国を滅ぼされた生き残り王女は、男装して運命を切り拓く。

青花美来

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黒炎の終焉

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 日が落ちるころ、二人はヴァルデンの王都へと戻った。空は深い朱に染まり、王宮への正門は封鎖されている。騎士団員が槍を構え、近づく者を鋭く睨んでいた。

 カイが低く舌打ちする。


「……やっぱりな。王宮の中には入れそうもない」

「私が侵入したのがバレたからですね」


 王宮の周りは厳戒態勢で、少しの隙もなく忍び込むことは不可能だった。

 リシェルは焦りを隠せず、門の向こうを見つめる。


「せめて……誰かに話を――」

「無理だ。今の時間じゃ、門番にすら取り合ってもらえねぇ。むしろ疑われて捕えられる」


 それでも諦めきれず、リシェルは通りを歩く人々に声をかけた。


「すみません、ノクティアの魔導士たちをご存じありませんか?」


 果物を片づけていた商人が顔を上げた。


「ノクティアの魔導士? ああ、あの人たちならもう帰ったよ。昼過ぎに出ていくのを見たね」

「……そう、ですか」


 リシェルは静かに息を呑んだ。

 "帰った"――つまり、目的を果たしたということなのか。

 カイが隣で腕を組み、短く言う。


「……遅かったか」

「行き先は、調べられないでしょうか」

「さぁな。誰も詳しくは知らねぇだろうが、ノクティアに帰ったと考えるのが自然だろう」


 夕闇の中、街の灯がひとつ、またひとつ消えていく。人々のざわめきが遠のくにつれ、胸の奥の不安だけが際立っていった。


「……行きましょう。まだ手がかりが……」

「リシュ」


 カイの声がそれを制した。


「もう夜だ。今動いても無駄足だ」

「でも!」

「焦っても仕方ねぇ。まずは落ち着け」


 リシェルは唇を噛み、俯いた。

 彼の言葉が正しいことは、わかっている。

 それでも、嫌な予感が消えなかった。


「……わかりました」


 カイは軽く頷き、歩き出す。


「少し離れた森で野営する。休め」


 二人は夜の街を抜け、森の方角へと向かった。

 冷たい風が吹き抜け、王都の灯が次第に小さくなっていく。

 リシェルは胸元のネックレスにそっと触れた。

 ひんやりとした鎖の感触が、わずかな現実をつなぎ止めている。

 ――それでも、あの不吉な光景が頭から離れなかった。

 赤い瞳の魔導士。黒く揺らめく炎。

 すべてが、再び始まろうとしている気がした。


 森を包む夜は、ひどく静かだった。

 風もなく、ただ焚き火の音だけがかすかに響く。

 カイは少し離れた場所で木に背を預け、目を閉じている。リシェルはその傍ら、膝を抱えたまま燃え残る炎をじっと見つめていた。

 指先に触れる金の鎖。

 首にかけた小さなネックレスが、ふいに淡い光を放つ。


「……え?」


 瞬きの間に、視界が滲む。

 光の中に、遠い記憶の断片が浮かび上がった。


 (これは……あの日の少し前……?)


 まだ滅びる前の、王城の奥。

 幼いリシェルが、歩き回っている。


 (この時は確か……眠れなくて、部屋を抜け出して歩き回っていた時だ……)


 幼いリシェルが迷い込んだ先は、王の許可なく立ち入ることを禁じられた区画だった。


 (そうだ……あの時……私、見てしまったんだ)


 扉の隙間から覗いたその先。そこで黒いローブの魔導士たちが、闇に沈む床へ奇妙な紋章を描いていた。

 低く響く詠唱。

 淡い光が線を走り、あっという間に魔法陣が完成する。

 それは、どんなものなのか。当時のリシェルにはわからなかった。

 しかし、今ならわかる。それは、王宮の内部へ直接入り込むためのもの。


 (転移魔法……!)


 そしてその中心に立っていた一人の魔導士が、もう一つ魔法陣を描いた。

 それは、転移魔法ではない。何かわからないその魔法陣は、描かれたと同時に赤黒く浮かび上がる。


 (あれは……なに?)


 しかし魔導士は、人の気配を感じたのか振り返るように顔を上げた。

 赤い目と幼いリシェルの視線が交わる。……あの時、胸の奥が焼けるように恐ろしくなった。

 そして、リシェルは逃げ出した。

 その数日後、あの"黒炎"が王都を飲み込んだのだ。

 ――光が消える。

 リシェルは息を呑み、目を見開いた。

 手のひらの中で、ネックレスが熱を帯びている。

 鼓動が早まる。

 思い出した――あの時の見たこともない赤黒い魔法陣。

 そして、つい数日前。

 ヴァルデンの王宮の書庫、その奥の小部屋の扉の裏で見た、魔法陣の痕跡。

 時間がなくてまともに確認もできなかった、あれは。

 陣の形も、紋も、先ほどの光の中で見た、赤黒い魔法陣とそっくりに見えた。


「……うそ……」


 喉が震える。

 もし――もし、あの"黒炎"を再び起こそうとしているのだとしたら。

 今度はその対象が、ヴァルデンの王宮なのだとしたら。

 それを王は全く知らずに、王は利用されていただけなのだとしたら。

 目の前の焚き火の炎が、一瞬黒く揺れた気がした。

 リシェルは立ち上がった。


「行かないと……! 今すぐ知らせないと……!」


 慌てて動く気配に、カイが目を開けた。


「おい、どうした」

「王宮が……危ないんです! また、同じことが!」


 焦燥で言葉がうまく出ない。

 カイは立ち上がり、彼女の肩を掴む。


「落ち着け。今行ったって門前払いだ。聞く奴なんかいねぇ!」

「でも……手遅れになったら、どうするんですか!? また同じことが起こるかもしれないのに!」

「だからこそだ。突っ走って死んだら、何も変わらねぇ!」


 焚き火の火が、ぱち、と音を立てて弾けた。

 二人の影が交錯し、緊迫した空気が流れる。

 リシェルは唇を噛み、俯いた。

 カイは低く息を吐く。


「……方法を考えよう。焦っても仕方ねぇ」

「……でも……」

「また何か見たんだな?」


 頷くと、カイは肩を数回さする。


「お前の見たもんが本当なら、急がなきゃならねぇのは確かだ。だが、無駄死にはごめんだ。まずはどうするか考えよう」


 もどかしさを抱えながら頷こうとした時。

 森の向こうで、夜空が赤黒く染まった。

 風が焦げ、鼻を刺す匂いが漂う。

 リシェルは振り返り、王宮を見つめる。


「……え……?」


 遠くの空に、黒い煙が立ち上るのが見える。

 胸が強く締め付けられる。

 それは、悪夢の始まり。


「まさか……」


 考えるより早く、足が動いた。

 王宮へ、一直線に。


「リシュ! 待て!」


 背後でカイの声が響くが、彼女は止まらない。

 正門の前に近付くと、すでに辺りは騒然としていた。

 泣き叫ぶ人々、走る兵士。

 王宮の建物だけが、闇の中で赤く脈打っている。


「黒炎……また……!」


 恐怖よりも焦りが勝った。

 リシェルは正門をくぐり、燃え盛る回廊を走る。

 炎と煙の中、魔力の唸りが空気を震わせていた。

 ――その音に、聞き覚えがある。

 書庫の中。扉の隙間から、黒い光が漏れていた。

 リシェルは手をかけ、力任せに押し開く。

 視界に飛び込んできたのは、円形の魔法陣が書かれた扉を前に並ぶ、十数人の魔導士たち。

 皆、黒いローブをまとい、口々に呪文を唱えていた。


「やめてっ!!」


 叫びが届くよりも早く、魔法陣の中心から黒炎が噴き上がる。

 まるで生き物のように、空間を舐め尽くしていく。

 ――その瞬間。

 リシェルの胸元で、ネックレスが強く光を放った。

 眩い光が弾け、室内を包み込む。


「な……なんだ!?」

「術が……乱れるっ!」


 魔導士たちが一斉に悲鳴を上げた。

 黒炎が後退し、代わりに白い光が渦を巻く。


「狼狽えるな! 強く唱えるんだ!」


 しかし、魔導士たちも詠唱を続ける。そのうちの一人が、リシェルに向かって攻撃魔法を繰り出した。


「なっ……!?」


 間一髪のところで避けるものの、ネックレスの光は弱まり、代わりに黒炎が力を取り戻したかのように大きくゆらめく。

 そしてそれはそのままリシェルを呑み込もうと大きく広がった。


「リシュ!」


 瞬間、後ろから強い力で引き寄せられ、抱きしめられる。

 それをカイだと認識した時には黒炎が迫ってきており、ここまでなのかと涙が滲んだ。


 ──その時。


 ネックレスが、今までで一番強く光る。


「な、に……?」


 そして、リシェルの涙が星のモチーフに落ちた瞬間、強き輝きが二人を包み込む。


「まさかっ……」

「これは……"器"か!?」


 その輝きは暴走するように広がり、黒炎もろとも魔導士たちを次々と呑み込んでいった。

 彼らの姿が光の中に溶け、声が途絶える。

 炎が静まり、魔法陣の輝きも消えた。

 リシェルとカイはその場に膝をつき、抱き合ったまま息を荒げる。

 何が起こったのか、理解できなかった。


「リシュ……今、なにが……」

「わたしも……わからなくて……」


 ネックレスは、彼女の胸元で無惨にも砕け散っていく。

 その破片が、まるで星屑のように床へと落ちていった。



 魔法陣と魔導士が消えたことで黒炎は鎮まり、王宮の炎も次第に弱まっていく。

 あれほど荒れ狂っていた闇は、跡形もなく消えていた。


「……リシュ。おいリシュ!」


 カイの腕の中で、リシェルはぼんやりと焼け焦げた扉の方を見つめた。

 魔導士たちの姿は、どこにもない。黒炎も、どこにもない。


「……どうして……全部消えたの……?」


 震えながら呟く声に、返事は無い。そのまま、リシェルは倒れるように意識を手放した。






 ──夢を見た。

 朽ちることなく、手入れが行き届き年月を重ねた王宮。そして玉座に座る、王である父。その隣には母が、優しい笑みを浮かべている。


「リシェル。久しぶりね」


 懐かしい母の声に涙ぐんでいると、男装の状態から一変、綺麗なドレス姿に変わる。


「ずっと、あなたが大人になった姿をこの目で見たかった。……リシェル。強く逞しく、素敵な女性になったのね」

「お母様……」

「リシェル。私たちが不甲斐ないばかりに、苦労ばかりさせてすまなかった」

「お父様……」


 これは夢だ。夢だとわかっているのに。

 この夢から覚めたくない。ずっと両親と一緒にいたい。この美しい王宮の中で、一緒にいたい。

 そう思ってしまう。

 二人にゆっくりと手を伸ばすリシェルは、どれだけ伸ばしても両親に触れることが出来ないと気がついた。

 どうして。やっと会えたのに。ようやく、今の自分を二人に見せられたのに。

 抱きしめてほしい。頭を撫でてほしい。もっともっと、リシェルと呼んでほしい。たくさん褒めてほしい。たくさん愛してると言ってほしい。この五年の話を、全部聞いてほしい。

 それなのに、両親の姿はどんどん遠ざかっていく。


「お父様! お母様!」


 叫べば叫ぶほど、その優しい声も聞こえなくなっていく。

 怖くてたまらない。この幸せを、もう奪わないで。そう思うのに。


「リシェル。あなたには戻るべきところがあるのよ」

「え……?」

「リシェル。レオンを救い出してくれ。これが、父と母からの最期の願いだ」

「いや……いやですお父様。お母様、そんな願い、私は……」

「リシェル。愛してるわ。私たちの愛おしい娘。世界一、大切な我が娘。あなたならやり遂げてくれる。信じてるわ」


 母のその言葉を最後に、意識がどこかへ引っ張られていく。


「お父様! お母様!」


 何度も叫び、何度も手を伸ばす。

 しかし、もう届くことはなかった。

────

「――シュ、リシュ! リシュ! 大丈夫か!?」

「お、とうさま……おかあ、さま……」

「どうした? 苦しいのか? リシュ、しっかりしろ!」

「っ……あ、れ……」


 揺れる視界。

 焦げた匂い、熱気、崩れた石壁。

 リシェルはゆっくりと目を開いた。


「……隊長……?」

「リシュ、気が付いたか、良かった」


 カイの腕の中で支えられていることに気づく。


「夢……そうだ、夢を見たんだ……」


 幸せな夢だった。記憶より少し年老いた両親の姿。久しぶりにその声を聞いた。嬉しさと切なさで、胸が張り裂けそうになる。


「うなされてたぞ。また悪夢か?」


 首を横に振る。


「すごくすごく、幸せな夢でした。このまま目が覚めなければいいのにって、初めて思いました」


 それを聞き、カイは複雑な気持ちを抱えながらもう一度抱きしめる。


「とにかく、無事でよかった」


 リシェルも、カイの背中に腕を回した。



「そうだ、黒炎は……!? どうなったんですか!?」


 顔を上げて問いかけると、カイは短く息を吐いてからリシェルを立ち上がらせた。


「あぁ……不思議なことに、お前が呑み込まれそうになった時に、黒炎は全て消えたんだ」

「え……!?」


 リシェルは息を呑む。


「そのネックレスから、強い光が出て」

「じゃ、じゃあ……魔導士たちは……?」

「……あの場にいた魔導士たちは、全員死んだようだ」

「全員……死んだ……?」


 その言葉が、胸の奥に深く沈む。

 あの光。あの熱。あの瞬間。何が起こったのか、リシェルには分からなかった。

 けれど、確かにあの時ネックレスが砕け、身体の奥底から何かが解き放たれたような感覚がした。

 震える指先で胸元を探る。

 しかしそこには、もう何もなかった。


 (……お兄様は、どうなってしまったのだろう……)


 あの場に兄の姿はなかった。記憶の限りでは、あの儀式の中に立っていたのは別の者たちだ。


 では――兄は今、どこに?


 風が舞い上げた灰が、ゆっくりと空へ消えていく。

 その行方を見つめながら、リシェルは小さく呟いた。


「探さなきゃ……早く、探さないと……!」


 夜が明けても尚、王宮は静まり返っていた。

 焼け焦げた石畳から、まだ微かな熱が立ちのぼる。

 けれど、空はもう青く澄み始めている。

 リシェルは王宮の外れに立ち、崩れ落ちた塔を見上げた。

 まだ煙の匂いが残る中で、胸の奥が強く疼く。


 あの時、兄の姿はどこにもなかった。


 ならば、彼は今もどこかで生きているはず。

 先ほどまでこの王宮内をくまなく探したものの、手がかりすらつかめなかった。

 ……では、兄は今、一体どこに。


「おい、もう出るつもりか」


 背後からカイの声がした。

 振り返ると、彼は荷を担いでいる。


「ええ。……行かないと」

「黒炎の跡の調査はどうする」

「他の人たちがやってくれるでしょう。私はもう退団願を出した身です。何もできることはありません」

「まぁ、そうだな」

「それに、私には探さなければいけない人がいます」


 その言葉にカイはため息をつき、空を見上げた。


「ほんと、お前は落ち着くことを知らねぇな」


 リシェルは小さく笑った。

 けれどその瞳には、決意が宿っていた。


「……俺も行く」


 カイのその一言に、リシェルはわかっていたように微笑んだ。


「隊長も、結構頑固ですね」

「お前には負けるがな。勝手に突っ走って、また死にかけられちゃ困る」


 その言葉に、胸の奥が熱くなった。

 けれど、素直にそれを見せることはできない。


「……ありがとうございます。心強いです」


 静かに頭を下げると、カイは嬉しそうに数回頭を撫でた。
 
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