13 / 13
番外編☆笑い話になる未来へ
しおりを挟む
「お母様、はいっ」
小さな手に庭で摘んだ花を差し出してくる可愛い息子はペルセウス様と同じ髪色、瞳の色で御座います。名をゼウシーズと申します。そしてわたくしのお腹にはもう1人。
あと数日もすれば新しい家族が増えるのです。
「僕、妹がいいなぁ」
「あら?弟だと嫌なの?弟も可愛いわよ?」
「うーん‥‥でも妹だともっと可愛い気がする」
そう言うと身を翻しまた庭の花を摘みに走るのです。
その様子を微笑ましく見るわたくしと、ペルセウス様のお母様。
嫁と姑という立場で御座いますが、結婚し既に5年。2年前に侯爵位をペルセウス様にお譲りになり隠居をされたのですが時折前駆陣痛が見られるようになり、足もつったようになる事から来てもらっております。
――使えるものは親でも使え――
侯爵家の領地経営を任されてはいるのですが、ペルセウス様は軍の要職にありわたくしが引き受けておりました。二度目の出産に際し、ゼウシーズのお世話としばしの領地経営もお願いしているのです。
かの国で王太子妃教育も終えておりましたわたくしは、それなりに顔を覚えてもらっておりましたので順調に切り出す木材や果実園の果実、日持ちがあまりしない葉物野菜の販路を広げました。
手法も農薬から天敵を使って害虫の駆除をし、無農薬野菜となった作物は他の領の作物の2割増しで買い取ってもらえるようになり耕作面積も広げましたの。
それまで小作で農業をしていた農夫さんたちに10年契約で農地を貸し出し、買取を8割の価格とする事で残り2割を積み立て10年目に規定額に達していればそのお金で農地を農夫さんに売買するのです。
そうすれば11年目からは10割の価格で買い取れますので農夫さんも作業に精が出るようです。
休耕田が多かった侯爵領も今では空いている畑が御座いません。
まさに皆がWIN&WINな関係となりました。
林業もそれまで剪定で伐採した枝は薪にしておりましたが、木炭や粉にして石鹸などの原料としたり、細かく砕いてチップ材とする事で無駄が無くなり、林業の従事者も少し増えました。
来年には現皇太子殿下のレオグラン様もついに皇帝に即位されることが決まり、マイセレオス帝国は毎日がお祭りのように賑わっております。
「ツィー。具合はどうだ?変わりないか?」
「ペルセウス様、またこんなに買い込んで。いったいどうなさるのです?」
大量の衣類をまたも買い込んで帰宅したペルセウス様。
ベビー用品では御座いません。既に臨月。今夜生まれてもおかしくないわたくしの為にマタニティドレスを毎日帰宅時に買ってこられるのです。
一昨日は何度も申しますが現在臨月ですのに、犬の日だからと腹帯を買ってくるのです。
それも色違いだからと10種コンプリートと得意気に。
それは6カ月目の犬の日だともう何度言った事でしょう。
ですが、足が浮腫めばマッサージをしてくださいますし、屋敷にいる時は必ず隣で手を貸してくださいます。お腹が大きくなってからは営みはお休み中でございますが、寝返りをうつにも苦労するわたくしの為に添い寝をしてくださり介助くださるのです。
今日もお義母様がゼウシーズと先に屋敷の中に戻ると、テラスでわたくしのお腹を撫でながら話しかけてくださっております。
「そう言えばアルフレッド殿だが第五騎士団の副団長に就任したそうだ」
「まぁ、大出世でございますね。ペルセウス様の指導あってこそですわ」
「よく耐えたと思うよ。1日千回の素振りに5時間の打ち込み。寝てたのかな」
「生きているなら大丈夫ですわ。それに副長となればそれなりに精進もされたのでしょう」
「あとは結婚だがどうやらする気はないようだな」
「それも一つの生き方ですわ。運命の相手が現れれば変わるかも知れませんし」
廃嫡をされ市井を警備する第五騎士団で平の騎士から力を付けたアルフレッド様。
見た目は良いのですが継承争いにならぬよう去勢をされた事から女性とは距離を置いていると聞いております。ですが理由はそれだけではないのでしょう。
男色ではないとの事ですが、アルフレッド様はペルセウス様に騎士の誓いをしたと聞いております。処刑を回避できたのはペルセウス様の指導もあっての事。
今では石橋をたたいて慎重の上に慎重を重ね、第五騎士団の負傷者などは激減しただけでなく市井での揉め事や犯罪も少なくなったと聞いております。
あの日、アルフレッド様のあの言葉がなければ…と考える事も少なくなりました。
お腹の子が無事に生まれて、話が出来るようになれば毎回マイセレオス帝国に来て頂いているお父様、お母様ももう長旅は辛い御年ですし一度里帰りするのも良いかも知れません。
きっと‥‥あの日の事は笑って話せる。そんな気がします。
ふふっと笑うと赤ちゃんも笑ったのでしょうか。
「おっ動いたな…可愛い奴め」とペルセウス様が仰います。
可愛いのはペルセウス様でございますよ?と髪を撫でて差し上げるとその手を握られ指先にキスをされました。
「そろそろ風が出てきた。中に入ろうか」
「えぇ。あなたの仰せのままに」
Fin
小さな手に庭で摘んだ花を差し出してくる可愛い息子はペルセウス様と同じ髪色、瞳の色で御座います。名をゼウシーズと申します。そしてわたくしのお腹にはもう1人。
あと数日もすれば新しい家族が増えるのです。
「僕、妹がいいなぁ」
「あら?弟だと嫌なの?弟も可愛いわよ?」
「うーん‥‥でも妹だともっと可愛い気がする」
そう言うと身を翻しまた庭の花を摘みに走るのです。
その様子を微笑ましく見るわたくしと、ペルセウス様のお母様。
嫁と姑という立場で御座いますが、結婚し既に5年。2年前に侯爵位をペルセウス様にお譲りになり隠居をされたのですが時折前駆陣痛が見られるようになり、足もつったようになる事から来てもらっております。
――使えるものは親でも使え――
侯爵家の領地経営を任されてはいるのですが、ペルセウス様は軍の要職にありわたくしが引き受けておりました。二度目の出産に際し、ゼウシーズのお世話としばしの領地経営もお願いしているのです。
かの国で王太子妃教育も終えておりましたわたくしは、それなりに顔を覚えてもらっておりましたので順調に切り出す木材や果実園の果実、日持ちがあまりしない葉物野菜の販路を広げました。
手法も農薬から天敵を使って害虫の駆除をし、無農薬野菜となった作物は他の領の作物の2割増しで買い取ってもらえるようになり耕作面積も広げましたの。
それまで小作で農業をしていた農夫さんたちに10年契約で農地を貸し出し、買取を8割の価格とする事で残り2割を積み立て10年目に規定額に達していればそのお金で農地を農夫さんに売買するのです。
そうすれば11年目からは10割の価格で買い取れますので農夫さんも作業に精が出るようです。
休耕田が多かった侯爵領も今では空いている畑が御座いません。
まさに皆がWIN&WINな関係となりました。
林業もそれまで剪定で伐採した枝は薪にしておりましたが、木炭や粉にして石鹸などの原料としたり、細かく砕いてチップ材とする事で無駄が無くなり、林業の従事者も少し増えました。
来年には現皇太子殿下のレオグラン様もついに皇帝に即位されることが決まり、マイセレオス帝国は毎日がお祭りのように賑わっております。
「ツィー。具合はどうだ?変わりないか?」
「ペルセウス様、またこんなに買い込んで。いったいどうなさるのです?」
大量の衣類をまたも買い込んで帰宅したペルセウス様。
ベビー用品では御座いません。既に臨月。今夜生まれてもおかしくないわたくしの為にマタニティドレスを毎日帰宅時に買ってこられるのです。
一昨日は何度も申しますが現在臨月ですのに、犬の日だからと腹帯を買ってくるのです。
それも色違いだからと10種コンプリートと得意気に。
それは6カ月目の犬の日だともう何度言った事でしょう。
ですが、足が浮腫めばマッサージをしてくださいますし、屋敷にいる時は必ず隣で手を貸してくださいます。お腹が大きくなってからは営みはお休み中でございますが、寝返りをうつにも苦労するわたくしの為に添い寝をしてくださり介助くださるのです。
今日もお義母様がゼウシーズと先に屋敷の中に戻ると、テラスでわたくしのお腹を撫でながら話しかけてくださっております。
「そう言えばアルフレッド殿だが第五騎士団の副団長に就任したそうだ」
「まぁ、大出世でございますね。ペルセウス様の指導あってこそですわ」
「よく耐えたと思うよ。1日千回の素振りに5時間の打ち込み。寝てたのかな」
「生きているなら大丈夫ですわ。それに副長となればそれなりに精進もされたのでしょう」
「あとは結婚だがどうやらする気はないようだな」
「それも一つの生き方ですわ。運命の相手が現れれば変わるかも知れませんし」
廃嫡をされ市井を警備する第五騎士団で平の騎士から力を付けたアルフレッド様。
見た目は良いのですが継承争いにならぬよう去勢をされた事から女性とは距離を置いていると聞いております。ですが理由はそれだけではないのでしょう。
男色ではないとの事ですが、アルフレッド様はペルセウス様に騎士の誓いをしたと聞いております。処刑を回避できたのはペルセウス様の指導もあっての事。
今では石橋をたたいて慎重の上に慎重を重ね、第五騎士団の負傷者などは激減しただけでなく市井での揉め事や犯罪も少なくなったと聞いております。
あの日、アルフレッド様のあの言葉がなければ…と考える事も少なくなりました。
お腹の子が無事に生まれて、話が出来るようになれば毎回マイセレオス帝国に来て頂いているお父様、お母様ももう長旅は辛い御年ですし一度里帰りするのも良いかも知れません。
きっと‥‥あの日の事は笑って話せる。そんな気がします。
ふふっと笑うと赤ちゃんも笑ったのでしょうか。
「おっ動いたな…可愛い奴め」とペルセウス様が仰います。
可愛いのはペルセウス様でございますよ?と髪を撫でて差し上げるとその手を握られ指先にキスをされました。
「そろそろ風が出てきた。中に入ろうか」
「えぇ。あなたの仰せのままに」
Fin
応援ありがとうございます!
35
お気に入りに追加
3,087
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(63件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
間違い探し~😁
謝れない男
アルフレッドだけは自身に満ち溢れている。
→自信に
久しぶりに読み返してみると、そうそういたいたこんなアホ王子( ゚∀゚)
フフf(^_^)
そろそろ寝ないと…と思いつつ
秋の夜長のひとときです🙆
明日は夜勤なので、朝はゆっくりなので調子にのって読み耽っています😁
コメントありがとうございます。<(_ _)>
こんなところにも!!
ありがとうございます。
訂正をいたしましたよ~\(^▽^)/サンキュー
秋の夜長・・・早く寝てくださいねと言いつつ、ワシも・・・4:50分過ぎ(爆)
ですけども、睡眠大事ですよ~。
プルプルお肌の大敵、睡眠不足にならないようぐっすりお休みくださいね(*^-^*)
誤字、教えて頂きありがとうございました。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
【落ちぶれたカレドウス】
止めておいた[]良くないでしょうか→[方が]
【番外編☆笑い話になる未来へ】
[生]が出る→[精]
読み直していて気付きました!
今更ですが…。
コメントありがとうございます<(_ _)>
いえいえ。読み返して頂いてとても嬉しいです。
まだありましたかー。多いなぁ _| ̄|○
先ほど訂正を致しました。
もうほんと、毎度毎度申し訳ないです。ありがとうございます(*^-^*)
🐈️ニャポン国🐈️で、一気に身近な話に変貌して笑ってしまいました。ってか、西暦が標準の世界なんですね😅
帝国のイメージが180度変わって家電に囲まれた近未来都市になってしまいましたよ(笑)
コメントありがとうございます<(_ _)>
そうなんですよ。西暦が標準だったりします。独自の時間を作ろうかなと思うんですがなかなか(笑)
せいぜい学園生時代の年齢を弄るくらいしか出来ないですねぇ。うーん数字嫌い(笑)
ニャッポンは結構色んな話で使ったりしているんですが、創作の話であってもあまりに飛びぬけていると外道以外にもあるんかい!となっちゃうので、まぁ…そうですねぇ。
想像しやすい??あ。絶対に想像をしてはいけない文字列を並べる事も在るのでその時は【想像しちゃいやぁん♡】と書くようにはしてますが、それ以外は想像も含めて楽しんでもらえたらいいなぁとか思ってます。
ラストまでお付き合いいただきありがとうございました<(_ _)>