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第20話 人として最低だと護衛兵は言った
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ボーン子爵家の従者が「婚約解消」についての話をしたいと先触れを持ってゼスト公爵家にやってきた。
「どういう事なの?!」
ゼスト公爵が来客中だったため、先触れを受け取った公爵夫人は従者に「何時でもいいので屋敷に来てほしい」と伝えたが直ぐに「こちらが出向いてもいい」と付け加えた。
スカッドとスナーチェが度々2人で貴族街にある店などで目撃されている事は知っていた。2人の周囲には護衛をつけていたし、恋人同士というよりも「いとこ同士」である関係で問題は無かった。
――それが、問題だったのよ――
今更だと公爵夫人は唇を噛んだ。
問題だと思わなかった事が問題なのは突き詰めれば答えは1つ。
【灯台下暗し】である。
生まれた時から双子のように育ったスカッドとスナーチェ。
一緒にいても兄妹、いや双子のような関係なのでそこには恋愛感情を誰も感じなかった。当人たちも何が問題だと首を傾げるだろう。
他人なら問題でも、兄と妹、姉と弟という異性が1つ屋根の下で暮らしていても問題にならないし、一緒に食事をして【倫理観がない】と責める者はいない。
スカッドもスナーチェへの感情とスペリアーズへの感情は大差ないはずだと信じ切っていた。
度々開かれる「2組の茶会」には公爵夫妻も状況は知らなかったが注意はしていた。
幅広く他家の貴族も呼ぶならまだしも閉鎖的な茶会にも思えた。
スカッドとスナーチェが揃っている場で注意もした。
「うん。判ったよ。ありがとう、母上」
「そうね、叔母様の意見もすごく参考になるわ」
身内であった事が災いしてしまった。
参考意見として聞いただけで何の改善もしていなかったし「忠告はした」という事で安心もしたし、ヘリンも大きな苦情は言って来なかったので確認もしなかった。
そこにいる事や、以前と変わらない態度に【安心】してしまっていたが、スカッドとスナーチェをヘリンとスナーチェの婚約者に入れ替えてみれば、している行為は不適切だと断定できる。
先触れを見てこんな簡単な図式にすんなり辿り着けたのにどうして今まで気が付かなかったのか。
【いとこ】【親戚】というバイアスが掛かってしまっていた。
――ヘリンは感情的に苦情など言う子ではないと知っていたのに――
「では、また。次回も良い報告が出来るよう皆に伝えます」
「ありがとう。私からも功労に対しての品を贈るようにするよ」
ゼスト公爵と客の声が聞こえてくる。
部屋から出てきた客が夫人に微笑んだ。
「これは奥様。お邪魔致しました」
「えぇ…お帰りですの?」
「はい、この後で商会に寄って領地に戻ります」
「いつもありがとう。領まで気を付けてくださいませね」
「はい。それでは」
表情を来客に気取られてはいけない。夫人は来客を引き攣った笑顔で送り出し、背が廊下の角を曲がり見えなくなると部屋に入り、書類を片付けているゼスト公爵の元に駆け寄った。
「直ぐにボーン子爵家に行こう」
ゼスト公爵はそう言ったが、既に従者は帰した後。
入れ違いになっては意味がないとスカッドに付けていて今日は屋敷にいる護衛兵を呼んだ。出掛ける時だけでなく茶会などでも周囲を警戒するために配置する兵士なら何か知っているのではと考えた。
「スカッドの言動に不自然、不適切な点は無かったか?」
ゼスト公爵に問われた護衛兵は「いえ、ありませんが?」と言った。
ならばとゼスト公爵は問い方を変えた。
「スカッドとして見るのではなく、スカッドをそのまま部下の兵士に入れ替えたとしたらどうだ?」
すると兵士は少し考え「入れ替えたとすればです」と断りを先ず入れた。そうしないと主の子息であり次期公爵について「良くは思ってない」と見られれば職を失うかも知れないからである。
「忖度は無しでいい。君の発言で不利益な扱いをしない事を約束する」
ゼスト公爵の言葉に安堵したのか兵士はハッキリと答えた。
「あり得ません。人として最低だと自分は思います」
「やはり・・・」そう思いつつ、ゼスト公爵はどのような点でそう感じたかを問う。
「先ず、自分の婚約者が卑しいだの底辺だのと言われて黙っていること。全ての所作、いえ存在すら否定されるような言葉を浴びせられているのに善意だからと押し付けていること。あと自分は高位貴族の決め事は不勉強なのですが、婚約者と向き合って腰掛けること・・・でしょうか」
「婚約者と向き合って腰掛ける事の何処が問題なんだ?」
ゼスト公爵は言葉だけでは意味が解らなかった。食事をする際など向き合って腰掛けるのは不自然ではないと考えていたので当然の疑問である。
「言葉足らず・・・と申しますか…例えばです。旦那様と奥様、そして先代様と先代夫人様その2組がいますよね。それぞれがパートナーと向かい合って腰掛ける。椅子はベンチです。ベンチに腰掛けると隣はパートナーではありませんよね」
「向かい合うんだから、そうだな」
「1つのベンチに腰掛けるのが旦那様と先代奥様とお考えいただければ」
「そ、それじゃ1つのベンチにスカッドとスナーチェ、向かいのベンチにはヘリンと・・・伯爵子息。そういう事なの?!」
「はい。ですが私は男爵家の出ですので、それが高位貴族の慣習とすれば何も言えません。実際言い出したのはビルボ侯爵令嬢ですし、坊ちゃまも異議は唱えておりませんでした」
公爵夫人は並びも問題だが、カッと目を見開いた。
「ベンチってあの親子用の小ぶりなものじゃないでしょうね」
「そうですが?それ以外は脚が固定されていますので動かせませんので」
「あぁ~なんてこと・・・」
ふらりと後ろ向きに倒れそうになった公爵夫人をゼスト公爵は咄嗟に支えた。
ゼスト公爵は「違うと言ってくれ」そう願いながらもう1つ聞いた。
「その椅子、いやベンチに腰かけている時、両端に寄っている状態だったか?」
「はい」
兵士の答えにゼスト公爵夫妻は唯一の救いと胸を撫でおろそうとしたが、続く言葉に胸を串刺しにされた気分になった。
「ボーン子爵令嬢と伯爵子息はそうでした。ひじ掛けがぐら付いてましたので修理しましたし…ですが反対側はひじ掛け側に余裕があるほどでした」
「・・・・・判った。ありがとう。下がって良いよ」
「はい。失礼を致します」
護衛兵が部屋を去った後、ゼスト公爵は夫人に問うたのか独り言、いや自問自答だったのか。「茶会はかなり前からだったな」と呟いた。夫人はもう言葉が出せなかった。
「ボーン子爵にいや…ヘリンに申し訳ない事をした」
「っっっ‥‥」
ゼスト公爵が隣にいる夫人に視線をやると夫人はギリリと歯を食いしばり泣いていた。
すれ違った事に気が付けば、追いかければいいとゼスト公爵夫妻は出掛ける準備を始めたが、従者が「ボーン子爵夫妻がいらっしゃいました」と伝えてきた。
先触れの返事を返し2時間と少し。ボーン子爵夫妻が翌日に話を持ち越さなかった事にゼスト公爵夫妻も腹を括った。直ぐに家令を呼びボーン子爵家への借金の残債を問い、公爵の記憶と照らし合わせた。家令も把握しているのか直ぐに額を告げるとゼスト公爵は夫人に言った。
「領地を2つ・・・いや1つで足りるか…ヘリンはそこまで考えていたのかも知れないな」
茶会が始まった頃なら領地4つでも足らなかったかも知れない。金を借りて6年目からの支払いまでの5年間。利息も取らず催促も無かった。
その5年に利息がついていたら返済額は今の倍近くになる。
国が決めた上限の利息が8.5%。ボーン子爵家は0.01%の利息だった。
法定金利なら途方もない額になっていただろう。
しかし約束は約束。ボーン子爵家の支援でゼスト公爵家は困難を乗り越えた。
ヘリンの好きなようにさせたいからと言ったボーン子爵に頼み込んでの婚約。完済前に婚約が解消した時は一括で残債を払うと約束をしたのだ。
家令に「領地2つの権利証を持って来てくれ。譲渡の書式も一式頼む」と告げたゼスト公爵は夫人と共にボーン子爵を待たせている応接室に向かった。
「この度は本当に申し訳ない事をした。謝って済むなど虫のいいことは思っていない」
深く頭を下げるゼスト公爵夫妻にボーン子爵は「まだ話し合いですから」と声を掛けた。
「当家はボーン子爵家の決定に全て従う。何でも言ってほしい」
「慌てずに。実は私もヘリンから事情を聞いてはいないのです。ですが色々と御座いますのでその時が来たのであれば親同士で話を詰めておいた方が良いと思ったまでなのです」
「だが聞こえてくる話は本当のようだ。借金の件だけでなく解消となってもゼスト公爵家からは慰謝料を払う用意がある。金で済むとも思っていないがせめてもの気持ちとして加えて貰えないだろうか」
婚約時の取り決めに従う事はゼスト公爵家にはダメージにもなる。
話し合いと言ってもゼスト公爵はどんな結果でも異議は唱えないとボーン子爵に告げた。
「どういう事なの?!」
ゼスト公爵が来客中だったため、先触れを受け取った公爵夫人は従者に「何時でもいいので屋敷に来てほしい」と伝えたが直ぐに「こちらが出向いてもいい」と付け加えた。
スカッドとスナーチェが度々2人で貴族街にある店などで目撃されている事は知っていた。2人の周囲には護衛をつけていたし、恋人同士というよりも「いとこ同士」である関係で問題は無かった。
――それが、問題だったのよ――
今更だと公爵夫人は唇を噛んだ。
問題だと思わなかった事が問題なのは突き詰めれば答えは1つ。
【灯台下暗し】である。
生まれた時から双子のように育ったスカッドとスナーチェ。
一緒にいても兄妹、いや双子のような関係なのでそこには恋愛感情を誰も感じなかった。当人たちも何が問題だと首を傾げるだろう。
他人なら問題でも、兄と妹、姉と弟という異性が1つ屋根の下で暮らしていても問題にならないし、一緒に食事をして【倫理観がない】と責める者はいない。
スカッドもスナーチェへの感情とスペリアーズへの感情は大差ないはずだと信じ切っていた。
度々開かれる「2組の茶会」には公爵夫妻も状況は知らなかったが注意はしていた。
幅広く他家の貴族も呼ぶならまだしも閉鎖的な茶会にも思えた。
スカッドとスナーチェが揃っている場で注意もした。
「うん。判ったよ。ありがとう、母上」
「そうね、叔母様の意見もすごく参考になるわ」
身内であった事が災いしてしまった。
参考意見として聞いただけで何の改善もしていなかったし「忠告はした」という事で安心もしたし、ヘリンも大きな苦情は言って来なかったので確認もしなかった。
そこにいる事や、以前と変わらない態度に【安心】してしまっていたが、スカッドとスナーチェをヘリンとスナーチェの婚約者に入れ替えてみれば、している行為は不適切だと断定できる。
先触れを見てこんな簡単な図式にすんなり辿り着けたのにどうして今まで気が付かなかったのか。
【いとこ】【親戚】というバイアスが掛かってしまっていた。
――ヘリンは感情的に苦情など言う子ではないと知っていたのに――
「では、また。次回も良い報告が出来るよう皆に伝えます」
「ありがとう。私からも功労に対しての品を贈るようにするよ」
ゼスト公爵と客の声が聞こえてくる。
部屋から出てきた客が夫人に微笑んだ。
「これは奥様。お邪魔致しました」
「えぇ…お帰りですの?」
「はい、この後で商会に寄って領地に戻ります」
「いつもありがとう。領まで気を付けてくださいませね」
「はい。それでは」
表情を来客に気取られてはいけない。夫人は来客を引き攣った笑顔で送り出し、背が廊下の角を曲がり見えなくなると部屋に入り、書類を片付けているゼスト公爵の元に駆け寄った。
「直ぐにボーン子爵家に行こう」
ゼスト公爵はそう言ったが、既に従者は帰した後。
入れ違いになっては意味がないとスカッドに付けていて今日は屋敷にいる護衛兵を呼んだ。出掛ける時だけでなく茶会などでも周囲を警戒するために配置する兵士なら何か知っているのではと考えた。
「スカッドの言動に不自然、不適切な点は無かったか?」
ゼスト公爵に問われた護衛兵は「いえ、ありませんが?」と言った。
ならばとゼスト公爵は問い方を変えた。
「スカッドとして見るのではなく、スカッドをそのまま部下の兵士に入れ替えたとしたらどうだ?」
すると兵士は少し考え「入れ替えたとすればです」と断りを先ず入れた。そうしないと主の子息であり次期公爵について「良くは思ってない」と見られれば職を失うかも知れないからである。
「忖度は無しでいい。君の発言で不利益な扱いをしない事を約束する」
ゼスト公爵の言葉に安堵したのか兵士はハッキリと答えた。
「あり得ません。人として最低だと自分は思います」
「やはり・・・」そう思いつつ、ゼスト公爵はどのような点でそう感じたかを問う。
「先ず、自分の婚約者が卑しいだの底辺だのと言われて黙っていること。全ての所作、いえ存在すら否定されるような言葉を浴びせられているのに善意だからと押し付けていること。あと自分は高位貴族の決め事は不勉強なのですが、婚約者と向き合って腰掛けること・・・でしょうか」
「婚約者と向き合って腰掛ける事の何処が問題なんだ?」
ゼスト公爵は言葉だけでは意味が解らなかった。食事をする際など向き合って腰掛けるのは不自然ではないと考えていたので当然の疑問である。
「言葉足らず・・・と申しますか…例えばです。旦那様と奥様、そして先代様と先代夫人様その2組がいますよね。それぞれがパートナーと向かい合って腰掛ける。椅子はベンチです。ベンチに腰掛けると隣はパートナーではありませんよね」
「向かい合うんだから、そうだな」
「1つのベンチに腰掛けるのが旦那様と先代奥様とお考えいただければ」
「そ、それじゃ1つのベンチにスカッドとスナーチェ、向かいのベンチにはヘリンと・・・伯爵子息。そういう事なの?!」
「はい。ですが私は男爵家の出ですので、それが高位貴族の慣習とすれば何も言えません。実際言い出したのはビルボ侯爵令嬢ですし、坊ちゃまも異議は唱えておりませんでした」
公爵夫人は並びも問題だが、カッと目を見開いた。
「ベンチってあの親子用の小ぶりなものじゃないでしょうね」
「そうですが?それ以外は脚が固定されていますので動かせませんので」
「あぁ~なんてこと・・・」
ふらりと後ろ向きに倒れそうになった公爵夫人をゼスト公爵は咄嗟に支えた。
ゼスト公爵は「違うと言ってくれ」そう願いながらもう1つ聞いた。
「その椅子、いやベンチに腰かけている時、両端に寄っている状態だったか?」
「はい」
兵士の答えにゼスト公爵夫妻は唯一の救いと胸を撫でおろそうとしたが、続く言葉に胸を串刺しにされた気分になった。
「ボーン子爵令嬢と伯爵子息はそうでした。ひじ掛けがぐら付いてましたので修理しましたし…ですが反対側はひじ掛け側に余裕があるほどでした」
「・・・・・判った。ありがとう。下がって良いよ」
「はい。失礼を致します」
護衛兵が部屋を去った後、ゼスト公爵は夫人に問うたのか独り言、いや自問自答だったのか。「茶会はかなり前からだったな」と呟いた。夫人はもう言葉が出せなかった。
「ボーン子爵にいや…ヘリンに申し訳ない事をした」
「っっっ‥‥」
ゼスト公爵が隣にいる夫人に視線をやると夫人はギリリと歯を食いしばり泣いていた。
すれ違った事に気が付けば、追いかければいいとゼスト公爵夫妻は出掛ける準備を始めたが、従者が「ボーン子爵夫妻がいらっしゃいました」と伝えてきた。
先触れの返事を返し2時間と少し。ボーン子爵夫妻が翌日に話を持ち越さなかった事にゼスト公爵夫妻も腹を括った。直ぐに家令を呼びボーン子爵家への借金の残債を問い、公爵の記憶と照らし合わせた。家令も把握しているのか直ぐに額を告げるとゼスト公爵は夫人に言った。
「領地を2つ・・・いや1つで足りるか…ヘリンはそこまで考えていたのかも知れないな」
茶会が始まった頃なら領地4つでも足らなかったかも知れない。金を借りて6年目からの支払いまでの5年間。利息も取らず催促も無かった。
その5年に利息がついていたら返済額は今の倍近くになる。
国が決めた上限の利息が8.5%。ボーン子爵家は0.01%の利息だった。
法定金利なら途方もない額になっていただろう。
しかし約束は約束。ボーン子爵家の支援でゼスト公爵家は困難を乗り越えた。
ヘリンの好きなようにさせたいからと言ったボーン子爵に頼み込んでの婚約。完済前に婚約が解消した時は一括で残債を払うと約束をしたのだ。
家令に「領地2つの権利証を持って来てくれ。譲渡の書式も一式頼む」と告げたゼスト公爵は夫人と共にボーン子爵を待たせている応接室に向かった。
「この度は本当に申し訳ない事をした。謝って済むなど虫のいいことは思っていない」
深く頭を下げるゼスト公爵夫妻にボーン子爵は「まだ話し合いですから」と声を掛けた。
「当家はボーン子爵家の決定に全て従う。何でも言ってほしい」
「慌てずに。実は私もヘリンから事情を聞いてはいないのです。ですが色々と御座いますのでその時が来たのであれば親同士で話を詰めておいた方が良いと思ったまでなのです」
「だが聞こえてくる話は本当のようだ。借金の件だけでなく解消となってもゼスト公爵家からは慰謝料を払う用意がある。金で済むとも思っていないがせめてもの気持ちとして加えて貰えないだろうか」
婚約時の取り決めに従う事はゼスト公爵家にはダメージにもなる。
話し合いと言ってもゼスト公爵はどんな結果でも異議は唱えないとボーン子爵に告げた。
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