20 / 97
MGR
ちゅちゅ檸檬
しおりを挟む
雨瑞くんが言う通り、本当にオアシスさんはお酒が強いらしくて私が2杯しか呑んでないワインを2本空けてしまった。
そりゃ買い出しすることになるなと思いながら、自分は少し暑い頬を冷たいテーブルに置いて冷やす。
もう疲れなのか、酔いなのか、分からないけど、頭がふわふわしてきて今にでも眠っちゃいそうだ。
けど、こんなこと次はないかもだからしっかり記憶に残しておきたい。
私が意地で睡魔から逃れていると、冷蔵庫で冷やしていたレモンサワーを3つ持ってきたオアシスさんは私と腕が触れ合ってしまいそうな距離に座った。
多分、オアシスさんも少し酔ってて距離感が分からなくなってるんだろう。
私はお酒の神さまに感謝して、頬をテーブルから離し座り直すフリをして腕が密着する距離に座る。
明人「ありがとうございます。おこたで冷たいものを体に入れるのって最高ですよね。」
環酉「分かります。…あ!大福アイスありますよ。食べますか?」
オアシスさんは持ってきてすぐに開けたレモンサワーを使い、アルコールで温まってきた体を冷やしながら私に聞いてきた。
明人「半分食べたいです。」
環酉「分かりました。持ってきますね。」
と、すぐさま私のそばを離れてしまったオアシスさんがアイスを持って私の元に戻るとさっきよりも近くに座り、コタツの中でたまに脚が触れ合ってしまう。
…やばい。これ、成くんだったらやってるわ。
私は最近忙殺されていた欲求がお腹下で少し湧き、その気持ちを焦って止める。
環酉「分けっこ出来るから大福2つなんでしょうね。けど、いつもは1人で2つ食べちゃいます。」
明人「私もです。1人で食べるとお腹の満足感。2人で食べると気持ちの満足感って感じです。」
環酉「気持ちの満足感…。俺、アイス食べて初めてそう思うかもしれないです。」
明人「環酉さんは…、分けっこする相手いないんですか?」
私は思い切って彼女がいるのか聞いてみる。
彼女がいるのであれば分けっこせずに、すぐに帰らないと。
この場にいることがオアシスさんの彼女さんを傷つけることになるから足元がおぼつかなくても自分の家に帰ろう。
環酉「采原さんと分けっこだと思ってたんですけど…。」
そんな悲しそうな顔しないでください。
彼女持ちの人は好きにならないようにしたいんです。
明人「えっと…、彼女さんのことだったんですけど…。」
環酉「いないですよ。いたら采原さんを家にあげません。」
…好き。
やっぱ、りとがおかしいんじゃん。
彼女がいるのに、女の人を家にあげるなんておかしいって思ってた。
それが“お友達”だったらなおさらだよ。
本当…、なんで付き合っちゃったんだろう。
明人「そうですよね。もし、いたら申し訳ないなって思っちゃいました。」
環酉「いないです。恋人を傷つけることはしたくないので。」
はあ…、好き。
こういう人とちゃんと付き合いたかったよ。
りとみたいに目移り激しい人じゃなくて、成くんみたいに一方的な気持ちの押し付けじゃなくて、オアシスさんみたいに相手を尊重出来る人とちゃんと付き合いたいよ。
環酉「…あと、好きな子の虫除けのために、その子が気づかないようなところに自分の痕跡をつけたりしません。」
そう言ってオアシスさんはあのキスマークがついていたところに唇を1度置き、驚く私を見つめる。
環酉「采原さんってなんで明人って名前なんですか?」
明人「…え?」
今の流れで私の名前聞く…?
環酉さんの行動が全く読めない。
明人「明人じゃなくて、明人って言うんです。親が明るい人になりますようにって意味を込めたら男っぽい字面になりました。」
そう話した私はその字面で学生時代にいじめにあったことを思い出し、そのせいで歪んでしまった顔を環酉さんに見せたくなくて俯く。
するとその俯いた顔を環酉さんがそっと片手ですくいあげてくれた。
環酉「明人って呼んでいいですか…?」
明人「え…。」
環酉「さっちゃんより、明人の方が可愛いし、響きが好きです。」
明人「…っえ、え…あ、いいですけど…。なんか恥ずかしいです。」
環酉「じゃあ恥ずかしいの伝染してください。俺の名前、知ってます…?」
明人「…環酉さん。」
環酉「下の名前、分かります?」
明人「信之じゃないのは知ってます。」
信之「薫が教えました?」
明人「あ、はい。」
そう答えると、なぜか環酉さんはため息をつく。
環酉「…ノブユキじゃないとなんだと思います?」
と、環酉さんはため息で俯きかけた顔を動かさず私を上目遣いで見てきた。
その顔が少し切なそうで今にも抱きつきたくなったけど、それをしていいか分からないのでまずは環酉さんの名前を1発で当てられるように考える。
明人「…ヒント頂けますか?」
環酉「信は『の』です。これでだいぶ絞れますよ。」
…え?絞れます?
私は『之』の中で『信』に1番合いそうな名前の読み方を引っ張り出す。
明人「…信之さん?」
私が自信なさげで口に出すと、環酉さんは目を見開き朝日を入れるために開けた弛むカーテンのように垂れた優しい笑顔を見せてくれた。
信之「信之です。さんなしで呼んでもらえるともっと嬉しいです。」
明人「…は、はい。」
信之「言って…?」
明人「え?」
信之「俺の名前。」
明人「…信之。」
信之「嬉しい。明人の名前も知れて嬉しい。」
そう言って無邪気に嬉しそうに笑う信之に私は自分の気持ちが抑えられなくなって、思い切って唇を合わせた。
信之「…俺も。」
明人「はい…。」
私の頬にずっとあった手が信之の顔へ私を引き寄せて、パチパチしたレモンとたるんだウォッカが私の口の中に広がり脳みそがとろけ始める。
信之「風邪引くからベッド行こ。」
私は信之の言葉に静かに頷き、テーブルの向かい側にあったベッドに信之と一緒に浮かんだ。
…………
信之って名前、可愛すぎ。
オアシスさんの本名も可愛いってどういうこと?
神さまのいたずらが過ぎない?
…………
環流 虹向/エンディングノート
そりゃ買い出しすることになるなと思いながら、自分は少し暑い頬を冷たいテーブルに置いて冷やす。
もう疲れなのか、酔いなのか、分からないけど、頭がふわふわしてきて今にでも眠っちゃいそうだ。
けど、こんなこと次はないかもだからしっかり記憶に残しておきたい。
私が意地で睡魔から逃れていると、冷蔵庫で冷やしていたレモンサワーを3つ持ってきたオアシスさんは私と腕が触れ合ってしまいそうな距離に座った。
多分、オアシスさんも少し酔ってて距離感が分からなくなってるんだろう。
私はお酒の神さまに感謝して、頬をテーブルから離し座り直すフリをして腕が密着する距離に座る。
明人「ありがとうございます。おこたで冷たいものを体に入れるのって最高ですよね。」
環酉「分かります。…あ!大福アイスありますよ。食べますか?」
オアシスさんは持ってきてすぐに開けたレモンサワーを使い、アルコールで温まってきた体を冷やしながら私に聞いてきた。
明人「半分食べたいです。」
環酉「分かりました。持ってきますね。」
と、すぐさま私のそばを離れてしまったオアシスさんがアイスを持って私の元に戻るとさっきよりも近くに座り、コタツの中でたまに脚が触れ合ってしまう。
…やばい。これ、成くんだったらやってるわ。
私は最近忙殺されていた欲求がお腹下で少し湧き、その気持ちを焦って止める。
環酉「分けっこ出来るから大福2つなんでしょうね。けど、いつもは1人で2つ食べちゃいます。」
明人「私もです。1人で食べるとお腹の満足感。2人で食べると気持ちの満足感って感じです。」
環酉「気持ちの満足感…。俺、アイス食べて初めてそう思うかもしれないです。」
明人「環酉さんは…、分けっこする相手いないんですか?」
私は思い切って彼女がいるのか聞いてみる。
彼女がいるのであれば分けっこせずに、すぐに帰らないと。
この場にいることがオアシスさんの彼女さんを傷つけることになるから足元がおぼつかなくても自分の家に帰ろう。
環酉「采原さんと分けっこだと思ってたんですけど…。」
そんな悲しそうな顔しないでください。
彼女持ちの人は好きにならないようにしたいんです。
明人「えっと…、彼女さんのことだったんですけど…。」
環酉「いないですよ。いたら采原さんを家にあげません。」
…好き。
やっぱ、りとがおかしいんじゃん。
彼女がいるのに、女の人を家にあげるなんておかしいって思ってた。
それが“お友達”だったらなおさらだよ。
本当…、なんで付き合っちゃったんだろう。
明人「そうですよね。もし、いたら申し訳ないなって思っちゃいました。」
環酉「いないです。恋人を傷つけることはしたくないので。」
はあ…、好き。
こういう人とちゃんと付き合いたかったよ。
りとみたいに目移り激しい人じゃなくて、成くんみたいに一方的な気持ちの押し付けじゃなくて、オアシスさんみたいに相手を尊重出来る人とちゃんと付き合いたいよ。
環酉「…あと、好きな子の虫除けのために、その子が気づかないようなところに自分の痕跡をつけたりしません。」
そう言ってオアシスさんはあのキスマークがついていたところに唇を1度置き、驚く私を見つめる。
環酉「采原さんってなんで明人って名前なんですか?」
明人「…え?」
今の流れで私の名前聞く…?
環酉さんの行動が全く読めない。
明人「明人じゃなくて、明人って言うんです。親が明るい人になりますようにって意味を込めたら男っぽい字面になりました。」
そう話した私はその字面で学生時代にいじめにあったことを思い出し、そのせいで歪んでしまった顔を環酉さんに見せたくなくて俯く。
するとその俯いた顔を環酉さんがそっと片手ですくいあげてくれた。
環酉「明人って呼んでいいですか…?」
明人「え…。」
環酉「さっちゃんより、明人の方が可愛いし、響きが好きです。」
明人「…っえ、え…あ、いいですけど…。なんか恥ずかしいです。」
環酉「じゃあ恥ずかしいの伝染してください。俺の名前、知ってます…?」
明人「…環酉さん。」
環酉「下の名前、分かります?」
明人「信之じゃないのは知ってます。」
信之「薫が教えました?」
明人「あ、はい。」
そう答えると、なぜか環酉さんはため息をつく。
環酉「…ノブユキじゃないとなんだと思います?」
と、環酉さんはため息で俯きかけた顔を動かさず私を上目遣いで見てきた。
その顔が少し切なそうで今にも抱きつきたくなったけど、それをしていいか分からないのでまずは環酉さんの名前を1発で当てられるように考える。
明人「…ヒント頂けますか?」
環酉「信は『の』です。これでだいぶ絞れますよ。」
…え?絞れます?
私は『之』の中で『信』に1番合いそうな名前の読み方を引っ張り出す。
明人「…信之さん?」
私が自信なさげで口に出すと、環酉さんは目を見開き朝日を入れるために開けた弛むカーテンのように垂れた優しい笑顔を見せてくれた。
信之「信之です。さんなしで呼んでもらえるともっと嬉しいです。」
明人「…は、はい。」
信之「言って…?」
明人「え?」
信之「俺の名前。」
明人「…信之。」
信之「嬉しい。明人の名前も知れて嬉しい。」
そう言って無邪気に嬉しそうに笑う信之に私は自分の気持ちが抑えられなくなって、思い切って唇を合わせた。
信之「…俺も。」
明人「はい…。」
私の頬にずっとあった手が信之の顔へ私を引き寄せて、パチパチしたレモンとたるんだウォッカが私の口の中に広がり脳みそがとろけ始める。
信之「風邪引くからベッド行こ。」
私は信之の言葉に静かに頷き、テーブルの向かい側にあったベッドに信之と一緒に浮かんだ。
…………
信之って名前、可愛すぎ。
オアシスさんの本名も可愛いってどういうこと?
神さまのいたずらが過ぎない?
…………
環流 虹向/エンディングノート
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
アダルト漫画家とランジェリー娘
茜色
恋愛
21歳の音原珠里(おとはら・じゅり)は14歳年上のいとこでアダルト漫画家の音原誠也(おとはら・せいや)と二人暮らし。誠也は10年以上前、まだ子供だった珠里を引き取り養い続けてくれた「保護者」だ。
今や社会人となった珠里は、誠也への秘めた想いを胸に、いつまでこの平和な暮らしが許されるのか少し心配な日々を送っていて……。
☆全22話です。職業等の設定・描写は非常に大雑把で緩いです。ご了承くださいませ。
☆エピソードによって、ヒロイン視点とヒーロー視点が不定期に入れ替わります。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しております。
泡になった約束
山田森湖
恋愛
三十九歳、専業主婦。
夫と娘を送り出し、静まり返ったキッチンで食器を洗う朝。
洗剤の泡が立っては消えるその繰り返しに、自分の人生を重ねながら、彼女は「ごく普通」の日常を受け入れている。
愛がないわけではない。けれど、満たされているとも言い切れない。
そんな午前中、何気なく出かけたスーパーで、背後から名前を呼ばれる。
振り返った先にいたのは、かつて確かに愛した男――元恋人・佐々木拓也。
平穏だったはずの毎日に、静かな波紋が広がり始める。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる