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第10話♡騎士団長、嘘を吐く
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「ご用意出来ますよ。えぇっと御者の方は控室の方で軽食となりますが宜しいですか?」
「ありがとう。料理はお任せだがコースでお願い出来るかな。ワインも店にある物で一番上等な・・・赤がいいかな?白の方がいいだろうか?」
「本日のメインは魚ですので、白の方がよろしいかと。女性にも口当たりの良い250年モノが御座います。ただお値段が…(ぴろっ)こちらになります」
給仕から提示された白ワインの金額は超破格の200万ポポ超え。
支払いが現金のみのため、「御者に屋敷に走って貰うか」と考えた。コース料理の場合早くても2時間程は食事の時間がかかる。軽食しか出ない御者は1時間以上は手持ち無沙汰になってしまうのだ。
ガウルテリオは支払い能力はあると確認してもらうために第3騎士団の階級章を見せて、それで良いと告げた。満面の笑みになった給仕。急いでワインを席に用意するよう先に指示を出した。
「ではお席‥‥おや?何の騒ぎでしょう。店の前で迷惑な・・・」
眉をひそめて店の前で大声を上げる男女を見た。
ガウルテリオも後ろを振り返る。
「なっ!待っててくれ!」
給仕に告げると、大声を上げる男女の目の前で威嚇されているマリーと御者の元に駆けだした。
「なんなんだ。君たちは!」
マリーと御者を背にガウルテリオがエドウィンとカテリーンと向かい合う。
飛び出してきたガウルテリオはコートを着ているため、隊服は見えていない。
残念な事に騎士団の務めが優先で碌に夜会にも行かないため伯爵家当主としての顔見世も滅多にないガウルテリオの事をエドウィンとカテリーンはちょっとばかり金のある平民としか思っていない。
「ブッ!!クハハハ。そう怒るな。教えてやるよ。その女は落ちぶれた子爵――」
「それがどうした!」
「えっ?やだぁ。貴方、騙されているわよ?その女はね――」
目を半月形にして蔑み、罵るエドウィンとカテリーンの言葉を遮ってガウルテリオは野太い声で言い放った。
「マリーは俺と結婚も間近に控えた婚約者だ。言いたいことがあるのなら第3騎士団団長、ガウルテリオ・アージュが伺おう」
<< えぇっ?! >>
御者以外が驚きの声をあげた。その中には勿論マリーも入っている。
御者だけは「やっぱり!?早く屋敷の皆に知らせなきゃ!」と思ったのは言うまでもない。
ガウルテリオに「次回は予約をして食事をさせて貰う」とお断りをされたレストラン。年に1本出るか出ないかのワインもパーになるとなれば当然、怒り心頭である。
「なんなんだ!恥をかかせやがって!」
憤るエドウィンとカテリーンに愛想笑いを浮かべて給仕が告げる。
「申し訳ございません。現在ご用意できる席が御座いません」
「何を言ってるんだ!あいつらの席が空いたままになっているだろうが」
「そちらでよろしいのですか?」
「使った後なら腹も立つがまだ使ってないだろうが。そこに案内しろ!」
「畏まりました。ではお席にご案内いたしますのでこちらにサインを」
「は?今まで何度か利用したが事前にサインは初めてだぞ?」
「そうで御座いましたか?それはこちらの手抜かりで御座いますね。申し訳ございません。当店では特別なお席のお客様には事前にサインを頂いております」
都合よく脳内変換をするのはエドウィンの癖でもある。「特別な」と言われると悪い気はしない。サラサラとペンを走らせてサインをした。その席が席料だけで10名の会食が出来る金額だと確認などする筈がない。
個室になった部屋まで案内をした給仕。
給仕は売り上げが歩合になるのだ。敢えてテーブルに置かれたワインを片付けさせず、ガウルテリオに承諾を貰ったワインを手に取った。
「急ぎでしたので抜かっておりました。先程のお客様がご指定されたものですので下げさせて頂きます」
一礼をするとエドウィンは鼻を鳴らして給仕に言った。
「あいつらにも払える安物だろう?どうせ出したんだ。食前酒として飲んでやるよ」
「よろしいのですか?」
「未開封だろう?何の問題があるんだ」
「このワインは白ワインですが、にひゃ――」
「あぁ、いい。いい。早くグラスに注げ」
給仕にその場でコルクを抜かせた。
注がれたワインを一口飲んで「安い癖に旨いな?」っとなり追加で2本の売り上げになった。
給仕こそ「棚から牡丹餅」心の中で盛大に「ありがとうございまぁす!」
愛想笑いではなく、ガチで満面の笑みを浮かべ、複数の給仕も加わり限界を攻めるようなサービスを提供したのだった。
「旨かったよ。さて、帰ろうか」
「そうね。安いのに美味しいワインだったわね」
席を立った2人に渡された会計伝票。
「おい!計算が間違っていないか?!」
「そうよ。コース料理にワイン3本、チップに税で800万ポポなんてボッタクリよ!」
息まく二人。しかし給仕は2人が飲んだワインの空き瓶を他の客にも見えるように大事に抱え、銘柄を読み上げた。周りの客は「一度は飲んでみたいが、瓶が見られるだけでも儲けもの」ランクのワインにそのお値段ならリーズナブルなんじゃないか?とエドウィンに耳打ちした。
結果的に到底手持ちでは払えない。
大勢の客の前でエドウィンとカテリーンの首には「ただいま、従者が屋敷に金を取りに走っています」というプレートが掛けられ、ガラス張りの小さな部屋に入れられた。
ガチャリと外鍵が無情な音を立ててかけられる。
閉店までに従者が戻らなければ、憲兵に連絡をされガラス張りの部屋から鉄格子の部屋に場所が変わる。
「遅いっ!何をしてるんだ!」
「もう!こんな店、二度と来ないんだから!」
息まくエドウィンとカテリーン。
行き交う者からの辱めもたっぷりと味わう羽目になったのだった。
何事も事前の確認は大事である。
「ありがとう。料理はお任せだがコースでお願い出来るかな。ワインも店にある物で一番上等な・・・赤がいいかな?白の方がいいだろうか?」
「本日のメインは魚ですので、白の方がよろしいかと。女性にも口当たりの良い250年モノが御座います。ただお値段が…(ぴろっ)こちらになります」
給仕から提示された白ワインの金額は超破格の200万ポポ超え。
支払いが現金のみのため、「御者に屋敷に走って貰うか」と考えた。コース料理の場合早くても2時間程は食事の時間がかかる。軽食しか出ない御者は1時間以上は手持ち無沙汰になってしまうのだ。
ガウルテリオは支払い能力はあると確認してもらうために第3騎士団の階級章を見せて、それで良いと告げた。満面の笑みになった給仕。急いでワインを席に用意するよう先に指示を出した。
「ではお席‥‥おや?何の騒ぎでしょう。店の前で迷惑な・・・」
眉をひそめて店の前で大声を上げる男女を見た。
ガウルテリオも後ろを振り返る。
「なっ!待っててくれ!」
給仕に告げると、大声を上げる男女の目の前で威嚇されているマリーと御者の元に駆けだした。
「なんなんだ。君たちは!」
マリーと御者を背にガウルテリオがエドウィンとカテリーンと向かい合う。
飛び出してきたガウルテリオはコートを着ているため、隊服は見えていない。
残念な事に騎士団の務めが優先で碌に夜会にも行かないため伯爵家当主としての顔見世も滅多にないガウルテリオの事をエドウィンとカテリーンはちょっとばかり金のある平民としか思っていない。
「ブッ!!クハハハ。そう怒るな。教えてやるよ。その女は落ちぶれた子爵――」
「それがどうした!」
「えっ?やだぁ。貴方、騙されているわよ?その女はね――」
目を半月形にして蔑み、罵るエドウィンとカテリーンの言葉を遮ってガウルテリオは野太い声で言い放った。
「マリーは俺と結婚も間近に控えた婚約者だ。言いたいことがあるのなら第3騎士団団長、ガウルテリオ・アージュが伺おう」
<< えぇっ?! >>
御者以外が驚きの声をあげた。その中には勿論マリーも入っている。
御者だけは「やっぱり!?早く屋敷の皆に知らせなきゃ!」と思ったのは言うまでもない。
ガウルテリオに「次回は予約をして食事をさせて貰う」とお断りをされたレストラン。年に1本出るか出ないかのワインもパーになるとなれば当然、怒り心頭である。
「なんなんだ!恥をかかせやがって!」
憤るエドウィンとカテリーンに愛想笑いを浮かべて給仕が告げる。
「申し訳ございません。現在ご用意できる席が御座いません」
「何を言ってるんだ!あいつらの席が空いたままになっているだろうが」
「そちらでよろしいのですか?」
「使った後なら腹も立つがまだ使ってないだろうが。そこに案内しろ!」
「畏まりました。ではお席にご案内いたしますのでこちらにサインを」
「は?今まで何度か利用したが事前にサインは初めてだぞ?」
「そうで御座いましたか?それはこちらの手抜かりで御座いますね。申し訳ございません。当店では特別なお席のお客様には事前にサインを頂いております」
都合よく脳内変換をするのはエドウィンの癖でもある。「特別な」と言われると悪い気はしない。サラサラとペンを走らせてサインをした。その席が席料だけで10名の会食が出来る金額だと確認などする筈がない。
個室になった部屋まで案内をした給仕。
給仕は売り上げが歩合になるのだ。敢えてテーブルに置かれたワインを片付けさせず、ガウルテリオに承諾を貰ったワインを手に取った。
「急ぎでしたので抜かっておりました。先程のお客様がご指定されたものですので下げさせて頂きます」
一礼をするとエドウィンは鼻を鳴らして給仕に言った。
「あいつらにも払える安物だろう?どうせ出したんだ。食前酒として飲んでやるよ」
「よろしいのですか?」
「未開封だろう?何の問題があるんだ」
「このワインは白ワインですが、にひゃ――」
「あぁ、いい。いい。早くグラスに注げ」
給仕にその場でコルクを抜かせた。
注がれたワインを一口飲んで「安い癖に旨いな?」っとなり追加で2本の売り上げになった。
給仕こそ「棚から牡丹餅」心の中で盛大に「ありがとうございまぁす!」
愛想笑いではなく、ガチで満面の笑みを浮かべ、複数の給仕も加わり限界を攻めるようなサービスを提供したのだった。
「旨かったよ。さて、帰ろうか」
「そうね。安いのに美味しいワインだったわね」
席を立った2人に渡された会計伝票。
「おい!計算が間違っていないか?!」
「そうよ。コース料理にワイン3本、チップに税で800万ポポなんてボッタクリよ!」
息まく二人。しかし給仕は2人が飲んだワインの空き瓶を他の客にも見えるように大事に抱え、銘柄を読み上げた。周りの客は「一度は飲んでみたいが、瓶が見られるだけでも儲けもの」ランクのワインにそのお値段ならリーズナブルなんじゃないか?とエドウィンに耳打ちした。
結果的に到底手持ちでは払えない。
大勢の客の前でエドウィンとカテリーンの首には「ただいま、従者が屋敷に金を取りに走っています」というプレートが掛けられ、ガラス張りの小さな部屋に入れられた。
ガチャリと外鍵が無情な音を立ててかけられる。
閉店までに従者が戻らなければ、憲兵に連絡をされガラス張りの部屋から鉄格子の部屋に場所が変わる。
「遅いっ!何をしてるんだ!」
「もう!こんな店、二度と来ないんだから!」
息まくエドウィンとカテリーン。
行き交う者からの辱めもたっぷりと味わう羽目になったのだった。
何事も事前の確認は大事である。
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