66 / 188
7/22
12:00
しおりを挟む
なんだか、久しぶりに学校に来た気がする。
自分の中で数日が1ヶ月分の時間だったかのように、いろんなことが起きた気がする。
俺はなんとか思い出さないようにしていたけど、やっぱり数秒前に起こってしまったような気がして涙が溢れてくる。
俺は色を塗りながら涙を流しては奏が隣に来て、みんなから顔を隠してくれる優しさにまた涙する。
そんなことを数時間もしていると、みんな不信がっても仕方がないのに必要以上には声をかけてこない。
昨日、泣きじゃくっていた明も目を腫らしながら目の前の絵に真剣に向き合っている。
死んだら殺すと言って泣きながら怒っていた将も色作りにしっかり集中し黙って作業をしている。
真っ青な顔で俺を1番に抱きついてきた海斗は明の乗ってる三脚を押さえて倒れないよう見守っている。
お帰りと泣きながら笑顔で迎えてくれた奏は俺の隣で静かに色を重ねていっている。
俺だけが雑念混じりに絵を描いてしまっていいのだろうか。
そう思って、俺は手を止めてしまう。
奏「…疲れた?」
一「…ちょっと。」
奏「昼だし、一旦休憩いれようか。」
奏は深呼吸しながら軽いストレッチを始める。
明「栄美先生に教室冷やしてもらったらそこで食べよー。」
将「デリバリーするか。」
明「いいね!頼もっ!」
俺が壁に寄りかかり座って休んでるところにみんなが集まり座る。
明が携帯でデリバリーアプリを開いて全員が見えるように画面を流していく。
相談の結果、全員一致で韓国料理になったけれど俺はそんなに食欲が湧かなかったので奏と同じスープを頼むことにした。
俺たちはデリバリーが来るまで教室で待つため、エレベーターで下の階へ降り教室に入ろうとすると扉のガラスに人影が見えたので入る前に覗いてみる。
すると教室の中には、窓辺で本を読んでいる海阪先生を栄美先生がデッサンしてた。
明「かーちゃん、綺麗だね。」
将「美女と本。最高の構図だよな。」
海斗「廊下暑いから入ろう。」
奏「邪魔していいのかな?」
みんなが2人の様子を見て盛り上がれているのに俺は輪に入りきれなかった。
あの2人みたいに付き合えなくても一緒にいられるだけで幸せと思えるのも1つの付き合い方だったはずなのに、恋人という付き合い方がゴールだと思ってた俺は自分の意思を姐さんに押し付けすぎたのかもしれない。
俺がそんなことを考えていると4人が騒いでるのに栄美先生が気づき、扉を開けた。
栄美「何やってるんだ?」
入れと怒る素振りもなく俺たちを教室に入れ、また海阪先生を描き始めた。
栄美「飯は?」
明「出前で豪遊です!」
栄美「羨ましい…。俺もしてぇ…。」
海阪「あと3日。100円で過ごさないといけないらしい。」
と、海坂先生は本をから目を離し、俺たちと目を合わせて話してくれる。
将「えぐっ…。この間、散財しすぎたんですか?」
栄美「俺の失態だ。しょうがない。」
栄美先生は悔しい表情をしながらも描く手は止まらない。
それほど夢中になれているんだろう。
奏「なんで海阪先生描いてるんですか?」
栄美「言わせるな、馬鹿野郎。」
栄美先生は嬉しそうににやける。
海阪「遺影用。」
と、冷たい冗談であしらう海阪先生。
そんな冗談なんか言わないで素直になればいいのに。
栄美「恵美さんが似顔絵描いてくれたら5000円くれてやるって。」
将「美人を合法で眺められて5000円貰えるって天国部屋ですね。」
栄美「だろ?今日は夜まで描くぞー。」
その言葉に海阪先生は呆れてため息をついてまた本を読みだした。
俺も姐さんの顔、描こうかな。
写真は好きじゃないって撮らせてくれなかったし、忘れっぽい俺が忘れないようにする1つだけの方法は描くことだけだからそうしよう。
俺は仕事前に近くの画材屋に行くことを決めてその場の雰囲気を楽しむことに専念した。
→ 東京
自分の中で数日が1ヶ月分の時間だったかのように、いろんなことが起きた気がする。
俺はなんとか思い出さないようにしていたけど、やっぱり数秒前に起こってしまったような気がして涙が溢れてくる。
俺は色を塗りながら涙を流しては奏が隣に来て、みんなから顔を隠してくれる優しさにまた涙する。
そんなことを数時間もしていると、みんな不信がっても仕方がないのに必要以上には声をかけてこない。
昨日、泣きじゃくっていた明も目を腫らしながら目の前の絵に真剣に向き合っている。
死んだら殺すと言って泣きながら怒っていた将も色作りにしっかり集中し黙って作業をしている。
真っ青な顔で俺を1番に抱きついてきた海斗は明の乗ってる三脚を押さえて倒れないよう見守っている。
お帰りと泣きながら笑顔で迎えてくれた奏は俺の隣で静かに色を重ねていっている。
俺だけが雑念混じりに絵を描いてしまっていいのだろうか。
そう思って、俺は手を止めてしまう。
奏「…疲れた?」
一「…ちょっと。」
奏「昼だし、一旦休憩いれようか。」
奏は深呼吸しながら軽いストレッチを始める。
明「栄美先生に教室冷やしてもらったらそこで食べよー。」
将「デリバリーするか。」
明「いいね!頼もっ!」
俺が壁に寄りかかり座って休んでるところにみんなが集まり座る。
明が携帯でデリバリーアプリを開いて全員が見えるように画面を流していく。
相談の結果、全員一致で韓国料理になったけれど俺はそんなに食欲が湧かなかったので奏と同じスープを頼むことにした。
俺たちはデリバリーが来るまで教室で待つため、エレベーターで下の階へ降り教室に入ろうとすると扉のガラスに人影が見えたので入る前に覗いてみる。
すると教室の中には、窓辺で本を読んでいる海阪先生を栄美先生がデッサンしてた。
明「かーちゃん、綺麗だね。」
将「美女と本。最高の構図だよな。」
海斗「廊下暑いから入ろう。」
奏「邪魔していいのかな?」
みんなが2人の様子を見て盛り上がれているのに俺は輪に入りきれなかった。
あの2人みたいに付き合えなくても一緒にいられるだけで幸せと思えるのも1つの付き合い方だったはずなのに、恋人という付き合い方がゴールだと思ってた俺は自分の意思を姐さんに押し付けすぎたのかもしれない。
俺がそんなことを考えていると4人が騒いでるのに栄美先生が気づき、扉を開けた。
栄美「何やってるんだ?」
入れと怒る素振りもなく俺たちを教室に入れ、また海阪先生を描き始めた。
栄美「飯は?」
明「出前で豪遊です!」
栄美「羨ましい…。俺もしてぇ…。」
海阪「あと3日。100円で過ごさないといけないらしい。」
と、海坂先生は本をから目を離し、俺たちと目を合わせて話してくれる。
将「えぐっ…。この間、散財しすぎたんですか?」
栄美「俺の失態だ。しょうがない。」
栄美先生は悔しい表情をしながらも描く手は止まらない。
それほど夢中になれているんだろう。
奏「なんで海阪先生描いてるんですか?」
栄美「言わせるな、馬鹿野郎。」
栄美先生は嬉しそうににやける。
海阪「遺影用。」
と、冷たい冗談であしらう海阪先生。
そんな冗談なんか言わないで素直になればいいのに。
栄美「恵美さんが似顔絵描いてくれたら5000円くれてやるって。」
将「美人を合法で眺められて5000円貰えるって天国部屋ですね。」
栄美「だろ?今日は夜まで描くぞー。」
その言葉に海阪先生は呆れてため息をついてまた本を読みだした。
俺も姐さんの顔、描こうかな。
写真は好きじゃないって撮らせてくれなかったし、忘れっぽい俺が忘れないようにする1つだけの方法は描くことだけだからそうしよう。
俺は仕事前に近くの画材屋に行くことを決めてその場の雰囲気を楽しむことに専念した。
→ 東京
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる