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第四章☆愚か者は藁を掴んで燃やす(6話)
両親の想いを正します
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架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
◇~◇~◇
「問題はここです」
指し示したのは名前が書かれた欄だった。
「これのどこが問題?」
「字は間違ってないけど?」
「ご説明いたします。まず保険の契約に置いての呼び方で御座いますが【契約者】【被保険者】【受取人】【指定代理請求人】など色々と御座います。今回【指定代理請求人】は発生いたしません。こちらは受取人が未成年であったり、本人の意思表示などが出来ない、寝たきりで意識不明などの場合ですね。そういう状況になった場合に代わりに請求手続きをしてくれる人を指します。まず【契約者】これは誰がその保険を商会と契約したかです。そして一般的には掛け金を支払う人とされています」
「ふむ‥‥まぁそうだよね」
「そして【被保険者】これはその保険が誰を保障するかの対象となる人です」
「ん?って事は学費保険みたいなやつ?旦那が契約者で子供が被保険者?」
「はい、学費保険で旦那様がお子様に対して契約頂く場合はそうなります」
「なるほど…判ったような…きがする」
「話を進めればもう少しわかりやすいかも知れませんね。では次に【受取人】これは給付金を受け取る人になります。これをこの死亡保障にあてはめます」
カサカサと父親の死亡保障がかかれた書類だけをテーブルに広げる。
「この保険の【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】はアレッサさんとイレッサさんになっています。お母様がお父様の保険をユズリッハ保険商会と結んだ、お父様が亡くなった時は娘2人がそのお金を受け取るという事です」
「そう。以前は受取人が父のは母、母のは父だったけどわたしらにって。ただ‥‥前の販売員の時だったけど」
「一概には言えませんが、このパターンが一番‥‥何といいますか…ストレートに言いますと損をします」
<< 損? >>
「はい、税金ですので損と言って良いのか…それは悩むところではあります。納税は国民の義務ですから払うのを損という言葉が適切かどうかは悩むところですが判りやすく言えばそうなるという事です」
「どういう事?でも旦那が掛け金を払ってくれてるし…」
「はい、御両親の気持ちはよく判るのです。きっとお二人は【法定相続人】ですので相続税のほうになると思われたのだと思いますが、この死亡保険金を受け取った時は相続税ではなく贈与税が課せられます」
「法定相続人なのに保険金の受け取りしたら相続税じゃなくて贈与税なの?」
「贈与税になります。それだけではなく課税分については所得となりますので、扶養家族からも外れますし健康保険、年金についても切り離され、住民税も課せられます」
「い、幾ら‥‥」
「お父様は死亡保険金が1千5百万ベル、お母様は1千万ベルです。それをお二人が折半となりますよね。額が異なりますが単純計算で贈与税の控除は一律110万ベルと決まっておりますのでお父様が死亡時はお1人あたり750万ベルから110万ベルを引いた640万ベルが一時所得または雑所得となります。当然扶養からは外れる額です。
お母様の時の場合も500万ベルから110万ベルを引いた390万ベルが一時所得または雑所得となります。当然こちらも扶養からは外れる額です」
「マジ‥‥どうしよう。今から元に戻せる?」
「戻せます。ですが、それでも問題が残ります」
「どんな問題?!」
「先程申しましたように、この保険の【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】はアレッサさんとイレッサさん。受取人を元に戻しますね。すると…
お父様の保険は
【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】お母様
お母様の保険は
【契約者】はお父様、【被保険者】はお母様、【受取人】お父様 判りますか?」
「それはわかる」
「この場合ですが、お二人は外れていますので関係ありませんがご存命の方の一時所得となります。この保険の払込金額はお父様の保険は総額で420万ベル、お母様の方は310万ベルです。配偶者ですので50万ベルが控除されます。それを差し引きます。
ですので
お父様が死亡時 1500万ベルから払い込んだ掛け金420万ベルと控除の50万ベルを引きます。残りが1030万ベル、それを半分にした額の515万ベルが一時所得となりお母様の課税対象になります。
お母様が死亡時 1000万ベルから払い込んだ掛け金310万ベルと控除の50万ベルを引きます。残りが640万ベル、それを半分にした額の320万ベルが一時所得となりお父様の課税対象になります」
「えぇっ…なんか控除が3千万とか言ってた気がするけど…」
「それは全体の話ですが現状ですと‥‥先程も言いましたように損をする状態です」
「どうしたらいいの!」
「まず、こうなってしまっているのは【契約者】【被保険者】【受取人】が異なるからなのです。先程の概算で言いましたように【受取人】を変えてもあまり意味がありません。【契約者】【被保険者】を同じにする必要があるのです。最初に言ったように【契約者】は保険商会と契約を結んだ者です。そして掛け金の支払いをする者ですからご両親の負担を減らしてあげようというお二人の気持ちは判るのです。ですが契約者と異なるものが掛け金を払うと歪な関係になってしまいます。ただ、実際はだれが払っているかまでは判らないと申しますか‥‥商会も商売なので現状のような状態でも見てみぬふり…と申しますかそこについては不問??でもないんですけど問わない事が多いです。ですが国に納める税金が関わって来るので、まだお二人が立て替えて1年ほどですしその分をご両親に戻して頂いて支払いを先ずご両親が支払うという形にして頂きたいのです」
「そっか…まぁそうした方が良いなら…ねぇイレッサ」
「そうね。それって、戻した事にして――」
「アーアーアー!!聞こえません。何も聞えませんっ」
「インシュアさん??だから親が払ったこと――」
「アーアーアー!!おかしいわ。何も聞えなくなっちゃった。虫歯かしら。変ですわ。明日にでも歯科医院に予約をしなければ…。あ、支払いの件はご了解いただけましたね?」
<< 了解っ!! >>
「それでですね、契約者様を被保険者と同じにするのです。掛け金はご両親が払っているのでどちらがどうという事はありません。その上で受取人を3名にして頂きます。お父様の保険金の受取人はお母様とお二人。お母様の保険金はお父様とお二人」
「どうなるの?」
「この場合は受取人が全て法定相続人とみなされますので一人当たり500万ベルつまり3人ですので500万カケル3で1500万ベルは非課税扱いになります。控除ですね。頭から差し引かれる死亡保険金の総額からその分がカットされるのです。
ですのでお母様は死亡保険金1千万ですので控除額のほうが上回り誰にも所得が発生しません。お父様の死亡保険金はあら不思議。ちょうどピッタリ1500万ですのでゼロ。どなたにも課税されません。
お二人の場合はご両親がご自宅と他の方に貸している店舗がありますのでどうしても相続税がかかってしまいます。その相続税を計算する時に死亡保険金はまず【みなし相続財産】として計算をされるんです。
しかし死亡保険金は残された家族が生きていくため必要と認められていますので【死亡保険金の非課税】でまず法定相続人の数によって計算が入るのですが、その時に【契約者】【被保険者】【受取人】がどういう関係かによって変わってしまうのです。【契約者】【被保険者】が同じで【受取人】が法定相続人。この関係でないと成り立たないんですよ。
折角のご両親がお二人を思っての事ですから正さねばなりません」
「わかった。支払いの件は親に立替分は戻してもらうわ(ニヤリ)」
「是非そうしてくださいませ」
「どうすればいいの?」
「契約者ご本人様に契約者変更届と保険金受取人変更届を記入頂く必要があります」
「それでいいの?」
「はい。ご両親の契約分についてはあとは医療保険だけですね♪」
「善は急げね。インシュアさん、明日一日大丈夫かな」
「明日は‥‥そうですね‥‥」
「リーボンとジェンナには言っとく。どうせ旦那を迎えに行かなきゃいけないし」
「承知致しました。では明日、イレッサさん。よろしくお願いいたします」
「了解よ!」
◇~◇~◇
翌日、アレッサはご主人さんを迎えに子供を背負って地域医療センターに行き、イレッサとイレッサの子供と共に馬車に揺られてご両親の元に行くのだった。
2人の両親も保険金の受け取りについては自分の子供なんだから問題ないと思っていたようで滝のような汗を流しながら説明に理解をしてくれたのだった。
「では、こちらに署名を」
◇~◇~◇
一件落着かと思ったが、そうではなかった。
帰りはすっかり日も暮れた頃になってしまった。イレッサの社宅の前で別れ、伯爵家のある方面に出る辻馬車を待っているインシュアの前に人影が落ちた。
「ん?‥‥」
「・・・・っ!」
インシュアは久しぶりに表情筋が引き攣った。
◇~◇~◇
「問題はここです」
指し示したのは名前が書かれた欄だった。
「これのどこが問題?」
「字は間違ってないけど?」
「ご説明いたします。まず保険の契約に置いての呼び方で御座いますが【契約者】【被保険者】【受取人】【指定代理請求人】など色々と御座います。今回【指定代理請求人】は発生いたしません。こちらは受取人が未成年であったり、本人の意思表示などが出来ない、寝たきりで意識不明などの場合ですね。そういう状況になった場合に代わりに請求手続きをしてくれる人を指します。まず【契約者】これは誰がその保険を商会と契約したかです。そして一般的には掛け金を支払う人とされています」
「ふむ‥‥まぁそうだよね」
「そして【被保険者】これはその保険が誰を保障するかの対象となる人です」
「ん?って事は学費保険みたいなやつ?旦那が契約者で子供が被保険者?」
「はい、学費保険で旦那様がお子様に対して契約頂く場合はそうなります」
「なるほど…判ったような…きがする」
「話を進めればもう少しわかりやすいかも知れませんね。では次に【受取人】これは給付金を受け取る人になります。これをこの死亡保障にあてはめます」
カサカサと父親の死亡保障がかかれた書類だけをテーブルに広げる。
「この保険の【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】はアレッサさんとイレッサさんになっています。お母様がお父様の保険をユズリッハ保険商会と結んだ、お父様が亡くなった時は娘2人がそのお金を受け取るという事です」
「そう。以前は受取人が父のは母、母のは父だったけどわたしらにって。ただ‥‥前の販売員の時だったけど」
「一概には言えませんが、このパターンが一番‥‥何といいますか…ストレートに言いますと損をします」
<< 損? >>
「はい、税金ですので損と言って良いのか…それは悩むところではあります。納税は国民の義務ですから払うのを損という言葉が適切かどうかは悩むところですが判りやすく言えばそうなるという事です」
「どういう事?でも旦那が掛け金を払ってくれてるし…」
「はい、御両親の気持ちはよく判るのです。きっとお二人は【法定相続人】ですので相続税のほうになると思われたのだと思いますが、この死亡保険金を受け取った時は相続税ではなく贈与税が課せられます」
「法定相続人なのに保険金の受け取りしたら相続税じゃなくて贈与税なの?」
「贈与税になります。それだけではなく課税分については所得となりますので、扶養家族からも外れますし健康保険、年金についても切り離され、住民税も課せられます」
「い、幾ら‥‥」
「お父様は死亡保険金が1千5百万ベル、お母様は1千万ベルです。それをお二人が折半となりますよね。額が異なりますが単純計算で贈与税の控除は一律110万ベルと決まっておりますのでお父様が死亡時はお1人あたり750万ベルから110万ベルを引いた640万ベルが一時所得または雑所得となります。当然扶養からは外れる額です。
お母様の時の場合も500万ベルから110万ベルを引いた390万ベルが一時所得または雑所得となります。当然こちらも扶養からは外れる額です」
「マジ‥‥どうしよう。今から元に戻せる?」
「戻せます。ですが、それでも問題が残ります」
「どんな問題?!」
「先程申しましたように、この保険の【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】はアレッサさんとイレッサさん。受取人を元に戻しますね。すると…
お父様の保険は
【契約者】はお母様、【被保険者】はお父様、【受取人】お母様
お母様の保険は
【契約者】はお父様、【被保険者】はお母様、【受取人】お父様 判りますか?」
「それはわかる」
「この場合ですが、お二人は外れていますので関係ありませんがご存命の方の一時所得となります。この保険の払込金額はお父様の保険は総額で420万ベル、お母様の方は310万ベルです。配偶者ですので50万ベルが控除されます。それを差し引きます。
ですので
お父様が死亡時 1500万ベルから払い込んだ掛け金420万ベルと控除の50万ベルを引きます。残りが1030万ベル、それを半分にした額の515万ベルが一時所得となりお母様の課税対象になります。
お母様が死亡時 1000万ベルから払い込んだ掛け金310万ベルと控除の50万ベルを引きます。残りが640万ベル、それを半分にした額の320万ベルが一時所得となりお父様の課税対象になります」
「えぇっ…なんか控除が3千万とか言ってた気がするけど…」
「それは全体の話ですが現状ですと‥‥先程も言いましたように損をする状態です」
「どうしたらいいの!」
「まず、こうなってしまっているのは【契約者】【被保険者】【受取人】が異なるからなのです。先程の概算で言いましたように【受取人】を変えてもあまり意味がありません。【契約者】【被保険者】を同じにする必要があるのです。最初に言ったように【契約者】は保険商会と契約を結んだ者です。そして掛け金の支払いをする者ですからご両親の負担を減らしてあげようというお二人の気持ちは判るのです。ですが契約者と異なるものが掛け金を払うと歪な関係になってしまいます。ただ、実際はだれが払っているかまでは判らないと申しますか‥‥商会も商売なので現状のような状態でも見てみぬふり…と申しますかそこについては不問??でもないんですけど問わない事が多いです。ですが国に納める税金が関わって来るので、まだお二人が立て替えて1年ほどですしその分をご両親に戻して頂いて支払いを先ずご両親が支払うという形にして頂きたいのです」
「そっか…まぁそうした方が良いなら…ねぇイレッサ」
「そうね。それって、戻した事にして――」
「アーアーアー!!聞こえません。何も聞えませんっ」
「インシュアさん??だから親が払ったこと――」
「アーアーアー!!おかしいわ。何も聞えなくなっちゃった。虫歯かしら。変ですわ。明日にでも歯科医院に予約をしなければ…。あ、支払いの件はご了解いただけましたね?」
<< 了解っ!! >>
「それでですね、契約者様を被保険者と同じにするのです。掛け金はご両親が払っているのでどちらがどうという事はありません。その上で受取人を3名にして頂きます。お父様の保険金の受取人はお母様とお二人。お母様の保険金はお父様とお二人」
「どうなるの?」
「この場合は受取人が全て法定相続人とみなされますので一人当たり500万ベルつまり3人ですので500万カケル3で1500万ベルは非課税扱いになります。控除ですね。頭から差し引かれる死亡保険金の総額からその分がカットされるのです。
ですのでお母様は死亡保険金1千万ですので控除額のほうが上回り誰にも所得が発生しません。お父様の死亡保険金はあら不思議。ちょうどピッタリ1500万ですのでゼロ。どなたにも課税されません。
お二人の場合はご両親がご自宅と他の方に貸している店舗がありますのでどうしても相続税がかかってしまいます。その相続税を計算する時に死亡保険金はまず【みなし相続財産】として計算をされるんです。
しかし死亡保険金は残された家族が生きていくため必要と認められていますので【死亡保険金の非課税】でまず法定相続人の数によって計算が入るのですが、その時に【契約者】【被保険者】【受取人】がどういう関係かによって変わってしまうのです。【契約者】【被保険者】が同じで【受取人】が法定相続人。この関係でないと成り立たないんですよ。
折角のご両親がお二人を思っての事ですから正さねばなりません」
「わかった。支払いの件は親に立替分は戻してもらうわ(ニヤリ)」
「是非そうしてくださいませ」
「どうすればいいの?」
「契約者ご本人様に契約者変更届と保険金受取人変更届を記入頂く必要があります」
「それでいいの?」
「はい。ご両親の契約分についてはあとは医療保険だけですね♪」
「善は急げね。インシュアさん、明日一日大丈夫かな」
「明日は‥‥そうですね‥‥」
「リーボンとジェンナには言っとく。どうせ旦那を迎えに行かなきゃいけないし」
「承知致しました。では明日、イレッサさん。よろしくお願いいたします」
「了解よ!」
◇~◇~◇
翌日、アレッサはご主人さんを迎えに子供を背負って地域医療センターに行き、イレッサとイレッサの子供と共に馬車に揺られてご両親の元に行くのだった。
2人の両親も保険金の受け取りについては自分の子供なんだから問題ないと思っていたようで滝のような汗を流しながら説明に理解をしてくれたのだった。
「では、こちらに署名を」
◇~◇~◇
一件落着かと思ったが、そうではなかった。
帰りはすっかり日も暮れた頃になってしまった。イレッサの社宅の前で別れ、伯爵家のある方面に出る辻馬車を待っているインシュアの前に人影が落ちた。
「ん?‥‥」
「・・・・っ!」
インシュアは久しぶりに表情筋が引き攣った。
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