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第7話♡過不足金と2つの始末書
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午後になりラウールと共にファルコンは団員への定期連絡に向かう。
イグナシオも次年度の団員募集の手続きをする為に総務課に出た。
今日は昼食時に「結婚したぁい!」「恋人が欲しいぃ~」とガウルテリオに「第3騎士団主催の夜会を開いてくれ」と数人の騎士がやって来ていた。
独身貴族を誓いあっていたのに、抜けていくメンバーが出ると残されたメンバーは最後の1人になりたくないと泣き付いてくるのである。
その最後の1人になりそうなのが、懇願されているガウルテリオなのだが。
「30を過ぎて素人を知らなかったら、中途半端な妖精になっちゃいますよぅ」
「加齢臭炎舞魔法ッ!なんて剣を振る度に笑われるんですよぅ」
その30歳まであと少しのガウルテリオ。
魔法使いや妖精の意味を知らない事が救いだ。
神様はいつもどこかに抜け穴を作ってくれている。
そう、靴の中が蒸れる騎士たちの靴下に風通しの良い穴があるように。
部屋にはガウルテリオとマリーの2人のみ。
ガウルテリオは小さくマリーに呟いた。
「すまないな…」
「何がですが?」
またもや目は書類に、手はペンを走らせ声だけの返事のマリー。
ガウルテリオも騎士たちの「嫁取り事情」は知っているが騎士達の様子に申し訳ないと思い、謝罪の言葉が口を吐いた。
「出来ました。先月の遠征費用ですが団長様、立替をしていらっしゃいますね。修正領収書をお持ちでしたら直ぐに清算をして会計課に書類を回します」
さっきの言葉は聞こえていなかったんだろうか?とガウルテリオは少し安心した。すまないと口にしたが、その言葉が適切であったか。思い直してみれば驕りではないかと思ったのだ。
慌てて胸ポケットを探り、財布を取り出して中身を見る。
「領収?…えぇっと…領収…すまん。金額は幾らだ?」
「15ポポです」
「へっ?じゅ‥じゅ?」
「15ポポ。計算間違いは御座いません。検算済みです。それから普通の領収ではなく修正領収書です」
「ちょっと待ってくれ。そんな領収があるわけがない」
ガウルテリオの素っ頓狂な声にマリーは1枚の清算書を手にガウルテリオのデスクにやってきた。デスクを挟み睨み合ってはいないが見つめ合ってもいない2人。
ビシッ! ガウルテリオの目の前に書類が付きだされた。
バンッ! 書類を天板に置いた音にガウルテリオの腰が浮く。
「こちら、遠征先で剣の刃こぼれが11本。現地の刀鍛冶に打ち直して貰っておりますがその代金が消費税込みで14万飛んで1555ポポ。遠征費のそれまでの残りが14万1540ポポ。支払い係から確認を取りましたが15ポポを団長様が立て替えてくれた。そう申しておりました」
「は、はぃ…そんな事もあったような…」
「このような場合、店主に14万1555ポポで領収を切ってもらうのではなく、14万1540ポポと15ポポに分けて頂く必要があります」
「いいじゃないか…15ポポだしどっかで帳尻――」
バンッ!! 「ヒィィッ!」
ギロリと睨んでいるのだろうが、百戦錬磨のガウルテリオには効果がない。
それどころか、ガウルテリオ。キッと睨むその目のすぐ下。ほっぺが柔らかそうだな?などと不意に思ってしまった。
思っただけなら良かったのに!!
プニ・・・・ 人差し指で頬を突いてしまった。
――あ、やわらかい――
「っっっ!!(やっちまった)」
何故か柔らかそうな物を見ると指で突いてみたくなるガウルテリオ。
マリーは眉1つ動かさずに一言。
「セクハラですよ?」
「し、始末書書きます。すみません…」
「わたくし、明日は休みなので退社する際に総務課に提出します。お早めに」
何事も無かったかのようにマリーは席に戻った。
始末書を2通書いたガウルテリオ。
1つは15ポポの過不足金が出てしまう始末書@必須。
もう1つは許可なく女性に触れた始末書@任意である。
時刻は定時を大きく過ぎてしまった。明らかにマリーが残業をしているのはガウルテリオの始末書待ち。やっと出来上がった始末書をガウルテリオはマリーに差し出した。
「では、会計課に行って直帰致します。それから用紙の無駄使いはお止めください。この用紙は次回裏書に使用してくださいますよう」
そう言って【許可なく女性に触れた始末書】をガウルテリオに差し戻した。
「待ってくれ。今日はもう遅い。家の近くまで送って行こう」
窓の外はもうとっくに陽が落ちて真っ暗。時刻は19時過ぎ。
日没は17時半前後で、定時は16時だ。3時間近く待たせてしまっている。
こんな時間に女性の一人歩きは襲ってくれと言っているようなものだ。
マリーに問いたいこともあったガウルテリオ。
もしかすると食事でも誘えるかな?という下心があったのは否めない。
☆~☆
1ポポ=1円とお考え下さい
イグナシオも次年度の団員募集の手続きをする為に総務課に出た。
今日は昼食時に「結婚したぁい!」「恋人が欲しいぃ~」とガウルテリオに「第3騎士団主催の夜会を開いてくれ」と数人の騎士がやって来ていた。
独身貴族を誓いあっていたのに、抜けていくメンバーが出ると残されたメンバーは最後の1人になりたくないと泣き付いてくるのである。
その最後の1人になりそうなのが、懇願されているガウルテリオなのだが。
「30を過ぎて素人を知らなかったら、中途半端な妖精になっちゃいますよぅ」
「加齢臭炎舞魔法ッ!なんて剣を振る度に笑われるんですよぅ」
その30歳まであと少しのガウルテリオ。
魔法使いや妖精の意味を知らない事が救いだ。
神様はいつもどこかに抜け穴を作ってくれている。
そう、靴の中が蒸れる騎士たちの靴下に風通しの良い穴があるように。
部屋にはガウルテリオとマリーの2人のみ。
ガウルテリオは小さくマリーに呟いた。
「すまないな…」
「何がですが?」
またもや目は書類に、手はペンを走らせ声だけの返事のマリー。
ガウルテリオも騎士たちの「嫁取り事情」は知っているが騎士達の様子に申し訳ないと思い、謝罪の言葉が口を吐いた。
「出来ました。先月の遠征費用ですが団長様、立替をしていらっしゃいますね。修正領収書をお持ちでしたら直ぐに清算をして会計課に書類を回します」
さっきの言葉は聞こえていなかったんだろうか?とガウルテリオは少し安心した。すまないと口にしたが、その言葉が適切であったか。思い直してみれば驕りではないかと思ったのだ。
慌てて胸ポケットを探り、財布を取り出して中身を見る。
「領収?…えぇっと…領収…すまん。金額は幾らだ?」
「15ポポです」
「へっ?じゅ‥じゅ?」
「15ポポ。計算間違いは御座いません。検算済みです。それから普通の領収ではなく修正領収書です」
「ちょっと待ってくれ。そんな領収があるわけがない」
ガウルテリオの素っ頓狂な声にマリーは1枚の清算書を手にガウルテリオのデスクにやってきた。デスクを挟み睨み合ってはいないが見つめ合ってもいない2人。
ビシッ! ガウルテリオの目の前に書類が付きだされた。
バンッ! 書類を天板に置いた音にガウルテリオの腰が浮く。
「こちら、遠征先で剣の刃こぼれが11本。現地の刀鍛冶に打ち直して貰っておりますがその代金が消費税込みで14万飛んで1555ポポ。遠征費のそれまでの残りが14万1540ポポ。支払い係から確認を取りましたが15ポポを団長様が立て替えてくれた。そう申しておりました」
「は、はぃ…そんな事もあったような…」
「このような場合、店主に14万1555ポポで領収を切ってもらうのではなく、14万1540ポポと15ポポに分けて頂く必要があります」
「いいじゃないか…15ポポだしどっかで帳尻――」
バンッ!! 「ヒィィッ!」
ギロリと睨んでいるのだろうが、百戦錬磨のガウルテリオには効果がない。
それどころか、ガウルテリオ。キッと睨むその目のすぐ下。ほっぺが柔らかそうだな?などと不意に思ってしまった。
思っただけなら良かったのに!!
プニ・・・・ 人差し指で頬を突いてしまった。
――あ、やわらかい――
「っっっ!!(やっちまった)」
何故か柔らかそうな物を見ると指で突いてみたくなるガウルテリオ。
マリーは眉1つ動かさずに一言。
「セクハラですよ?」
「し、始末書書きます。すみません…」
「わたくし、明日は休みなので退社する際に総務課に提出します。お早めに」
何事も無かったかのようにマリーは席に戻った。
始末書を2通書いたガウルテリオ。
1つは15ポポの過不足金が出てしまう始末書@必須。
もう1つは許可なく女性に触れた始末書@任意である。
時刻は定時を大きく過ぎてしまった。明らかにマリーが残業をしているのはガウルテリオの始末書待ち。やっと出来上がった始末書をガウルテリオはマリーに差し出した。
「では、会計課に行って直帰致します。それから用紙の無駄使いはお止めください。この用紙は次回裏書に使用してくださいますよう」
そう言って【許可なく女性に触れた始末書】をガウルテリオに差し戻した。
「待ってくれ。今日はもう遅い。家の近くまで送って行こう」
窓の外はもうとっくに陽が落ちて真っ暗。時刻は19時過ぎ。
日没は17時半前後で、定時は16時だ。3時間近く待たせてしまっている。
こんな時間に女性の一人歩きは襲ってくれと言っているようなものだ。
マリーに問いたいこともあったガウルテリオ。
もしかすると食事でも誘えるかな?という下心があったのは否めない。
☆~☆
1ポポ=1円とお考え下さい
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