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第21話 長靴王国のお酒
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水筒の水で足りる訳もなく、少し進んだ先にブドウから搾ったワインを詰める樽を洗うのに使っている沢の水があると言い、無理やりアリアを馬車に押し込むとエルフィンは馬車を走らせた。
まだ洗いきっていないので馬車の中を汚してはならぬ!とアリアは足を浮かせ腰でバランスをとるも見かねたエルフィンが呆れて言った。
「足を下ろせ。床など汚れたところで洗えばいい。だが一体…何をしようと言うんだ」
「えぇーっとですね。今、搾ったばかりの皮とか種はあります?」
「皮?種?いや…今年の分はもう廃棄したが、何かあるのか?」
「廃棄しちゃいましたか。残念。実は搾ったあとの皮と種で密造…いえ、お酒を造るんです」
「今、密造酒と言いそうにならなかったか?」
「いいえ。言ってません(ぷいっ&汗ダラダラ)」
アリアが日銭を稼ぐためにワイナリーでブドウを踏んでいた時、自家消費をするからと搾った後の皮と種を持ち帰り家で蒸留酒を作る農夫がいた。
『俺は長靴王国の出なんだ。俺の国ではこうやって酒を造ってたんだ。グラッパって言うんだがアリーはまだ子供だから味見はさせてやれねぇな』
そう言われて仕事を終え、王都の街に戻った時アリアは国立図書館に行きグラッパの事を調べた。
この国では作られていないけれど確かに長靴王国では地方に住まう平民がグラッパを飲んでいることが判った。
ついでだと調べれば、管理をきちんとして再発酵させればピケットと呼ばれるアルコール度の低い酒が出来ることも本に書かれていたが、この国では作られていない。
何故かと言えば搾りかすなんてゴミだと思っているので再利用なんて出来る訳がないと考えられているから。
まだ皮と種があるならグラッパとピケットを作ろうと思ったが、ないなら来年以降の話だ。
しかしアリアにはまだとっておきの秘策があった。
「ないなら仕方ありません。先ずはこの腐敗土の底にある泥で全身をパック!売り出しましょう」
「泥で?!あの泥で?!正気か?」
「正気ですよ。実はツルツルになるんですよ?火山灰を入れてるからなめらかです」
「本当か?嘘みたいな話だが」
「嘘じゃありません。試しに私の足、1週間も続けたらツルツルを超えてトゥルットゥルですよ?触らせませんけど見せてあげます」
「1週間もここにいる気はない」
「えーっ!!いましょうよぅ。今がビッグなビジネスチャンスの時ですよ?」
床を汚してもいいと言われたアリアは足を下ろし、今度は手を祈りの形に組んでエルフィンに「滞在しましょうよ」と迫った。
「あーっ。もう判った。判ったから!上目使いで私を見るな」
「じゃ、滞在で?」
「1週間だからな」
「3日でいいですよ」
「あのなぁっ!!まぁいい。屋敷に戻ったら私の分もカボチャの干したやつで手を打とう」
「え?美味しかったですか?」
「食べてない‥‥私のところには来なかった」
「あれ?執事さんにエルフィン様の分も渡したのに」
クワっとエルフィンは目を見開いた。
エルフィンが執事に対し軽く殺意を覚えたのは言うまでもない。
まだ洗いきっていないので馬車の中を汚してはならぬ!とアリアは足を浮かせ腰でバランスをとるも見かねたエルフィンが呆れて言った。
「足を下ろせ。床など汚れたところで洗えばいい。だが一体…何をしようと言うんだ」
「えぇーっとですね。今、搾ったばかりの皮とか種はあります?」
「皮?種?いや…今年の分はもう廃棄したが、何かあるのか?」
「廃棄しちゃいましたか。残念。実は搾ったあとの皮と種で密造…いえ、お酒を造るんです」
「今、密造酒と言いそうにならなかったか?」
「いいえ。言ってません(ぷいっ&汗ダラダラ)」
アリアが日銭を稼ぐためにワイナリーでブドウを踏んでいた時、自家消費をするからと搾った後の皮と種を持ち帰り家で蒸留酒を作る農夫がいた。
『俺は長靴王国の出なんだ。俺の国ではこうやって酒を造ってたんだ。グラッパって言うんだがアリーはまだ子供だから味見はさせてやれねぇな』
そう言われて仕事を終え、王都の街に戻った時アリアは国立図書館に行きグラッパの事を調べた。
この国では作られていないけれど確かに長靴王国では地方に住まう平民がグラッパを飲んでいることが判った。
ついでだと調べれば、管理をきちんとして再発酵させればピケットと呼ばれるアルコール度の低い酒が出来ることも本に書かれていたが、この国では作られていない。
何故かと言えば搾りかすなんてゴミだと思っているので再利用なんて出来る訳がないと考えられているから。
まだ皮と種があるならグラッパとピケットを作ろうと思ったが、ないなら来年以降の話だ。
しかしアリアにはまだとっておきの秘策があった。
「ないなら仕方ありません。先ずはこの腐敗土の底にある泥で全身をパック!売り出しましょう」
「泥で?!あの泥で?!正気か?」
「正気ですよ。実はツルツルになるんですよ?火山灰を入れてるからなめらかです」
「本当か?嘘みたいな話だが」
「嘘じゃありません。試しに私の足、1週間も続けたらツルツルを超えてトゥルットゥルですよ?触らせませんけど見せてあげます」
「1週間もここにいる気はない」
「えーっ!!いましょうよぅ。今がビッグなビジネスチャンスの時ですよ?」
床を汚してもいいと言われたアリアは足を下ろし、今度は手を祈りの形に組んでエルフィンに「滞在しましょうよ」と迫った。
「あーっ。もう判った。判ったから!上目使いで私を見るな」
「じゃ、滞在で?」
「1週間だからな」
「3日でいいですよ」
「あのなぁっ!!まぁいい。屋敷に戻ったら私の分もカボチャの干したやつで手を打とう」
「え?美味しかったですか?」
「食べてない‥‥私のところには来なかった」
「あれ?執事さんにエルフィン様の分も渡したのに」
クワっとエルフィンは目を見開いた。
エルフィンが執事に対し軽く殺意を覚えたのは言うまでもない。
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