第3騎士団長は愛想なし令嬢を愛でたい

cyaru

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第5話♡現状の改善を望みます

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マリーの勤務も1か月目になると、騎士達も通常運転になる。
あわよくば!女性秘書官と♡♡♡と考えたが無残にも散った思い。だが若いだけあって切り替えも早い。

クスっとも笑わないマリーも通常運転。

しかし、ガウルテリオはマリーに聞いてみたい事があった。
あまりに私情に偏るため、団長室で聞く事も出来ないし、夕食でも?と誘うには時期尚早。

マリーが着任し、1週間目から4日、その後つい先日は5日の遠征があった。
その間に団長室には広報担当のイグナシオと副隊長の1人ファルコンと3人になるが、日頃と全く変わらなかった、いや留守の間は溜まっていた書類も処理していったために部屋が広くなったくらいだ。


マリーの表情、口調は全く変わらないのだが、広報担当のイグナシオと話をしている姿を見ると「イラッ」としてしまうのは何故なんだろう?ガウルテリオは首を傾げる。


10歳になった時から見習い騎士団に入団したガウルテリオは17歳で近衛騎士にまで上り詰めた。父親が一代限りの騎士爵の子息であった事から異例中の異例の抜擢。
身分ではなく実力主義のエンリケの采配だった。

年齢が近い事もあり第一王子だったエンリケの護衛となり、そのまま王太子となったエンリケの元にいた。

24歳になる直前に近衛騎士を辞した。当時ガウルテリオには婚約者がいた。
武功を挙げて伯爵位を持っていたガウルテリオ。
モルマトン侯爵家の三女エメリーアナがその人だった。

モルマトン侯爵はガウルテリオが叩き上げだというのは判っているが、エンリケの覚えも目出度い男。近衛隊で班長になったのならその後は、副隊長、隊長となる。将来性を買っての婚約だった。
当然、当人同士であるガウルテリオとエメリーアナに恋愛感情はない。

近衛騎士を辞したのはそのエメリーアナが後ろ盾を失った第3王子カルロスとの間に子を成したからだった。カルロスには当然婚約者もいたが、エメリーアナの他にも数人の令嬢と関係を持っていた。

エンリケは「腹違いの弟のした事」だとは言っても申し訳ないとガウルテリオに頭を下げた。第4王子ヨアニスが王弟となったのはカルロスがウェルバーム侯爵家の後ろ盾を無くした事もあるが、責任を取ってエメリーアナと婚姻をして新たに伯爵家を興し、継承レースから離脱せざるを得なくなったという事情もあった。


武骨な騎士と言う職業で、元々の身分が低いガウルテリオはガウルテリオなりにエメリーアナには尽くしたつもりだったが結果として「寝取られた」事に変わりはない。

腕一本で伸し上がったけれど、この先の昇進にはカルロスの失態についての埋め合わせ、忖度だとエンリケが突き上げられるのも必須。だからこそ近衛隊を辞したのだった。

以来女性に何かを買い与える事も、期待する事も止めた。このまま結婚をせずに意味は異なるが父と同じ「1代限り」となっても良いと、性欲の発散は娼館で行なっていた。



だ・か・ら。
女性の視点から物事を考える事には慣れていない。

「女性がここに勤務するのは初めてなんだ。不具合を感じる事があれば言って欲しい」

マリーに声を掛けたまでは良かった。

「現状の改善を望みます」
「え?」

午前中の鍛錬を終えたばかりのガウルテリオは気が付かない。

鍛錬では汗だくになり、その汗を流すのに井戸の水を被った。
団長室の床が水浸しにならないようにタオルに水気を吸わせたが、上半身裸でマリーに「困った事はない?」と聞く異常性に気が付かなかったのだ。

それはガウルテリオだけでなく、残念な事に副団長のラウールもファルコンも同じ。唯一文官である広報担当のイグナシオだけは鍛錬は参加をしないので隊服を着ている。

廊下を歩く隊員も全員上半身は裸。中には腰にタオルを巻いただけと言う猛者もいる。

「以後・・・気を付けます。はぃ…すんません」
「判って頂ければ。ちなみにセクハラにも該当しますので以後はご注意ください」


その日から汗を流して水気を吸わせた後は、シャツを着用する事が義務化された。
いや、本来は騎士団規則で決められているのではあるが、慣れとは恐ろしい。日常化してしまっていた裸族達は室内では服を着なければならない事を改めて認識をしたのだった。
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