21 / 28
国王と王妃
しおりを挟む
怯むシリウスだが、後ろで扉が開く気配がする。
慌ただしく部屋に入ってきたのは国王と王妃。つまりは父と母だった。
シリウスには一瞥もくれず皇帝グラディアスに国王であるにも関わらず臣下の礼を取る。
王妃も同じく、相手に対して最上の服従を意味するカーテシーのポーズ。
確かに国力の差はあるが、なぜそこまで媚び諂うのだと合点がいかない。
「遠い僻地までよくぞお越しくださいました。ご即位以降も帝国の発展には感服――」
「前置きはどうでもいい」
「は、はい」
己の執務を相談に行った時に一蹴した父の態度とは全く違う事に聊か驚いてしまう。
ここまで何故帝国を持ち上げねばならないのかシリウスは理解が出来ない。
そこに再度扉が開き、シリウスの次官に連れられてロザリアが入って来た。
ロザリアが来ることは国王も王妃も予想外で、「何故このような者を!」と次官を睨みつける。
だが次官はグラディアスとディレイドに向けて、礼をする。
「連行して参りました」
この国の王家の面々よりもずっと空気を読むのに長けていたのは次官だった。
呼び捨てにした側妃。つまりは側妃は帝国に対し何か不敬を働いたという事で庇い立てするのであれば一介の臣下の首などいとも簡単に切り離され、無残な姿をさらす事になるだろう。
「お連れしました」ではなく「連行」としたことで帝国の意図をくみ、言うなれば寝返ったのだ。
「ロザリア、どうしてここ――」
「ディレイド様っ!!!」
名を呼び、ロザリアに手を差し出したが、ロザリアはシリウスの声など聞こえない。
いや、聞えてはいるのだがそんなものを聞いている暇はないのだ。
目の前には「虫下し」という解毒薬を持っているはずのディレイドの姿を見つけた。
昨夜1人転移で自室に戻されて以降、不自然に体を蝕んでいく違和感。
皮膚には何か細いものがぼこぼこと現れて消えていく。
湯殿で体を温めた後は最悪だった。侍女に髪を洗ってもらっている時湯にプカリと浮いたヒルのような物体。
侍女に気が付かれていないかヒヤヒヤしながら寝台で横になると尻に違和感を感じる。
そっと手を当てると何かが手に触れ、思わず握ってみれば尻に言いようのない心地悪さを感じる。
握って引っ張ったものは尻から顔を出していた回虫だった。
魔法回虫は体内の胃液、腸液などを栄養分としてあっという間に成長する。
「ヒャァ!」
床に叩きつけた回虫はもう30センチ以上の長さになっていた。
腹や背中にぼこぼこと一部を表し消えていくのを鏡で見て、体の中に回虫がいる事を知る。
シリウスの渡りがないのは救いだったが、もうシリウスどころではない。
そのうち行くと言っていたディレイドの言葉の「そのうち」が何時なのか。
朝まで一睡も出来なかったロザリアは憔悴していたが、手を付けていない朝食が下げられたあとに次官が呼びに来た。小走りになり急ぎついていく。
ディレイドの名を呼んだロザリアは、なりふり構ってはいられない。
テーブルの向こうにいるディレイドの元に、ぐるりと配置されたテーブルを回って椅子に座るディレイドの隣に膝を床につけ、手を胸の前に組んでその顔を見上げた。
「ディレイド様っ!お願いで御座います。お助け下さいませ」
慈悲を乞うロザリアにテーブルを挟んだ向こう側でシリウスは激昂する。
自分よりも何故帝国の人間の名を呼び、跪くのか!
だがその鬱憤のようなものはディレイドによって少しだけ薄まった。
ゴッ!っと音と共にロザリアが虫を石で潰したような声を出したのである。
ディレイドの剣先がロザリアの肩に突き刺さる。後頭部からしたたかに落ちたロザリアだがディレイドは椅子から立ち上がり、見下ろしながら微笑んだ。
「誰が寝転んで良いと言ったのかな?」
痛みを堪えて起き上がりロザリアはハンカチを取り出し刺された肩を押さえようとする。
しかし…。
「そんな汚いハンカチでどうしようというのかな?」
「あの…血が…」
「ドブネズミより汚いその体液の事?大丈夫だ。傷口は直ぐに回虫が集まって止血するよ」
見る間にドレスの肩口の膨らみが動き出す。帝国側の人間は見慣れているのか誰も視線を向ける者はない。だが王国側でそれを見た事のあるものなど誰もない。
シリウスも立ち上がり、テーブルで隠れながらも見える範囲でロザリアの異形を見て思わず口を押えこみ上げる吐瀉物を堪えた。
「さて国王、王妃よ。この国が犯した罪を知っておるか」
「つ、罪?…そのロザリアが何か致しましたでしょうか」
「この女よりも先ずは己らだ。身に覚えがないか」
「あの‥‥どういう?」
グラディアスは「面倒だな」と言いながら立ち上がるとゆっくり国王と王妃の前に出る。
「はぁ?」ととぼけた顔をする2人の腕を拘束させる。
突然腕を押さえ込まれ狼狽する国王と王妃の腹に拳を叩きこんだ。
「ぐぇっ」「ぐぉっ」
口をはくはくさせて、突然の痛みにグラディアスの顔を見るがその顔からは怒りも微笑みも感じられない。無表情のままでグラディアスはもう一度問うた。
「身に覚えはないか?」
「ごほっ…あ、ありません…なぜこのような‥」
「わたくしも…どうして‥」
「判らぬか?なら仕方がない。2度目からはこの騎士あがりが相手をしよう」
カツカツと軍靴を鳴らし近寄ってくるひと際屈強な男に身震いをする。
一言も発することなく騎士あがりと言われた男は国王と王妃の頬を張った。
その都度同じように一言だけ「身に覚えは?」と聞かれまた殴られる。
20回ほど続けられ、かろうじて意識を保っているのは王妃。国王はもう白目をむいていた。
「目を覚まさせてやれ」
「御意」
おもむろに短剣を抜くとためらいもなく国王の肘に剣を打ち込んだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
意識を取り戻し、次の恐怖に失禁し床を揺らしていく国王。
王妃はその隣でゆっくりと顔を上げて、上がった息の中、言葉を発した。
「き、教育‥‥教育で…御座います‥か」
ニヤリと笑ったグラディアスは王妃の拘束を解いてやれと命じた。
「抵抗も出来ない幼子に、無理難題を突き付け殴る蹴るで反抗しないように、従うように調教をした挙句、自我すらもその芽を潰してきたという自覚はあるようだな」
「それはっ…わたくし…わたくしも‥同じように…ギャッ!!」
言いかけた王妃の鼻を思い切り掴むと捩じり切った。
「己がされたから同じことを?それでも王妃か。まぁそなたもそれなりに苦労はあったろう。だがそれを身をもって知っているのであれば次代に己の立場を譲る者には悪しき慣習を変えようと思わなんだか。人の上に立つ者が痛みを知る事は大事だが、上に立った時に何故それを仕分けをせぬのだ?お前に痛みは必要だったか?親から引き離し言いなりになる人形になった事でお前に何が残った?」
「…うぅぅ…でもっ…逆らえなかった!物心ついた時には失敗すれば殴られる!蹴られる!時には息をしただけで殴られたわらわの気持ちが!皇帝如きに判る筈もなかろう!痛かったのはわらわ!泣く事すら!誰かに!何かに縋る事も悪とされたのはわらわ!誰もこの痛みも心も判ってはくれなかった!!」
「何故それを改めない?王妃となればどうとでもなっただろう」
「それはっ‥‥そうするものだと…それに同じような苦しみを知る者ならこの重責にも耐えられると!そう教えられたっ!誰もそれを否定する者はいない!何故わらわだけが異を唱えねばならぬ!」
王妃の声に国王は「私には関係ない」「私が指示をした訳ではない」と訴え出た。
グラディアスは国王の口に剣の柄をねじ込んだ。喉の奥が突かれ切れたのか引き抜くと血を吐き出す。
「お前は自分の母、そして妻を見て何も思わなかったのか?国を統べるにもその妻がいなければお飾りにもならぬ国王よ。お前は国王としても夫としても…それから種馬としても失敗作だ」
「グフッゴホッ…私は‥‥王として…成すべき事を‥したまでで――」
「痴れ者が…この期に及んでも保身と責任転嫁とは畏れ入る。良かろう」
良かろうという言葉にやっとわかってもらえたと国王、王妃は安堵した。
この苦痛と恥辱から解放される。帝国相手にやり返す事は出来ないが一先ずは安泰と胸を撫でおろし、グラディアスに向かって物乞いのような目線を向けた。
「人間の体には300を超える関節や骨がある。己の罪を心から悔いるようになるまで毎日1カ所砕いてやろう。外部の痛みでは判らぬ愚か者には内部の痛みで感じてもらうより仕方なかろう。砕ききれば体も軟体動物のようになっておるだろうし、心も解れている事だろう。安心しろ。寝床もある。最近まで便槽として使っていた地下空間を終の棲家とするがよい」
「じゃ…僕の出番?痛みの少ないところから行こうかな。どうせ人の話なんか聞かないんだから聞こえなくなってもいいよね。アブミ骨から行こうか」
「いや…止めて…」「嫌だ…助けてくれ‥」
「僕もね?黙~って様子見てたけど、無表情で怒らせたらもう無理。大丈夫だよ。明日はキヌタ骨、明後日はツチ骨と砕けばもう何にも聞かなくて済むから。その次は…お喋り出来ないように声帯筋を繋ぐ軟骨いっちゃう?」
なにも言えず、ただ父と母のされるがままを見せられるシリウス。
グラディアスは目線をシリウスに向けた。
慌ただしく部屋に入ってきたのは国王と王妃。つまりは父と母だった。
シリウスには一瞥もくれず皇帝グラディアスに国王であるにも関わらず臣下の礼を取る。
王妃も同じく、相手に対して最上の服従を意味するカーテシーのポーズ。
確かに国力の差はあるが、なぜそこまで媚び諂うのだと合点がいかない。
「遠い僻地までよくぞお越しくださいました。ご即位以降も帝国の発展には感服――」
「前置きはどうでもいい」
「は、はい」
己の執務を相談に行った時に一蹴した父の態度とは全く違う事に聊か驚いてしまう。
ここまで何故帝国を持ち上げねばならないのかシリウスは理解が出来ない。
そこに再度扉が開き、シリウスの次官に連れられてロザリアが入って来た。
ロザリアが来ることは国王も王妃も予想外で、「何故このような者を!」と次官を睨みつける。
だが次官はグラディアスとディレイドに向けて、礼をする。
「連行して参りました」
この国の王家の面々よりもずっと空気を読むのに長けていたのは次官だった。
呼び捨てにした側妃。つまりは側妃は帝国に対し何か不敬を働いたという事で庇い立てするのであれば一介の臣下の首などいとも簡単に切り離され、無残な姿をさらす事になるだろう。
「お連れしました」ではなく「連行」としたことで帝国の意図をくみ、言うなれば寝返ったのだ。
「ロザリア、どうしてここ――」
「ディレイド様っ!!!」
名を呼び、ロザリアに手を差し出したが、ロザリアはシリウスの声など聞こえない。
いや、聞えてはいるのだがそんなものを聞いている暇はないのだ。
目の前には「虫下し」という解毒薬を持っているはずのディレイドの姿を見つけた。
昨夜1人転移で自室に戻されて以降、不自然に体を蝕んでいく違和感。
皮膚には何か細いものがぼこぼこと現れて消えていく。
湯殿で体を温めた後は最悪だった。侍女に髪を洗ってもらっている時湯にプカリと浮いたヒルのような物体。
侍女に気が付かれていないかヒヤヒヤしながら寝台で横になると尻に違和感を感じる。
そっと手を当てると何かが手に触れ、思わず握ってみれば尻に言いようのない心地悪さを感じる。
握って引っ張ったものは尻から顔を出していた回虫だった。
魔法回虫は体内の胃液、腸液などを栄養分としてあっという間に成長する。
「ヒャァ!」
床に叩きつけた回虫はもう30センチ以上の長さになっていた。
腹や背中にぼこぼこと一部を表し消えていくのを鏡で見て、体の中に回虫がいる事を知る。
シリウスの渡りがないのは救いだったが、もうシリウスどころではない。
そのうち行くと言っていたディレイドの言葉の「そのうち」が何時なのか。
朝まで一睡も出来なかったロザリアは憔悴していたが、手を付けていない朝食が下げられたあとに次官が呼びに来た。小走りになり急ぎついていく。
ディレイドの名を呼んだロザリアは、なりふり構ってはいられない。
テーブルの向こうにいるディレイドの元に、ぐるりと配置されたテーブルを回って椅子に座るディレイドの隣に膝を床につけ、手を胸の前に組んでその顔を見上げた。
「ディレイド様っ!お願いで御座います。お助け下さいませ」
慈悲を乞うロザリアにテーブルを挟んだ向こう側でシリウスは激昂する。
自分よりも何故帝国の人間の名を呼び、跪くのか!
だがその鬱憤のようなものはディレイドによって少しだけ薄まった。
ゴッ!っと音と共にロザリアが虫を石で潰したような声を出したのである。
ディレイドの剣先がロザリアの肩に突き刺さる。後頭部からしたたかに落ちたロザリアだがディレイドは椅子から立ち上がり、見下ろしながら微笑んだ。
「誰が寝転んで良いと言ったのかな?」
痛みを堪えて起き上がりロザリアはハンカチを取り出し刺された肩を押さえようとする。
しかし…。
「そんな汚いハンカチでどうしようというのかな?」
「あの…血が…」
「ドブネズミより汚いその体液の事?大丈夫だ。傷口は直ぐに回虫が集まって止血するよ」
見る間にドレスの肩口の膨らみが動き出す。帝国側の人間は見慣れているのか誰も視線を向ける者はない。だが王国側でそれを見た事のあるものなど誰もない。
シリウスも立ち上がり、テーブルで隠れながらも見える範囲でロザリアの異形を見て思わず口を押えこみ上げる吐瀉物を堪えた。
「さて国王、王妃よ。この国が犯した罪を知っておるか」
「つ、罪?…そのロザリアが何か致しましたでしょうか」
「この女よりも先ずは己らだ。身に覚えがないか」
「あの‥‥どういう?」
グラディアスは「面倒だな」と言いながら立ち上がるとゆっくり国王と王妃の前に出る。
「はぁ?」ととぼけた顔をする2人の腕を拘束させる。
突然腕を押さえ込まれ狼狽する国王と王妃の腹に拳を叩きこんだ。
「ぐぇっ」「ぐぉっ」
口をはくはくさせて、突然の痛みにグラディアスの顔を見るがその顔からは怒りも微笑みも感じられない。無表情のままでグラディアスはもう一度問うた。
「身に覚えはないか?」
「ごほっ…あ、ありません…なぜこのような‥」
「わたくしも…どうして‥」
「判らぬか?なら仕方がない。2度目からはこの騎士あがりが相手をしよう」
カツカツと軍靴を鳴らし近寄ってくるひと際屈強な男に身震いをする。
一言も発することなく騎士あがりと言われた男は国王と王妃の頬を張った。
その都度同じように一言だけ「身に覚えは?」と聞かれまた殴られる。
20回ほど続けられ、かろうじて意識を保っているのは王妃。国王はもう白目をむいていた。
「目を覚まさせてやれ」
「御意」
おもむろに短剣を抜くとためらいもなく国王の肘に剣を打ち込んだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
意識を取り戻し、次の恐怖に失禁し床を揺らしていく国王。
王妃はその隣でゆっくりと顔を上げて、上がった息の中、言葉を発した。
「き、教育‥‥教育で…御座います‥か」
ニヤリと笑ったグラディアスは王妃の拘束を解いてやれと命じた。
「抵抗も出来ない幼子に、無理難題を突き付け殴る蹴るで反抗しないように、従うように調教をした挙句、自我すらもその芽を潰してきたという自覚はあるようだな」
「それはっ…わたくし…わたくしも‥同じように…ギャッ!!」
言いかけた王妃の鼻を思い切り掴むと捩じり切った。
「己がされたから同じことを?それでも王妃か。まぁそなたもそれなりに苦労はあったろう。だがそれを身をもって知っているのであれば次代に己の立場を譲る者には悪しき慣習を変えようと思わなんだか。人の上に立つ者が痛みを知る事は大事だが、上に立った時に何故それを仕分けをせぬのだ?お前に痛みは必要だったか?親から引き離し言いなりになる人形になった事でお前に何が残った?」
「…うぅぅ…でもっ…逆らえなかった!物心ついた時には失敗すれば殴られる!蹴られる!時には息をしただけで殴られたわらわの気持ちが!皇帝如きに判る筈もなかろう!痛かったのはわらわ!泣く事すら!誰かに!何かに縋る事も悪とされたのはわらわ!誰もこの痛みも心も判ってはくれなかった!!」
「何故それを改めない?王妃となればどうとでもなっただろう」
「それはっ‥‥そうするものだと…それに同じような苦しみを知る者ならこの重責にも耐えられると!そう教えられたっ!誰もそれを否定する者はいない!何故わらわだけが異を唱えねばならぬ!」
王妃の声に国王は「私には関係ない」「私が指示をした訳ではない」と訴え出た。
グラディアスは国王の口に剣の柄をねじ込んだ。喉の奥が突かれ切れたのか引き抜くと血を吐き出す。
「お前は自分の母、そして妻を見て何も思わなかったのか?国を統べるにもその妻がいなければお飾りにもならぬ国王よ。お前は国王としても夫としても…それから種馬としても失敗作だ」
「グフッゴホッ…私は‥‥王として…成すべき事を‥したまでで――」
「痴れ者が…この期に及んでも保身と責任転嫁とは畏れ入る。良かろう」
良かろうという言葉にやっとわかってもらえたと国王、王妃は安堵した。
この苦痛と恥辱から解放される。帝国相手にやり返す事は出来ないが一先ずは安泰と胸を撫でおろし、グラディアスに向かって物乞いのような目線を向けた。
「人間の体には300を超える関節や骨がある。己の罪を心から悔いるようになるまで毎日1カ所砕いてやろう。外部の痛みでは判らぬ愚か者には内部の痛みで感じてもらうより仕方なかろう。砕ききれば体も軟体動物のようになっておるだろうし、心も解れている事だろう。安心しろ。寝床もある。最近まで便槽として使っていた地下空間を終の棲家とするがよい」
「じゃ…僕の出番?痛みの少ないところから行こうかな。どうせ人の話なんか聞かないんだから聞こえなくなってもいいよね。アブミ骨から行こうか」
「いや…止めて…」「嫌だ…助けてくれ‥」
「僕もね?黙~って様子見てたけど、無表情で怒らせたらもう無理。大丈夫だよ。明日はキヌタ骨、明後日はツチ骨と砕けばもう何にも聞かなくて済むから。その次は…お喋り出来ないように声帯筋を繋ぐ軟骨いっちゃう?」
なにも言えず、ただ父と母のされるがままを見せられるシリウス。
グラディアスは目線をシリウスに向けた。
167
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
初恋だったお兄様から好きだと言われ失恋した私の出会いがあるまでの日
クロユキ
恋愛
隣に住む私より一つ年上のお兄さんは、優しくて肩まで伸ばした金色の髪の毛を結ぶその姿は王子様のようで私には初恋の人でもあった。
いつも学園が休みの日には、お茶をしてお喋りをして…勉強を教えてくれるお兄さんから好きだと言われて信じられない私は泣きながら喜んだ…でもその好きは恋人の好きではなかった……
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新が不定期ですが、よろしくお願いします。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる