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第20話♡呼称の威力
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「食事の後、少しいいか?」
定時で帰宅をしたマリーと、2時間程遅れて帰宅をしたガウルテリオ。夕食の時間に何とか間に合ったが、使用人達の期待感溢れる場では切り出す事も出来ない。
食事が終わると、夜風が心地よい時期になった事もあってガウルテリオはかつてこの屋敷に住んでいた老夫婦が夜の庭を楽しんでいた小さなテラスにマリーを誘った。
勿論、使用人達は心で応援団扇を振りまくる。
「何か用があったのなら申し訳ない」
「いいえ。湯あみは先に済ませましたし後は寝るだけですので」
「不都合はないだろうか。小さな事でも俺には気が付かない事も多いだろうし」
「皆さんとご一緒するのが楽しいですので、むしろここまでしてくださる事に申し訳ないと思っています」
向かいに腰掛けるマリーは勤務中よりは柔らかい表情になっているものの、ガウルテリオの前では何か一線を引いているようにも感じる。
「あ~。そうだ。夜会なんだが明日、仕立て屋を呼んでおくように伝えているから好きなドレスを注文するといい。必要ならば宝飾品も揃えよう」
「結構です。ドレスでは御座いませんが参加をしたという事実があれば足りる程度の物は所有しております。意味を知って参加する方々からすれば見劣りはするでしょうし‥‥実は結婚願望がないので選ばれても困るのです」
マリーの結婚願望がない発言にガウルテリオは早速出鼻を挫かれた。
――おかしいな…イグナシオの話ではドレスと宝飾品で食いつくはずなんだが――
元婚約者で今はカルロスの妻となったエメリーアナもドレスや宝飾品を贈った時は機嫌が頗る良かった記憶もある。マリーの反応にガウルテリオはいい加減少ない知識を総動員。
――そうだ!ファルコンが言ってたじゃないか。仮の関係、そう!契約恋人だ!――
現在妻となっている女性を口説き落とす時、それなりにモテたファルコンは「友達からでもいい!」と迫りその日のうちに既成事実を作るまでに持ち込んだ強者。
「いきなり結婚とか言うと逃げられる可能性もありますからね。ヘヘン」ファルコンはそう言っていた。本物ではなく、仮の関係とする事で相手のハードルを下げる作戦を展開する事にした。
「そうか…ならばやはり俺の不用意な発言で迷惑をかけて申し訳ない。だが、この際だ。それを利用してみないか?」
「利用?団長様をですか?何のためにそのような事を。団長様には何の利も御座いませんよ?」
ガウルテリオのレストランの前での発言はそこそこに知れ渡っていて、5カ月になろうと言うのにマリーの異動がかからないのはガウルテリオが許可をしないからとも噂がある。
実際は女性の登用についても年数が経ち、短いスパンで異動をさせるよりも男性の文官や次官と同じく2、3年にしてみてはどうかとエンリケが発言をした事によるもの。
ただ、それも思いを実らせたガウルテリオに対してエンリケが忖度をしたのではないかと噂する者もいる。
「やっかむ奴らには言わせておけばいい。知っての通り騎士団は情報を共有する事もあるが、独自で動く事もある。正直な所、君が来てくれて仕事もやりやすくなった。新しい秘書官となるとまたイチから教えねばならないし、今のやり方で慣れてきた隊員たちにも混乱が起きる。異動がないのは願ったり叶ったりでもあるんだ」
「その件と夜会と何の関係があるのでしょうか」
「大いにある。君は結婚をしたくないのだろう?ならば正式な婚約は結んでいない現状は恋人という事だ。それを利用すれば側妃に選ばれる事はまずないだろう。参加をする際に俺と一緒に出れば確実に候補者からも外れる。今は公の場では団長と秘書官。屋敷の仲では同居人だが屋敷の中まで誰かが何かを知っているという事でもない。公私ともに仲は順調だと見せつけるいい機会だ」
「それはあると思います。ですが団長様がお困りになるのではありませんか?」
「俺は過去に婚約者がいた事がある。今は他の男性と結婚をして子供もいるが、言ってみれば傷物だ。それに元々親父は一代限りの騎士爵。兄貴はいるが兄貴は兄貴で別に騎士爵を賜っている。そんな出自だからまた婚約だとなると根掘り葉掘り掘り返されていい気がしないんだ」
「カルロス殿下の件で御座いますか」
「知っているなら話は早い。その件で陛下が色々と言われる事を懸念して近衛騎士を辞めた。当人たちは納得をしているのにそれでは済まないのが貴族。全く・・・口さがない連中だからな。貴族は―――っと、すまない」
今は落とされたとは言え元は侯爵令嬢でもあるマリー。
今も子爵令嬢で生まれも育ちも貴族である事は変わらず、平民とは違うと気が付きガウルテリオは謝罪の言葉を口にした。
「気にされずとも結構です。わたくしは何とも思いません」
「失言だった。決して君を卑しめたいわけではない」
「判っています」
目を伏せがちにマリーが呟いた言葉にガウルテリオは焦ってしまった。
テラスを遠目に見る使用人達もカーテンが皺になるくらいに緊張をしている。
ガウルテリオは一言多かったと猛省をするが、マリーの表情からはどう受け取ったのか判断が付きかねる。今はただ失言を謝罪せねばと回復した気持ちがシュゥゥ―ッと萎んだ。
「慣れているなどとは言わないでくれ。本当にそんなつもりはない」
「大丈夫です。判っております」
全然進歩がない事に焦りだけが先走ってしまう。
胸の奥がチクチクと痛み、ガウルテリオの口から本心が零れてしまった。
「いや、判っていない。俺は君の仕事ぶりは評価に値すると思っているし、その…女性としても…好ましいと。そうでなければ‥‥陛下の言葉と言えど屋敷に迎える事などしない。君さえ良ければ…このまま婚姻をしても構わないと…考えている」
言い切ったあと、ごくりと息を飲み込んでマリーの顔を見た。
胸の拍動が早くなり、顔が火照るがマリーはやはり通常運転だった。
「団長様、軽々しくそのような事を仰ってはなりません。もしわたくしが噂の通り誰とでも夜伽をし、手癖も悪い女だったらどうなさるのです。身ぐるみ剝がされますよ?」
マリーらしい答えにガウルテリオは吹っ切れた。
「アハハ。もう面倒だな。結婚するか?」
「御遠慮します」
――あ、断られた…やっぱり間接的に言った方が良かったのか、いやこれで良かったのか?――
そう思いながら必死に笑顔でガウルテリオは誤魔化した。
「だよな…領地でもあればいいんだが残念な事にこの屋敷と土地、多少の金しか褒賞で貰ってないからな」
「そのような理由ではありません」
表情を変えないマリーだったが、ガウルテリオはラウールの言葉を思い出す。
【団長、長期戦も辞さずの気持ちが大事ですよ!】
――よし!――
ガウルテリオはリカバリーしたのだが、そこにマリーが意図せず燃料を投下した。
「では、団長様、お言葉に甘えて夜会はエスコートをお願いいたします」
「えっ?!いいのか?」
「その方が団長様も都合がよろしいのですよね?違いましたでしょうか?」
ブンブンと首を大きく横に振る。
夜空の星と、ランプの灯りが幻想的な線状になるほどにブンブンと。
「違いません。その通り!」
はて。マリーが頬に指をあてて首をコテンと小さく傾ける。
今のガウルテリオには破壊力は十分。ファルコンが心のハードルを下げさせて当日中の既成事実に持ち込んだ気持ちが手に取るように判る。
席を立ちあがってそのままマリーを抱きしめてしまいそうだ。
ガウルテリオは欲望と煩悩が僅かな理性に抑え込まれた。
「では、私的な際の呼び――」
「ウルで!」
即答してしまった。母が生きていた頃に「これは!」っと思う女性にだけ呼ばせなさいと、それまで「ガっちゃん」「リオ」「テリー」など性別問わずに呼ばれてきたが「ウル」だけは呼ばせていない。
「判りました。では夜会まで屋敷の中ではウル様と――」
「様は要らない。他人行儀になる」
「では…失礼を致しまして‥‥ウル」
「ふぁぃ‥‥(ガターン!)」
何事も興奮のし過ぎは良くない。椅子ごと真後ろにひっくり返り気絶したガウルテリオ。遠くで使用人が「旦那様ぁ!」と叫ぶ声は空耳だろうか。
呼称の威力は半端なかった。
定時で帰宅をしたマリーと、2時間程遅れて帰宅をしたガウルテリオ。夕食の時間に何とか間に合ったが、使用人達の期待感溢れる場では切り出す事も出来ない。
食事が終わると、夜風が心地よい時期になった事もあってガウルテリオはかつてこの屋敷に住んでいた老夫婦が夜の庭を楽しんでいた小さなテラスにマリーを誘った。
勿論、使用人達は心で応援団扇を振りまくる。
「何か用があったのなら申し訳ない」
「いいえ。湯あみは先に済ませましたし後は寝るだけですので」
「不都合はないだろうか。小さな事でも俺には気が付かない事も多いだろうし」
「皆さんとご一緒するのが楽しいですので、むしろここまでしてくださる事に申し訳ないと思っています」
向かいに腰掛けるマリーは勤務中よりは柔らかい表情になっているものの、ガウルテリオの前では何か一線を引いているようにも感じる。
「あ~。そうだ。夜会なんだが明日、仕立て屋を呼んでおくように伝えているから好きなドレスを注文するといい。必要ならば宝飾品も揃えよう」
「結構です。ドレスでは御座いませんが参加をしたという事実があれば足りる程度の物は所有しております。意味を知って参加する方々からすれば見劣りはするでしょうし‥‥実は結婚願望がないので選ばれても困るのです」
マリーの結婚願望がない発言にガウルテリオは早速出鼻を挫かれた。
――おかしいな…イグナシオの話ではドレスと宝飾品で食いつくはずなんだが――
元婚約者で今はカルロスの妻となったエメリーアナもドレスや宝飾品を贈った時は機嫌が頗る良かった記憶もある。マリーの反応にガウルテリオはいい加減少ない知識を総動員。
――そうだ!ファルコンが言ってたじゃないか。仮の関係、そう!契約恋人だ!――
現在妻となっている女性を口説き落とす時、それなりにモテたファルコンは「友達からでもいい!」と迫りその日のうちに既成事実を作るまでに持ち込んだ強者。
「いきなり結婚とか言うと逃げられる可能性もありますからね。ヘヘン」ファルコンはそう言っていた。本物ではなく、仮の関係とする事で相手のハードルを下げる作戦を展開する事にした。
「そうか…ならばやはり俺の不用意な発言で迷惑をかけて申し訳ない。だが、この際だ。それを利用してみないか?」
「利用?団長様をですか?何のためにそのような事を。団長様には何の利も御座いませんよ?」
ガウルテリオのレストランの前での発言はそこそこに知れ渡っていて、5カ月になろうと言うのにマリーの異動がかからないのはガウルテリオが許可をしないからとも噂がある。
実際は女性の登用についても年数が経ち、短いスパンで異動をさせるよりも男性の文官や次官と同じく2、3年にしてみてはどうかとエンリケが発言をした事によるもの。
ただ、それも思いを実らせたガウルテリオに対してエンリケが忖度をしたのではないかと噂する者もいる。
「やっかむ奴らには言わせておけばいい。知っての通り騎士団は情報を共有する事もあるが、独自で動く事もある。正直な所、君が来てくれて仕事もやりやすくなった。新しい秘書官となるとまたイチから教えねばならないし、今のやり方で慣れてきた隊員たちにも混乱が起きる。異動がないのは願ったり叶ったりでもあるんだ」
「その件と夜会と何の関係があるのでしょうか」
「大いにある。君は結婚をしたくないのだろう?ならば正式な婚約は結んでいない現状は恋人という事だ。それを利用すれば側妃に選ばれる事はまずないだろう。参加をする際に俺と一緒に出れば確実に候補者からも外れる。今は公の場では団長と秘書官。屋敷の仲では同居人だが屋敷の中まで誰かが何かを知っているという事でもない。公私ともに仲は順調だと見せつけるいい機会だ」
「それはあると思います。ですが団長様がお困りになるのではありませんか?」
「俺は過去に婚約者がいた事がある。今は他の男性と結婚をして子供もいるが、言ってみれば傷物だ。それに元々親父は一代限りの騎士爵。兄貴はいるが兄貴は兄貴で別に騎士爵を賜っている。そんな出自だからまた婚約だとなると根掘り葉掘り掘り返されていい気がしないんだ」
「カルロス殿下の件で御座いますか」
「知っているなら話は早い。その件で陛下が色々と言われる事を懸念して近衛騎士を辞めた。当人たちは納得をしているのにそれでは済まないのが貴族。全く・・・口さがない連中だからな。貴族は―――っと、すまない」
今は落とされたとは言え元は侯爵令嬢でもあるマリー。
今も子爵令嬢で生まれも育ちも貴族である事は変わらず、平民とは違うと気が付きガウルテリオは謝罪の言葉を口にした。
「気にされずとも結構です。わたくしは何とも思いません」
「失言だった。決して君を卑しめたいわけではない」
「判っています」
目を伏せがちにマリーが呟いた言葉にガウルテリオは焦ってしまった。
テラスを遠目に見る使用人達もカーテンが皺になるくらいに緊張をしている。
ガウルテリオは一言多かったと猛省をするが、マリーの表情からはどう受け取ったのか判断が付きかねる。今はただ失言を謝罪せねばと回復した気持ちがシュゥゥ―ッと萎んだ。
「慣れているなどとは言わないでくれ。本当にそんなつもりはない」
「大丈夫です。判っております」
全然進歩がない事に焦りだけが先走ってしまう。
胸の奥がチクチクと痛み、ガウルテリオの口から本心が零れてしまった。
「いや、判っていない。俺は君の仕事ぶりは評価に値すると思っているし、その…女性としても…好ましいと。そうでなければ‥‥陛下の言葉と言えど屋敷に迎える事などしない。君さえ良ければ…このまま婚姻をしても構わないと…考えている」
言い切ったあと、ごくりと息を飲み込んでマリーの顔を見た。
胸の拍動が早くなり、顔が火照るがマリーはやはり通常運転だった。
「団長様、軽々しくそのような事を仰ってはなりません。もしわたくしが噂の通り誰とでも夜伽をし、手癖も悪い女だったらどうなさるのです。身ぐるみ剝がされますよ?」
マリーらしい答えにガウルテリオは吹っ切れた。
「アハハ。もう面倒だな。結婚するか?」
「御遠慮します」
――あ、断られた…やっぱり間接的に言った方が良かったのか、いやこれで良かったのか?――
そう思いながら必死に笑顔でガウルテリオは誤魔化した。
「だよな…領地でもあればいいんだが残念な事にこの屋敷と土地、多少の金しか褒賞で貰ってないからな」
「そのような理由ではありません」
表情を変えないマリーだったが、ガウルテリオはラウールの言葉を思い出す。
【団長、長期戦も辞さずの気持ちが大事ですよ!】
――よし!――
ガウルテリオはリカバリーしたのだが、そこにマリーが意図せず燃料を投下した。
「では、団長様、お言葉に甘えて夜会はエスコートをお願いいたします」
「えっ?!いいのか?」
「その方が団長様も都合がよろしいのですよね?違いましたでしょうか?」
ブンブンと首を大きく横に振る。
夜空の星と、ランプの灯りが幻想的な線状になるほどにブンブンと。
「違いません。その通り!」
はて。マリーが頬に指をあてて首をコテンと小さく傾ける。
今のガウルテリオには破壊力は十分。ファルコンが心のハードルを下げさせて当日中の既成事実に持ち込んだ気持ちが手に取るように判る。
席を立ちあがってそのままマリーを抱きしめてしまいそうだ。
ガウルテリオは欲望と煩悩が僅かな理性に抑え込まれた。
「では、私的な際の呼び――」
「ウルで!」
即答してしまった。母が生きていた頃に「これは!」っと思う女性にだけ呼ばせなさいと、それまで「ガっちゃん」「リオ」「テリー」など性別問わずに呼ばれてきたが「ウル」だけは呼ばせていない。
「判りました。では夜会まで屋敷の中ではウル様と――」
「様は要らない。他人行儀になる」
「では…失礼を致しまして‥‥ウル」
「ふぁぃ‥‥(ガターン!)」
何事も興奮のし過ぎは良くない。椅子ごと真後ろにひっくり返り気絶したガウルテリオ。遠くで使用人が「旦那様ぁ!」と叫ぶ声は空耳だろうか。
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