小切手を拾っただけなのに~それは侯爵子息の溺愛の始まりでした~

cyaru

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第14話  話が違う

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両親のもとに辿り着いたデリスは開口一番詰られた。

「ちょっと!デリス。話が違うじゃないの!」
「なにがよ!」
「みんな言ってるわよ?アリアと婿はきちんと別れてるの?」
「と、と、とっくの昔に別れてるわよ!」
「でも家具屋の店主が来てアリアがダリオンの分も立て替えてお前の祝いを買ったそうじゃないか」
「何か月も前なら判るけど、結婚の祝いよ?結婚が決まってからも別れてなかったってことでしょう?」

デリスは失敗したと唇を嚙んだ。

実のところ、デリスとダリオンは結婚をしてからもアリアを馬鹿にしようと考えていたこともあって、アリアには恋人関係のままだと思い込んでいてもらおうと計画をしていた。

少し考えればテーブルセットなんてアリアの所持金では王家御用達の店で買えるはずもないので近場で配達もしてくれる店を利用する。

家具屋の店主からバレるなんてデリスにしてみれば「抜かった!」と綻びがあったと認めるしかない。

さらに不味い事にはその話をした時もご近所さんがいたので一気に場が祝いムードから嘲笑の場に切り替わってしまっていたことだった。

不貞や浮気、間男に間女という言葉があるので結婚後も皆が皆、身奇麗で清廉潔白ではないけれど「やるなら秘密は墓まで持っていけ」と言われているので隠し通せないのなら笑い者になってしまう。

結婚してまだ3日なのにもうケチが付いてしまって、両親はデリスに「どういう事だ」と詰め寄ってきた。

「か、家具屋は誤解があるのよ!ダリオンも使うテーブルだし…ほら!聞き間違ったのよ。あの店主、耳が遠いし」

苦し紛れの言い訳をするも両親の表情は柔らかくならない。

「だったら騎士団の人間が早々に帰ったのはどういうことだ」
「それは・・・・何か用事があったんじゃないの?」
「用事があるなら最初から出席などせんだろう!」
「そんなのアタシに言われたって判らないわよ。ダリオンの親に聞けばいいでしょ」

ダリオンの両親がいるであろう方向をビシっと指さしたデリスだったが、その方向には近所の主婦同様に料理を持ち帰ろうとテーブルの皿から容器に移し替えているダリオンの家のご近所さんしかいなかった。

ダリオンは友人たちと騒いでいるのに、ダリオンの両親は騎士団が早々に引き上げたあと直ぐに「妻の具合が悪い」と引き上げてしまっていた。

「うちだけに押し付けて!なんて家だ!デリス、このことは家に戻ったら2人に説明をしてもらうぞ」

デリスの父親はそう言い残すと場を取り繕うために母親と共に事情を知らない者たちのいるテーブルに明るい声を出しながら去ってしまった。

そうしないとまだまだ時間はあるし、本当ならこれからの時間が「宴もたけなわ」な時間になるはず。ここでお開きですと客を帰らせることは出来なかったので無理やりにでも場を繋がねばならないからだ。

(なんで?なんでよ!こんなのアリアが説明すれば済むことじゃない!)

デリスは顔を上げ、会場でアリアを探したが、すぐにやめた。
誘っていないのだから来ているはずがない。

もしアリアが来ていたらそれこそもっと早くに場は酷いことになっていただろう。

(もう!こんな時に友達相手に馬鹿笑いしてる場合じゃないでしょ!)

デリスの怒りの矛先はダリオンに向かった。

責任の一端はダリオンにもあるしパーティが終わった後は両親に一緒に説明してもらわねばならない。そのためには今からでも口裏を合わせておく必要があってデリスはダリオンのいる場に向かった。

近づくと下品な会話に周囲の大人がドン引きしているのがヒシヒシと伝わってくる。


「こういっちゃなんだがアリアと比べてどうなんだよ?」
「アリアァ?ダメダメ。アイツは堅物でさ、そういう雰囲気になっても ”結婚してからよッ” なんだぜ?萎えるっつぅの」
「でもよ?初日と2日目はどうよ?デリスも初夜には思い入れあっただろ?」
「ないない。特別感なんて全然ねぇよ」
「結婚前からだもんな。閨事はこの日のために取っておくもんだって言うのにさ」
「仕方ないだろ?挿れてくれって股開いて誘ってくるんだからさ」

酔っぱらって出来上がってしまい身振り手振りを加えて雄弁に語るダリオンを見てデリスの気持ちがサーっと萎えた。
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