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環流 虹向

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E.I.

不整脈

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大きなモミの木を久しぶりに迎えて世月くんと一緒に楽しく飾り付けをしていると、オーブンが私を呼んだ。

世月「肉出来た?」

奏乃「まだだよー。今焼いたのはスポンジケーキ。」

私は飾り付けしている世月くんを置いてキッチンに向かい、オーブンからふっくら焼けたスポンジケーキを取り出す。

久しぶりに焼いた割にはうまく出来たことを静かに喜びながら世月くんが何度も要求してくる鳥の丸焼きを私はオーブンに入れた。

200℃で1時間。

味付けはシンプルに塩胡椒のみ。

オリーブオイルでじっくり焼き上げてパリパリのジュワジュワにする。

やっぱり1人で食べきれないものを作るのはとても作りがいがあって楽しいなと思っていると、世月くんが私の手を引いてまたクリスマスツリーの飾り付けを進めさせる。

奏乃「最後のお星様は世月くんがつける?」

世月「どこでもいいの?」

奏乃「てっぺんだよ。」

私は自分でもギリギリ届かないツリーの1番上を指し、世月くんに完成させてもらうと手を伸ばしてもらう。

世月「…届かない。」

奏乃「椅子持ってこようか。」

私はダイニングテーブルにある椅子を持って世月くんの元に戻ると、世月くんは椅子に飛び乗りツリーのてっぺんにお星様をつけて完成させてくれた。

奏乃「完成。もう少し待てばお肉焼けるけど暇つぶしに何したい?」

世月「ちゅーしたい。」

そう言って世月くんは私の体を押さえつけるように肩に手を置いて椅子から飛び降り、私と一緒にカーペットの上に倒れる。

奏乃「…なんで?」

世月「クリスマスはちゅーする日って映画で言ってたじゃん。」

私はこの間、世月くんと一緒に見たクリスマスがテーマのアニメ映画を思い出したけれど、そんなことは一切言っていなかった気がする。

奏乃「クリスマスは愛をお祝いする日であってキスの日じゃないんだよ?」

世月「じゃあなんでみんなちゅーしてんの?」

と、世月くんはラジオ感覚で流していたTVに映っている特番ドラマのラブロマンスを見て眉を寄せる。

奏乃「愛情を表現するには1番分かりやすい行為だからじゃないかな…。」

私はそっと世月くんから離れようとするけれど、世月くんは私のお腹に脚で抱きついたままなのでなんとも出来ない。

世月「俺のこと、愛してる?」

奏乃「んー…。愛というか、好きというか、なんていうか…。」

世月「好きと愛してるは一緒なの?」

奏乃「えー…と…」

私はまさかの質問責めに世月くんと目を合わせられないでいるとリビングの扉が開いた音が聞こえた。

奏乃「…おかえりなさい。」

私の背後にあるツリーを見て顔をしかめる由月さんと目を輝かせる睦さんに挨拶をすると、その後ろから初めて見る顔が出てきた。

その人はキスをしてと言わんばかりの可愛いホクロを上唇にひとつ乗せていて、少し狭めのおでこを気にせずジェルで前髪を綺麗に上げているりんごあめのような人だった。

しかも、真っ白な肌に差しているナチュラルチークがまさにりんごのようでとても可愛らしいと不覚にも思ってしまった。

「世月、女性の上に乗るのは精通してからだよ。」

と、私の上にいた世月くんをりんごさんは引き上げて私の手を取り立ち上がらせてくれた。

世月「せいつうってなに?」

奏乃「たくさん相手のことを知るってこと。」

私が世話係兼先生役をこなすとりんごさんはクスッと鼻で笑い、上がる口角を手で軽く隠した。

「奏乃さんはやっぱり先生には向いてないから俺が先生になるね。」

と、ちゃんと先生の役目を果たしたはずの私にりんごさんは少し冷たい風を送る目で笑顔を作りながら私に視線を合わせた。

金秋 桜きんしゅう さくら。これから世月の先生になるからよろしくね。」

そう言って金秋さんは私と繋いだままの手をしっかりと握り直し握手をしてきたので私も握り返した。

世月「えー…、桜が先生になんの…?」

桜「お兄ちゃんが学力低下を心配してるからしょうがない。」

と、金秋さんはオープンキッチンで私の作った夜ご飯にまた眉を寄せてる由月さんを指した。

世月「大人は勉強しないくせになんで子どもが勉強しないといけないんだよ。」

そう言いながら世月くんはふてくされた顔をして床を軽く蹴飛ばす。

すると同時にオーブンがお肉が焼けたと教えてくれたので私は真っ先に世月くんの機嫌を取り戻すため、夜ご飯をテーブルに並べてみんなで食事を取った。


環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
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