろに数歩下がる格好になった隙に従者はその場から駆け出しあっという間に見えなくなった。
「マジかよ。もう日がないってのに…なんてこった」
ぽつりと呟いた男性は「はぁー」大きくため息をついて周囲を見回すも集まっていた野次馬は目が合いそうになると顔を背けた。
男性の着ている服は平民がちょっといい感じの服を着た程度で、貴族だとしても低位貴族確定。手も顔も煤で汚れていて「そりゃ土壇場であっても逃げるだろ」と思わせるに十分だった。
野次馬が散り始めると胸ポケットに捻じ込まれたが半分も入りきらなかった小切手がひらりと落ちて風に乗りアリアの足元に舞って落ちた。
事情は知らないが、一応は小切手。
関係の人が拾って金融商会で換金も出来てしまうのでアリアは拾い上げて男性に戻そうと差し出した。
「落ちましたよ」
「・・・・」
「あの、これ。落ちましたよ」
「あんた…貴族か?」
「は?」
「あんただよ。貴族か?結婚してんのか?してないなら結婚してくれないか!」
いきなりガッと両肩を掴まれて体が前後に揺すられたアリアは目がぐるぐると回る。
祖母が亡くなる数日前から寝ずの看病で看取ってからは冬場だとは言え早くに葬儀を行い埋葬をせねば死者特有の腐臭が漂ってしまう。
直近10日は仮眠すら取ったか取らなかったか。
済ませることは早くに済ませようと埋葬した墓地から歩いた途中で最愛だった男と信じていた友人の裏切りを知っての今。全てが限界だった。
「キュゥゥゥ・・・・」
「おいっ!おいっ!寝るな!目を覚ませ!おいっ!」
耳元で怒鳴る男性の声もアリアの耳には遠くの空で稲光を放つ遠雷にしか聞こえない。
ハッと男性が周囲を見れば「何やってんだ」「女の子相手に酷いな」と非難囂々の目。
仕方なくアリアを横抱きにした男性は貴族院の大玄関前の階段を駆け下りるが、降りた先で「何処にいたんだ?」と思わせる豪奢な馬車がやってきた。
扉が開くと最新式の馬車だとすぐにわかる。
最新式は馬車に乗り込むステップが扉を開くと同時に出てきて、扉が閉じるとステップも格納される。
その場にいた誰もが男性は没落貴族か、それとも金のない家の出で金持ちの令嬢との結婚を夢見たが直前で夢破れたと思っていただけに余りのギャップに目を見開いた。
なんでも今日、婚姻の届けを出すはずなのに相手が来ない、いや正確には来ているのだが来たのは僅かばかりの迷惑料の小切手を持った従者で「話が違う」と言い合いになっていた。
「で、ですから私は主から伝言を頼まれただけなんです。文句は主に言っていただかないと」
「勿論だ。正式に抗議させてもらう。だが婚姻は貴族同士家と家の取り決めだろう!それをこんな紙切れで済まそうだなどと失礼にもほどと言うものがあるだろうが!」
「ですから!それをただの使いである私に言われても困ります」
不毛な言い合いを続けていれば、足を止める野次馬が集まり始める。
貴族院の表玄関なので公園の噴水広場ほどではないにしても、道行く人の興味を掻き立てていた。
「とにかく!これは主から貴方に必ず渡せと言われたものです!」
従者は男性の胸ポケットに小切手を捻じ込むと「ほんと!勘弁してくれよ」と言いながら男性を突き飛ばし距離を取った。
突き飛ばされた男性は転びこそしなかったが、後ろに数歩下がる格好になった隙に従者はその場から駆け出しあっという間に見えなくなった。
「マジかよ。もう日がないってのに…なんてこった」
ぽつりと呟いた男性は「はぁー」大きくため息をついて周囲を見回すも集まっていた野次馬は目が合いそうになると顔を背けた。
男性の着ている服は平民がちょっといい感じの服を着た程度で、貴族だとしても低位貴族確定。手も顔も煤で汚れていて「そりゃ土壇場であっても逃げるだろ」と思わせるに十分だった。
野次馬が散り始めると胸ポケットに捻じ込まれたが半分も入りきらなかった小切手がひらりと落ちて風に乗りアリアの足元に舞って落ちた。
事情は知らないが、一応は小切手。
関係の人が拾って金融商会で換金も出来てしまうのでアリアは拾い上げて男性に戻そうと差し出した。
「落ちましたよ」
「・・・・」
「あの、これ。落ちましたよ」
「あんた…貴族か?」
「は?」
「あんただよ。貴族か?結婚してんのか?してないなら結婚してくれないか!」
いきなりガッと両肩を掴まれて体が前後に揺すられたアリアは目がぐるぐると回る。
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直近10日は仮眠すら取ったか取らなかったか。
済ませることは早くに済ませようと埋葬した墓地から歩いた途中で最愛だった男と信じていた友人の裏切りを知っての今。全てが限界だった。
「キュゥゥゥ・・・・」
「おいっ!おいっ!寝るな!目を覚ませ!おいっ!」
耳元で怒鳴る男性の声もアリアの耳には遠くの空で稲光を放つ遠雷にしか聞こえない。
ハッと男性が周囲を見れば「何やってんだ」「女の子相手に酷いな」と非難囂々の目。
仕方なくアリアを横抱きにした男性は貴族院の大玄関前の階段を駆け下りるが、降りた先で「何処にいたんだ?」と思わせる豪奢な馬車がやってきた。
扉が開くと最新式の馬車だとすぐにわかる。
最新式は馬車に乗り込むステップが扉を開くと同時に出てきて、扉が閉じるとステップも格納される。
その場にいた誰もが男性は没落貴族か、それとも金のない家の出で金持ちの令嬢との結婚を夢見たが直前で夢破れたと思っていただけに余りのギャップに目を見開いた。
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