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第02話 メリルの知らない事実
メリルには他言できないメリルも知らない秘密があった。
メリルはその事実をハンザとリンダから聞かされたことはない。
ブートレイア王国、第2王女フランソワーノの子。
それがメリルだった。
子供だと言っても第2王女の子供だと「非公式」に国王や王妃も認めてはいるが「公式」には認めておらず「庶子」かと言えばそれも違う。
公式には存在を認められていない禁忌の子だった。
何故なら父親は第1王子。メリルの両親は実の兄妹だったからである。
美男美女の兄妹。
特にフランソワーノ王女は生まれた時から美しく、その美しさは成長に伴って増し、11歳の王女を目にし、嫁いでくれるのなら国土の半分を差し出すと言ってきた国王もいた。
兄妹だから仲が良い事も、共に並んでいる事もだれも不思議には思わなかった。
いつしか兄妹ではなく、愛を誓いあう仲となってしまった事にも誰も気が付かなかった。
禁忌中の禁忌。近親相姦で生まれた子供がメリルだった。
18歳の第1王子シュルタスには筆頭公爵家の婚約者がおり成婚の儀は半年後、16歳の第2王女フランソワーノも5年後に隣国モーセットの第3王子に嫁ぐ事が決まっていた。
モーセット王国が純潔には拘らない国であったのは国としては不幸中の幸いともいえるが、出産経験があるとなればどうなるか。許容されたとしても子連れで嫁ぐ事など出来るはずがない。
「この事は口外してはならぬ」
当時王家は相次ぐ内乱に加えて周辺国にきな臭い動きもあり、続いた旱魃で経済的にも危険水域。
それを支えていたのが第1王子が娘の婚約者だからという理由で筆頭公爵家だったし、モーセット王国は第2王女フランソワーノとの婚約で他の周辺国に経済圧力を掛け侵攻を最小限に抑えていた。
絶対に知られてはならないと国王、王妃は第2王女を懐妊が判った時から「王女は感染力の強い病に罹患」とし、城の奥まった宮に隔離。徹底した箝口令を布いた。
生まれた子は女の子。しかし足から出て来た逆子で出産は難産となりメリルが産声をあげた半日後に第2王女は天に召された。
その時に「子の名前はメリルにしてくれ」と第2王女が言い残した事により、メリルと名付けられた。
懐妊が判った時から禁忌の子となる我が子。産声を上げる前に命を絶たれるかも知れないし、運よく生きる事を許されても抱く事も叶わぬ子へのたった1つの贈り物だった。
公的には「病死」とせざるを得なかった第2王女の死。
隣国モーセットの第3王子は美姫と名高かった第2王女の死には嘆き悲しみ国中の花を墓標に添え、王都を出て辺境伯となった。
第1王子もまさか妹を孕ませ、命と引き換えに生まれた子がいるなど言えるはずもない。公爵家に知られれば国は転覆する危険もあった。
メリルは生後2か月で王妃が用意をした側近の夫婦ハンザとリンダに託され、王都から遠く離れたカルボス村に送られた。
我が子メリルには面会する事も叶なわず、兄妹という超えてはならない壁を超えて愛した女性を失った第1王子シュルタスは声に出す事も心に思う事も出来ない大きな枷を背負い、その後、公爵令嬢と成婚の儀を済ませ、立太子。10年後国王に即位をした。
メリルはその事実をハンザとリンダから聞かされたことはない。
ブートレイア王国、第2王女フランソワーノの子。
それがメリルだった。
子供だと言っても第2王女の子供だと「非公式」に国王や王妃も認めてはいるが「公式」には認めておらず「庶子」かと言えばそれも違う。
公式には存在を認められていない禁忌の子だった。
何故なら父親は第1王子。メリルの両親は実の兄妹だったからである。
美男美女の兄妹。
特にフランソワーノ王女は生まれた時から美しく、その美しさは成長に伴って増し、11歳の王女を目にし、嫁いでくれるのなら国土の半分を差し出すと言ってきた国王もいた。
兄妹だから仲が良い事も、共に並んでいる事もだれも不思議には思わなかった。
いつしか兄妹ではなく、愛を誓いあう仲となってしまった事にも誰も気が付かなかった。
禁忌中の禁忌。近親相姦で生まれた子供がメリルだった。
18歳の第1王子シュルタスには筆頭公爵家の婚約者がおり成婚の儀は半年後、16歳の第2王女フランソワーノも5年後に隣国モーセットの第3王子に嫁ぐ事が決まっていた。
モーセット王国が純潔には拘らない国であったのは国としては不幸中の幸いともいえるが、出産経験があるとなればどうなるか。許容されたとしても子連れで嫁ぐ事など出来るはずがない。
「この事は口外してはならぬ」
当時王家は相次ぐ内乱に加えて周辺国にきな臭い動きもあり、続いた旱魃で経済的にも危険水域。
それを支えていたのが第1王子が娘の婚約者だからという理由で筆頭公爵家だったし、モーセット王国は第2王女フランソワーノとの婚約で他の周辺国に経済圧力を掛け侵攻を最小限に抑えていた。
絶対に知られてはならないと国王、王妃は第2王女を懐妊が判った時から「王女は感染力の強い病に罹患」とし、城の奥まった宮に隔離。徹底した箝口令を布いた。
生まれた子は女の子。しかし足から出て来た逆子で出産は難産となりメリルが産声をあげた半日後に第2王女は天に召された。
その時に「子の名前はメリルにしてくれ」と第2王女が言い残した事により、メリルと名付けられた。
懐妊が判った時から禁忌の子となる我が子。産声を上げる前に命を絶たれるかも知れないし、運よく生きる事を許されても抱く事も叶わぬ子へのたった1つの贈り物だった。
公的には「病死」とせざるを得なかった第2王女の死。
隣国モーセットの第3王子は美姫と名高かった第2王女の死には嘆き悲しみ国中の花を墓標に添え、王都を出て辺境伯となった。
第1王子もまさか妹を孕ませ、命と引き換えに生まれた子がいるなど言えるはずもない。公爵家に知られれば国は転覆する危険もあった。
メリルは生後2か月で王妃が用意をした側近の夫婦ハンザとリンダに託され、王都から遠く離れたカルボス村に送られた。
我が子メリルには面会する事も叶なわず、兄妹という超えてはならない壁を超えて愛した女性を失った第1王子シュルタスは声に出す事も心に思う事も出来ない大きな枷を背負い、その後、公爵令嬢と成婚の儀を済ませ、立太子。10年後国王に即位をした。
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