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第34話♡マリーは策士だった
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理不尽なご意見伺いの書面が回ってきた翌日は、エンリケの署名が入った書面が届き現状のままで前日の書類は回収をする事になった。
「なんなんでしょうね?珍しいですよね。翌日に回収って」
「だけど、見直しして欲しい箇所があれば…え?陛下に言えって?無理でしょうに」
イグナシオとファルコンが新たに届いた書面を見て首を傾げる。
マリーは通常運転。ニコリともせずに言葉を返す。
「誤植でもあったんじゃないでしょうか。陛下に陳情するのは団長会などで来られた際になら可能です」
「それって…団長ならってことですよね」
「余計な事を言いそうなのがウチの団長なんだけどな」
チラリとガウルテリオのデスクを見るが、現在ガウルテリオは不在。
ラウールの遠征班が夕方には王都入りをするので、迎え入れる準備をしている。
遠征は皆疲れて帰って来るので、武具などの用品も馬も到着次第交代要員が預かり片付けたり世話をするのだが、今朝届くはずの飼い葉が届かないのだ。
商会に問い合わせれば、到着が遅れていると前日に知らせていると言い逆に文句を言われてしまった。仕方なくガウルテリオが他の騎士団に飼い葉を分けて貰うために走り回っている。
全く無いわけではないが、時折天候不順などで納品が遅れる事はある。
この日はそんなものだろうと思っていたが、この日を境に届くはずの物品が届かなかったり、そもそも発注をされていないと言われるようにもなった。
「うわぁ。また足らない。どうなってんだ?」
大嘗祭と言う国を挙げての式典が近くなり、多少の品不足は諦めが付くが明らかに騎士団くらいしか発注しないであろうという隊服に縫い付ける階級章を縁取る枠や、馬具の装飾品が人数分に足らない。
「秘書官、数は35で間違いないんですか?」
「間違い御座いません。お客様控えの数量は35です」
「28しかないんですよ。急いで追加発注してください」
数が少ないだけならいいのだが、逆もある。人数分しか発注をしていない昼食が3倍以上届けられた事もある。日持ちのしない食材で最初の1、2回は業者に引き取ってもらったが回数が重なればそうもいかない。
食材を調達するにも金はかかる。持ち帰り分を業者が負担をするが繰り返しになれば「倒産させる気ですか!」と業者は手を引いてしまう。そうなれば騎士団には食事が届かなくなる。
「おかしいですね。こうも度々となると悪意を感じます」
毎回ではなく、何回かに1度こんな事が続く。
他の騎士団も同じような事があるが、額が飛びぬけているのは第3騎士団だった。
団長が最終確認をするものの、主に発注などの管理書類を作成するのは秘書官。
どの騎士団からも騎士達から「やっぱり女に任せてるのが間違いじゃないか」と声が聞こえるようになった。
警護団など勤務をして、第1騎士団などに配属になった女性秘書官はマリーだけではない。だが、大嘗祭を間近に控えた今、第2騎士団に配属になった秘書官は騎士と目出度く結婚となり現在妊娠中。他にも総務課や会計課に配属になった女性で慶事に恵まれた者も出てきた。
そこに発注ミスが疑われるような事が続いて、遂には会計が合わなくなった騎士団も出てきた。
「配属が長くなると女性は使えないって事だろう」
誰が言ったかは定かではないがそんな声まで出てくる始末。
騎士達も物心ついた時に女性がこんな社会進出はしていなかった。
元々男尊女卑も根強い貴族社会であり、反発が無かった訳ではない。
小さな失態も濡れ衣のようなものだが、誰かが責任を被らねばならない。
日増しに「長くいると風紀が乱れる」「結婚相手を探しに来てるんじゃないか?」と女性秘書官だけでなく女性の文官、次官などへの批判の声も高まってしまった。
☆~☆
「団長様、区切りも良いですし大嘗祭が終わった後は有休を頂き、今月末で暇を頂きたいのですが」
ガウルテリオのデスクの前にやってきたマリー。
「どうしてだ?」
スッとガウルテリオの前に箇条書きにした書面を差し出すマリー。
そこには2か月ほどの日付と、発注ミスや計算ミスと思われる数字が並んでいた。
「過不足金が10万ポポを超えました。今は品物やそれに対する支払いで済んでいますが…」
「あぁ、先日の第5騎士団での事か」
先日、第5騎士団では王弟ヨアニス殿下の護衛で配置を完了したまでは良かったが、ヨアニスの視察先の順番とルートが変更前のままだった。第5騎士団の担当する区域は王都の中でも端の端。決して治安が良いとは言えず一つ間違えばヨアニスの護衛は近衛隊だけになっていた。
最初の視察先にヨアニスが到着するのが遅れた事で、2つの視察が中止となり再配備をする際に、そもそもで変更になった事に気が付いていなかった事が発覚。
事なきは得たが、第5騎士団長は更迭が決まった。
「今まで通り、リー…いやウェルバーム秘書官のやり方で進めてくれ。何も心配をする事はない」
「ですが!…いえ、わたくしの力不足です。確認の回数を増やします」
「誰も秘書官の力不足だなんて思っていない。なぁ!」
ガウルテリオはイグナシオと2人の副団長に声を掛けた。
「思ってませんよ。先日の弁当だって秘書官の持ってた控えは数字に間違いはなかったでしょう?秘書官は基本的に団長室から出ませんし、業者に嘘の発注伝票をどこかですり替えた者がいる。秘書官はそこまで責任持たなくていいんですよ」
「そうそう。数字の間違いなんて秘書官が来る前は何度も総務や会計がここに鬼のような顔をして怒鳴り込んできてたくらいだ。それがここ最近でまた間違いが多くなるなんてないない。俺ら秘書官を信用してるもん」
「こちらで通し番号を別途に振った伝票はミスがないんです。面倒ですけどひと手間加えて今を乗りきりましょう。同じような事が続くならそのうちシステムそのものに抜本的なテコ入れもあるでしょうし」
「な?ここにいる3人だけじゃない。騎士達もウェルバーム秘書官の事は認めている。自分のミスだと背負い込む事は何一つない。何よりこの状況でリーがミスをしたと考える者はこの第3騎士団にはいない。みんな信用しているからな」
「信用?…わたくしをですか?」
「あぁ」とガウルテリオが頷けば、後ろで「当たり前でしょ。仲間なんだから」と声がする。
「でもわたくしの――」
くっと俯いたマリーにガウルテリオは立ち上がり、デスクを回ってマリーの隣に歩いた。
大きな手をマリーの頭にポンとおく。
「俺もだが、みんな疑っていないし、信用している」
「はい‥‥ですが団長様」
「なんだ?」
「先程から数回、リーと呼称が間違っております。3回で素振り500回のお約束で御座いましたよね」
「え…今、ここでそれを言う?」
<< ブっ!! >>
イグナシオと2人の副団長が同時に噴き出した。
が、笑っている場合ではなかった。
「ラウール副団長様。遠征時の残高と領収の金額が合いません。差し戻しを致します。ファルコン副団長様は、武具倉庫の棚の補修が未完のまま2日放置されております。至急ご対応を。イグナシオ広報担当官。新規募集した団員様の名前と年齢が7枚に渡って1段ズレております。二重線を引き訂正印を押した後、確認の上再記入お願いします」
<< えぇーっ?! >>
「ほら!早く動け。定時退社が出来なくなるぞ。ミスによる残業は認めないからな」
「では、団長様が素振りをされている間に宜しくお願いします」
「待て。3回で素振り500回だっただろう?間違ったのは2回。猶予があるはずだ」
「あら?そうでした?では団長様…」
「何だ?リー‥‥(ハッ!!)」
「3回目です。素振りにタオルをお忘れなく」
<< ブブッ!! >>
マリーが策士だった事が判明した。
「なんなんでしょうね?珍しいですよね。翌日に回収って」
「だけど、見直しして欲しい箇所があれば…え?陛下に言えって?無理でしょうに」
イグナシオとファルコンが新たに届いた書面を見て首を傾げる。
マリーは通常運転。ニコリともせずに言葉を返す。
「誤植でもあったんじゃないでしょうか。陛下に陳情するのは団長会などで来られた際になら可能です」
「それって…団長ならってことですよね」
「余計な事を言いそうなのがウチの団長なんだけどな」
チラリとガウルテリオのデスクを見るが、現在ガウルテリオは不在。
ラウールの遠征班が夕方には王都入りをするので、迎え入れる準備をしている。
遠征は皆疲れて帰って来るので、武具などの用品も馬も到着次第交代要員が預かり片付けたり世話をするのだが、今朝届くはずの飼い葉が届かないのだ。
商会に問い合わせれば、到着が遅れていると前日に知らせていると言い逆に文句を言われてしまった。仕方なくガウルテリオが他の騎士団に飼い葉を分けて貰うために走り回っている。
全く無いわけではないが、時折天候不順などで納品が遅れる事はある。
この日はそんなものだろうと思っていたが、この日を境に届くはずの物品が届かなかったり、そもそも発注をされていないと言われるようにもなった。
「うわぁ。また足らない。どうなってんだ?」
大嘗祭と言う国を挙げての式典が近くなり、多少の品不足は諦めが付くが明らかに騎士団くらいしか発注しないであろうという隊服に縫い付ける階級章を縁取る枠や、馬具の装飾品が人数分に足らない。
「秘書官、数は35で間違いないんですか?」
「間違い御座いません。お客様控えの数量は35です」
「28しかないんですよ。急いで追加発注してください」
数が少ないだけならいいのだが、逆もある。人数分しか発注をしていない昼食が3倍以上届けられた事もある。日持ちのしない食材で最初の1、2回は業者に引き取ってもらったが回数が重なればそうもいかない。
食材を調達するにも金はかかる。持ち帰り分を業者が負担をするが繰り返しになれば「倒産させる気ですか!」と業者は手を引いてしまう。そうなれば騎士団には食事が届かなくなる。
「おかしいですね。こうも度々となると悪意を感じます」
毎回ではなく、何回かに1度こんな事が続く。
他の騎士団も同じような事があるが、額が飛びぬけているのは第3騎士団だった。
団長が最終確認をするものの、主に発注などの管理書類を作成するのは秘書官。
どの騎士団からも騎士達から「やっぱり女に任せてるのが間違いじゃないか」と声が聞こえるようになった。
警護団など勤務をして、第1騎士団などに配属になった女性秘書官はマリーだけではない。だが、大嘗祭を間近に控えた今、第2騎士団に配属になった秘書官は騎士と目出度く結婚となり現在妊娠中。他にも総務課や会計課に配属になった女性で慶事に恵まれた者も出てきた。
そこに発注ミスが疑われるような事が続いて、遂には会計が合わなくなった騎士団も出てきた。
「配属が長くなると女性は使えないって事だろう」
誰が言ったかは定かではないがそんな声まで出てくる始末。
騎士達も物心ついた時に女性がこんな社会進出はしていなかった。
元々男尊女卑も根強い貴族社会であり、反発が無かった訳ではない。
小さな失態も濡れ衣のようなものだが、誰かが責任を被らねばならない。
日増しに「長くいると風紀が乱れる」「結婚相手を探しに来てるんじゃないか?」と女性秘書官だけでなく女性の文官、次官などへの批判の声も高まってしまった。
☆~☆
「団長様、区切りも良いですし大嘗祭が終わった後は有休を頂き、今月末で暇を頂きたいのですが」
ガウルテリオのデスクの前にやってきたマリー。
「どうしてだ?」
スッとガウルテリオの前に箇条書きにした書面を差し出すマリー。
そこには2か月ほどの日付と、発注ミスや計算ミスと思われる数字が並んでいた。
「過不足金が10万ポポを超えました。今は品物やそれに対する支払いで済んでいますが…」
「あぁ、先日の第5騎士団での事か」
先日、第5騎士団では王弟ヨアニス殿下の護衛で配置を完了したまでは良かったが、ヨアニスの視察先の順番とルートが変更前のままだった。第5騎士団の担当する区域は王都の中でも端の端。決して治安が良いとは言えず一つ間違えばヨアニスの護衛は近衛隊だけになっていた。
最初の視察先にヨアニスが到着するのが遅れた事で、2つの視察が中止となり再配備をする際に、そもそもで変更になった事に気が付いていなかった事が発覚。
事なきは得たが、第5騎士団長は更迭が決まった。
「今まで通り、リー…いやウェルバーム秘書官のやり方で進めてくれ。何も心配をする事はない」
「ですが!…いえ、わたくしの力不足です。確認の回数を増やします」
「誰も秘書官の力不足だなんて思っていない。なぁ!」
ガウルテリオはイグナシオと2人の副団長に声を掛けた。
「思ってませんよ。先日の弁当だって秘書官の持ってた控えは数字に間違いはなかったでしょう?秘書官は基本的に団長室から出ませんし、業者に嘘の発注伝票をどこかですり替えた者がいる。秘書官はそこまで責任持たなくていいんですよ」
「そうそう。数字の間違いなんて秘書官が来る前は何度も総務や会計がここに鬼のような顔をして怒鳴り込んできてたくらいだ。それがここ最近でまた間違いが多くなるなんてないない。俺ら秘書官を信用してるもん」
「こちらで通し番号を別途に振った伝票はミスがないんです。面倒ですけどひと手間加えて今を乗りきりましょう。同じような事が続くならそのうちシステムそのものに抜本的なテコ入れもあるでしょうし」
「な?ここにいる3人だけじゃない。騎士達もウェルバーム秘書官の事は認めている。自分のミスだと背負い込む事は何一つない。何よりこの状況でリーがミスをしたと考える者はこの第3騎士団にはいない。みんな信用しているからな」
「信用?…わたくしをですか?」
「あぁ」とガウルテリオが頷けば、後ろで「当たり前でしょ。仲間なんだから」と声がする。
「でもわたくしの――」
くっと俯いたマリーにガウルテリオは立ち上がり、デスクを回ってマリーの隣に歩いた。
大きな手をマリーの頭にポンとおく。
「俺もだが、みんな疑っていないし、信用している」
「はい‥‥ですが団長様」
「なんだ?」
「先程から数回、リーと呼称が間違っております。3回で素振り500回のお約束で御座いましたよね」
「え…今、ここでそれを言う?」
<< ブっ!! >>
イグナシオと2人の副団長が同時に噴き出した。
が、笑っている場合ではなかった。
「ラウール副団長様。遠征時の残高と領収の金額が合いません。差し戻しを致します。ファルコン副団長様は、武具倉庫の棚の補修が未完のまま2日放置されております。至急ご対応を。イグナシオ広報担当官。新規募集した団員様の名前と年齢が7枚に渡って1段ズレております。二重線を引き訂正印を押した後、確認の上再記入お願いします」
<< えぇーっ?! >>
「ほら!早く動け。定時退社が出来なくなるぞ。ミスによる残業は認めないからな」
「では、団長様が素振りをされている間に宜しくお願いします」
「待て。3回で素振り500回だっただろう?間違ったのは2回。猶予があるはずだ」
「あら?そうでした?では団長様…」
「何だ?リー‥‥(ハッ!!)」
「3回目です。素振りにタオルをお忘れなく」
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