愛用の剣を修復したら氷点下の溺愛が始まった

cyaru

文字の大きさ
43 / 58

第43話  手がかり見つけた!

しおりを挟む
気忙しく男たちが行き交う。
競りが終わった後の市場は競り落とされた品を荷馬車に運び込むために荷運びの男たちが大きな木箱を抱えてあちこちを走り回っていた。

アリアを探すのにフッタ伯爵家を飛び出したショーンはエレーナと再会をした4日後、久しぶりにフッタ伯爵家に戻ったのだが、門番が門の先には入れてくれなかった。

確かにショーンは騎士団にも解雇をされてしまい無職になったし、家にも金を入れる事は出来なくなった。それでも親子なのだから食うに困れば家に戻れば何とかしてくれると思っていたのに無情にも縁切りをされ、留守の間に廃籍よりもひどい除籍をされてしまっていたのだ。

両親はこれ以上迷惑を掛けられるのはごめんだとショーンの事を切って捨てたが、兄はショーンが門で入れろ、無理ですと言い合いをしていると聞いて両親には黙って出て来てくれた。

「すまない。もうお前を屋敷に入れる事は出来ないんだ」
「どうしてだよ。そんな簡単に切れるものなのか?!」
「気持ちは判る。だが状況が危ういんだ。お前、以前に付き合っていた女…えぇっとドレスの女だ。ドレスの支払いで係争課から手紙が届いた女」
「エレーナのこと?」
「そう、そのエレーナが妊娠をしているそうだ。ブーレ伯爵家はエストス侯爵家の当主が相手だと言っているが月数からしてショーン、お前ではないかと母上は疑っているんだ」
「妊娠・・・でもっ!」

相手は自分だけじゃない。そう言おうとした。ショーンはエレーナと組んでアリアを騙していた間もエレーナが他の男と楽しんでいる事は知っていた。

エレーナの事は好きだが、お互いの間で結婚をするまではお互いを束縛しないと取り決めがあった。だからショーンも色んな女の子を抱いたし、予定が合わない時は娼館にも行ったがエレーナは何も言わなかった。むしろエレーナが相手を出来ない時は「これで娼館でも行って来て」と金をくれたくらいだ。

男が妊娠をすることはないが、そんな事をしていれば女性は妊娠する可能性はある。
しかし、それと自分と何の関係がある?ショーンは首を傾げた。

「母上はブーレ伯爵家が托卵をするのでは?と考えている。女の勘なんだそうだ。父上はあの通りの性格だし…。万が一托卵だった、腹の子の父親がお前だった時に火の粉が飛ぶのを今から避けたんだ」
「そんな!!」

子供が生まれるのは順調でも明日、明後日ではないし、来月の話でもないが半年以内には生まれる。
まだエレーナの妊娠は非公式なのでほとんどの貴族が知っている公然の秘密状態なので、今のうちに怪しいと思うものは切り捨てておくのが一番だと両親はショーンをフッタ伯爵家で生まれて育った事すら抹消したのだ。

子供の父親がこの人だ!と確定をさせる事は今の技術では出来ないが、親に似てきた時にショーンとエレーナは付き合いがあったので、数年後にトバッチリを受ける可能性もある。

そうなるとフッタ伯爵家として、そしてショーン本人が托卵するなんて知らなかったと言っても聞き入れては貰えず、公的な罰は受けなくても相手はエストス侯爵家。私的な罰を受けるのは間違いない。

軍閥であり、滅多に発言はしないけれど軍事関係に置いては王家より発言権があり、南北東の辺境伯はエストス侯爵家に忠誠を誓っていることから、色んな方面で取引が停止され干されてしまう。

各家の取引は「他が良いから」と言われればそれまで。無理やりこの家と取引しなさいとは誰も言えない。
エストス侯爵家を怒らせた原因のあるフッタ伯爵家が逃げ切れるはずもないので、今から対応策を取っただけだ。

「私にはもうこれだけしかしてやれない。元気でやれよ」

ショーンの兄は少しの現金と市場の荷運び人の仕事を紹介してくれた。
ショーンは食べていくために、生きていくために兄の手土産に縋る以外に方法が無かった。


「おーい!こっちに白菜!3箱だ」
「はい!今行きます」

ショーンに声が掛かり、白菜の入った木箱を運んでいると持ち分の仕事が終わった荷運び人が汗を拭きながら、帰りに一杯やって行こう、そんな話が耳に入った。

格段に珍しい事ではなかったが、ショーンはあるワードに反応した。

「なんでも今日の晩餐会、偉い人が嫁さんを紹介するんだってさ」
「偉い人?未婚の王子っていたか?」
「いやいや、王子さんじゃなくて公爵家か侯爵家じゃねぇかな」
「へぇ。公爵家には3人だったか。侯爵家は1人未婚がいるな。綺麗な嫁さんなんだろうな」
「年齢差があるらしい。なんでも修復師って仕事してて見初められたらしいよ」
「まじめに仕事すると玉の輿が待ってるってやつだな。娘にも教えてやらねぇとな」

ショーンは修復師、その言葉に反応をした。修復師の仕事をしているものは要るけれど99%が男性だ。女性で修復師と言われるのはアリアくらい。
たったそれだけの情報でも、今までアリアかも知れない、期待の薄い情報も全く得られなかったのでショーンはその話に食いついた。

「その修復師、名前は解るのか?!」
「な、なんだぁ?びっくりするじゃねぇか」
「頼む!女の修復師なんだろう?」
「あぁ。聞いた話じゃ女みたいだが名前までは知らねぇなぁ」
「じゃ、じゃぁ晩餐会は何処で?何処でやるんだ?」
「何処って王宮だよ。俺らには雲の上の世界さ」
「王宮…王宮へ納品している商会の荷馬車ってもう出たかな?」
「何言ってんだよ。お前が今、白菜載せた荷馬車じゃねぇか」

ショーンが振り返ると白菜を運んだ荷馬車は煽り板を挙げて、積んだ荷が落ちないようにロープをかけている最中だった。

――アリアに会うにはこれしかない――

ショーンはロープをかけている荷馬車に走った。

「お願いです。荷下ろしを手伝わさせてくれませんか?」
「荷下ろし?頼みたいのは山々だが俺らじゃ勝手に誰かに頼むことは出来ないよ」
「お願いです。金は要りません。ただ荷下ろしを手伝わさせてください」
「変わったやつだな。あとで金をくれって言っても無駄だぞ」
「言いません。荷下ろしをさせてくれるならそれで良いんです」
「じゃぁ乗りな」
「ありがとうございます!!」

ショーンは逸る心を押さえ、荷馬車の荷台に飛び乗った。

★~★

今日はここまで\(^▽^)/

明日はいよいよ最終日。
エレーナは無事出産出来るのか?!
ショーン、決死の愛の告白と懺悔は出来るのか?!
ダリウスはどう出る?!
そしてアリアは美味しいものがいっぱい食べられるのか?!

明日も楽しんで頂けると嬉しいです(=^・^=)
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます

さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。 望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。 「契約でいい。君を妻として迎える」 そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。 けれど、彼は噂とはまるで違っていた。 政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。 「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」 契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。 陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。 これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。 指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。 小説家になろう様でも投稿しています。

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!

永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手 ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。 だがしかし フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。 貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。

処理中です...