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環流 虹向

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E.I.

心房

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由月さんは相変わらず毎日が普遍じゃないと気が済まないみたいで睦さんと一緒に2階の広間で寝酒を飲み始めた。

私は2度も死期がやってきた場所には近づかないように世月くんが金秋さんに勉強を教わっている間、お皿洗いやテーブルの片付けをしていると2階にいたはずの由月さんが残った肉カスをつまんで小腹を満たし始めた。

奏乃「…おつまみ作りますか?」

由月「腹減った。」

さっきステーキ2枚食べてたけど消化が良すぎてもうお腹が減ったという由月さんは、そぼろのような鶏肉をつまみ終えるとリビングのソファーでうなだれるように座って私が夜ご飯を作るのを待ち始めた。

それを見て私は残っていた豚肉で豚汁と回鍋肉を作っていると、また由月さんがキッチンにやってきて私の作業を監視してきた。

奏乃「もう少しで出来ます。」

由月「いや、いらないです。」

奏乃「…えっと、じゃあおつまみとかは?」

由月「冷凍庫に唐揚げと枝豆あるのでそれ温めてもらってもいいですか?」

奏乃「あ…、はい…。」

気分屋の由月さんはまた騒ぎ始めた睦さんの元にワイン2本を持って行ってしまった。

私は後は味付けするだけだった回鍋肉を置いて枝豆を茹でて唐揚げをレンジで温めた後、軽く揚げ焼きしているとその匂いにつられたのかまた由月さんが戻ってきた。

奏乃「唐揚げと枝豆、あと少しで温め終わります。」

由月「…これは?」

と、由月さんは眉を寄せながら豚汁と野菜炒め状態の回鍋肉を指す。

奏乃「いらないって言われたので後で冷凍しときます。」

由月「食う。」

奏乃「…え?」

由月「今はつまみよりがっつり飯食いたい。」

そう言って由月さんは炊飯器を自分の手で開けて卵がけご飯を作るとまたリビングのソファーに戻っていった。

今日は二重人格に拍車がかかってるなと思いながら私はおつまみも夜ご飯もどちらも作り、リビングにいる由月さんに全て渡すとおつまみだけ突き返されてしまった。

せっかく揚げ焼きしてパリパリになった唐揚げが冷えてしぼんでしまうなと私の気持ちと一緒に小さくなっていく唐揚げをキッチンに戻ってから一口つまんで食べていると、睦さんの楽しげな声が2階から聞こえた。

それを聞いて私はこのおつまみは睦さんのものだったのかと納得し、ご飯にがっついている由月さんを横目に螺旋階段を上がり2階の広間に行くと下にいたはずの由月さんが睦さんと一緒に楽しげにお酒を呑んでいた。

私は幻でも見たんじゃないかと思いつつ、2人の前にそっとおつまみを置いて階段を下るとその先に見えるリビングのソファーで由月さんがまだ食事をしていて私は思わず腰を抜かし、階段に座り込む。

すると、その尻もちの音で食事をしていた由月さんが肩をすくませて驚き、私と目を合わせた。

由月「何やってんだ。」

奏乃「…いや、…だって。」

私は瞬間移動をし始めた由月さんに内臓から震え上がっていると、背後から脇を掴まれて強引に立ち上がらせられた。

「邪魔ですよ。」

その声は私の前から飛んでくるはずなのに背後から聞こえてきて私は思わず叫んでしまうとバチンと口を塞がれ、リビングのソファーにいる由月さんの上に投げ飛ばされた。

由月「重い。」

奏乃「…ご、ごめんなさい。」

私はドッペルゲンガーが後ろにいる恐怖で腕を震わせながら由月さんの上から降りてソファーに座り直すと、やっぱり全く同じ顔をした人間が立っていて膀胱から水が漏れ出そうになる。

由月「なんでそんなに震えてるんだ?」

と、私の隣にいる由月さんは不思議そうに首を傾げて涙目で肩が震える私をじっと見てくる。

奏乃「だって…、ドッペルゲンガーが目の前にいるし…。」

由月「あ?こいつは俺の双子の兄貴で双葉グループ会長の双葉 耶月ふたば やづき。何度も会ってるだろ?」

奏乃「ふたご…。」

私は顔が全く一緒の由月さんと耶月さんを見て全てが同じパーツの顔に少しだけ濃いクマが乗っている耶月さんの冷たい視線に気がつく。

耶月「ドッペルな方は由月であって俺じゃない。」

奏乃「すみません…。」

耶月「また由月と間違えたら家政婦も解雇だから。」

そう言って耶月さんは眉をピクつかせながら睦さんがいる2階へ戻っていった。

私はだいぶ難易度が高い間違え探しをこれから一度も間違えられないことになったので耶月さんと由月さんの違いを見つけるため、アルバムを探すことにした。


環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
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