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第23話 グッバイ・ブラザー
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デリスの父親にダリオンの処遇を丸投げしたダリオンの両親は力なく椅子に腰を下ろし、天井を見上げていた。
「何にもなくなったな」
「本当ね。まさか寝具まで売りに出さなきゃいけないなんて…うぅっ」
「ホーント。奇麗さっぱりだ。僕の仕事まで無くなるなんて。本当に出来た弟だッ!」
ダリオンの兄はテーブルに思いきり拳を落とし、大きな音を立てた。
不貞行為は誰からも白い目で見られる行為だが、ダリオンの場合は悪質だった。
結婚式の2日前にもアリアの名前を出して、騎士団から借り入れをしていたことは既にアリアとは縁が切れていてデリスと結婚をするのだから詐欺行為に当たる。
騎士団をも騙していたことは事実でアリアに返済の義務はないものの借り入れを起こしているのは事実なのでハース男爵家が名を騙られたと訴え出れば万事休す。
恥を忍んでダリオンはデリスの家にいるので、ダリオン抜きでアリアに謝罪をし訴えないように頼もうとアリアを訪ねたのだが、アリアが住んでいたアパートメントはもう別の人間が入居予定だと大家が言う。
「アリアはどこに行ったんですか?」
「知らないよ。退去の手続きも代理が来たけどさ。こっちとしてはさぁ、知ってても教えたくないねぇ」
大家は頭のてっぺんからつま先までダリオンの父親を値踏みするように見て「ハッ」小さく笑いを吐き捨てた。
醜聞はあっという間に広まるもの。
ダリオンの父親はそのことをこの数日で痛感していた、
ダリオンの兄は勤め先からもう来なくていいとその日までの給金を清算されて職を失った。
ダリオンが騎士だったからこそ何かあった時に騎士団に来て貰え易いと取引をしてくれていた商会からも取引中止の連絡が来た。
1人1部屋で住んでいる家も来月からは夜空が天井になるか、運よく借りることが出来ても3人で1部屋、炊事場も不浄も洗濯場も共同の長屋住まい。食うや食わずの生活になる。
何としてもアリアには許してもらったという免罪符が欲しいダリオンの父は大家に縋った。
「代理?代弁士でも来たんですか?」
「代弁士かどうかなんて知らないね。家賃の滞納もなかったし出ていくときに荷物も持って行ったし清掃業者も支払い済みで依頼済み。あの子は本当に面倒のない子だったよ。本物の宝石を捨てて石ころを拾う孝行息子とは何ともお目出たいねぇ。親の顔が見てみたいよ。あぁ、ほら、邪魔だ。退いた退いた。午後から新しい入居者が来るんだから汚さないでくれ」
ドン!と肩を突かれ廊下に出されると無情にも扉は閉じてしまった。
ここにアリアはいないし、頼みの綱の大家も知っていても教えてはくれそうにない。粘ったところで今度は業務妨害と騒がれても困る。
3人は肩を落とし退去を迫られている家に戻るしかなかった。
「母さんがいけないんだ。アリアを貶したりするから。ダリオンもアレを聞いていたら乗り換えたくもなっただろうよ」
「私のせいだっていうの?だってゴミ拾いしてた子よ?あんな子なんてっ!」
「まだ言うんだ?そのゴミ拾いの仕事もさせて貰えるか判らないんだぜ?随分と高貴なお人なんだな。母さんは!」
「やめないか。済んだことを言っても仕方ないだろう」
「へぇ?父さんも母さんのカタを持つんだ?それがどんな結果になったかまだ判ってないって耄碌したもんだ」
「なにをっ!親に向かって何てことを言うんだ!」
父親に拳を1発頬に見舞われたダリオンの兄は血の混じった唾をペッと吐き捨てると「好きにすればいいさ。僕はもう出ていく」と言い残し、足早に家に戻って行った。
ダリオンの両親が家に戻ってきたとき、長兄の荷物も姿も消えていた。
「何にもなくなったな」
「本当ね。まさか寝具まで売りに出さなきゃいけないなんて…うぅっ」
「ホーント。奇麗さっぱりだ。僕の仕事まで無くなるなんて。本当に出来た弟だッ!」
ダリオンの兄はテーブルに思いきり拳を落とし、大きな音を立てた。
不貞行為は誰からも白い目で見られる行為だが、ダリオンの場合は悪質だった。
結婚式の2日前にもアリアの名前を出して、騎士団から借り入れをしていたことは既にアリアとは縁が切れていてデリスと結婚をするのだから詐欺行為に当たる。
騎士団をも騙していたことは事実でアリアに返済の義務はないものの借り入れを起こしているのは事実なのでハース男爵家が名を騙られたと訴え出れば万事休す。
恥を忍んでダリオンはデリスの家にいるので、ダリオン抜きでアリアに謝罪をし訴えないように頼もうとアリアを訪ねたのだが、アリアが住んでいたアパートメントはもう別の人間が入居予定だと大家が言う。
「アリアはどこに行ったんですか?」
「知らないよ。退去の手続きも代理が来たけどさ。こっちとしてはさぁ、知ってても教えたくないねぇ」
大家は頭のてっぺんからつま先までダリオンの父親を値踏みするように見て「ハッ」小さく笑いを吐き捨てた。
醜聞はあっという間に広まるもの。
ダリオンの父親はそのことをこの数日で痛感していた、
ダリオンの兄は勤め先からもう来なくていいとその日までの給金を清算されて職を失った。
ダリオンが騎士だったからこそ何かあった時に騎士団に来て貰え易いと取引をしてくれていた商会からも取引中止の連絡が来た。
1人1部屋で住んでいる家も来月からは夜空が天井になるか、運よく借りることが出来ても3人で1部屋、炊事場も不浄も洗濯場も共同の長屋住まい。食うや食わずの生活になる。
何としてもアリアには許してもらったという免罪符が欲しいダリオンの父は大家に縋った。
「代理?代弁士でも来たんですか?」
「代弁士かどうかなんて知らないね。家賃の滞納もなかったし出ていくときに荷物も持って行ったし清掃業者も支払い済みで依頼済み。あの子は本当に面倒のない子だったよ。本物の宝石を捨てて石ころを拾う孝行息子とは何ともお目出たいねぇ。親の顔が見てみたいよ。あぁ、ほら、邪魔だ。退いた退いた。午後から新しい入居者が来るんだから汚さないでくれ」
ドン!と肩を突かれ廊下に出されると無情にも扉は閉じてしまった。
ここにアリアはいないし、頼みの綱の大家も知っていても教えてはくれそうにない。粘ったところで今度は業務妨害と騒がれても困る。
3人は肩を落とし退去を迫られている家に戻るしかなかった。
「母さんがいけないんだ。アリアを貶したりするから。ダリオンもアレを聞いていたら乗り換えたくもなっただろうよ」
「私のせいだっていうの?だってゴミ拾いしてた子よ?あんな子なんてっ!」
「まだ言うんだ?そのゴミ拾いの仕事もさせて貰えるか判らないんだぜ?随分と高貴なお人なんだな。母さんは!」
「やめないか。済んだことを言っても仕方ないだろう」
「へぇ?父さんも母さんのカタを持つんだ?それがどんな結果になったかまだ判ってないって耄碌したもんだ」
「なにをっ!親に向かって何てことを言うんだ!」
父親に拳を1発頬に見舞われたダリオンの兄は血の混じった唾をペッと吐き捨てると「好きにすればいいさ。僕はもう出ていく」と言い残し、足早に家に戻って行った。
ダリオンの両親が家に戻ってきたとき、長兄の荷物も姿も消えていた。
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