残念な婚約者~侯爵令嬢の嘆き~

cyaru

文字の大きさ
20 / 31

残念なセッティング

しおりを挟む
待ちに待ったお茶会の日!!

残念な王子様であるエリック第三王子は…おや?どうしたの!!
朝からビシっと決めて13時開始のお茶会の席に8時半には着席しておりますよ?

「殿下、お茶会は午後で御座います。まだ早いかと」
「いや、遅れるよりずっといいだろう?あとたった5時間弱だ。お尻が痛くなっても我慢できるよ」
「そうでございますか‥‥ですがここに座られていてはお茶会の準備に支障が出ます」
「え?そうなの?僕は邪魔?」
「そうでございますね。せめてあと2メートルほどお寄り頂ければよろしいかと」

そうだよねぇ…。先に持ってきた椅子に座られたらテーブルは運べないし椅子の位置も変えられない。邪魔ですよー!

卒業式までは謹慎と言われているエリック殿下。王宮の中なので謹慎が解けたとは言えませんが部屋から出るのも久しぶりです。
座り続けているつもりではいましたが、ふと目の前の花が気になり庭園を回る事にします。

「あっ!オーロラの好きな花が咲いてる」
「っと…殿下。」
「何?あ、そうだ、これを花瓶にさしてよ。オーロラが好きなんだ」
「それは‥‥いやでも‥‥」
「いいんだよ。まぁ、好きな女性の好みをさりげなく演出するのも男の務めだからね」

あれ?エリック!良い事言うじゃないですか!やっとわかりました・・・か・・・って!!
えぇぇ?それはないわぁ…
何で美術系というか、ファッションなんかのデッサンは達人級なのにそっちはダメなの?

メイドが花瓶にさしてテーブルのど真ん中に置いたのは…。

【ドクダミ草】

なんとなくテーブルの周りに魚っぽいというかなんとも言えない微妙な香りがしています。
オマケにかなりの量を盛り込んだものですから、時間が経つにつれて鼻が麻痺しそうです。

どうして庭園にはバラも百合も咲いているのにと使用人皆が不思議に思っていますよ?
ですが当のエリック殿下は超ご機嫌。
やらかす筈ですよねぇ・・。白いってだけでブーケにも使うつもりだったかと思うと吐き気がします。

日除けを侍従たちが運んできますね。
それをジィィィっと見ているエリック殿下。あぁもういい!動くな!黙ってろ!って言いたくなります。

「待って!それは必要なものなのかい?」
「そうですよ。お茶会は13時から15時、一番日が高くなる時刻です。ご令嬢の日焼け対策として欠かせません」
「でも、そうやって設置すると暗くない?」
「それはそうですけど…」
「じゃぁいらないから片付けてくれるかな?」
「ですが!それではご令嬢が日に晒されてしまいます」
「大丈夫だよ。僕に任せておいてよ」
「そ、そうですか?まぁ殿下がそう仰るなら…」

持ってきた日除けを片付け始める従者たち。これでいいのか?とお互いがお互いを見ますが、殿下がいらないと言ってるのに設置するわけにもいかず片付けます。

11時になるとジワジワと気温も上がり始めて31度です。
今日は超快晴!と言ってよいくらい晴れています。雲もありません。
土があるとは言え、お茶会をするテラス‥‥修行の場より暑くなっております。
本日の最高気温の予想は36度。ですが、体感気温はもっと高いでしょう。

折角生けたドクダミ草も花瓶の水がお湯になっております。
既にくにゃりと萎れているドクダミ草。
じりじりと照り付ける太陽の下で最期の点検をする従者たちですが10分もこんな所にいたら倒れそうだと思っております。

余りの暑さに打ち水をしますが、まさに焼け石に水。すぐに乾いてしまいます。

「もうすぐ13時だね!」

セッティングされた椅子に座ろうとしたエリック殿下。座るために椅子を引くと!

「あっつ!!」

当たり前です。だから日除けを設置しようとしたんですよ?
どうするんです?もう日除けはつけられませんよ?間に合いませんもん。

残念な王子‥‥またまたやらかします。
井戸から水を汲みあげると、椅子にザバー!!!
確かに地面に打ち水をしたら乾くの早いですけど椅子は‥‥座ったら服が濡れてしまいますよ?
オマケにもうオーロラが来るというのに、緊張からかトイレに行ってしまうエリック殿下。
結局4時間以上前からこの場に居ても、肝心な時にいないんじゃまたバックレか遅刻って思われちゃうよ!

あぁ…慌てて使用人たち椅子を拭いていましたがオーロラが到着したようです。
炎天下の中に設置されたテーブルを見て固まっていますよ?
オマケにそこにエリック殿下、トイレから戻っておりません。

「いい根性してるわ!」

日傘をさしかけようとするメイサを手で制して、アッツアツの椅子に腰かけるオーロラ。
じりじりと照り付ける太陽!!
時刻は既に13時02分!!エリック結局遅刻です。

着席しているオーロラを見つけると慌てて走って来ます。

本当にダメな王子だよ・・・。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

隣の芝生は青いのか 

夕鈴
恋愛
王子が妻を迎える日、ある貴婦人が花嫁を見て、絶望した。 「どうして、なんのために」 「子供は無知だから気付いていないなんて思い上がりですよ」 絶望する貴婦人に義息子が冷たく囁いた。 「自由な選択の権利を与えたいなら、公爵令嬢として迎えいれなければよかった。妹はずっと正当な待遇を望んでいた。自分の傍で育てたかった?復讐をしたかった?」 「なんで、どうして」 手に入らないものに憧れた貴婦人が仕掛けたパンドラの箱。 パンドラの箱として育てられた公爵令嬢の物語。

カリスタは王命を受け入れる

真朱マロ
恋愛
第三王子の不始末で、馬に変えられた騎士との婚姻を命じられた公爵令嬢カリスタは、それを受け入れるのだった。 やがて真実の愛へと変わっていく二人の、はじまりの物語。 別サイトにも重複登校中

【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~

朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。 婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」 静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。 夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。 「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」 彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。

【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…

まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。 お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。 なぜって? お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。 どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。 でも…。 ☆★ 全16話です。 書き終わっておりますので、随時更新していきます。 読んで下さると嬉しいです。

ソウシソウアイ?

野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。 その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。 拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、 諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。

【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?

宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。 そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。 婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。 彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。 婚約者を前に彼らはどうするのだろうか? 短編になる予定です。 たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます! 【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。 ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。

【完結】サポートキャラって勝手に決めないで!

里音
恋愛
私、リリアナ・モントン。伯爵令嬢やってます。で、私はサポートキャラ?らしい。 幼馴染で自称親友でヒロインのアデリーナ・トリカエッティ伯爵令嬢がいうには… この世界はアデリーナの前世での乙女ゲームとやらの世界と同じで、その世界ではアデリーナはヒロイン。彼女の親友の私リリアナはサポートキャラ。そして悪役令嬢にはこの国の第二王子のサリントン王子の婚約者のマリエッタ・マキナイル侯爵令嬢。 攻略対象は第二王子のサリントン・エンペスト、側近候補のマイケル・ラライバス伯爵家三男、親友のジュード・マキナイル侯爵家嫡男、護衛のカイル・パラサリス伯爵家次男。 ハーレムエンドを目指すと言う自称ヒロインに振り回されるリリアナの日常。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 多人数の視点があり、くどく感じるかもしれません。 文字数もばらつきが多いです。

【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます

22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。 エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。 悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。

処理中です...