5 / 40
第5話♡現状の改善を望みます
しおりを挟む
マリーの勤務も1か月目になると、騎士達も通常運転になる。
あわよくば!女性秘書官と♡♡♡と考えたが無残にも散った思い。だが若いだけあって切り替えも早い。
クスっとも笑わないマリーも通常運転。
しかし、ガウルテリオはマリーに聞いてみたい事があった。
あまりに私情に偏るため、団長室で聞く事も出来ないし、夕食でも?と誘うには時期尚早。
マリーが着任し、1週間目から4日、その後つい先日は5日の遠征があった。
その間に団長室には広報担当のイグナシオと副隊長の1人ファルコンと3人になるが、日頃と全く変わらなかった、いや留守の間は溜まっていた書類も処理していったために部屋が広くなったくらいだ。
マリーの表情、口調は全く変わらないのだが、広報担当のイグナシオと話をしている姿を見ると「イラッ」としてしまうのは何故なんだろう?ガウルテリオは首を傾げる。
10歳になった時から見習い騎士団に入団したガウルテリオは17歳で近衛騎士にまで上り詰めた。父親が一代限りの騎士爵の子息であった事から異例中の異例の抜擢。
身分ではなく実力主義のエンリケの采配だった。
年齢が近い事もあり第一王子だったエンリケの護衛となり、そのまま王太子となったエンリケの元にいた。
24歳になる直前に近衛騎士を辞した。当時ガウルテリオには婚約者がいた。
武功を挙げて伯爵位を持っていたガウルテリオ。
モルマトン侯爵家の三女エメリーアナがその人だった。
モルマトン侯爵はガウルテリオが叩き上げだというのは判っているが、エンリケの覚えも目出度い男。近衛隊で班長になったのならその後は、副隊長、隊長となる。将来性を買っての婚約だった。
当然、当人同士であるガウルテリオとエメリーアナに恋愛感情はない。
近衛騎士を辞したのはそのエメリーアナが後ろ盾を失った第3王子カルロスとの間に子を成したからだった。カルロスには当然婚約者もいたが、エメリーアナの他にも数人の令嬢と関係を持っていた。
エンリケは「腹違いの弟のした事」だとは言っても申し訳ないとガウルテリオに頭を下げた。第4王子ヨアニスが王弟となったのはカルロスがウェルバーム侯爵家の後ろ盾を無くした事もあるが、責任を取ってエメリーアナと婚姻をして新たに伯爵家を興し、継承レースから離脱せざるを得なくなったという事情もあった。
武骨な騎士と言う職業で、元々の身分が低いガウルテリオはガウルテリオなりにエメリーアナには尽くしたつもりだったが結果として「寝取られた」事に変わりはない。
腕一本で伸し上がったけれど、この先の昇進にはカルロスの失態についての埋め合わせ、忖度だとエンリケが突き上げられるのも必須。だからこそ近衛隊を辞したのだった。
以来女性に何かを買い与える事も、期待する事も止めた。このまま結婚をせずに意味は異なるが父と同じ「1代限り」となっても良いと、性欲の発散は娼館で行なっていた。
だ・か・ら。
女性の視点から物事を考える事には慣れていない。
「女性がここに勤務するのは初めてなんだ。不具合を感じる事があれば言って欲しい」
マリーに声を掛けたまでは良かった。
「現状の改善を望みます」
「え?」
午前中の鍛錬を終えたばかりのガウルテリオは気が付かない。
鍛錬では汗だくになり、その汗を流すのに井戸の水を被った。
団長室の床が水浸しにならないようにタオルに水気を吸わせたが、上半身裸でマリーに「困った事はない?」と聞く異常性に気が付かなかったのだ。
それはガウルテリオだけでなく、残念な事に副団長のラウールもファルコンも同じ。唯一文官である広報担当のイグナシオだけは鍛錬は参加をしないので隊服を着ている。
廊下を歩く隊員も全員上半身は裸。中には腰にタオルを巻いただけと言う猛者もいる。
「以後・・・気を付けます。はぃ…すんません」
「判って頂ければ。ちなみにセクハラにも該当しますので以後はご注意ください」
その日から汗を流して水気を吸わせた後は、シャツを着用する事が義務化された。
いや、本来は騎士団規則で決められているのではあるが、慣れとは恐ろしい。日常化してしまっていた裸族達は室内では服を着なければならない事を改めて認識をしたのだった。
あわよくば!女性秘書官と♡♡♡と考えたが無残にも散った思い。だが若いだけあって切り替えも早い。
クスっとも笑わないマリーも通常運転。
しかし、ガウルテリオはマリーに聞いてみたい事があった。
あまりに私情に偏るため、団長室で聞く事も出来ないし、夕食でも?と誘うには時期尚早。
マリーが着任し、1週間目から4日、その後つい先日は5日の遠征があった。
その間に団長室には広報担当のイグナシオと副隊長の1人ファルコンと3人になるが、日頃と全く変わらなかった、いや留守の間は溜まっていた書類も処理していったために部屋が広くなったくらいだ。
マリーの表情、口調は全く変わらないのだが、広報担当のイグナシオと話をしている姿を見ると「イラッ」としてしまうのは何故なんだろう?ガウルテリオは首を傾げる。
10歳になった時から見習い騎士団に入団したガウルテリオは17歳で近衛騎士にまで上り詰めた。父親が一代限りの騎士爵の子息であった事から異例中の異例の抜擢。
身分ではなく実力主義のエンリケの采配だった。
年齢が近い事もあり第一王子だったエンリケの護衛となり、そのまま王太子となったエンリケの元にいた。
24歳になる直前に近衛騎士を辞した。当時ガウルテリオには婚約者がいた。
武功を挙げて伯爵位を持っていたガウルテリオ。
モルマトン侯爵家の三女エメリーアナがその人だった。
モルマトン侯爵はガウルテリオが叩き上げだというのは判っているが、エンリケの覚えも目出度い男。近衛隊で班長になったのならその後は、副隊長、隊長となる。将来性を買っての婚約だった。
当然、当人同士であるガウルテリオとエメリーアナに恋愛感情はない。
近衛騎士を辞したのはそのエメリーアナが後ろ盾を失った第3王子カルロスとの間に子を成したからだった。カルロスには当然婚約者もいたが、エメリーアナの他にも数人の令嬢と関係を持っていた。
エンリケは「腹違いの弟のした事」だとは言っても申し訳ないとガウルテリオに頭を下げた。第4王子ヨアニスが王弟となったのはカルロスがウェルバーム侯爵家の後ろ盾を無くした事もあるが、責任を取ってエメリーアナと婚姻をして新たに伯爵家を興し、継承レースから離脱せざるを得なくなったという事情もあった。
武骨な騎士と言う職業で、元々の身分が低いガウルテリオはガウルテリオなりにエメリーアナには尽くしたつもりだったが結果として「寝取られた」事に変わりはない。
腕一本で伸し上がったけれど、この先の昇進にはカルロスの失態についての埋め合わせ、忖度だとエンリケが突き上げられるのも必須。だからこそ近衛隊を辞したのだった。
以来女性に何かを買い与える事も、期待する事も止めた。このまま結婚をせずに意味は異なるが父と同じ「1代限り」となっても良いと、性欲の発散は娼館で行なっていた。
だ・か・ら。
女性の視点から物事を考える事には慣れていない。
「女性がここに勤務するのは初めてなんだ。不具合を感じる事があれば言って欲しい」
マリーに声を掛けたまでは良かった。
「現状の改善を望みます」
「え?」
午前中の鍛錬を終えたばかりのガウルテリオは気が付かない。
鍛錬では汗だくになり、その汗を流すのに井戸の水を被った。
団長室の床が水浸しにならないようにタオルに水気を吸わせたが、上半身裸でマリーに「困った事はない?」と聞く異常性に気が付かなかったのだ。
それはガウルテリオだけでなく、残念な事に副団長のラウールもファルコンも同じ。唯一文官である広報担当のイグナシオだけは鍛錬は参加をしないので隊服を着ている。
廊下を歩く隊員も全員上半身は裸。中には腰にタオルを巻いただけと言う猛者もいる。
「以後・・・気を付けます。はぃ…すんません」
「判って頂ければ。ちなみにセクハラにも該当しますので以後はご注意ください」
その日から汗を流して水気を吸わせた後は、シャツを着用する事が義務化された。
いや、本来は騎士団規則で決められているのではあるが、慣れとは恐ろしい。日常化してしまっていた裸族達は室内では服を着なければならない事を改めて認識をしたのだった。
44
あなたにおすすめの小説
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】
mako
恋愛
以前の投稿をブラッシュアップしました。
ランズ王国フリードリヒ王太子に嫁ぐはリントン王国王女クラリス。
クラリスはかつてランズ王国に留学中に品行不良の王太子を毛嫌いしていた節は
否めないが己の定めを受け、王女として変貌を遂げたクラリスにグリードリヒは
困惑しながらも再会を果たしその後王国として栄光を辿る物語です。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~
くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」
幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。
ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。
それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。
上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。
「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」
彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく……
『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる