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第33話 ツェーザル、家を出る
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そんなツェーザルは12歳で実家を出た。
追い出されたわけではない。
次兄が合格率3%という難関試験に最後の挑戦!と7回目の受験に挑み無事合格。
王宮の文官に採用が決まった事で長年お付き合いのあった令嬢の父も結婚の許しを出した。令嬢の実家である子爵家に婿入りした次兄。
それを機に長兄も「足腰にガタがきた」とボヤく父から男爵家を継いだ。
長兄は既に結婚していて兄嫁は2人目の出産を控えていたため、子供が増えれば部屋も必要になる。いつまでも部屋を1つ独占するのも悪いなとツェーザルは騎士団に入団し、独身寮に入った。
元は王妃所有の別荘でツェーザルが賜ったものだが、何棟の家を壊したかも変わらない。それまでの引っ越し代で何軒の家が買えたか。
家族は独身寮に入らなくても家から通えばいいと言ったけれど、ツェーザルは自分が貰った褒美でも両親や兄一家に使ってもらった方が良いとあっさり名義も兄に変えた。
魔力の制御もそこそこに出来るようになったツェーザル。
痩身の優男である兄2人と違って、人並み外れた体躯へと成長したツェーザルは剣と相性が良かったようでメキメキと頭角を現し、19歳で第2騎士団に抜擢をされた。
20歳を前に成長がようやく止まったのか身の丈も2m25cm。体重は125キロで頭打ちとなった。
その時の団長が当時はまだ第1王子だった王太子クレメンス。
立太子をする際に、クレメンスから指名を受けて専属の護衛騎士となった。
「弾避けにはもってこいだよね?」
ツェーザルの展開する防壁魔法の事をクレメンスは言ったのだが、周囲の者が物理的に弾除けとなるツェーザルの体躯を想像したのは言うまでもない。
広大な領土を保有するマジルカ王国。
敵は外だけでなく内にもいる。
王太子を狙っての襲撃を幾度となく交わしているうちに報奨金が貯まったので、どの騎士団にも所属せず王太子の専属護衛が独身寮住まいというのも聞こえが悪いからと騎士団の独身寮を出て屋敷を買った。
噂では寝返りをうって騎士団の独身寮が倒壊し、追い出されたのでは?とも言われているが、少し違う。
石造りだった独身寮はツェーザルが退寮した後に確かに木造で新築されたが、ツェーザルは解体の時に寮の周りを防壁魔法で囲い、粉砕魔法で寮を瓦礫としただけである。その瓦礫は新築時、寮の基礎に砕石として再利用されている。勿論、解体の依頼を受けてなので報酬も貰っている。
その報酬で雇い入れたのが執事のクルト。
騎士団にいた頃に、昼は騎士団の会計担当、休日や夜は独身寮で管理人をしていた男。
実家は準男爵家で口減らしのために騎士団に13歳で入団したが、伯爵家や子爵家の次男坊、三男坊に「可愛がり」を受けて足が不自由になってしまい、騎士を諦めるしかなくなったが当時の団長が虐めをしていた者を処罰し、クルトを内勤として雇った。
しかし騎士団の一部は所謂「脳筋」の集まり。低位貴族が中心のヤカラ達に内勤でも重いものを運ぶ事が出来ないクルトは虐められていて、心を壊す寸前だったところをツェーザルが引き抜いたという形をとった。
体が不自由になっても支えてくれていたクルトの恋人ミアも使用人として雇い入れて、クルトとミアは住み込みならば給料に加えて家がある!と結婚しミアは現在侍女頭、クルトは執事としてツェーザルの屋敷で働いている。
輝かしいかどうかは別として現在29歳となったツェーザル。
あとは「奥様がいれば!」とツェーザルを知る周囲は口を揃えるのだがツェーザルに嫁いでもいいという女性はなかなか見つからない。
石造りの家屋でも一瞬で壊してしまう・・・と恐怖だけではなく女性に敬遠される立派な見た目。
――誰か中身を見てくれる女性はいないかな――
と、ツェーザルはお嫁さん絶賛大募集中。
声掛けしてのお断り件数は右肩上がりで、自薦他薦問わずの申し込みゼロの記録を更新中なのだった。
追い出されたわけではない。
次兄が合格率3%という難関試験に最後の挑戦!と7回目の受験に挑み無事合格。
王宮の文官に採用が決まった事で長年お付き合いのあった令嬢の父も結婚の許しを出した。令嬢の実家である子爵家に婿入りした次兄。
それを機に長兄も「足腰にガタがきた」とボヤく父から男爵家を継いだ。
長兄は既に結婚していて兄嫁は2人目の出産を控えていたため、子供が増えれば部屋も必要になる。いつまでも部屋を1つ独占するのも悪いなとツェーザルは騎士団に入団し、独身寮に入った。
元は王妃所有の別荘でツェーザルが賜ったものだが、何棟の家を壊したかも変わらない。それまでの引っ越し代で何軒の家が買えたか。
家族は独身寮に入らなくても家から通えばいいと言ったけれど、ツェーザルは自分が貰った褒美でも両親や兄一家に使ってもらった方が良いとあっさり名義も兄に変えた。
魔力の制御もそこそこに出来るようになったツェーザル。
痩身の優男である兄2人と違って、人並み外れた体躯へと成長したツェーザルは剣と相性が良かったようでメキメキと頭角を現し、19歳で第2騎士団に抜擢をされた。
20歳を前に成長がようやく止まったのか身の丈も2m25cm。体重は125キロで頭打ちとなった。
その時の団長が当時はまだ第1王子だった王太子クレメンス。
立太子をする際に、クレメンスから指名を受けて専属の護衛騎士となった。
「弾避けにはもってこいだよね?」
ツェーザルの展開する防壁魔法の事をクレメンスは言ったのだが、周囲の者が物理的に弾除けとなるツェーザルの体躯を想像したのは言うまでもない。
広大な領土を保有するマジルカ王国。
敵は外だけでなく内にもいる。
王太子を狙っての襲撃を幾度となく交わしているうちに報奨金が貯まったので、どの騎士団にも所属せず王太子の専属護衛が独身寮住まいというのも聞こえが悪いからと騎士団の独身寮を出て屋敷を買った。
噂では寝返りをうって騎士団の独身寮が倒壊し、追い出されたのでは?とも言われているが、少し違う。
石造りだった独身寮はツェーザルが退寮した後に確かに木造で新築されたが、ツェーザルは解体の時に寮の周りを防壁魔法で囲い、粉砕魔法で寮を瓦礫としただけである。その瓦礫は新築時、寮の基礎に砕石として再利用されている。勿論、解体の依頼を受けてなので報酬も貰っている。
その報酬で雇い入れたのが執事のクルト。
騎士団にいた頃に、昼は騎士団の会計担当、休日や夜は独身寮で管理人をしていた男。
実家は準男爵家で口減らしのために騎士団に13歳で入団したが、伯爵家や子爵家の次男坊、三男坊に「可愛がり」を受けて足が不自由になってしまい、騎士を諦めるしかなくなったが当時の団長が虐めをしていた者を処罰し、クルトを内勤として雇った。
しかし騎士団の一部は所謂「脳筋」の集まり。低位貴族が中心のヤカラ達に内勤でも重いものを運ぶ事が出来ないクルトは虐められていて、心を壊す寸前だったところをツェーザルが引き抜いたという形をとった。
体が不自由になっても支えてくれていたクルトの恋人ミアも使用人として雇い入れて、クルトとミアは住み込みならば給料に加えて家がある!と結婚しミアは現在侍女頭、クルトは執事としてツェーザルの屋敷で働いている。
輝かしいかどうかは別として現在29歳となったツェーザル。
あとは「奥様がいれば!」とツェーザルを知る周囲は口を揃えるのだがツェーザルに嫁いでもいいという女性はなかなか見つからない。
石造りの家屋でも一瞬で壊してしまう・・・と恐怖だけではなく女性に敬遠される立派な見た目。
――誰か中身を見てくれる女性はいないかな――
と、ツェーザルはお嫁さん絶賛大募集中。
声掛けしてのお断り件数は右肩上がりで、自薦他薦問わずの申し込みゼロの記録を更新中なのだった。
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