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MTG
おめでた家族
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今年もこの季節がやってきた。
信之「今年は去年よりかは落ち着いてるね。」
明人「だけど、鼻水止まらない。」
私は去年と同じく、信之のポケットから箱ティッシュを取り出し鼻水を3枚のティッシュにぶちまける。
織華「やっぱりどこか中に入ろうか?」
明人「ううん。外も中も大体同じだから。」
この4人の中で私しか花粉症はいないらしい。
せっかくワセリンを塗ったにも関わらず、私は鼻たれ小僧になってしまう。
織華「そっか。じゃあ、あそこのおもち食べようかなー。」
晴大「織華って赤ちゃん出来てから大食いになったね。」
織華「…あ。」
晴大さんの発言に焦る織華は私たちにパチッと目を合わせると気まずそうにして、赤ちゃんを授かったことを教えてくれた。
そんな織華を少し気にしつつも私と信之はいっぱいお祝いの言葉と温かいカフェをプレゼントしたけど、織華はずっと作り笑顔のまま受け取っていた。
その理由が分かったのはWデートが終わってから。
織華たちと別れてからすぐにメッセージで、『晴大には全部を伝えてなかったんだ。本当にごめんね。』と謝罪の文が来た。
織華は信之のことを自分だけで止めて、晴大さんには子どもが生まれない可能性が高いことは伝えてなかったそう。
私はせっかく織華が赤ちゃんを宿したのに、大いに喜べなくしてしまった自分が嫌すぎて家に帰ってすぐにベッドへダイブした。
信之「…明人。ごめんね。」
と、信之はベッドの端に座り、私の背中を優しく撫でてくれる。
明人「ちがうの…っ。信之のせいじゃない。私のせいで織華に嫌な思いさせた。」
信之「その原因は俺でしょ?」
明人「違う、違うの。織華が優しいの分かってて漬け込んだ私が悪い…。」
信之「…明人は悪くないよ。」
そう言って信之は私の隣に横になり、抱くように添い寝をしてくれる。
信之「頑張ってみる…?」
明人「え…?」
私は信之の言葉の意味が分からなくて枕に埋めていた顔を信之に向けると、信之は少し困ったような優しい笑顔をして私を見ていた。
信之「赤ちゃん。ピル飲むのやめて俺と子作りしてみる?」
…それってどうなんだろう。
あの旅行の後、ピルの効果が切れるのは3ヶ月くらいかかるって調べたら書いてあったし、しばらくは出来ないとしてこれからは?
しかもその3ヶ月はしっかりPMSと生理痛はしっかり戻ってくる。
これから一季さんの代わりに新しい上司がやってくるけど、その人が一季さんのような人という確証はない。
だから生理で休むのは甘えというタイプかもしれない。
それだったらとんでもなく気まずくなりそう。
けど、信之が自分からそう言ってくれることなんてないし、前は嫌がってたからこのチャンスを逃したくはない。
本当にどうしよう…。
明人「…今のシートがあと4日分、薬残ってるからその間考えていい?」
信之「うん。ゆっくり考えて。生理の時は休み多めにするからね。」
明人「ありがとう…。」
私は少しの間、信之との将来に向けてちゃんと考え直すことにした。
…………
結婚するって知ってて、晴大さんと家族になるってことはいずれ子どもが出来るかもって誰でも分かることなのに、私は自分の悩みをぶちまけるだけで織華にいっぱい負担かけちゃってたな。
それでもちゃんと織華たちのお祝いはしたいから、もうあんな顔させないようにするね。
…………
環流 虹向/エンディングノート
信之「今年は去年よりかは落ち着いてるね。」
明人「だけど、鼻水止まらない。」
私は去年と同じく、信之のポケットから箱ティッシュを取り出し鼻水を3枚のティッシュにぶちまける。
織華「やっぱりどこか中に入ろうか?」
明人「ううん。外も中も大体同じだから。」
この4人の中で私しか花粉症はいないらしい。
せっかくワセリンを塗ったにも関わらず、私は鼻たれ小僧になってしまう。
織華「そっか。じゃあ、あそこのおもち食べようかなー。」
晴大「織華って赤ちゃん出来てから大食いになったね。」
織華「…あ。」
晴大さんの発言に焦る織華は私たちにパチッと目を合わせると気まずそうにして、赤ちゃんを授かったことを教えてくれた。
そんな織華を少し気にしつつも私と信之はいっぱいお祝いの言葉と温かいカフェをプレゼントしたけど、織華はずっと作り笑顔のまま受け取っていた。
その理由が分かったのはWデートが終わってから。
織華たちと別れてからすぐにメッセージで、『晴大には全部を伝えてなかったんだ。本当にごめんね。』と謝罪の文が来た。
織華は信之のことを自分だけで止めて、晴大さんには子どもが生まれない可能性が高いことは伝えてなかったそう。
私はせっかく織華が赤ちゃんを宿したのに、大いに喜べなくしてしまった自分が嫌すぎて家に帰ってすぐにベッドへダイブした。
信之「…明人。ごめんね。」
と、信之はベッドの端に座り、私の背中を優しく撫でてくれる。
明人「ちがうの…っ。信之のせいじゃない。私のせいで織華に嫌な思いさせた。」
信之「その原因は俺でしょ?」
明人「違う、違うの。織華が優しいの分かってて漬け込んだ私が悪い…。」
信之「…明人は悪くないよ。」
そう言って信之は私の隣に横になり、抱くように添い寝をしてくれる。
信之「頑張ってみる…?」
明人「え…?」
私は信之の言葉の意味が分からなくて枕に埋めていた顔を信之に向けると、信之は少し困ったような優しい笑顔をして私を見ていた。
信之「赤ちゃん。ピル飲むのやめて俺と子作りしてみる?」
…それってどうなんだろう。
あの旅行の後、ピルの効果が切れるのは3ヶ月くらいかかるって調べたら書いてあったし、しばらくは出来ないとしてこれからは?
しかもその3ヶ月はしっかりPMSと生理痛はしっかり戻ってくる。
これから一季さんの代わりに新しい上司がやってくるけど、その人が一季さんのような人という確証はない。
だから生理で休むのは甘えというタイプかもしれない。
それだったらとんでもなく気まずくなりそう。
けど、信之が自分からそう言ってくれることなんてないし、前は嫌がってたからこのチャンスを逃したくはない。
本当にどうしよう…。
明人「…今のシートがあと4日分、薬残ってるからその間考えていい?」
信之「うん。ゆっくり考えて。生理の時は休み多めにするからね。」
明人「ありがとう…。」
私は少しの間、信之との将来に向けてちゃんと考え直すことにした。
…………
結婚するって知ってて、晴大さんと家族になるってことはいずれ子どもが出来るかもって誰でも分かることなのに、私は自分の悩みをぶちまけるだけで織華にいっぱい負担かけちゃってたな。
それでもちゃんと織華たちのお祝いはしたいから、もうあんな顔させないようにするね。
…………
環流 虹向/エンディングノート
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