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MGR
ぐるぐる環今
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昨日は最高に忙しくて、最高に楽しかった仕事だったな。
私は昨日、会場全体の責任を任されるチーフという役職をさせてもらい、今までしてきた仕事で1番のやりがいを感じた。
今回は60人規模の披露宴だったけれど、それでもお客様と新郎新婦様の全体の把握、進行を1分も押さないように全てを管理していくのはとても頭を使って昨日は何も食べず何もせずベッドに倒れた。
そんな疲れる仕事でも、新郎新婦様とその周りの人たちの幸せをメンバーのみんなと作り上げて最高の1日を演出する仕事に携わらせてもらえるのは本当にありがたい。
改めてそう思えた私は今後も頑張っていこうと胸に刻んで、しっかり朝シャンしてバッチリメイクを決めてからMGRのモーニングを食べに行った。
「いらっしゃいま…、さっちゃん!おかえりー。」
私はいつもモーニングの時間が終わってからいる雨瑞くんが既にレジ前にいて驚く。
明人「あれ…?綺咲さんは?」
雨瑞「今日は地方に行って食材を自分の目で選びに行ってるよ。」
明人「え?いつも自分で仕入れに行ってるの?」
雨瑞「うん。年末年始に向けて新しいメニュー考えたからそのために選びに行ったっぽい。新作出す時はいつも畑に行っちゃうフッ軽マンだよ。」
だからいつもサンドイッチの野菜が美味しいわけだ。
見た目はふわふわしてるのに考えていることはしっかりしてるんだなと、綺咲さんのことを改めて尊敬しながら私はあのカウンター席に座った。
すると私がメニューを手にする前にオアシスさんがいつも通りコースター横にお水を置き、おしぼりをくれた。
明人「ありがとうございます。」
環酉「決まったらお呼びください。」
と、いつもの笑顔で私を癒してくれたオアシスさんだったけど、去り際に一瞬目線が私の目から首に移ったのは気のせいだろうか…。
私は今日やっと色が薄くなってくれたキスマークがちゃんとファンデーションで隠れているか、携帯画面を鏡代わりにして見ようとすると雨瑞くんが私の前にやってきた。
雨瑞「さっちゃんは今日もホットティー?」
と、雨瑞くんはこの間私が頼んだドリンクを覚えていたらしくそう聞いてきた。
明人「んー…、今日はジュースでもいいかなって。」
雨瑞「そっか。ここのジュース、搾りたてのだから美味しいよ。」
明人「え?そうなの?」
雨瑞「うん。バナナは絞れないけど、オレンジとグレフルは絞ってる。」
そうだったんだ。
綺咲さんのセンス、好きだなぁ。
明人「オレンジにする。」
雨瑞「OK。先に作っとくね。」
と言って、雨瑞くんは足元の冷蔵庫からオレンジを2つ取り、絞り出した。
だからオアシスさんはオレンジジュースにしてたんだなと思い、私はあの日のオアシスさんの口と一緒の口になりたくてピカイチサンドを頼むことにした。
明人「すいません。」
環酉「はーい。」
駆け足でオアシスさんは私の元に出てきて、メニューを聞きに来てくれる。
明人「ピカイチサンド、お願いします。」
環酉「分かりました。ドリンクはホットティーですか?」
明人「あ、今さっき雨瑞くんにオレンジジュースお願いしました。」
環酉「そうだったんですね。では、ピカイチサンド作ってきます。」
私がいつも頼むホットティー覚えてくれてたんだ。
それだけで嬉しくなっちゃう私って本当に惚れやすいよなぁと思っていると、雨瑞くんが搾りたてのオレンジジュースをくれた。
明人「ありがとう。」
雨瑞「ピカイチサンドって何?」
私とオアシスさんの会話を聞いていたのか、雨瑞くんは興味津々で目を輝かせながら聞いてきた。
明人「環酉さんがグラタンサンドをピカイチってオススメしてくれたからピカイチサンド。」
雨瑞「ほぇー…。なんかえろいね。」
どうなったらそういう発想になるんだよ。
成くんレベルで雨瑞くんのことが分からない。
雨瑞「てか、かーくんの名前知ってたんだ。」
明人「ネームバッチ見て知っただけ。」
雨瑞「フルネーム分かる?」
明人「え?環酉 信之さんでしょ?」
雨瑞「残念っ。お尻のお名前が間違ってます。」
え?
でも、おじいちゃん警備員が確かに『ノブユキ』って言ってたんだけどな。
明人「なんて言うの?」
雨瑞「正解はかーくんに聞いて。」
そう言って雨瑞くんは意地悪な顔をしてレジに戻り、お客さんの清算をしに行った。
気になるけど…、聞けない。
それを聞いて私はどうしたいのって話だし、下の名前はなんて読むんですかという私の突飛な質問にオアシスさんは驚いて困ると思うし…。
私がオアシスさんの名前についてしばらく考えていると、目の前にピカイチサンドとポトフ、カトラリーセットが置かれた。
環酉「お待たせしました。今日のポトフに入ってるじゃがいも、甘くて美味しいですよ。」
明人「ありがとうございます。そうなんですね。楽しみです。」
環酉「ごゆっくりお召し上がりください。」
明人「はい。ありがとうございます。」
…んぁあああ、聞けないよぉ。
なんで雨瑞くんはこんな気持ち悪い感じでオアシスさんの謎残していったんだよ。
もう遅いけど憂さ晴らしでクッキーの告げ口したいよ。
私はオアシスさんが作ってくれたピカイチサンドでお腹は満たされたけれど、オアシスさんの謎がより一層深まってしまい、その日は1日中オアシスさんの名前の読みを考える空っぽな1日を過ごしてしまった。
…………
朝・ピカイチサンドセット
議題、オアシスさんの下の名前について。
調べたら『信』の読み方多すぎて無理。
急募『環酉 信之』の読み方教えて。
…………
環流 虹向/エンディングノート
私は昨日、会場全体の責任を任されるチーフという役職をさせてもらい、今までしてきた仕事で1番のやりがいを感じた。
今回は60人規模の披露宴だったけれど、それでもお客様と新郎新婦様の全体の把握、進行を1分も押さないように全てを管理していくのはとても頭を使って昨日は何も食べず何もせずベッドに倒れた。
そんな疲れる仕事でも、新郎新婦様とその周りの人たちの幸せをメンバーのみんなと作り上げて最高の1日を演出する仕事に携わらせてもらえるのは本当にありがたい。
改めてそう思えた私は今後も頑張っていこうと胸に刻んで、しっかり朝シャンしてバッチリメイクを決めてからMGRのモーニングを食べに行った。
「いらっしゃいま…、さっちゃん!おかえりー。」
私はいつもモーニングの時間が終わってからいる雨瑞くんが既にレジ前にいて驚く。
明人「あれ…?綺咲さんは?」
雨瑞「今日は地方に行って食材を自分の目で選びに行ってるよ。」
明人「え?いつも自分で仕入れに行ってるの?」
雨瑞「うん。年末年始に向けて新しいメニュー考えたからそのために選びに行ったっぽい。新作出す時はいつも畑に行っちゃうフッ軽マンだよ。」
だからいつもサンドイッチの野菜が美味しいわけだ。
見た目はふわふわしてるのに考えていることはしっかりしてるんだなと、綺咲さんのことを改めて尊敬しながら私はあのカウンター席に座った。
すると私がメニューを手にする前にオアシスさんがいつも通りコースター横にお水を置き、おしぼりをくれた。
明人「ありがとうございます。」
環酉「決まったらお呼びください。」
と、いつもの笑顔で私を癒してくれたオアシスさんだったけど、去り際に一瞬目線が私の目から首に移ったのは気のせいだろうか…。
私は今日やっと色が薄くなってくれたキスマークがちゃんとファンデーションで隠れているか、携帯画面を鏡代わりにして見ようとすると雨瑞くんが私の前にやってきた。
雨瑞「さっちゃんは今日もホットティー?」
と、雨瑞くんはこの間私が頼んだドリンクを覚えていたらしくそう聞いてきた。
明人「んー…、今日はジュースでもいいかなって。」
雨瑞「そっか。ここのジュース、搾りたてのだから美味しいよ。」
明人「え?そうなの?」
雨瑞「うん。バナナは絞れないけど、オレンジとグレフルは絞ってる。」
そうだったんだ。
綺咲さんのセンス、好きだなぁ。
明人「オレンジにする。」
雨瑞「OK。先に作っとくね。」
と言って、雨瑞くんは足元の冷蔵庫からオレンジを2つ取り、絞り出した。
だからオアシスさんはオレンジジュースにしてたんだなと思い、私はあの日のオアシスさんの口と一緒の口になりたくてピカイチサンドを頼むことにした。
明人「すいません。」
環酉「はーい。」
駆け足でオアシスさんは私の元に出てきて、メニューを聞きに来てくれる。
明人「ピカイチサンド、お願いします。」
環酉「分かりました。ドリンクはホットティーですか?」
明人「あ、今さっき雨瑞くんにオレンジジュースお願いしました。」
環酉「そうだったんですね。では、ピカイチサンド作ってきます。」
私がいつも頼むホットティー覚えてくれてたんだ。
それだけで嬉しくなっちゃう私って本当に惚れやすいよなぁと思っていると、雨瑞くんが搾りたてのオレンジジュースをくれた。
明人「ありがとう。」
雨瑞「ピカイチサンドって何?」
私とオアシスさんの会話を聞いていたのか、雨瑞くんは興味津々で目を輝かせながら聞いてきた。
明人「環酉さんがグラタンサンドをピカイチってオススメしてくれたからピカイチサンド。」
雨瑞「ほぇー…。なんかえろいね。」
どうなったらそういう発想になるんだよ。
成くんレベルで雨瑞くんのことが分からない。
雨瑞「てか、かーくんの名前知ってたんだ。」
明人「ネームバッチ見て知っただけ。」
雨瑞「フルネーム分かる?」
明人「え?環酉 信之さんでしょ?」
雨瑞「残念っ。お尻のお名前が間違ってます。」
え?
でも、おじいちゃん警備員が確かに『ノブユキ』って言ってたんだけどな。
明人「なんて言うの?」
雨瑞「正解はかーくんに聞いて。」
そう言って雨瑞くんは意地悪な顔をしてレジに戻り、お客さんの清算をしに行った。
気になるけど…、聞けない。
それを聞いて私はどうしたいのって話だし、下の名前はなんて読むんですかという私の突飛な質問にオアシスさんは驚いて困ると思うし…。
私がオアシスさんの名前についてしばらく考えていると、目の前にピカイチサンドとポトフ、カトラリーセットが置かれた。
環酉「お待たせしました。今日のポトフに入ってるじゃがいも、甘くて美味しいですよ。」
明人「ありがとうございます。そうなんですね。楽しみです。」
環酉「ごゆっくりお召し上がりください。」
明人「はい。ありがとうございます。」
…んぁあああ、聞けないよぉ。
なんで雨瑞くんはこんな気持ち悪い感じでオアシスさんの謎残していったんだよ。
もう遅いけど憂さ晴らしでクッキーの告げ口したいよ。
私はオアシスさんが作ってくれたピカイチサンドでお腹は満たされたけれど、オアシスさんの謎がより一層深まってしまい、その日は1日中オアシスさんの名前の読みを考える空っぽな1日を過ごしてしまった。
…………
朝・ピカイチサンドセット
議題、オアシスさんの下の名前について。
調べたら『信』の読み方多すぎて無理。
急募『環酉 信之』の読み方教えて。
…………
環流 虹向/エンディングノート
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