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最終話☆胃袋を掴んだ男
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公爵家に住まいを移したアナスタシアはほぼ毎日訪れるグラディアスと日課の散歩の後は、持ち込んだ幾つかの書類を間に挟んで意見を交わす。
散歩と言っても公爵家の中を散歩するだけで遠くに行くことはない。
塔から出た日、大きな黒鳥に擬態したグラディアスに乗って公爵家まで戻ったが、かなりお気に入りになったようで、グラディアスは失敗だったと痛感している。
ギュッと掴まれて、落ちないように必死なのは判る。判るのだが…それ以上はおそらく理性が飛ぶ。
空を飛びながら理性まで飛んでしまったら目も当てられない。
花の蜜を吸っている蝶をみて「飛んでますわねぇ」と上目使いをされる苦悶の日々。
アナスタシアは決して煽ってはいない。
身長差があるので上目使いになるだけであるが、グラディアスはその度に心臓が跳ねる。
「山林についてなのだが、どうしても所有者の理解が得られないのだ。木を切る事で地滑りが起きたらどうすると不安があるようだ」
「地滑りの主な原因は大雨と地震です。ここは伐採する区域については50年ほど前に植えられた人工林。手入れがされていませんのでそのまま放っておくほうが大雨によって地滑りの危険性は高いと思われます。
間伐や下刈りをしなければ土に日が当たらず木々も根の張りが浅くなり地滑りを起こしますわ。
なので、一気に該当地区は伐採して、今度は間隔をあけて植樹をすれば良いのですわ」
「そうだなぁ。だが反対の山は所有している領主が手入れはしている。そこも反対をしているんだ。あぁもう頭が痛くなってくる。強制的にやらせるかぁ」
「何を仰いますの。木を切れと説明もケアもなしなら反対も致しますわ。手入れをされている方の山の樹齢は如何ほどですの?」
「こっちも50~60年と聞いているな」
「ならそちらも伐採をした方がいいですわ。木も人間と同じなのです。若い頃は食欲旺盛。年を取ると小食になりますでしょう?木も10~30年くらいが一番空気中の二酸化炭素を吸って光合成をおこない酸素を吐き出す。50年、60年と経てば吸い込む二酸化炭素の量も、吐き出す酸素の量も減るのです。伐採をした後は積極的に建物や家具などに利用し、廃材もチップや石灰と混ぜ込んでの補修材などにも使えば良いのです。
無駄なく売れるとなれば協力もしてくれるのでは?」
「だが、建物に使うとなれば火災などでまた突き上げがありそうだな」
「木だけを使うからです。もっとも木材を使用する事で木材は炭素を吸収して取り込む性質がありますから、これからの社会、カーボンニュートラルには必要な事。先駆者ともなれ、その技術を他国に売る事も出来ます。木だけではなく技術も販売するのですよ。
で、火災ですが木は余程なら確かに燃えてしまいますが、燃えやすいのは1本の木を使うなら表面2,3センチ。それよりも中心部は燃えにくいのです。
心配なのであれば板状にしたものをプレスして中間部に焼き石灰、砂、砂利、水を混ぜて燃えどまり層を作れば良いのですわ」
「あぁ~もう好きすぎるっ!帝国に来て皆を説得してくれないか」
「うーん…もう少しここで皇帝陛下のミルクパンを食べたいですわ」
「また焼いてくるよ。最近塩パンというのを試作しているんだ。ディアスと呼んでくれたらもってこようかな‥とか…思ったりとか…いや、いいです。聞き流してください。でも名前を呼んでくれたら‥その時は求婚するよ」
キラっとアナスタシアの目が光る。実はパンが大好きなのである。求婚は別問題。
パン好きになったのはグラディアスの作った焼きたてパンを食べてからである。
グラディアスは意図せずにアナスタシアの胃袋を掴んでいる。
通常は逆ではないかと思われるが、グラディアスには突破口が既に出来ているのだ。
残念な事に、そこに気が付いていないのだが。
毎日は来られないグラディアス。
朔月(新月)の時は来られないが、満月となると夜が明ける前から飛んできて、厨房でパンを焼く。「美味しいですわ」と微笑んでくれるというだけで公爵家の厨房で皇帝がパンを焼くのだ。
空に向かって調理長が少し涙を流した。
「皇帝陛下、朝から玉ねぎのみじん切りは辛いです」
娘生活を満喫するアナスタシアだが、楽しみ方は今一つ判らない。
塔から出て半年を過ぎた頃から夜会や茶会にも出かけては見るものの、それまで雲の上の女性だったアナスタシアにどの令嬢たちも挨拶程度で遠巻きにしてしまう。一緒のテーブルでも粗相をしたら大変と同席者の緊張を否が応でも感じてしまう。
夜会もダンスを父と踊った後は壁の花ならぬ、高齢の夫人達が壁となりガッチリ囲うのだ。
高齢の夫人達にとっては元であっても王太子妃。崇める対象なのである。
その上、帝国の皇帝が求婚しているのは皆が知るところ。
そこにダンスを申し込んでくる猛者などいるはずがない。
「もうお茶会は結構ですわ」
帰りの馬車で母にポロリとこぼしてしまった。目の前でうんうんと微笑む母の公爵夫人。
「嫌だ」という意思表示をしてくれた事が嬉しいのである。
「いいのよ。じゃぁ今度はわたくしとカフェはどう?イチゴを使った色んなケーキがあるそうよ?」
「カフェというのは…お茶ではないのですか」
「お茶も色々あるわよ?ちょっと帰りに寄ってみる??」
「遅くなるとお父様が心配されるのでは?」
「いいの、いいの。帰りに何か買ってけばいいのよぅ」
アナスタシアと母娘デートがしたくて堪らない母はノリノリである。
しかし、その時馬車が止まった。
「奥様、どうやら異形の見世物が出ているようです。怖いもの見たさで人だかりになっていますね。ゆっくり通り抜けますので扉は絶対に開けないでくださいね」
御者の声に扉の鍵を確認し、人の輪の中心になっている「モノ」をゆっくりと通りすぎる馬車の窓から覗き見た。それは肩甲骨から地に着く先までが1つになった男女だった。
魔法融合されて足はナメクジかカタツムリか。古の書には上半身は人でも下半身は馬や魚の挿絵が描かれていたが目の前にあるのは下半身がナメクジのような生き物だった。
「あら…殿下ではないのかしら?ロザリア様かしら?おかしな恰好をされて…」
母は脅威を感じ思わず涙を流してしまった。あの異形の状態になった2人を気持ち悪いとも化け物とも思わずすんなりと受け入れている?負の感情に気持ちが触れるよりは遥かにいいが、離れて成長した娘の闇を見た気がした。
1年が過ぎた日の朝、焼きたてのクロワッサンを差し出すグラディアス。
「ディアス様」
渡そうとトングで掴んだパンがポトリと落ちた。聞き間違いかと公爵夫妻の顔を見た。
うんうんと頷いて微笑んでいる。
「ディアス様?パンが落ちましたが、どうされました?」
「いや、あの…名前が…」
「半年ほど前に呼んでほしいと仰ってましたので。塩パンも以前に頂きましたし」
「夢じゃない?夢じゃない!今言っても大丈夫そう??」
「何を仰るのです?」
グラディアス。ここでも残念。まさか名前トングでもらえると思っていなかった。
別のパンを掴みなおしながらも、ここで後日に先送りをしてしまったらさらに延長戦になる気がするのだ。
慌ててアナスタシアの前に跪いて、何故かトングを差し出す。
「結婚しよう!毎朝一緒にパンを食べよう!新婚旅行は海だ!」
「えっと…OKならこのパンを取ればいいのね?」
「いや、違――」
アナスタシアはトングで摘まんだパンをヒョイと取るとパクリと食べた。
「美味しい♡」
完全に胃袋は落ちていたのだった・・・。
晴れた日の結婚式。
厳かに誓いの言葉と誓いのキスを交わした2人。
フラワーシャワーが降り注ぐ中、帝国の大通りを馬車でパレードしていく。
「良かったわ。お兄様一時はどうなる事かと」
「これで!孫が抱ける!っと…その前に次はそなた!ザフィール早う持ち帰れ!」
「お母様っ!娘を持ち帰りしろだなんて!」
「アハハ…一応もう持ち帰った後なので…」
「なんじゃとっ?」
パレードが終わると、真っ白なウェディングドレスと真っ白な隊服の主役2名。
ポォっと光に包まれる。
バササー!
塔から出た日以上の快晴。民衆が空を見上げるとカラスが二羽。
漆黒のカラスと、プラチナブロンドのカラスが飛び立った。
プラチナブロンドのカラスの周りをグルグル回る漆黒のカラス。
「クワックワックワアア!」
「クゥゥゥ~クゥゥ♡」
結婚後、働き方改革を徹底する皇帝グラディアス。
それもまでも有事以外は9時17時で残業厳禁だったが、皇后にも徹底してもらう事で10時と15時には15分の休憩。昼も1時間の休息。
有給休暇の消化に産休は男女ともに徹底した。
何故かといえば、放っておけばアナスタシアが執務ばかりをしてしまうからである。
グラディアスの助けになればとずっと書類とにらめっこをしてしまうのだ。
シュバイツ王国よりも10倍以上の国土を有する帝国。
片付ける執務の数はそれまでと比にならないが、細分化された部署で担当がそれを助ける。
10倍以上になった執務だが、片付ける時間は就業時間内で終わる。効率化を図っているのだ。
で‥‥その後はというと。
「シア♡今日もお疲れだね」
「いえ、そんなに疲れてはおりませんが…」
「ここに座って。1人の体じゃないから無理はしなくていいから」
「無理は…そうですね。パンを我慢している事かしらね」
「悪阻が落ち着いてからは食欲が戻って良かったよ」
オフの時間は皇帝、皇后ではなく、仲の良い夫婦。
もうすぐ新しい家族が仲間入りする。
三羽のカラスが空を舞う日も近い。
Fin
散歩と言っても公爵家の中を散歩するだけで遠くに行くことはない。
塔から出た日、大きな黒鳥に擬態したグラディアスに乗って公爵家まで戻ったが、かなりお気に入りになったようで、グラディアスは失敗だったと痛感している。
ギュッと掴まれて、落ちないように必死なのは判る。判るのだが…それ以上はおそらく理性が飛ぶ。
空を飛びながら理性まで飛んでしまったら目も当てられない。
花の蜜を吸っている蝶をみて「飛んでますわねぇ」と上目使いをされる苦悶の日々。
アナスタシアは決して煽ってはいない。
身長差があるので上目使いになるだけであるが、グラディアスはその度に心臓が跳ねる。
「山林についてなのだが、どうしても所有者の理解が得られないのだ。木を切る事で地滑りが起きたらどうすると不安があるようだ」
「地滑りの主な原因は大雨と地震です。ここは伐採する区域については50年ほど前に植えられた人工林。手入れがされていませんのでそのまま放っておくほうが大雨によって地滑りの危険性は高いと思われます。
間伐や下刈りをしなければ土に日が当たらず木々も根の張りが浅くなり地滑りを起こしますわ。
なので、一気に該当地区は伐採して、今度は間隔をあけて植樹をすれば良いのですわ」
「そうだなぁ。だが反対の山は所有している領主が手入れはしている。そこも反対をしているんだ。あぁもう頭が痛くなってくる。強制的にやらせるかぁ」
「何を仰いますの。木を切れと説明もケアもなしなら反対も致しますわ。手入れをされている方の山の樹齢は如何ほどですの?」
「こっちも50~60年と聞いているな」
「ならそちらも伐採をした方がいいですわ。木も人間と同じなのです。若い頃は食欲旺盛。年を取ると小食になりますでしょう?木も10~30年くらいが一番空気中の二酸化炭素を吸って光合成をおこない酸素を吐き出す。50年、60年と経てば吸い込む二酸化炭素の量も、吐き出す酸素の量も減るのです。伐採をした後は積極的に建物や家具などに利用し、廃材もチップや石灰と混ぜ込んでの補修材などにも使えば良いのです。
無駄なく売れるとなれば協力もしてくれるのでは?」
「だが、建物に使うとなれば火災などでまた突き上げがありそうだな」
「木だけを使うからです。もっとも木材を使用する事で木材は炭素を吸収して取り込む性質がありますから、これからの社会、カーボンニュートラルには必要な事。先駆者ともなれ、その技術を他国に売る事も出来ます。木だけではなく技術も販売するのですよ。
で、火災ですが木は余程なら確かに燃えてしまいますが、燃えやすいのは1本の木を使うなら表面2,3センチ。それよりも中心部は燃えにくいのです。
心配なのであれば板状にしたものをプレスして中間部に焼き石灰、砂、砂利、水を混ぜて燃えどまり層を作れば良いのですわ」
「あぁ~もう好きすぎるっ!帝国に来て皆を説得してくれないか」
「うーん…もう少しここで皇帝陛下のミルクパンを食べたいですわ」
「また焼いてくるよ。最近塩パンというのを試作しているんだ。ディアスと呼んでくれたらもってこようかな‥とか…思ったりとか…いや、いいです。聞き流してください。でも名前を呼んでくれたら‥その時は求婚するよ」
キラっとアナスタシアの目が光る。実はパンが大好きなのである。求婚は別問題。
パン好きになったのはグラディアスの作った焼きたてパンを食べてからである。
グラディアスは意図せずにアナスタシアの胃袋を掴んでいる。
通常は逆ではないかと思われるが、グラディアスには突破口が既に出来ているのだ。
残念な事に、そこに気が付いていないのだが。
毎日は来られないグラディアス。
朔月(新月)の時は来られないが、満月となると夜が明ける前から飛んできて、厨房でパンを焼く。「美味しいですわ」と微笑んでくれるというだけで公爵家の厨房で皇帝がパンを焼くのだ。
空に向かって調理長が少し涙を流した。
「皇帝陛下、朝から玉ねぎのみじん切りは辛いです」
娘生活を満喫するアナスタシアだが、楽しみ方は今一つ判らない。
塔から出て半年を過ぎた頃から夜会や茶会にも出かけては見るものの、それまで雲の上の女性だったアナスタシアにどの令嬢たちも挨拶程度で遠巻きにしてしまう。一緒のテーブルでも粗相をしたら大変と同席者の緊張を否が応でも感じてしまう。
夜会もダンスを父と踊った後は壁の花ならぬ、高齢の夫人達が壁となりガッチリ囲うのだ。
高齢の夫人達にとっては元であっても王太子妃。崇める対象なのである。
その上、帝国の皇帝が求婚しているのは皆が知るところ。
そこにダンスを申し込んでくる猛者などいるはずがない。
「もうお茶会は結構ですわ」
帰りの馬車で母にポロリとこぼしてしまった。目の前でうんうんと微笑む母の公爵夫人。
「嫌だ」という意思表示をしてくれた事が嬉しいのである。
「いいのよ。じゃぁ今度はわたくしとカフェはどう?イチゴを使った色んなケーキがあるそうよ?」
「カフェというのは…お茶ではないのですか」
「お茶も色々あるわよ?ちょっと帰りに寄ってみる??」
「遅くなるとお父様が心配されるのでは?」
「いいの、いいの。帰りに何か買ってけばいいのよぅ」
アナスタシアと母娘デートがしたくて堪らない母はノリノリである。
しかし、その時馬車が止まった。
「奥様、どうやら異形の見世物が出ているようです。怖いもの見たさで人だかりになっていますね。ゆっくり通り抜けますので扉は絶対に開けないでくださいね」
御者の声に扉の鍵を確認し、人の輪の中心になっている「モノ」をゆっくりと通りすぎる馬車の窓から覗き見た。それは肩甲骨から地に着く先までが1つになった男女だった。
魔法融合されて足はナメクジかカタツムリか。古の書には上半身は人でも下半身は馬や魚の挿絵が描かれていたが目の前にあるのは下半身がナメクジのような生き物だった。
「あら…殿下ではないのかしら?ロザリア様かしら?おかしな恰好をされて…」
母は脅威を感じ思わず涙を流してしまった。あの異形の状態になった2人を気持ち悪いとも化け物とも思わずすんなりと受け入れている?負の感情に気持ちが触れるよりは遥かにいいが、離れて成長した娘の闇を見た気がした。
1年が過ぎた日の朝、焼きたてのクロワッサンを差し出すグラディアス。
「ディアス様」
渡そうとトングで掴んだパンがポトリと落ちた。聞き間違いかと公爵夫妻の顔を見た。
うんうんと頷いて微笑んでいる。
「ディアス様?パンが落ちましたが、どうされました?」
「いや、あの…名前が…」
「半年ほど前に呼んでほしいと仰ってましたので。塩パンも以前に頂きましたし」
「夢じゃない?夢じゃない!今言っても大丈夫そう??」
「何を仰るのです?」
グラディアス。ここでも残念。まさか名前トングでもらえると思っていなかった。
別のパンを掴みなおしながらも、ここで後日に先送りをしてしまったらさらに延長戦になる気がするのだ。
慌ててアナスタシアの前に跪いて、何故かトングを差し出す。
「結婚しよう!毎朝一緒にパンを食べよう!新婚旅行は海だ!」
「えっと…OKならこのパンを取ればいいのね?」
「いや、違――」
アナスタシアはトングで摘まんだパンをヒョイと取るとパクリと食べた。
「美味しい♡」
完全に胃袋は落ちていたのだった・・・。
晴れた日の結婚式。
厳かに誓いの言葉と誓いのキスを交わした2人。
フラワーシャワーが降り注ぐ中、帝国の大通りを馬車でパレードしていく。
「良かったわ。お兄様一時はどうなる事かと」
「これで!孫が抱ける!っと…その前に次はそなた!ザフィール早う持ち帰れ!」
「お母様っ!娘を持ち帰りしろだなんて!」
「アハハ…一応もう持ち帰った後なので…」
「なんじゃとっ?」
パレードが終わると、真っ白なウェディングドレスと真っ白な隊服の主役2名。
ポォっと光に包まれる。
バササー!
塔から出た日以上の快晴。民衆が空を見上げるとカラスが二羽。
漆黒のカラスと、プラチナブロンドのカラスが飛び立った。
プラチナブロンドのカラスの周りをグルグル回る漆黒のカラス。
「クワックワックワアア!」
「クゥゥゥ~クゥゥ♡」
結婚後、働き方改革を徹底する皇帝グラディアス。
それもまでも有事以外は9時17時で残業厳禁だったが、皇后にも徹底してもらう事で10時と15時には15分の休憩。昼も1時間の休息。
有給休暇の消化に産休は男女ともに徹底した。
何故かといえば、放っておけばアナスタシアが執務ばかりをしてしまうからである。
グラディアスの助けになればとずっと書類とにらめっこをしてしまうのだ。
シュバイツ王国よりも10倍以上の国土を有する帝国。
片付ける執務の数はそれまでと比にならないが、細分化された部署で担当がそれを助ける。
10倍以上になった執務だが、片付ける時間は就業時間内で終わる。効率化を図っているのだ。
で‥‥その後はというと。
「シア♡今日もお疲れだね」
「いえ、そんなに疲れてはおりませんが…」
「ここに座って。1人の体じゃないから無理はしなくていいから」
「無理は…そうですね。パンを我慢している事かしらね」
「悪阻が落ち着いてからは食欲が戻って良かったよ」
オフの時間は皇帝、皇后ではなく、仲の良い夫婦。
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