第3騎士団長は愛想なし令嬢を愛でたい

cyaru

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第35話♥♡←こっちかな)襲われたマリー

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大嘗祭を3日後に控え、いつものように定時退社をするマリー。

デスクの上は何も物がなく、きちんと整理整頓をされている。
マリーがやって来る前はいろんな場所に様々な書類が散りばめられていた頃が嘘のようだ。

イントロからいきなり始まるように開きっ放しの扉から一歩入れば紙屑のステージ。
スッキリと床の模様が見える事につい、胸にほほを埋めて泣いてしまいそうだ。

「では、会計課に寄って帰ります。お疲れ様で御座いました」
「お疲れ~」
「あ、会計課に行くなら途中にある配送課にもこの伝票を頼めますか?」
「承知致しました」


イグナシオから新規入団の団員に配布する冊子の受け取り証を預かったマリー。
「貯めたな~」っと細い目でイグナシオを見る。

「貯めてませんよ?全員に受け取りのチェックをいれてもらったので3枚になったんです」

受け取り証と言っても通常の書類の大きさに枠線を引き、名前の隣に欄を設け、確かに1人1人に受け取りのサインにゃチェックを記入してもらっている。

この所、数が合わない事も頻繁に続いたのでイグナシオなりに工夫をしたのだ。
マリーは「お預かりします」と頭をさげた。


団長室を出たマリーが最初の廊下の角を曲がった頃、エスピオが団長室に飛び込んできた。
ラウールは知らないが、イグナシオとファルコンは「まさかの愛憎劇?!」っとドラマティックな展開が突然始まるのか!と椅子から転げ落ちた。


「どうしたんだ。そんなに慌てて」
「慌てもします。秘書官‥‥そう!秘書官は?!秘書官はどこですか?!」
「ウェルバーム秘書官でしたら先ほど私の用件も預かって頂き配送課と会計課に寄ってから帰宅すると出ましたけど」

「不味いっ!」


慌てるエスピオにガウルテリオは椅子を倒し立ち上がってエスピオの元に駆け寄った。
胸ぐらを掴んで、ブンブンと激しくエスピオを揺さぶり「何が不味いんだ!」と問う。

「団長!エスピオさんが気絶しますよ!」

ファルコンがガウルテリオの手を抑え、揺さぶるのを止めた。

「あ、あぁ、すまない。気持ちが先行してしまった」
「それは良いんですけど、話を聞いてから先行してください」

「ひ、秘書官が危ないです。帰宅時を襲えと…ゴホッゴホッ…」

<< なんだって?! >>

バッと扉を見るがいる筈がない。
扉の枠に手をかけて、顔だけ廊下に出してキョロキョロ左右を見るが姿は見えない。

「団長!配送課と会計課!行ってください!」
「よし、判った!」

勢いよく飛び出たガウルテリオは通りかかった団員とぶつかりそうになって、団員の肩を抑えて2回転。


「大丈夫か?とび太くんには注意するんだぞ?」
「っっっ!」

新人団員ビワー・コリバー。
王都に出て来て久しぶりに聞いた「とび太くん」に感激して言葉が出ない。
だが残念。出番はこれっきりのモブだった。


配送課への廊下を走るガウルテリオ。
背中を伝った冷や汗が、言いようのない怒りで蒸発していく。
頭頂部で発生する積乱雲を置き去りにするスピードで廊下をひた走った。


「←配送課はこちら」壁に貼り付けられたプレートを見て取り舵いっぱい。
キュキュキュ!っと踵でブレーキをかけて進路を左に取るとまたもや看板。

【配送課移動しました→】

「くそっ!勝手に場所を変えるな!」

だが残念。配送課の場所が変わったのはマリーが配属になった頃。
知らないガウルテリオの方が悪い。

キュキュキュ!っとまたもや踵でブレーキをかけて進路を右に面舵いっぱい。

が‥‥「なんだこれは!」

10人程の人だかりの向こうを見てみればマリーと目が合った。




「団長様!」

野次馬たちが体を捩じるようにして後ろを向いてガウルテリオを見る。
その隙間から見えるのは3人の屈強な男が蹲り床に転がる姿。

「どいてくれ。どいてくれ!」

野次馬を掻き分けてマリーに駆け寄るとマリーは申し訳なさそうに頭を下げた。


「これはいったい…どういう事だ」
「配送課に行こうとそこの角を曲がりましたら、突然後ろから‥えぇっと…この男性に羽交い絞めにされまして」

ピっと指差すのは第1騎士団に入団し3年目の騎士。
両腕の関節を外されているようで、あらぬ方向を手のひらが向いたまま口に書類が詰め込まれている。

――この現状はどう把握すればいいんだ?――

「団長様、ご説明いたします」
「そうしてくれると助かる」

マリーは先ほどの騎士を指差した。

「後ろからいきなりでしたので、不可抗力と認めて頂けるとありがたいのですが、踵で思い切りつま先を踏みまして、体を反転させ顎の下にアッパーを。1対3でしたので後から修復可能なように両肩を外し、足首も外しております。外す際の痛みから舌を噛まないようにイグナシオ広報官から預かった書類を丸めて口に捩じ込みうつ伏せにして外しました」

――え?マジか?――

そう思い、足元を見れば両方の足首が肩と同じく通常とは違う方向を向いている。
マリーはしゃがみこんで、白目を剝いている騎士に語りかけた。

「動くと腱を痛めますし、癖になりますのでご注意を」

――どんな癖に?――

いやいやと首を振る。きっと関節が外れやすくなると言う意味だと自分を納得させる。

「あ、あぁ…そうだったんだ‥で?こっちの2人は?」

「はい、大人しくしろと何か口元に布を押し当てようとしてきましたので、こちらの方には回し蹴り。足が上手く上がらず鳩尾に綺麗に入ってしまいました。こちらの方は向かい合わせとなりましたので、膝を入れたら股間を下から潰す?砕く?そんな感じになってしまいまして、その後直ぐに横になられました」

――うん。横になるよな――

「ファルコン副団長様が膝には鉄製のプロテクターを装着した方がいいと仰っていたので。表面にビスのような突起がありますのでダメージが拡散したと思われます」

さらりと言うが男にとっては恐ろしい最終通告のような言葉が聞こえる。
ガウルテリオは少しだけ確認をしてみたくなった。


「こんな技を何処で?」
「警護団です。昼間でも女性を襲う暴漢が出る地域でしたので、護身術だと習いました」

習っただけにしてはピンポイントだなとガウルテリオは騎士達を見て感じる。

「週に1、2回――」
「そんな頻度で習ってこれなのか?」
「いえ、襲われました。なので回数を重ねるうちに急所は覚えました。侯爵家だった時は警棒や鞭でしたが、生活するのに売ってしまったので防ぐ手段が素手のみでしたから」

――すん‥‥その辺の傭兵より強いんじゃね?――

そう思いながらふと急所を潰された男を足で転がすとその顔に見覚えがあった。

――どこだったか?…こいつ・・・何処で見た?――

騒ぎを聞きつけた王宮の兵士が駆けつけてきた。

「団長様、会計課に行かねばなりませんのであとはお任せしても?」
「構わないが…今日は送って行くぞ」
「結構です。馬車通勤ですので」

礼をして会計課に向かうマリー。途中で配送課の窓口に声を掛けている。

「彼の口の中にお渡しする書類がありますので、取り出してください」

マリーらしい言葉に配送課の窓口担当の言葉が詰まる。

去って行く後ろ姿。
「その膝には凶器あり」ガウルテリオの視線が固定してしまうのは無理も無かった。


☆~☆

あと少し!この後19時40分、20時10分、遂に!!21時10分で完結ですぅ~

\(^0^)/やったどー!!


※ビワー・コリバー。
気が付いたアナタ!素敵です。
その通り!琵琶湖は一級河川♡
法律上は国土交通大臣が指定している川なんですよ~
「一級河川琵琶湖」なのですニャー♡
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