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第22話 デリス、本気の後悔
ダリオンとデリスの父親は結婚式と続いて行われたお披露目パーティで引き受けた分の支払いを済ませた。
結婚式もだが、考えていたよりも高くつき2度目があるなら絶対にやらないと思うのがお披露目パーティ。
見栄を張って3日も行ってしまったけれど、1日だけでも相当なお値段になる。
特に今回はワインが刷新されると聞いて、慌てて来客が飲みなれているであろう従来のワインを大量に注文をしたのだが「無くなるかも?」となればお値段が釣りあがってしまっていた。
下手をすると国外に数か月旅行に行けたり、こじんまりとした庭付きの家なら買えるお値段だ。
捕らぬ狸の何とやらと言うが、式をする前双方の両親ともに「支払いは向こうの家がする」と思っていた。
ダリオンの両親は後継ぎではないけれど息子を婿養子に出すのだからと考えていたし、デリスの両親はなんだかんだで今後はこちらがダリオンの面倒も見るのだから全く金を出さないわけにはいかないが、100%のうちせいぜい20%も出せばいいだろうし、デリスとダリオンも自分たちが主役なのだから半分は出すと思っていた。
白けムードはあったものの3日も開催をすれば1.5日分を払うのに貯えだけでは足らず、へそくりを出し、借り入れまでして金をかき集め何とか支払った。
そうしないと準男爵の肩書があるとないとでは大違い。
両家の父親とも準男爵という爵位があるからこそ商会が通常より少し割増しで取引をしてくれる。
踏み倒しでもすれば恩恵が無くなるだけでなく、パーティへ料理などを納品したのは平民の経営する商会なので平民相手の詐欺行為とみなされ懲役刑。爵位は無くなり前科者になってしまうからだ。
「こちらの支払いは終わった。そっちも終わらせたんだろうな」
「勿論だ支払いは終わった。これが領収だ」
双方の父親は支払い済みの証明となる紙の束を見せ合った。
漏れがあり訴えられればとばっちりを食らってしまう。
支払いに漏れがないことを確認するとやっと一息付けた。
ダリオンの両親はもうダリオンが離縁しても迎え入れる気はない。
首の皮1枚繋がった現状だが、世間は甘くない。
借り入れをする時も白い目で見られたし、それまで仕事を貰っていた問屋全てから契約を切られた。住まいも借家だったが、大家からも出て言ってくれと言われ今月中には引っ越しをせねばならない。
「ウチはもう手を引かせてもらう。ダリオンはそちらに婿養子となったんだ。ダリオン自身は平民だから籍もないし、好きにしてくれ」
「何を言うんだ。借金があるんだぞ?娘を路頭に迷わせる気か」
「その娘が借りた金が別の形になったものをたんまりと持っているじゃないか。手切れ金変わりだよ」
デリスの父親にしてみればダリオンなんてとんだ疫病神だ。
知らなかったからデリスとの結婚を許し、平民には籍がないけれど準男爵であることを誇示するために必要もないのに婿養子の手続きまでしてしまった。今となっては悔やまれるばかり。
ダリオンの両親が帰っていくと、遅すぎる朝食を食べるためにデリスとダリオンがやってきた。
新居となるはずのアパートメントも家賃を払える見込みがないと昨日解約をし、部屋にあった家具は全て売りに出した。皮肉にもアリアが買ったテーブルセットが一番良い値で引き取ってもらえた。
「はぁ…」
デリスの父親は2人を見ると溜息しか出ない。
支払いをするために親戚にも頭を下げて金を借りた。デリスは娘だしある程度は仕方ないと思いつつもダリオンだ。
職もなくこれからの生活も成り立たないのにまるでやる気がない。
食事すら自分たちで用意できないので提供しているのに図々しくもパンが固いだの、スープが薄い、具がない、料理の品数もこれだけかと文句を言う。
デリスの父親はデリスは可愛いけれど自分の蒔いた種だと突き放す時が来たと腹を括った。
「デリス、ダリオン。予定が狂ったんだ、この先の面倒は見れない。判っているな」
「そりゃおかしいでしょ。親なら子の面倒は最後まで見るべきだ」
「貴様は私の子ではない」
「あっれぇ?おかしいな。デリスの婿ではない。私の息子だと思って甘えてくれって言ったよねぇ?」
「面倒はもう見た。結婚式と披露目の金は払ったんだ。もう叩いたって埃も出やしないがな!」
ダリオンはパンをポンポンとお手玉のように弄ぶと、ふんぞり返ってトンデモナイ要求をし始めた。
「ま、払ったって言われても頼んだわけでもないし、そっちの勝手っすよね。恩着せがましいこと言うなっつぅの。それで…今月の生活費だけどさ、とりま…30万でヨロ」
「な、なにを言ってるんだ!」
「何って生活費くれないと生活出来ねぇし?俺、騎士団追い出されて無職だし仕事見つかるまで面倒ヨロシクっす♡パパさん」
デリスの父親は気を飛ばしそうになるほどに顔を真っ赤にし激高したがダリオンはどこ吹く風。
確かにダリオンに「お願いします」と頼まれたわけではないけれど借り入れをしてまで支払いを終わらせた。
少しは感謝するべきだし、無職の間よろしくと頭を下げるべきじゃないか。
そう思ったけれど、ダリオンは「話はそれだけなら」と着替えをするために部屋に戻ろうとした。
「何処に行くんだ!」
声を荒げるデリスの父にダリオンは小馬鹿にしたように答えた。
「何処って、ダーツバーだけど?」
「ダーツバー?!頭ワイてんの?そんなところに行くくらいなら仕事探しなさいよ」
「そのうち探すって」
「そのうちって!!」
「ギャンギャン五月蠅いなぁ。結婚休暇みたいなもんだろ。それにデリスが言ったんだぜ?しばらくは親が面倒見てくれるし遊んで暮らせるって」
「デリスッ!そんなことを言ったのか!」
デリスは金回りのいいダリオンと結婚をした後は、自分に甘い父親に甘えてしばらく面倒を見てもらえるとダリオンに言ったことがあった。
(それを今、この状況で持ち出す?!)
デリスは本気でダリオンと結婚したことを後悔した。
結婚式もだが、考えていたよりも高くつき2度目があるなら絶対にやらないと思うのがお披露目パーティ。
見栄を張って3日も行ってしまったけれど、1日だけでも相当なお値段になる。
特に今回はワインが刷新されると聞いて、慌てて来客が飲みなれているであろう従来のワインを大量に注文をしたのだが「無くなるかも?」となればお値段が釣りあがってしまっていた。
下手をすると国外に数か月旅行に行けたり、こじんまりとした庭付きの家なら買えるお値段だ。
捕らぬ狸の何とやらと言うが、式をする前双方の両親ともに「支払いは向こうの家がする」と思っていた。
ダリオンの両親は後継ぎではないけれど息子を婿養子に出すのだからと考えていたし、デリスの両親はなんだかんだで今後はこちらがダリオンの面倒も見るのだから全く金を出さないわけにはいかないが、100%のうちせいぜい20%も出せばいいだろうし、デリスとダリオンも自分たちが主役なのだから半分は出すと思っていた。
白けムードはあったものの3日も開催をすれば1.5日分を払うのに貯えだけでは足らず、へそくりを出し、借り入れまでして金をかき集め何とか支払った。
そうしないと準男爵の肩書があるとないとでは大違い。
両家の父親とも準男爵という爵位があるからこそ商会が通常より少し割増しで取引をしてくれる。
踏み倒しでもすれば恩恵が無くなるだけでなく、パーティへ料理などを納品したのは平民の経営する商会なので平民相手の詐欺行為とみなされ懲役刑。爵位は無くなり前科者になってしまうからだ。
「こちらの支払いは終わった。そっちも終わらせたんだろうな」
「勿論だ支払いは終わった。これが領収だ」
双方の父親は支払い済みの証明となる紙の束を見せ合った。
漏れがあり訴えられればとばっちりを食らってしまう。
支払いに漏れがないことを確認するとやっと一息付けた。
ダリオンの両親はもうダリオンが離縁しても迎え入れる気はない。
首の皮1枚繋がった現状だが、世間は甘くない。
借り入れをする時も白い目で見られたし、それまで仕事を貰っていた問屋全てから契約を切られた。住まいも借家だったが、大家からも出て言ってくれと言われ今月中には引っ越しをせねばならない。
「ウチはもう手を引かせてもらう。ダリオンはそちらに婿養子となったんだ。ダリオン自身は平民だから籍もないし、好きにしてくれ」
「何を言うんだ。借金があるんだぞ?娘を路頭に迷わせる気か」
「その娘が借りた金が別の形になったものをたんまりと持っているじゃないか。手切れ金変わりだよ」
デリスの父親にしてみればダリオンなんてとんだ疫病神だ。
知らなかったからデリスとの結婚を許し、平民には籍がないけれど準男爵であることを誇示するために必要もないのに婿養子の手続きまでしてしまった。今となっては悔やまれるばかり。
ダリオンの両親が帰っていくと、遅すぎる朝食を食べるためにデリスとダリオンがやってきた。
新居となるはずのアパートメントも家賃を払える見込みがないと昨日解約をし、部屋にあった家具は全て売りに出した。皮肉にもアリアが買ったテーブルセットが一番良い値で引き取ってもらえた。
「はぁ…」
デリスの父親は2人を見ると溜息しか出ない。
支払いをするために親戚にも頭を下げて金を借りた。デリスは娘だしある程度は仕方ないと思いつつもダリオンだ。
職もなくこれからの生活も成り立たないのにまるでやる気がない。
食事すら自分たちで用意できないので提供しているのに図々しくもパンが固いだの、スープが薄い、具がない、料理の品数もこれだけかと文句を言う。
デリスの父親はデリスは可愛いけれど自分の蒔いた種だと突き放す時が来たと腹を括った。
「デリス、ダリオン。予定が狂ったんだ、この先の面倒は見れない。判っているな」
「そりゃおかしいでしょ。親なら子の面倒は最後まで見るべきだ」
「貴様は私の子ではない」
「あっれぇ?おかしいな。デリスの婿ではない。私の息子だと思って甘えてくれって言ったよねぇ?」
「面倒はもう見た。結婚式と披露目の金は払ったんだ。もう叩いたって埃も出やしないがな!」
ダリオンはパンをポンポンとお手玉のように弄ぶと、ふんぞり返ってトンデモナイ要求をし始めた。
「ま、払ったって言われても頼んだわけでもないし、そっちの勝手っすよね。恩着せがましいこと言うなっつぅの。それで…今月の生活費だけどさ、とりま…30万でヨロ」
「な、なにを言ってるんだ!」
「何って生活費くれないと生活出来ねぇし?俺、騎士団追い出されて無職だし仕事見つかるまで面倒ヨロシクっす♡パパさん」
デリスの父親は気を飛ばしそうになるほどに顔を真っ赤にし激高したがダリオンはどこ吹く風。
確かにダリオンに「お願いします」と頼まれたわけではないけれど借り入れをしてまで支払いを終わらせた。
少しは感謝するべきだし、無職の間よろしくと頭を下げるべきじゃないか。
そう思ったけれど、ダリオンは「話はそれだけなら」と着替えをするために部屋に戻ろうとした。
「何処に行くんだ!」
声を荒げるデリスの父にダリオンは小馬鹿にしたように答えた。
「何処って、ダーツバーだけど?」
「ダーツバー?!頭ワイてんの?そんなところに行くくらいなら仕事探しなさいよ」
「そのうち探すって」
「そのうちって!!」
「ギャンギャン五月蠅いなぁ。結婚休暇みたいなもんだろ。それにデリスが言ったんだぜ?しばらくは親が面倒見てくれるし遊んで暮らせるって」
「デリスッ!そんなことを言ったのか!」
デリスは金回りのいいダリオンと結婚をした後は、自分に甘い父親に甘えてしばらく面倒を見てもらえるとダリオンに言ったことがあった。
(それを今、この状況で持ち出す?!)
デリスは本気でダリオンと結婚したことを後悔した。
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