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MGR
ふわふわ脳内
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あのままオアシスさんの名前を知れずに1ヶ月が経ってしまった。
けど、雨瑞くんは私がオアシスさんに送った視線のことは言ってないらしく、何も知らないオアシスさんは私に相変わらず優しくしてくれて、毎度その日のモーニングセットに入っている具材でピカイチのものを教えてくれるのが当たり前になってきた。
そのピカイチ食材の一言が他のお客さんと常連の私との差でちょっと特別感があって嬉しい。
今日もそのモーニングを食べるために準備をしようとベットから体を起こすと、突然腰に腕が周り抱きつかれる。
明人「私、お腹空いたから帰る。」
成「えー…、なんで。」
なんでじゃねぇよ。
腹減ったって今言っただろ。
私は寝起きの成くんから離れようとするけど、さすが家トレしてる甲斐がある成くんは私から全然離れない。
成「明人ともっといたいぃ。今日休みなんだからもうちょっとゆっくりすればいいじゃん。」
明人「昨日ゆっくりしたかったのに成くんがずっとするから疲れた。」
成「だから今日は一緒にゆっくりするの。」
お前といると疲れるからって言ってんのが分からないの?
仕事ない日でこんなにスッキリ朝早く起きれたのに、オアシスさんに会えないってことある?
明人「もう少しでクリスマス来るけど、本気で1人で過ごすの?」
そう思っても私は成くんの腕から逃れられないのはここ数ヶ月で知ったので、観念してベッドに寝転がった。
成「明人と過ごすよー。」
明人「だから仕事だって。 チサトくんたちと遊べば?」
成「男ぉ…?」
明人「女でも別にいいけど。」
成「それじゃあ、明人だね。」
だるい…。
何回仕事って言ったらこいつの脳みそに『明人のクリスマスは仕事』ってワードがインプットしてくれるんだよ。
成「仕事終わりでいいから家来てよ。酒もお肉も用意しとくよ?」
…肉。
…酒。
成くんの財力的にその話は魅力的すぎるんだよな。
けど、クリスマスディナーを3回転させて、それを3日間連続でまだ慣れきれてないチーフとして会場全体を見るから会う気力なさそう。
明人「…多分、仕事で体も脳も死んでるから会うの難しい気がする。」
成「えぇ…?そんなボロボロになってまで働く意味あるのー?」
と、成くんは私の胸に顔を埋めながらキスし始める。
明人「あるからしてるんだよ。成くんだってこの間昇進して喜んでたじゃん。そんな感じ。」
成「俺は金稼げたらなんでもいいから。相手が求めてることをいい塩梅で応えてたら昇進したってだけ。」
成くんはそう話しながら起き抜けで私の桃ジュースを吸い始めた。
明人「…するって、いってないっ。」
成「明人はお疲れそうだから俺だけ動くよ。」
明人「そういうっ、…ことじゃない。」
成「それでもちゃんと溢れちゃうんだから。好きだなぁ。」
こんな感じで私がだらけてると成くんは勝手に始め出す。
嫌ではないけど、仕事の価値観が違う人とはどうしても付き合おうと思えない。
明人「それも…、つかれるっ、から…。」
成「でもきもちいじゃん。幸福ホルモン分泌させちゃお。」
そう言ってもともと準備していた自分のストローを成くんは勝手に入れ込んできた。
明人「…ちょっと痛い。」
成「ごめんっ…。昨日したし、濡れてるからいけると思った。」
成くんは申し訳なさそうにしてストローを動かさず私に倒れこむように抱きつき、自分を覚えさせるようにして私の果肉が馴染むまで待つ。
成「付き合うの…、まだやだ?」
と、成くんは自分だけが抱きついている私の耳元でそう囁いた。
明人「なんで私…?」
成「可愛いし、綺麗だし、優しいし、好きだから。」
薄いな…。
そう思ってくれるのは有り難いけど、何が可愛くて、何が綺麗で、何が優しくて、何が好きなのか理由をちゃんと言ってほしい。
そうじゃないと私は成くんを好きになりきれない。
明人「…まだかな。」
成「そっか…。明人がそうならしょうがないね。」
そう言った成くんの声が寂しげに聞こえたけど、これに応えてしまったら私はまた繰り返しちゃうからダメなんだ。
話が合わなくて、仕事の価値観が合わなくても、私が思う理想の好きの伝え方さえしてくれれば付き合おうと思えるのに成くんはそれだけが出来ない。
他は私の中で良きと思えるけど、その3つが付き合うことを拒否してしまう。
成「…動いていい?」
明人「いいよ。」
成「ありがとっ…。」
そう言って成くんは私の頬に軽いキスをして動き始めた。
みんなが好きって言う男の条件は満たしてる成くんなのに、どうしても私は好きと思えないんだよな。
私が少し好きと思える対象の幅を広げればいいんだけど、そうすると本当にすぐに好きになっちゃうからダメなんだよな。
この塩梅、私には難しすぎて調節が利かない。
だったら今の私で好きと思える人にしたいよ。
けど、それでもダメだから今もこうやって成くんとごっこ遊びして時間を消費しちゃうんだよな。
…これからどうしよう。
どうやってこれ、終わらせようかな。
この時間だけは成くんを好きって思ってしまうから終わらせ方が分からないよ。
私の優柔不断な気持ちで1人の良物件が弄ばれてることに申し訳なさを感じつつも、この関係が楽と思ってしまう自分もいて今日もまたどうすればいいのか分からないままだった。
…………
私の嬉しいことをしてくれる成くんは好きなのに、元彼のせいでストッパーがかかる。
これがいい事なのか、悪い事なのか分からないよ。
…………
環流 虹向/エンディングノート
けど、雨瑞くんは私がオアシスさんに送った視線のことは言ってないらしく、何も知らないオアシスさんは私に相変わらず優しくしてくれて、毎度その日のモーニングセットに入っている具材でピカイチのものを教えてくれるのが当たり前になってきた。
そのピカイチ食材の一言が他のお客さんと常連の私との差でちょっと特別感があって嬉しい。
今日もそのモーニングを食べるために準備をしようとベットから体を起こすと、突然腰に腕が周り抱きつかれる。
明人「私、お腹空いたから帰る。」
成「えー…、なんで。」
なんでじゃねぇよ。
腹減ったって今言っただろ。
私は寝起きの成くんから離れようとするけど、さすが家トレしてる甲斐がある成くんは私から全然離れない。
成「明人ともっといたいぃ。今日休みなんだからもうちょっとゆっくりすればいいじゃん。」
明人「昨日ゆっくりしたかったのに成くんがずっとするから疲れた。」
成「だから今日は一緒にゆっくりするの。」
お前といると疲れるからって言ってんのが分からないの?
仕事ない日でこんなにスッキリ朝早く起きれたのに、オアシスさんに会えないってことある?
明人「もう少しでクリスマス来るけど、本気で1人で過ごすの?」
そう思っても私は成くんの腕から逃れられないのはここ数ヶ月で知ったので、観念してベッドに寝転がった。
成「明人と過ごすよー。」
明人「だから仕事だって。 チサトくんたちと遊べば?」
成「男ぉ…?」
明人「女でも別にいいけど。」
成「それじゃあ、明人だね。」
だるい…。
何回仕事って言ったらこいつの脳みそに『明人のクリスマスは仕事』ってワードがインプットしてくれるんだよ。
成「仕事終わりでいいから家来てよ。酒もお肉も用意しとくよ?」
…肉。
…酒。
成くんの財力的にその話は魅力的すぎるんだよな。
けど、クリスマスディナーを3回転させて、それを3日間連続でまだ慣れきれてないチーフとして会場全体を見るから会う気力なさそう。
明人「…多分、仕事で体も脳も死んでるから会うの難しい気がする。」
成「えぇ…?そんなボロボロになってまで働く意味あるのー?」
と、成くんは私の胸に顔を埋めながらキスし始める。
明人「あるからしてるんだよ。成くんだってこの間昇進して喜んでたじゃん。そんな感じ。」
成「俺は金稼げたらなんでもいいから。相手が求めてることをいい塩梅で応えてたら昇進したってだけ。」
成くんはそう話しながら起き抜けで私の桃ジュースを吸い始めた。
明人「…するって、いってないっ。」
成「明人はお疲れそうだから俺だけ動くよ。」
明人「そういうっ、…ことじゃない。」
成「それでもちゃんと溢れちゃうんだから。好きだなぁ。」
こんな感じで私がだらけてると成くんは勝手に始め出す。
嫌ではないけど、仕事の価値観が違う人とはどうしても付き合おうと思えない。
明人「それも…、つかれるっ、から…。」
成「でもきもちいじゃん。幸福ホルモン分泌させちゃお。」
そう言ってもともと準備していた自分のストローを成くんは勝手に入れ込んできた。
明人「…ちょっと痛い。」
成「ごめんっ…。昨日したし、濡れてるからいけると思った。」
成くんは申し訳なさそうにしてストローを動かさず私に倒れこむように抱きつき、自分を覚えさせるようにして私の果肉が馴染むまで待つ。
成「付き合うの…、まだやだ?」
と、成くんは自分だけが抱きついている私の耳元でそう囁いた。
明人「なんで私…?」
成「可愛いし、綺麗だし、優しいし、好きだから。」
薄いな…。
そう思ってくれるのは有り難いけど、何が可愛くて、何が綺麗で、何が優しくて、何が好きなのか理由をちゃんと言ってほしい。
そうじゃないと私は成くんを好きになりきれない。
明人「…まだかな。」
成「そっか…。明人がそうならしょうがないね。」
そう言った成くんの声が寂しげに聞こえたけど、これに応えてしまったら私はまた繰り返しちゃうからダメなんだ。
話が合わなくて、仕事の価値観が合わなくても、私が思う理想の好きの伝え方さえしてくれれば付き合おうと思えるのに成くんはそれだけが出来ない。
他は私の中で良きと思えるけど、その3つが付き合うことを拒否してしまう。
成「…動いていい?」
明人「いいよ。」
成「ありがとっ…。」
そう言って成くんは私の頬に軽いキスをして動き始めた。
みんなが好きって言う男の条件は満たしてる成くんなのに、どうしても私は好きと思えないんだよな。
私が少し好きと思える対象の幅を広げればいいんだけど、そうすると本当にすぐに好きになっちゃうからダメなんだよな。
この塩梅、私には難しすぎて調節が利かない。
だったら今の私で好きと思える人にしたいよ。
けど、それでもダメだから今もこうやって成くんとごっこ遊びして時間を消費しちゃうんだよな。
…これからどうしよう。
どうやってこれ、終わらせようかな。
この時間だけは成くんを好きって思ってしまうから終わらせ方が分からないよ。
私の優柔不断な気持ちで1人の良物件が弄ばれてることに申し訳なさを感じつつも、この関係が楽と思ってしまう自分もいて今日もまたどうすればいいのか分からないままだった。
…………
私の嬉しいことをしてくれる成くんは好きなのに、元彼のせいでストッパーがかかる。
これがいい事なのか、悪い事なのか分からないよ。
…………
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