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第34話 クルト曰く。僕に聞かれても
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勇猛果敢で豪傑。
王太子クレメンスを襲ってきた襲撃犯を咆哮だけでその動きを止め、足で地を踏み鳴らして地割れを起こし、襲撃犯を一網打尽。
今回も剣を握り、一振りすれば木々は風圧でなぎ倒され、その地は荒野と化した。
「だ、そうですよ。旦那様」
最新の号外が配られたと聞いてルフトモンド家の執事クルトは従者に命じて1枚を手に入れ、主であるツェーザルに読んで聞かせる。
文字が読み書き出来ないのではなく、毎度毎度、盛に盛られた内容に今回もか・・・と手に取る気にもなれなかったけ。
「その号外には嘘が多いな」
「どのような点が虚偽だと?」
「先ず、俺は咆哮はしていない。腹の底から声を出しただけだ」
――世間ではそれを咆哮と申しますがね――
「コホン。ではそれ以外はあっていると?」
「まだある。地割れは起こしていない。踏みしめたら足がめり込んだだけだ」
「でしょうね。軍靴が頑固すぎる泥で廃棄となったようですし」
クルトはチラリと真新しい軍靴に履き替えたツェーザルの足元を見る。
「それに一振りしたら細い枝に当たっただけだ」
「幹回り50cmはあったようですが・・・」
「御神木の幹回りは5m。それからすれば細い枝だ」
「枝と幹は違いますが、まぁいいでしょう」
カサカサと号外を折りたたむと王宮から届いた書簡を主のツェーザルに手渡す前に目を通すクルト。
護衛の度に功績をあげて帰って来るので今回の褒賞では屋敷の屋根を葺き替えようかな?そんな事を考えてしまうのも仕方がない。
住まいとしている屋敷は築120年。平屋建て。
王都郊外にあって裏山という名前の広い庭付き!但し平地は僅か。
購入した当初の問題点は星空が良く見えて風通しが抜群。
難点は雨が降ると家の中なのに傘を差さねばならなかったのと、「あれ?こんな使用人いたっけ?」と食料を物色中のマジルカイノシシと目が合うことと、夜寝ている時にマジシカの群れがマラソンコースに設定していたこと。
授与される褒賞は殆どが家屋の修理に充てられて、やっと最近人の住処となった。
褒賞も金だけに留まらず23歳で男爵、25歳で子爵。そして27歳で伯爵位を国王陛下より賜った。伯爵となったことで、ついでだと「ルフトモンド」と言う家名も国王陛下につけて貰った。
王太子が襲撃をされるのは暗殺目的だが、この頃はツェーザルを討ち取れば名を揚げられるからとツェーザル目当ての襲撃犯もいる。
「あとは奥様がいればいいんですけどね」
「三十路手前の寡男に嫁いでくれる女性なんかいないさ」
執事クルトは思う。『中身勝負はアドバンテージが大きいな』と。
長兄と次兄は目が覚めるような美丈夫・・・ではないけれどそれなりにイケてる部類。
ツェーザルの母親は『小町』と呼ばれたくらいに美少女だったし、父親もそれなりにイケメン。
なのに・・・なのに・・・。
神様は非情。ツェーザルには二物は与えないとばかりに見た目が残念過ぎる。
生まれたばかりの子供には蒙古斑という痣が背中やお尻にある場合があるのだが、ツェーザルは生まれた時から毛深いだけでなく、剛毛が産毛‥いや産毛と呼べるようになると目の周りに痣がある事も判った。
蒙古斑のように消えるかと思ったら本当の痣で成長しても消える事は無く、騎士団にいた時のツェーザルのニックネームは【ダメルシアン】。
犬のダルメシアンではなく、兎に角何でも粉砕させて魔力を制御出来ない事も度々あったことからダメルシアンとよばれた
甲冑のバイザーを着用していれば当然見えないが、脱げば見える。
いつの間にかツェーザルは痣が見えにくくなるように前髪を伸ばしたためさらにニックネームが追加され今ではどの騎士団にも属さない専属護衛なのに「団長」をもじって舞台などにある『緞帳』と呼ばれている。
襲撃を受ければ前髪をかき上げ、視界が開けると鬼神に憑りつかれたかのように凶暴になり、敵どころか護衛されているはずの王太子も物陰に隠れて息を顰める始末。
今まで幾つかの縁談も国王や王太子が仲介になって、自国に限らず諸外国の令嬢にも声を掛けてくれたが全て破断の如く破談になったのは仕方のない事かも知れない。
中にはツェーザルを見て【国交断絶希望ですか?】と聞いた大使もいる。
――中身は抜群なんだけどな――クルトは思う。
褒賞が書かれているであろう書簡にクルトは目を通していたが、突然ガっと食いつくように至近距離まで書簡を目に近づけると、今度は目を細めて手を伸ばし、遠目で文字を見る。
光に透かしてみたり、暖炉の火に近づけて炙り出しでもしているかのような行動に出るとツェーザルも「何をしてるんだ?」気になるのは仕方がない。
「いえ・・・誤植ですかね」
「誤植?書き損じではなく?」
「うーん…陛下からなので事務官の下書きを写しただけだと思うんですよねぇ」
「誤字の1つや2つ。陛下も人間だという事だ。気にするな」
「いえ・・・だとしたらわざわざインクの色を変える必要はないかと」
「赤字で書いてあると言うのか?珍しいな」
どれどれ・・・ツェーザルもクルトが手にした書簡を覗き込む。
確かに赤字で他の文字よりも大きく書かれている文字があった。
そしてその下にはこれまた他の文字の大きさの4分の1サイズ。良く書けたなと感心するほど小さな文字がヒメ蟻の行列のように並んでいた。
【この度 ”結婚” を調えた】と赤の大文字
【拒否、辞退は認めない。終生大事に慈しむように】と小さな文字。
ツェーザルはクルトに問う。「ドユコト?」
クルトはツェーザルに返す。「僕に聞かれても」
謎が深まるのだが、王太子クレメンスとは次の視察まで会う事もないし、そんな話は聞いていない。
首を傾げていると従者がやって来た。
「旦那様、大公家から荷物が届いておりますが」
「大公家から?イルシェプ殿が?聞いてないんだが間違いないか?」
「間違いないかと言われてもですね…女性用のものばかりで」
「女性用?!俺に女装でもさせる気なのか?!」
「旦那様、言葉にするのは止めてください。想像したら夜1人で不浄に行けなくなります」
クルトが表情を失っている。
想像をしてしまって後悔の渦に巻かれているのだろう。
しかし、ツェーザルとクルトの疑問をよそに【女性用】の荷物は屋敷に運び込まれて行ったのだった。
王太子クレメンスを襲ってきた襲撃犯を咆哮だけでその動きを止め、足で地を踏み鳴らして地割れを起こし、襲撃犯を一網打尽。
今回も剣を握り、一振りすれば木々は風圧でなぎ倒され、その地は荒野と化した。
「だ、そうですよ。旦那様」
最新の号外が配られたと聞いてルフトモンド家の執事クルトは従者に命じて1枚を手に入れ、主であるツェーザルに読んで聞かせる。
文字が読み書き出来ないのではなく、毎度毎度、盛に盛られた内容に今回もか・・・と手に取る気にもなれなかったけ。
「その号外には嘘が多いな」
「どのような点が虚偽だと?」
「先ず、俺は咆哮はしていない。腹の底から声を出しただけだ」
――世間ではそれを咆哮と申しますがね――
「コホン。ではそれ以外はあっていると?」
「まだある。地割れは起こしていない。踏みしめたら足がめり込んだだけだ」
「でしょうね。軍靴が頑固すぎる泥で廃棄となったようですし」
クルトはチラリと真新しい軍靴に履き替えたツェーザルの足元を見る。
「それに一振りしたら細い枝に当たっただけだ」
「幹回り50cmはあったようですが・・・」
「御神木の幹回りは5m。それからすれば細い枝だ」
「枝と幹は違いますが、まぁいいでしょう」
カサカサと号外を折りたたむと王宮から届いた書簡を主のツェーザルに手渡す前に目を通すクルト。
護衛の度に功績をあげて帰って来るので今回の褒賞では屋敷の屋根を葺き替えようかな?そんな事を考えてしまうのも仕方がない。
住まいとしている屋敷は築120年。平屋建て。
王都郊外にあって裏山という名前の広い庭付き!但し平地は僅か。
購入した当初の問題点は星空が良く見えて風通しが抜群。
難点は雨が降ると家の中なのに傘を差さねばならなかったのと、「あれ?こんな使用人いたっけ?」と食料を物色中のマジルカイノシシと目が合うことと、夜寝ている時にマジシカの群れがマラソンコースに設定していたこと。
授与される褒賞は殆どが家屋の修理に充てられて、やっと最近人の住処となった。
褒賞も金だけに留まらず23歳で男爵、25歳で子爵。そして27歳で伯爵位を国王陛下より賜った。伯爵となったことで、ついでだと「ルフトモンド」と言う家名も国王陛下につけて貰った。
王太子が襲撃をされるのは暗殺目的だが、この頃はツェーザルを討ち取れば名を揚げられるからとツェーザル目当ての襲撃犯もいる。
「あとは奥様がいればいいんですけどね」
「三十路手前の寡男に嫁いでくれる女性なんかいないさ」
執事クルトは思う。『中身勝負はアドバンテージが大きいな』と。
長兄と次兄は目が覚めるような美丈夫・・・ではないけれどそれなりにイケてる部類。
ツェーザルの母親は『小町』と呼ばれたくらいに美少女だったし、父親もそれなりにイケメン。
なのに・・・なのに・・・。
神様は非情。ツェーザルには二物は与えないとばかりに見た目が残念過ぎる。
生まれたばかりの子供には蒙古斑という痣が背中やお尻にある場合があるのだが、ツェーザルは生まれた時から毛深いだけでなく、剛毛が産毛‥いや産毛と呼べるようになると目の周りに痣がある事も判った。
蒙古斑のように消えるかと思ったら本当の痣で成長しても消える事は無く、騎士団にいた時のツェーザルのニックネームは【ダメルシアン】。
犬のダルメシアンではなく、兎に角何でも粉砕させて魔力を制御出来ない事も度々あったことからダメルシアンとよばれた
甲冑のバイザーを着用していれば当然見えないが、脱げば見える。
いつの間にかツェーザルは痣が見えにくくなるように前髪を伸ばしたためさらにニックネームが追加され今ではどの騎士団にも属さない専属護衛なのに「団長」をもじって舞台などにある『緞帳』と呼ばれている。
襲撃を受ければ前髪をかき上げ、視界が開けると鬼神に憑りつかれたかのように凶暴になり、敵どころか護衛されているはずの王太子も物陰に隠れて息を顰める始末。
今まで幾つかの縁談も国王や王太子が仲介になって、自国に限らず諸外国の令嬢にも声を掛けてくれたが全て破断の如く破談になったのは仕方のない事かも知れない。
中にはツェーザルを見て【国交断絶希望ですか?】と聞いた大使もいる。
――中身は抜群なんだけどな――クルトは思う。
褒賞が書かれているであろう書簡にクルトは目を通していたが、突然ガっと食いつくように至近距離まで書簡を目に近づけると、今度は目を細めて手を伸ばし、遠目で文字を見る。
光に透かしてみたり、暖炉の火に近づけて炙り出しでもしているかのような行動に出るとツェーザルも「何をしてるんだ?」気になるのは仕方がない。
「いえ・・・誤植ですかね」
「誤植?書き損じではなく?」
「うーん…陛下からなので事務官の下書きを写しただけだと思うんですよねぇ」
「誤字の1つや2つ。陛下も人間だという事だ。気にするな」
「いえ・・・だとしたらわざわざインクの色を変える必要はないかと」
「赤字で書いてあると言うのか?珍しいな」
どれどれ・・・ツェーザルもクルトが手にした書簡を覗き込む。
確かに赤字で他の文字よりも大きく書かれている文字があった。
そしてその下にはこれまた他の文字の大きさの4分の1サイズ。良く書けたなと感心するほど小さな文字がヒメ蟻の行列のように並んでいた。
【この度 ”結婚” を調えた】と赤の大文字
【拒否、辞退は認めない。終生大事に慈しむように】と小さな文字。
ツェーザルはクルトに問う。「ドユコト?」
クルトはツェーザルに返す。「僕に聞かれても」
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首を傾げていると従者がやって来た。
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「間違いないかと言われてもですね…女性用のものばかりで」
「女性用?!俺に女装でもさせる気なのか?!」
「旦那様、言葉にするのは止めてください。想像したら夜1人で不浄に行けなくなります」
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