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第44話 心を開いて
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チュンチュン♪
窓の外から温かな光とマジルカスズメの鳴き声が聞こえる。
「目が覚めたか?痛いところは?俺が判るか?腹は減ってないか?」
「セサル様・・・えぇっと・・・食事・・・あれ?どうして寝て・・・えっ?!一緒でしたの!?」
「覚えてないか?」
「覚えて‥‥確か食事をしてて‥あれ?そのあと・・・」
「魔力が暴走してしまったんだ。聞かせてくれないか?何があったのか」
意識を失ったアナベルは寝台に寝かされたが、きっかけがあったはずだとツェーザルは使用人全員から聞き取りをしたのだが、アナベルやツェーザルのように声にならない声を聞けることができる者は1人もいない。
ミアもいつものようにアナベルと庭を回っただけ。朝食も昼食も全員が同じ物を食べているし、夕食も問題は発見されなかった。
「庭に流れた土を補充はしましたが、奥様は触れていません」
念のために補充した土もツェーザルが魔力で検知してみたが、いつも頼んでいる造園商会で、土の配合もいつもと同じ。細かな石を混ぜているが産地も同じだった。
「何かがあったはずなんだ。突然魔力が暴走するなんて聞いた事がない」
「ですが奥様は元々魔力が無かったんですよね。あの国には突然魔力が宿るのも前代未聞のようですし」
「どうして魔力が・・・そうだ!あの光!」
「そうだ。旦那様と奥様を包んでいたあの光・・・いや違うよミア。光は暴走の後だ」
「そっか…そうよね。結果であり原因じゃないわね」
原因が誰にも判らず、ツェーザルはアナベルに聞く事にしたのだった。
目覚めるかどうかも判らずに、手を握っているだけでは心配でつい・・・添い寝をしてしまった。
「どうせなら腕枕でもしてみたらどうですか?」とクルトは言ったが、それは許可を得てからと断ったツェーザル。
「何があったか・・・何かあったかしら」
「慌てなくていい。昨日の事をゆっくり思い出し・・・おっとその前に」
ツェーザルは身を起こすとサイドテーブルに置いてあったイルシェプ殿下からもらった石。アナベルの心を遮断する石を思い切り握り、粉にした。
「あっ!!石が」
「いいんだ。俺はアナベルの声が聞きたい。もちろん聞かれたくないであろう声には意識を向けない。でも、話してほしいんだ。どんな小さな事であっても愛するアナベルに憂いがあってはならないんだ」
「愛すっ・・・」
「あぁ。愛している。最初は王命で仕方ないとも思った。手違いだと聞いてそんな事だろうとも思った。でもこれが一目惚れと言うんだろうか。出会うきっかけは褒められたものではないにしても、俺はこの縁を切りたくない。少なくとも・・・アナベルも同じじゃないかと・・・自惚れてもいるんだが」
言葉にしてみると意外に止まらないものだなとツェーザルは思う。
そんな気持ちもアナベルに知られても構わない。
アナベルには何一つ隠し事はしたくない、むしろ全てを知って欲しいとも願ってしまう。
「アナベル。勝手に呼び捨てにしてしまってすまない。だが・・・以前に言ってくれただろう?この痣を見て気持ち悪いとは思わない、その気持ちは知って欲しいと。俺も知って欲しいんだ。少なくとも俺はアナベルを心から愛しているんだと、アナベルなしでもう生きていける気がしないってことを」
「セサル、いえツェーザル様。私は・・・」
「何も出来ないなんて言うなよ?俺をモフモフっと出来るじゃないか。それで十分だ」
「モフっ…もう!!」
「背中に黒子もあると言ってたよな?」
「なっ!なにを!!言わないでぇぇ」
バフッとアナベルはツェーザルに枕をぶつけた。細かな埃が光にキラキラ・・・。
バンッ!!「埃を立てちゃだめでしょう!」ミアだった。
掃除に関しては完璧を期したいミア。枕から細かな埃が舞った事をミアの魔力が関知。黙ってはいられなかった。
――あれ?――
アナベルは違和感に気が付いた。「どうした?」とツェーザルの声が聞こえて、ツェーザルの心の声も【どこか痛いのか?】と聞こえる。
同時にミアの心の声【まさか埃を吸い込んだ?】も聞こえた。
違和感はミアが埃を立てるなと言って入って来た時に何かを言った気がしたが聞こえなかったのだ。
「ミア、さっき入って来た時、掃除の仕方が不味かったと思わなかったか?」
「へ?‥‥そうですよっ!いつも万全を期すにはと考えてますからねっ!」
プイっとそっぽを向いたミア。アナベルはハッと閃いた。
「ミーさんの矜持なんだわ」
「矜持?そんな大層なもの・・・」
もにょもにょと口ごもるミアだったが、間違いはないだろう。
ミアの譲れない思い。そこに踏み込んではいけないとアナベルはミアの心の声を遮ったのだ。
「出来たかもしれない・・・」
「そうか。では昨日見たもの、聞いたことを教えてくれ」
アナベルは昨日の出来事をツェーザルに話した。
思いだすのも気分が悪くなるあの男の言葉も余すところなくすべて。
ツェーザルはその事を後日訪れたケルンに報告をした。
「もしかすると、アナベル殿の魔力が大きく振れるのは ”悪意” かも知れませんね。魔力が宿るきっかけは1つではなく複合している者が多い。マジルカオオカミからおそらく何らか・・・食べ物を共有したりしたことがあったかも知れませんね」
「ですが話では暫く・・・5年ほどは面倒も碌に見られなかったと」
「亡くなる間際に光に包まれたとありますので、この時にマジルカオオカミの魔力が移る何かがあったと考えるのが妥当でしょう。その後魔力が体内に入った後で、強烈な悪意に晒された。今回の事も嫌悪するほどの声が原因、そこに慌てずとも良いと言われても気負いもあったんでしょう」
「俺は何をしてやればいいでしょうか。先生」
「そのままでいいのでは?今日の彼女は非常に落ち着いた静かな魔力。愛の力かも知れないね。絶対的な安心にその身があるというのは心には大切な事だよ。それだけ過酷な中で心を押し込めてきたんだ。甘やかしてあげなさい」
恩師でもあるケルン。
ツェーザルが恋愛経験皆無という事をすっかり失念していた。
バイブルとして買い込んだのは女性向けの読み物。
ツェーザルは店に売り物がなくなるほど女性の喜ぶ物を買い漁り、仕立て屋の布も数年先までの取り寄せ分まで予約をしてしまう。
ありきたりな物欲を満たしてあげれば・・・を実行したのだが、アナベルに「いらない」と一言で済まされてしまったのだった。
★~★
次は19時40分です(*^-^*)
窓の外から温かな光とマジルカスズメの鳴き声が聞こえる。
「目が覚めたか?痛いところは?俺が判るか?腹は減ってないか?」
「セサル様・・・えぇっと・・・食事・・・あれ?どうして寝て・・・えっ?!一緒でしたの!?」
「覚えてないか?」
「覚えて‥‥確か食事をしてて‥あれ?そのあと・・・」
「魔力が暴走してしまったんだ。聞かせてくれないか?何があったのか」
意識を失ったアナベルは寝台に寝かされたが、きっかけがあったはずだとツェーザルは使用人全員から聞き取りをしたのだが、アナベルやツェーザルのように声にならない声を聞けることができる者は1人もいない。
ミアもいつものようにアナベルと庭を回っただけ。朝食も昼食も全員が同じ物を食べているし、夕食も問題は発見されなかった。
「庭に流れた土を補充はしましたが、奥様は触れていません」
念のために補充した土もツェーザルが魔力で検知してみたが、いつも頼んでいる造園商会で、土の配合もいつもと同じ。細かな石を混ぜているが産地も同じだった。
「何かがあったはずなんだ。突然魔力が暴走するなんて聞いた事がない」
「ですが奥様は元々魔力が無かったんですよね。あの国には突然魔力が宿るのも前代未聞のようですし」
「どうして魔力が・・・そうだ!あの光!」
「そうだ。旦那様と奥様を包んでいたあの光・・・いや違うよミア。光は暴走の後だ」
「そっか…そうよね。結果であり原因じゃないわね」
原因が誰にも判らず、ツェーザルはアナベルに聞く事にしたのだった。
目覚めるかどうかも判らずに、手を握っているだけでは心配でつい・・・添い寝をしてしまった。
「どうせなら腕枕でもしてみたらどうですか?」とクルトは言ったが、それは許可を得てからと断ったツェーザル。
「何があったか・・・何かあったかしら」
「慌てなくていい。昨日の事をゆっくり思い出し・・・おっとその前に」
ツェーザルは身を起こすとサイドテーブルに置いてあったイルシェプ殿下からもらった石。アナベルの心を遮断する石を思い切り握り、粉にした。
「あっ!!石が」
「いいんだ。俺はアナベルの声が聞きたい。もちろん聞かれたくないであろう声には意識を向けない。でも、話してほしいんだ。どんな小さな事であっても愛するアナベルに憂いがあってはならないんだ」
「愛すっ・・・」
「あぁ。愛している。最初は王命で仕方ないとも思った。手違いだと聞いてそんな事だろうとも思った。でもこれが一目惚れと言うんだろうか。出会うきっかけは褒められたものではないにしても、俺はこの縁を切りたくない。少なくとも・・・アナベルも同じじゃないかと・・・自惚れてもいるんだが」
言葉にしてみると意外に止まらないものだなとツェーザルは思う。
そんな気持ちもアナベルに知られても構わない。
アナベルには何一つ隠し事はしたくない、むしろ全てを知って欲しいとも願ってしまう。
「アナベル。勝手に呼び捨てにしてしまってすまない。だが・・・以前に言ってくれただろう?この痣を見て気持ち悪いとは思わない、その気持ちは知って欲しいと。俺も知って欲しいんだ。少なくとも俺はアナベルを心から愛しているんだと、アナベルなしでもう生きていける気がしないってことを」
「セサル、いえツェーザル様。私は・・・」
「何も出来ないなんて言うなよ?俺をモフモフっと出来るじゃないか。それで十分だ」
「モフっ…もう!!」
「背中に黒子もあると言ってたよな?」
「なっ!なにを!!言わないでぇぇ」
バフッとアナベルはツェーザルに枕をぶつけた。細かな埃が光にキラキラ・・・。
バンッ!!「埃を立てちゃだめでしょう!」ミアだった。
掃除に関しては完璧を期したいミア。枕から細かな埃が舞った事をミアの魔力が関知。黙ってはいられなかった。
――あれ?――
アナベルは違和感に気が付いた。「どうした?」とツェーザルの声が聞こえて、ツェーザルの心の声も【どこか痛いのか?】と聞こえる。
同時にミアの心の声【まさか埃を吸い込んだ?】も聞こえた。
違和感はミアが埃を立てるなと言って入って来た時に何かを言った気がしたが聞こえなかったのだ。
「ミア、さっき入って来た時、掃除の仕方が不味かったと思わなかったか?」
「へ?‥‥そうですよっ!いつも万全を期すにはと考えてますからねっ!」
プイっとそっぽを向いたミア。アナベルはハッと閃いた。
「ミーさんの矜持なんだわ」
「矜持?そんな大層なもの・・・」
もにょもにょと口ごもるミアだったが、間違いはないだろう。
ミアの譲れない思い。そこに踏み込んではいけないとアナベルはミアの心の声を遮ったのだ。
「出来たかもしれない・・・」
「そうか。では昨日見たもの、聞いたことを教えてくれ」
アナベルは昨日の出来事をツェーザルに話した。
思いだすのも気分が悪くなるあの男の言葉も余すところなくすべて。
ツェーザルはその事を後日訪れたケルンに報告をした。
「もしかすると、アナベル殿の魔力が大きく振れるのは ”悪意” かも知れませんね。魔力が宿るきっかけは1つではなく複合している者が多い。マジルカオオカミからおそらく何らか・・・食べ物を共有したりしたことがあったかも知れませんね」
「ですが話では暫く・・・5年ほどは面倒も碌に見られなかったと」
「亡くなる間際に光に包まれたとありますので、この時にマジルカオオカミの魔力が移る何かがあったと考えるのが妥当でしょう。その後魔力が体内に入った後で、強烈な悪意に晒された。今回の事も嫌悪するほどの声が原因、そこに慌てずとも良いと言われても気負いもあったんでしょう」
「俺は何をしてやればいいでしょうか。先生」
「そのままでいいのでは?今日の彼女は非常に落ち着いた静かな魔力。愛の力かも知れないね。絶対的な安心にその身があるというのは心には大切な事だよ。それだけ過酷な中で心を押し込めてきたんだ。甘やかしてあげなさい」
恩師でもあるケルン。
ツェーザルが恋愛経験皆無という事をすっかり失念していた。
バイブルとして買い込んだのは女性向けの読み物。
ツェーザルは店に売り物がなくなるほど女性の喜ぶ物を買い漁り、仕立て屋の布も数年先までの取り寄せ分まで予約をしてしまう。
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