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E.I.
解離
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あれからずっと世月くんは私に口をきかなくなった。
不満ならモップやナイフを投げつけてくれた方がいいと思うほど無言で、一方的に話しかける私の目さえ見てくれない。
けど、あいかわらずお互いの首輪はリードで繋がっていて世月くんが何かをするたびに手首についている鈴が鳴る。
それが今の私が聞ける世月くんの声でそのことがここに来るよりも前に送っていた日々より寂しく感じる。
奏乃「…世月くん。」
私はまた空気感に耐えきれなくて静かに今日の宿題として出されたミルクパズルを進める世月くんに声をかける。
けれど、世月くんは私なんかこの世にいないかのように口を開くことも顔を上げることもしてくれない。
奏乃「花火大会、今日だよ…?」
私は3歳の時から毎年欠かさず行っていた花火大会に世月くんをずっと前から誘うけれど、3ヶ月経った今も返事をしてくれない。
奏乃「20時から始まるからもうそろそろ家出ないと見れないよ。」
そう言うと世月くんは手に持っていた1ピースを窓に投げつけ、ここでも観れると快晴の夜空を私にわざと見せた。
久しぶりに私の言葉に反応があったことを嬉しく思っていると、階段を降りてくる足音が聞こえてその音の持ち主が投げ捨てられたパズルを拾った。
桜「1ピースでも欠けたら俺は奏乃のこれ取るから。」
桜さんは私の首輪を指しながら世月くんのそばにある白いパズルの山に拾った1ピースを置いた。
ここ最近、桜さんは喋らない世月くんにだいぶ難しい宿題を出しては私の首輪を取ると言う。
けれど、世月くんは一度もサボらず未提出もせず完璧に終わらせて桜さんと私を触れ合わせない。
それが唯一私たちが感じる世月くんの今の感情で今日もまたいつものように1日が終わってしまいそうになる。
どうしてもそれが嫌で今日を普遍で終わらせたくない私は半分以上のピースを埋め込んだ世月くんがずっと握っているリードを引っ張り、玄関に行く。
すると、世月くんは抵抗するように引っ張り返し玄関前で私と綱引き状態になる。
奏乃「絶対行きたいの。絶対あっちで見るの。」
私は身長が追いついてきてた世月くんに必死で勝とうと背を向けて力一杯引っ張ると、バチンとものすごい音が鳴り、その瞬間一気に引かれる力が解かれ、自分の体重が脚で支えきれず大理石の床に思いっきり体をぶつける。
その音にずっと私たちの様子を見ていた桜さんが駆け寄ってきて私を起こそうとしたけれど、私は痛みが走る手で拒否して後ろを振り返る。
すると、私のように体を強打して痛みと戦っている世月くんがいた。
私は自分の体の痛みも、隣にいた桜さんも、無視して世月くんに駆け寄り抱き上げると痛みで目が潤む世月くんが私の目を見て睨んできた。
奏乃「やっと目が合った。」
私が安否の言葉よりも自分の嬉しい感情を先に口に出てしまうと、世月くんはとてもイラついたのか真っ赤に腫れる手で私の顔を叩いた。
世月「自己中女。弁償しろ。」
と、世月くんは前まで聞いていた幼い声を発さずにとても大人っぽい低くてざらついた声を発した。
奏乃「…声変わり?」
私がそう聞くと世月くんはさらに私にきつい目つきで睨み、肩を殴ってきた。
世月「人の話聞けよ。嘘つき。」
世月くんは声変わりと共に気も変わったらしく、私が嫌いという雰囲気を顔でも言動でも伝えてくる。
けれど、私は“お母さん”という役職を貰っているのでその職権を使って世月くんを強く抱きしめる。
奏乃「世月くんも聞いてなかったじゃん。お互い様だよ。」
私は世月くんと喋れたことが嬉しすぎて涙が出そうになると、ふと大きな手が私の頬に触れてもう片側の頬に唇が置かれた。
桜「外れたからデートしようよ。」
と、桜さんは私の首輪から伸びるリードを手で撫で下ろし、切れてしまった場所を見せてくる。
桜「花火大会2人で行こうよ。ずっと行きたいって言ってたよね。」
桜さんは私と世月くんの繋がりが切れたことをいいことに私をデートに誘う。
けれど、私はずっと守ってきたルールを桜さんに伝える。
奏乃「花火大会とクリスマスは家族優先なの。だから世月くんが行っていいって言ってくれたら行く。」
私は自分の腕の中にいる世月くんと目を合わせると世月くんはさっき殴った肩を包み込むように私に抱きついてきた。
世月「俺が行く。桜は留守番。」
桜「…俺は未来の旦那だよ?」
と、桜さんは私の服を背後から引っ張り、苛立ちを伝えてくる。
世月「未来は変わるから。今じゃないなら留守番。」
世月くんがそう言うと桜さんは私の首元に顔を埋めて大きく深呼吸をしてから盛大な舌打ちをすると私から離れてどこかの部屋に行ってしまった。
世月「早く行こ。花火見てみたい。」
奏乃「うん。」
私は壊れたリードでずっと塞がれていた世月くんの手を握り、急いで花火会場へ向かった。
環流 虹向/UNDEAD・L・L・IVE
不満ならモップやナイフを投げつけてくれた方がいいと思うほど無言で、一方的に話しかける私の目さえ見てくれない。
けど、あいかわらずお互いの首輪はリードで繋がっていて世月くんが何かをするたびに手首についている鈴が鳴る。
それが今の私が聞ける世月くんの声でそのことがここに来るよりも前に送っていた日々より寂しく感じる。
奏乃「…世月くん。」
私はまた空気感に耐えきれなくて静かに今日の宿題として出されたミルクパズルを進める世月くんに声をかける。
けれど、世月くんは私なんかこの世にいないかのように口を開くことも顔を上げることもしてくれない。
奏乃「花火大会、今日だよ…?」
私は3歳の時から毎年欠かさず行っていた花火大会に世月くんをずっと前から誘うけれど、3ヶ月経った今も返事をしてくれない。
奏乃「20時から始まるからもうそろそろ家出ないと見れないよ。」
そう言うと世月くんは手に持っていた1ピースを窓に投げつけ、ここでも観れると快晴の夜空を私にわざと見せた。
久しぶりに私の言葉に反応があったことを嬉しく思っていると、階段を降りてくる足音が聞こえてその音の持ち主が投げ捨てられたパズルを拾った。
桜「1ピースでも欠けたら俺は奏乃のこれ取るから。」
桜さんは私の首輪を指しながら世月くんのそばにある白いパズルの山に拾った1ピースを置いた。
ここ最近、桜さんは喋らない世月くんにだいぶ難しい宿題を出しては私の首輪を取ると言う。
けれど、世月くんは一度もサボらず未提出もせず完璧に終わらせて桜さんと私を触れ合わせない。
それが唯一私たちが感じる世月くんの今の感情で今日もまたいつものように1日が終わってしまいそうになる。
どうしてもそれが嫌で今日を普遍で終わらせたくない私は半分以上のピースを埋め込んだ世月くんがずっと握っているリードを引っ張り、玄関に行く。
すると、世月くんは抵抗するように引っ張り返し玄関前で私と綱引き状態になる。
奏乃「絶対行きたいの。絶対あっちで見るの。」
私は身長が追いついてきてた世月くんに必死で勝とうと背を向けて力一杯引っ張ると、バチンとものすごい音が鳴り、その瞬間一気に引かれる力が解かれ、自分の体重が脚で支えきれず大理石の床に思いっきり体をぶつける。
その音にずっと私たちの様子を見ていた桜さんが駆け寄ってきて私を起こそうとしたけれど、私は痛みが走る手で拒否して後ろを振り返る。
すると、私のように体を強打して痛みと戦っている世月くんがいた。
私は自分の体の痛みも、隣にいた桜さんも、無視して世月くんに駆け寄り抱き上げると痛みで目が潤む世月くんが私の目を見て睨んできた。
奏乃「やっと目が合った。」
私が安否の言葉よりも自分の嬉しい感情を先に口に出てしまうと、世月くんはとてもイラついたのか真っ赤に腫れる手で私の顔を叩いた。
世月「自己中女。弁償しろ。」
と、世月くんは前まで聞いていた幼い声を発さずにとても大人っぽい低くてざらついた声を発した。
奏乃「…声変わり?」
私がそう聞くと世月くんはさらに私にきつい目つきで睨み、肩を殴ってきた。
世月「人の話聞けよ。嘘つき。」
世月くんは声変わりと共に気も変わったらしく、私が嫌いという雰囲気を顔でも言動でも伝えてくる。
けれど、私は“お母さん”という役職を貰っているのでその職権を使って世月くんを強く抱きしめる。
奏乃「世月くんも聞いてなかったじゃん。お互い様だよ。」
私は世月くんと喋れたことが嬉しすぎて涙が出そうになると、ふと大きな手が私の頬に触れてもう片側の頬に唇が置かれた。
桜「外れたからデートしようよ。」
と、桜さんは私の首輪から伸びるリードを手で撫で下ろし、切れてしまった場所を見せてくる。
桜「花火大会2人で行こうよ。ずっと行きたいって言ってたよね。」
桜さんは私と世月くんの繋がりが切れたことをいいことに私をデートに誘う。
けれど、私はずっと守ってきたルールを桜さんに伝える。
奏乃「花火大会とクリスマスは家族優先なの。だから世月くんが行っていいって言ってくれたら行く。」
私は自分の腕の中にいる世月くんと目を合わせると世月くんはさっき殴った肩を包み込むように私に抱きついてきた。
世月「俺が行く。桜は留守番。」
桜「…俺は未来の旦那だよ?」
と、桜さんは私の服を背後から引っ張り、苛立ちを伝えてくる。
世月「未来は変わるから。今じゃないなら留守番。」
世月くんがそう言うと桜さんは私の首元に顔を埋めて大きく深呼吸をしてから盛大な舌打ちをすると私から離れてどこかの部屋に行ってしまった。
世月「早く行こ。花火見てみたい。」
奏乃「うん。」
私は壊れたリードでずっと塞がれていた世月くんの手を握り、急いで花火会場へ向かった。
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