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空を見上げて辺境にサヨナラ
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今日も屋敷の前でパトリックはウロウロしております。
先日農夫に預けた返事がまだかまだかと待っております。
向こうの方に子供たちが父の足元に纏わりつくように歩いてくるのを見つけるとダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!キックはしないけどダッシュ!
「あっ領主さまだ」
「ハァハァ‥‥返事…返事は…」
「あ、あぁ、預かって参りました。困っていましたよ。この時期に書類は困ると」
「しょ、書類??」
はいと渡される、農夫に渡したままの手紙。そして封は‥‥切られていない。
ガックリと肩を落とし、その場に座り込みます。
「これも預かって参りました。返事だそうです」
「へ、返事??」
農夫からひったくるようにして紙を受け取りゆっくり開きます。
【却下】
一言だけ書かれた手紙。まるで習字の時間に提出用に書いたかと思うほどの達筆。
ブルブルと紙を握っている手が震えますが、ぱっと身をひるがえしたと思うと屋敷に一直線。
馬を引いてきたかと思ったら跨って序盤から早い出だし。この調子では第四コーナーに差し掛かる前に馬がバテてしまうかと思うスピードで祠を左に曲がっていきます。
「父ちゃん、領主さま、どこに行ったの?」
「さぁなぁ。どこだろう」
「早く帰ろうよ!母ちゃんが待ってる!」
「そうだな。母ちゃんがご飯を作って待ってくれてるな」
「なんだろうなぁ…コロッケだといいなー」
仲良く親子が帰っていきますが、パトリックは馬を走らせます。
到着はどんなに急いでも明日の昼。それまでせめていてほしいという願いを込めて手綱を握ります。
大失敗をしてしまったデビット君ですが、別邸に戻って深夜2時頃には付き人もみんな寝静まります。
寝ているかなぁと思いつつ、エレインの部屋の前でノックをすべきか悩んでおります。
時間はもう0時を超えているので離縁が成立しているのは間違いありません。
(頑張れ!俺!)
太ももと胸をタンタンと叩いて、ノックをします。
「はぁい‥‥デビット君?」
「うん。入っても良いかな」
「いいですわよ。扉は音がするから気を付けてね」
ギィィィっと音がする扉。色んなところが傷んでいた別邸なのでク●556も使い切ってしまい、ここまでは至らなかったようです。
部屋の中はもうカーテンすらありません。付き人の部屋は元々使用人用らしくカーテンは付いていましたが、ここは主寝室だったようでその都度カーテンを変えていたのでしょう。
仕舞われている物はそのままで何も使わなかったエレインは手持ちの布を使用していたので片付けたようです。
「どうなさいましたの?」
今度こそっ!っとデビット君ちょっと汚れてしまったけれど小箱を取り出します。
リボンをといて中からケースを取り出し、パカっと開けると指輪が1つキラッと光ります。
「どうなさいましたの?お父様に黙って行った無駄使いですの?」
「違うっ!コッコっこっこれは…エレインに」
「まぁわたくしに?でもどうして?」
「ずっと前から…ガキの時から好きだった」
「デビット君。嬉しいんだけど…どうしたらいいのかしら」
「とりあえずこの指輪を左手の薬指につけて俺と結婚したらいいと思うんだ」
エレインの手に指輪をケースごと握らせるデビット君ですが小さく手が震えていますね。
「ウフフ。デビット君手が震えていますわ」
「ふ、震えてなんかいない。ほっほら見てみろ!」
小刻みにフルフルするてをバっと突き出しているデビット君。
顔は真っ赤になっていて、その顔は嘘で茶化すような顔ではありません。
「デビット君はそんなにわたくしの事が好きなんですの?」
「大好きだ!ずーっと好きだったんだけど…その意地悪ばっかりした。ごめん」
「それは良いんですが‥‥ですが問題がありますの」
「問題?」
「明日、王宮に行ってその後教会に行きますのよ。そこで白い結婚だったと証明を頂きますの」
「関係ない。ぶっちゃけ俺の初めてはエレインに貰ってもらうと決めているけど、エレインには何も求めない。どんなエレインでも僕は愛するって決めてる」
「判りましたわ。でも一応決まり事ですし、陛下には会わねばならないのです。教会に行って証明をもらうのもどうしても必要なのです。陛下との約束なので。今は時間としては離縁なのですが全てが終わらないとわたくしはまだ動けないのです」
「いや、待てる。もう15年くらい待ったんだ。1日くらい待てるよ」
「えっ?教会の証明が出るには3日はかかりますわよ?」
「大丈夫。待つよ。その時は婚約指輪だけじゃなく結婚指輪も受け取ってもらう」
ちょっとだけ勇み足だったデビット君。ポケットに小箱を戻しその夜はぐっすり眠りました。
翌朝、皆のベッドからシーツを取り、返却するシーツには洗浄魔法をかけます。
「では、デビット君のお屋敷まで飛ばしますわね」
「頼むよ」
デビット君とお付きの怖いお兄さんたちを転移魔法で飛ばすと最後の点検です。
牧場だった隅々までゴミがないかを見て回り、別邸に入って間違って持ち出すものがないか、忘れ物がないかを確認していきます。
使っていた部屋は数がない上に、元々荷物も少なかったエレイン。
厨房も結局一度も使わないままで、食べ物がないのでネズミ一匹いません。
一番よく使った居間と主寝室もガランとしています。
「忘れ物は‥‥おっとっと…これね」
ポケットから鍵を2つ取り出すとテーブルの上に置きます。
1年間を通して夫婦だった夫ですがトータルすれば24時間も過ごした事のないパトリックへの置手紙もかく事すらありませんので何も残しません。
厩舎に行き、飼い葉桶の中も空っぽにします。桶を裏返しにして木の杭に被せます。
水も栓を抜いて空っぽ。
足の悪い馬をヨシヨシと撫でます
「怖くないからね~。すぐに終わるからねぇ」
空を見上げると今日もいい天気です。日向で漫画を読むには最高の天気。
うーん!!っと両手を伸ばし、胸いっぱいに空気を吸い込みます。
「さて!行きますか!」
「ブルル♪」
足元に浮かび上がる魔法陣。パチンと指を鳴らすともうエレインの姿はありませんでした。
30分ほどして、1頭の馬がすごい勢いで別邸の前にやってきます。パトリックです。
「エレインッ!!」
大声で叫びますが返事はありません。遠くで鳥の声が聞こえるだけです。
パトリックは別邸の扉を開けると、鍵はかかっておらず、テーブルの上に鍵が2つあるのを見つけます。
まだいるかも知れないと屋敷の中の部屋の扉を開け名前を呼びますが返事が返る事はありません。
外に飛び出し、家の周りを名前を叫びながら回ります。
裏手に小さな畑を見つけましたがもう何も植えられておらず畝だけが残っています。
小さな厩舎には先程乗ってきた馬が撒かれた飼い葉を食べています。
そう言えばここにはもっと大きな厩舎があったはずだと思いましたがもう十年以上前の記憶。
目の前の小さな厩舎も補修したあとがありますからもう無くなったんだろうと歩いていくと畝に草が植えられているのが目に入ります。
「エレイン‥‥本当に出ていってしまったのか…いや!まだだ!」
パトリックは飼い葉をモシャモシャ食べている馬を水車に連れていき、水を飲ませると屋敷に向けて走ります。
「白い結婚の判定が出るまでに…なんとか陛下に願い出なければ!!一からやり直すんだ。エレイン!農夫たちには君が必要なんだ!!」
バックレたい気持ち満載の馬はいやいや走ります。
心の中で【王都行きは別の馬にしてくださいねー】っと願いながら走ります。
先日農夫に預けた返事がまだかまだかと待っております。
向こうの方に子供たちが父の足元に纏わりつくように歩いてくるのを見つけるとダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!キックはしないけどダッシュ!
「あっ領主さまだ」
「ハァハァ‥‥返事…返事は…」
「あ、あぁ、預かって参りました。困っていましたよ。この時期に書類は困ると」
「しょ、書類??」
はいと渡される、農夫に渡したままの手紙。そして封は‥‥切られていない。
ガックリと肩を落とし、その場に座り込みます。
「これも預かって参りました。返事だそうです」
「へ、返事??」
農夫からひったくるようにして紙を受け取りゆっくり開きます。
【却下】
一言だけ書かれた手紙。まるで習字の時間に提出用に書いたかと思うほどの達筆。
ブルブルと紙を握っている手が震えますが、ぱっと身をひるがえしたと思うと屋敷に一直線。
馬を引いてきたかと思ったら跨って序盤から早い出だし。この調子では第四コーナーに差し掛かる前に馬がバテてしまうかと思うスピードで祠を左に曲がっていきます。
「父ちゃん、領主さま、どこに行ったの?」
「さぁなぁ。どこだろう」
「早く帰ろうよ!母ちゃんが待ってる!」
「そうだな。母ちゃんがご飯を作って待ってくれてるな」
「なんだろうなぁ…コロッケだといいなー」
仲良く親子が帰っていきますが、パトリックは馬を走らせます。
到着はどんなに急いでも明日の昼。それまでせめていてほしいという願いを込めて手綱を握ります。
大失敗をしてしまったデビット君ですが、別邸に戻って深夜2時頃には付き人もみんな寝静まります。
寝ているかなぁと思いつつ、エレインの部屋の前でノックをすべきか悩んでおります。
時間はもう0時を超えているので離縁が成立しているのは間違いありません。
(頑張れ!俺!)
太ももと胸をタンタンと叩いて、ノックをします。
「はぁい‥‥デビット君?」
「うん。入っても良いかな」
「いいですわよ。扉は音がするから気を付けてね」
ギィィィっと音がする扉。色んなところが傷んでいた別邸なのでク●556も使い切ってしまい、ここまでは至らなかったようです。
部屋の中はもうカーテンすらありません。付き人の部屋は元々使用人用らしくカーテンは付いていましたが、ここは主寝室だったようでその都度カーテンを変えていたのでしょう。
仕舞われている物はそのままで何も使わなかったエレインは手持ちの布を使用していたので片付けたようです。
「どうなさいましたの?」
今度こそっ!っとデビット君ちょっと汚れてしまったけれど小箱を取り出します。
リボンをといて中からケースを取り出し、パカっと開けると指輪が1つキラッと光ります。
「どうなさいましたの?お父様に黙って行った無駄使いですの?」
「違うっ!コッコっこっこれは…エレインに」
「まぁわたくしに?でもどうして?」
「ずっと前から…ガキの時から好きだった」
「デビット君。嬉しいんだけど…どうしたらいいのかしら」
「とりあえずこの指輪を左手の薬指につけて俺と結婚したらいいと思うんだ」
エレインの手に指輪をケースごと握らせるデビット君ですが小さく手が震えていますね。
「ウフフ。デビット君手が震えていますわ」
「ふ、震えてなんかいない。ほっほら見てみろ!」
小刻みにフルフルするてをバっと突き出しているデビット君。
顔は真っ赤になっていて、その顔は嘘で茶化すような顔ではありません。
「デビット君はそんなにわたくしの事が好きなんですの?」
「大好きだ!ずーっと好きだったんだけど…その意地悪ばっかりした。ごめん」
「それは良いんですが‥‥ですが問題がありますの」
「問題?」
「明日、王宮に行ってその後教会に行きますのよ。そこで白い結婚だったと証明を頂きますの」
「関係ない。ぶっちゃけ俺の初めてはエレインに貰ってもらうと決めているけど、エレインには何も求めない。どんなエレインでも僕は愛するって決めてる」
「判りましたわ。でも一応決まり事ですし、陛下には会わねばならないのです。教会に行って証明をもらうのもどうしても必要なのです。陛下との約束なので。今は時間としては離縁なのですが全てが終わらないとわたくしはまだ動けないのです」
「いや、待てる。もう15年くらい待ったんだ。1日くらい待てるよ」
「えっ?教会の証明が出るには3日はかかりますわよ?」
「大丈夫。待つよ。その時は婚約指輪だけじゃなく結婚指輪も受け取ってもらう」
ちょっとだけ勇み足だったデビット君。ポケットに小箱を戻しその夜はぐっすり眠りました。
翌朝、皆のベッドからシーツを取り、返却するシーツには洗浄魔法をかけます。
「では、デビット君のお屋敷まで飛ばしますわね」
「頼むよ」
デビット君とお付きの怖いお兄さんたちを転移魔法で飛ばすと最後の点検です。
牧場だった隅々までゴミがないかを見て回り、別邸に入って間違って持ち出すものがないか、忘れ物がないかを確認していきます。
使っていた部屋は数がない上に、元々荷物も少なかったエレイン。
厨房も結局一度も使わないままで、食べ物がないのでネズミ一匹いません。
一番よく使った居間と主寝室もガランとしています。
「忘れ物は‥‥おっとっと…これね」
ポケットから鍵を2つ取り出すとテーブルの上に置きます。
1年間を通して夫婦だった夫ですがトータルすれば24時間も過ごした事のないパトリックへの置手紙もかく事すらありませんので何も残しません。
厩舎に行き、飼い葉桶の中も空っぽにします。桶を裏返しにして木の杭に被せます。
水も栓を抜いて空っぽ。
足の悪い馬をヨシヨシと撫でます
「怖くないからね~。すぐに終わるからねぇ」
空を見上げると今日もいい天気です。日向で漫画を読むには最高の天気。
うーん!!っと両手を伸ばし、胸いっぱいに空気を吸い込みます。
「さて!行きますか!」
「ブルル♪」
足元に浮かび上がる魔法陣。パチンと指を鳴らすともうエレインの姿はありませんでした。
30分ほどして、1頭の馬がすごい勢いで別邸の前にやってきます。パトリックです。
「エレインッ!!」
大声で叫びますが返事はありません。遠くで鳥の声が聞こえるだけです。
パトリックは別邸の扉を開けると、鍵はかかっておらず、テーブルの上に鍵が2つあるのを見つけます。
まだいるかも知れないと屋敷の中の部屋の扉を開け名前を呼びますが返事が返る事はありません。
外に飛び出し、家の周りを名前を叫びながら回ります。
裏手に小さな畑を見つけましたがもう何も植えられておらず畝だけが残っています。
小さな厩舎には先程乗ってきた馬が撒かれた飼い葉を食べています。
そう言えばここにはもっと大きな厩舎があったはずだと思いましたがもう十年以上前の記憶。
目の前の小さな厩舎も補修したあとがありますからもう無くなったんだろうと歩いていくと畝に草が植えられているのが目に入ります。
「エレイン‥‥本当に出ていってしまったのか…いや!まだだ!」
パトリックは飼い葉をモシャモシャ食べている馬を水車に連れていき、水を飲ませると屋敷に向けて走ります。
「白い結婚の判定が出るまでに…なんとか陛下に願い出なければ!!一からやり直すんだ。エレイン!農夫たちには君が必要なんだ!!」
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